平沢進 Произведение vol.48

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838NO MUSIC NO NAME
ここは都内のあるリハーサルスタジオ。
さて、いよいよ実際に大音量で楽器を鳴らす行程に入った。昼間の交通渋滞を避ける為
スタジオリハーサルはいつも深夜に行われる。午前0時、スタジオには次々とメンバーが到着し
機材が運搬される。セッティング、配線に2時間かかる。時々マネージャーの見城氏が顔を出し
「だれ待ち?」と声をかける。待ちとは全体の流れを遅らせているのは誰か?ということだ。
マネージャーは返って来る答えはいつも同じなのを知って入るがついつい聞いてしまう。
「だれ待ち?」もちろん「ことぶき待ち」である。そうこうしているうちに戸川純さんの
マネージャーがやって来る。「ちわす」と言って。今日は戸川さんのスタジオ入りの
予定は無い。しかし彼はやって来る。別に意味はないがなんだかやって来る。
とにかくとても居心地の良さそうな顔をしている。さて、平沢氏がスタジオに
入って来た。「ことぶき、秋元、おなかすいていないか?」「もちすいてます」と
ことぶきが答える。これは深夜のリハーサル恒例の会話だ。平沢バンドのメンバーの中には
ミュージシャン的図々しさと、わがままさを持った人間が一人もいない。普通なら
スタッフにハラへったからアレ買ってこいコレ買ってこいという声が飛び交う所だが
ここではそういう事が起こらない。そんなメンバー達を思いやって平沢氏は
「おなかすいてない?」とよくたずねるのだ。そして「私がおなかすいたってさぁ口火を
切るから、そしたらみんなもそれに便乗すればいいよ」なんてことまで言ってくれるのだ。
こんな平沢氏をどうしてオニと呼べようか。再びマネージャー氏が入って来るなり
平沢氏が口を開く。「ことぶきが言えっていったんだけどさ、コンビニ行って
弁当買ってこいってさ」 やっぱオニだ。

〜91年、ヴァーチュアルラビットアルバム制作風景のヒトコマ〜
ヒラサワバイパス3号より。
需要があってヒマがあったら何かまた面白そうなのウPるけど?
by古参ババア