CCCDで音楽愛好家を犯罪者扱いするレコード会社たち

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209読者の声
読売新聞 2003年2月22日付 17面記事

コピー制御CD
音楽ソフト苦戦で導入進む
「品質の不安」残り消費者置き去り

パソコンでの”不正コピー”を防止する機能を組み込んだ「コピー・コントロール
(制御)CD」が増えた。  文化部 宮下 博

 コピー制御CDは盤へ刻む音楽情報にエラー信号を混ぜるなどして、パソコンから
CD-R(書き込み可能CD)などへの複製を防ぐ。国内では昨年三月にエイベックスが
発売して以来、十社が導入。五百種以上の商品が出た。
 レコード業界が導入を急ぐ背景には、CDなど音楽ソフトの売り上げ落ち込みへの
危機感がある。国内出荷額は昨年で前年比12%減の約四千四百三十一億円と、四年
連続で前年を割った。業界団体の日本レコード協会などは、パソコンでの
「違法コピー」が減少の要因とみなし、著作権侵害を防ぐ手段としてコピー制御CDの
有用性を強調する。
 現行の著作権制度は、音楽から著作権者に複製の代償として補償金を配分する
制度を持つが、用途が広いパソコンは対象外で、権利保護が追いついてない面もある。
また、CDの規格は二十年以上前に作られ、現在のようなデジタル社会を想定して
いなかった。DVD(デジタル多用途ディスク)など次世代メディアは、最初から
複製防止装置を備えている。
 コピー制御CDには、機種によって再生できない上に、音質劣化の不安という問題もある。
音楽用CDには開発者のソニーらが厳密な規格を定めているが、コピー制御CDはそれに
準拠しておらず、規格上は音楽用CDではない扱いになっている。
 劣化への不安が広がるのは、レコード会社側の不透明な説明にも原因がある。
聴いた感覚で差が分かりにくければ「実用上問題ない」と表記すればいいのに、
「劣化はない」と宣伝する企業があっては不信感をあおる。
210読者の声:03/02/22 15:50 ID:O0kYuv5y
 コピー制御CDには、製造上の不良以外、交換や返品に応じないとする注意書きが
あるが、「鑑賞できなくても購入者の自己責任」とは消費者軽視そのものだ。
 国民生活センターには昨年、音が飛ぶといった苦情が三、四十件来たというが、
電機メーカー側は「規格の上で音楽用CDでない以上、レコード会社が何を出そうと
感知しない」(ソニー)と突き放す。レコード会社側は「苦情は思ったより少ない」
(ビクターエンタテインメントなど)と商品を増やす構えでいる。
 日本レコード協会は「電機業界との話し合いは、加盟社だけで物事を決めることになり、
公正取引委員会に自由競争の妨害と見られる恐れがあってやりにくい。商品の注意表記も
各レコード会社任せ」ときわめて動きが鈍い。一方、公取委は「消費者に不便を強いる
なら、音楽業界全体にユーザーへの自主的な対応が一層求められる」とする。
 このままでは、業界の連携不足で生じる問題が消費者にしわ寄せされ、被害が広がる
恐れが強い。
 音楽ソフトの売り上げが落ちた原因は、「長引く不況や、市場を支えた団塊ジュニア世代が
去ったこと、割高なCD価格など複雑。パソコンでコピーできなくなっても需要が回復するとは
思えない」(稲増龍夫・法政大教授)という見方も根強い。著作権保護も大切だが、
業界利益を優先した”見切り発車”は疑問。レコード業界は手厚い苦情対応など、
消費者本位の姿勢を忘れてはならない。