syrup16gが解散する
1月30日約3年半ぶりのニューアルバムを引っさげ、3月1日(土)、
初めての武道館のステージが彼らのラストライブ、最後の日となる。
'LIVE FOREVER' the last waltz of syrup16gと名付けられたそのステージを頼りに
僕らはその日まで生きなければならない。
そして、その「翌日」からは…。
何故今、と思わざるを得ない
2007年、日比谷野音を立ち見を含めて即日完売し、
AXでの自主イベント「up to the world final」をはさみ、
続く「END ROLL」と名づけられたNHKホールも全て即日完売と、
もはやキャリア最大の盛り上がりを見せている状況の中、
解散という選択は普通であればありえないだろう。
それを敢えて選択する天才ソングライター五十嵐だからこそのシロップなのだろうが。
闇の名盤
言うなれば、強烈に死の匂いのするアルバムだ。
死の瞬間を描くことによって、逆に生が強烈に浮かび上がってくる。
そんな楽曲郡だ。
破滅の美学を利用して、いざとなりゃ死ぬつもりだった <ニセモノ>
賛美歌の歌がきこえてくるのは、3時間前に焼かれたから <HELPLESS>
ゆっくり時間流れろ、ゆっくり涙流れろ、ゆっくり <来週のヒーロー>
悪魔はずっと待ってたんだ 裏切りあう瞬間を <さくら>
など、死と終末の情景に溢れている。
それでいて、何故か前向きな聴き味のアルバムでもあるのが不思議だ。
五十嵐を訪れた、幾つかの死と別れ。
それを、浄化し乗り越えていく過程が赤裸々に描かれている。
バンドの終焉というドラマチックなストーリーが重なり、それが聴く者の胸を打つ。
そして、
これはこれで青春映画だったよ、俺たちの <さくら>
どの曲もが、青春期、幼年期の終わりを告げるだけでなく、
ある意味、再生と、希望を予感させる。
'LIVE FOREVER'と名付けられた武道館公演
シロップという物理的なバンドは終わりを迎えるが、彼らの音楽は、そして、
武道館という場所を共有し、同じ景色を見た者は、そこに永遠に刻み込まれる。
あるいは、その瞬間だけは永遠に生き続ける。
死ぬ事で、生まれる永遠。
それは、もしかすると究極のポジティブなのかもしれない。
ニューオーダー、U2、ポリスの影響下で語られる事の多かったシロップ
その活動はニューウェーブリバイバルに先駆ける事7年、
それは時代錯誤と言ってもいいくらい早すぎた。
今や完全な孤高の存在、一部では「闇のミスチル」とも呼ばれているようだが、
アルバムは究極の名盤だと断言しよう。
初期衝動名盤の「COPY」(UKproject)と対をなす、世界の終わりのサウンドトラックが届けられた。