事実を確かめなきゃ。
小山田さんにいじめれっ子の名前を教えてもらった僕は、彼らとコンタクトをとっていった。
何かロードムービーの中に入り込んだような感覚になる。
4月6日
Mさんの家に電話する。Mさんは、現在(94年)パチンコ屋さんの住込み店員をやってるという。
高校は和光を離れて定時制に。お母さん「中学生は正直言って自殺も考えましたよ。
でも、親子で話し合って解決していって。うちの子にもいじめられる個性みたいなものは
ありましたから。小山田君も元気にやってるみたいだし。」
パチンコ屋さんの電話番号は、何度も訪ねても教えて貰えず。、最後は途中で電話を切られた。
4月28日
Sさんに電話してお母さんが出た。電話だけだとラチがあかないので、アポなしでの最寄り駅
から電話。「今近くまで来ているんですが…」田園調布でも有数の邸宅で、Sさんと直接
会うことができた。お母さんによれば学習障害だという。家族とも「うん」「そう」程度の
会話しかない。
現在は、週に二回近くの保健所で書道や陶器の教室に通う。社会復帰はしていない。
お母さん「卒業してからひどくなったんですよ。家の中で知ってる人ばかり囲まれているから。
小山田君とは、仲良くやってたと思ってましたけど。」
寡黙ながらどっしりと座ったSさんは、眼鏡の向こうから、こっちの目を見て離さない。
ちょっとホーキングが入ってる。
‐対談してもらえませんが
Sさん「(沈黙…お母さんの方を見る)」
‐…小山田さんとは、仲良かったのですか?
Sさん「ウン」
数日後、お母さんから「対談はお断りする」という電話が来た。