aiko LOVE LIKE POP Vol.372
180 :
名無しの歌姫:
偶像崇拝を考えつくことから姦淫が始まり、
偶像を造り出すことによって生活が堕落する。
偶像は初めからあったものではなく、
いつまでも続くものでもない。
それは人間の虚栄によって世に入って来た。
だから速やかに滅びるように定められている。
息子の予期せぬ若死にに打ちのめされた父親が、
あまりにも早く取り去られたわが子の肖像を造り、
死んでしまった人間を今や神としてあがめ、
家の者たちに儀式や犠牲を義務づけた。
時とともに神を汚すしきたりが力を得、
法として守られるようになった。
こうして、刻まれた像が支配者たちの命令で礼拝されるようになり、
遠くに住んでいるために、直接支配者たちを見て敬うことのできない人々は、
離れたところにいる彼らの姿を表すために、
尊敬すべき王に生き写しの肖像を造り上げた。
その場にいない者をあたかもいるかのように熱心にへつらいあがめるためである。
偶像造りの野心は、王を知らない人々をも駆り立てて、
偶像崇拝を広めさせた。
彼は権力者に取り入るため、腕をふるって肖像を実際よりも美しいものに造り上げた。
多くの人は、職人の見事なわざに引かれ、
先程まで人間として敬っていた者を、
今や、礼拝の対象と見なすようになった。
このことは人の生涯にとって罠となった。
災難や権力に支配された人々が、神聖な名を石や木に与えたから。