【あすという日が】夏川りみ21曲目【歌の力】

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48名無しの歌姫
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をめぐり、
沖縄県民や女性を侮辱したと受け取れる発言をした
田中聡沖縄防衛局長について、政府は問題発覚当日に更迭して事態の
早期収拾を図った。しかし、発言は、在日米軍基地の極度の集中などにより
沖縄側が抱いている「沖縄差別」との怒りに火をつけた。沖縄との
信頼関係は根底から揺らぎ、米国から普天間移設の具体的進展を
求められるなか、政府はさらに苦しい立場に追い込まれた。
◇信頼醸成ぶちこわし
 「弁解の余地はない。これまで沖縄県との信頼関係を向上するため、
各分野で努力してきたが、それを失いかねない大変、重大なことだ」。
29日夜、防衛省内で急きょ記者会見し、田中氏の更迭を発表した一
川保夫防衛相は、ひたすら謝罪の言葉を口にするしかなかった。

 田中氏の発言が明らかになった同日午前から、野田政権の閣僚は「事実なら、不適切(というレベル)ではなく看過できない」
(藤村修官房長官)、「事実なら言語道断だ」(玄葉光一郎外相)と
、一斉に早期幕引きに走った。問題が拡大してさらに沖縄側の信頼を失えば
、普天間移設のシナリオがすべて崩れかねないとの危機感からだ。
 普天間飛行場の同県名護市辺野古への移設に向け、
日本政府は最終手続きとなる環境影響評価書を年内に県に提出し、
来年6月にも公有水面の埋め立てを仲井真(なかいま)弘多(ひろかず)
知事に申請する青写真を描いてきた。評価書の年内提出は、野田佳彦首相が
11月の日米首脳会談でオバマ米大統領に約束し、「理由なく遅らせられない」
(防衛省幹部)ものだ。
 しかし、辺野古移設には仲井真知事ら沖縄側の理解が不可欠だ。
沖縄の信頼を回復するため、野田政権は在日米軍基地の負担軽減策や
沖縄振興策を一つ一つ実現することでその糸口を模索してきた。 10月から関係閣僚が相次いで沖縄を訪問。沖縄側が求めた使途を
限定しない一括交付金制度の創設を打ち出した。また、日米両政府は
米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)での戦闘機訓練の米領グアムへの
一部移転を同月から実施。今月24日には、米軍属が公務中に起こした事件・
事故をめぐり、日本でも裁判ができるよう日米地位協定の運用を見直すと発表したばかりだ。
 実際、沖縄との対話の芽は出かけていた。仲井真知事は26日、
沖縄県庁で玄葉氏から地位協定の運用見直しを聞くと「非常に立派なことを
やっていただいた、と心から感謝する」と評価。2人は前日の25日夜には
那覇市内で約2時間、夕飯を共に懇談し、政府内でも「個々の問題にきちんと対処すれば、
沖縄との信頼関係につながる」(外務省幹部)と手応えをつかみ始めた直後の出来事だった。
 沖縄との信頼関係を壊しかねない当事者の発言に、野党側も追及を強めた。
29日の参院外交防衛委員会では、元沖縄県読谷村長の山内徳信議員(社民)が
「沖縄の痛みを自らの痛みとして感じていない。局長としての資格はない」
と抗議。自民党の石原伸晃幹事長も記者会見で「罷免に値する。
沖縄県民の理解なんか絶対得られない」と更迭を求めた。
 民主党の前原誠司政調会長も29日の記者会見で「
沖縄県民を愚弄(ぐろう)する中身だ。95年の少女暴行事件を想起させる
極めて許されざる発言。沖縄に勤務する資格はない」と政府に厳しい対応を求めた。
 野田首相は29日夜、首相公邸に戻る際、記者団の問いかけに
無言を貫いた。2時間半後、秘書官を通じて記者団に「30日朝の
官邸入りの際の声かけに対応する」と連絡した。
 政府は引き続き環境影響評価書の年内提出を目指す方針だが、
防衛省幹部からは「相当のマイナスの影響がある」との懸念に加え、
「普天間移設はもうダメなのではないか」との悲観論も出始めている。
【坂口裕彦、朝日弘行】