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50Billboardレビュー
Discography - Dir en Grey
http://www.billboard.com/bbcom/discography/index.jsp?pid=468449&aid=1187083

Album Review
アルバムレビュー

『UROBOROS』
2008年11月12日発売
レーベル Gun Shin  
ランキング “The Billboard 200” 114位(2008年11月29日)

日本のバンド・ディルアングレイは、過去11年以上にわたり、
インディーズメタル界の関心を大いに引いてきた。
過去3、4枚のアルバムでは、ハードロックとメヴィメタルを彼らの音に融合させた、
非常に実験的なポップバンドとして活動を始めたが、
音源でもステージ上でも世界的に見てまさに凶暴といえるバンドとなった。

アメリカ合衆国で音源がリリースされたのは近年のことだが、
デジタル時代にはほとんど関係ないことである。
ソニーは2007年に彼らのアルバム『The Marrow of a Bone』を再発売さえした。
由緒あるThe Endレーベルからの発売である『Uroboros』は、
通算7枚目にあたる彼らのスタジオアルバムである。

このアルバムでは、より実験的なポップ路線への回帰とともに、
彼らのメタル的な音の発展がみられる。
51Billboardレビュー:2008/12/08(月) 23:32:26 ID:eWxK25O/0
ボーカル・京、ギタリスト・薫&Die、ベース・Toshiya、
ドラム・Shinyaという結成当初からのメンバー構成は変わっておらず、
この5人は、スラッシュメタル全盛期のみを懐かしく思う、
よりハードコアな音楽性を追求するリスナーを困惑させるかもしれない。

しかし、それ以外のわれわれにとっては、これはディルアングレイの作品の中で、
最も魅力的で考えさせられるアルバムである。
ブラックメタルの意図的に厭世的なアンダーグラウンドでの流れを除いて、
ヘヴィメタルはそれ自体、ある種の変貌を遂げてきている。

あらゆるアートロックとプログレメタル、
また典型的なポストロックの構成をも組み込んでいる。

『Uroboros』は、新鮮な感触、広がりを感じさせるダイナミックス、
非の打ちどころのない録音サウンド、そしてなにより、
素晴らしい音楽的才能が完全に溶け合ったなかに、先述のすべてを取り込んでいる。

京は今なお歌詩をほぼすべて日本語で書き、歌っており、
曲タイトルのほとんども同様に日本語である。
黒い歌詩カードに灰色の文字で2ポイント(注:印刷文字の大きさ)で、
英訳された歌詩が載っているとはいえ、虫メガネでもなければ読むことはできない。

まあそれはよしとしよう。京の声は、メロディアスに歌っているときも、
唸るときも、奇声をあげるときも、ボーカルというよりは楽器の一つのようである。
52Billboardレビュー:2008/12/08(月) 23:35:50 ID:eWxK25O/0
このアルバムは「Sa Bir」(訳:地動)という短いインストで始まる。
深遠なドラムループと、サブベースであるシンセの振動、
ツィンバロム(注:ハンガリーを中心とする中欧・東欧地域で見られる大型の打弦楽器)、
低音のさえずるような振動のうしろで京の唸り声がかすかに響く。

この曲が次の「Vinushka」へのリスキーな幕開けとなる。
アコースティックギターと、揺らめくようなノリ、シンバルの大きな音、
そしてほとんどささやくような唄い方のボーカルから、メタル的なリフ、
さまざまなサウンドエフェクトへと繋がっていき、
多くのリバーブがボーカルの上にのっていく。

ダイナミックな変拍子は、ほとんどゴシックロックの曲のような
きらびやかなダークさが轟音と静寂の中から現れ始めるときでさえ、
見事に規則的なリズムとともに現われる。

10分近くあるこの曲は、奈落の底の上に何層にも重なる厚い覆いへの序章であるが、
京の変幻自在なボーカルスタイル(マイク・パットンも京には敵わない)によって、
まるで流れの良い組曲のように、音が液状になっている。

気のふれたような唸り声とともにスラッシュデスメタルに曲調が変わろうと、
また軽快な曲調に変わろうと、静かな暗がりのような音調のプログレポップが中心にあり、
それらどれもが成功しているのだ。
53Billboardレビュー:2008/12/08(月) 23:38:24 ID:eWxK25O/0
これは、ディルアングレイがバンドとして享受する多くの力を結集させた、
ごく自然に混ざり合った音を経験するための曲を集めたアルバムである。

なかにはいくつか別の意味で際立った曲もある。
Toshiyaのベースラインがものすごく魅力的な、
ひねくれた、ギザギザしたファンキーロックのような「Stuck Man」、
そしてエレガントに音を重ねた「我、闇とて」では、
京の感情を込めた素直で繊細な歌声、Shinyaのブレイクビート、
そしてフックを利かせた絡み合うアコースティックギターとエレキギターが映える。

古参のファンたちは、物知り顔に微笑むか、
ヘドバンをし、(チケットが)売り切れだと叫ぶだろう
(たぶんまだチケットは残っているのだが)。

初心者にとって『Uroboros』は、実質的に、
ディルアングレイの複雑で魅力的な音楽の魔法と
騒がしい音楽性を肌で感じるには、もってこいのアルバムである。

AnathemaとRush、the Gathering、
Katatoniaが奇妙に入り混じったところに、
初期のThe Mission U.K.が投げ込まれたのを想像してみてほしい。
そうすればあなたはこの機知に富んだバンドの音の世界に仲間入りできるだろう。

Thom Jurek, All Music Guide