★★★★★ 吉田拓郎 vol.16 ★★★★★

このエントリーをはてなブックマークに追加
423NO MUSIC NO NAME
「イメージの詩」とか聴くと特に感じるんだけど、1行目の《これこそはと信じれるものが
この世にあるだろうか》ですが、あの詩全体に、“この世で伝えられていることすべて、嘘
ばかりで、信じるに足る言葉などない”というのが根底にある。だからあの詩は、吉田拓郎
にとっての、“これこそは確か”と思える事柄を羅列したと思うわけです。「人間なんて」の
中でも「本当の声を聞かせてよ、君の本当の声を」というのがある。あらゆる言い伝えやら
常識やら、皆、信じるに値しない。そういう吹きっさらしな感覚が出発点での吉田拓郎には
大きいんじゃないか。そう考えていくと、吉田拓郎の中には、意外に哲学的な、“何が真な
のか”“信じるに値するものは何か”という問いかけが流れている…。“本来的な自分はどこ
にあるのか”とかね。忘却されながら、たえずそれでも掘り起こされ、問われてきたもので
すよね。拓郎の中にはそんな、古典的と言っていいか分からないが、問いかけがある。彼は
「知識」で知識人を攻撃したが、ただ、にも拘わらず、拓郎の核心部には「何が自分の本当な
のか」を問い続ける力がある。拓郎にとっての恋愛も、あれだって「自分の本当」が試される
場ですよね、恋愛は。一貫してその問いかけはあるんじゃないかね。