aiko LOVE LIKE POP Vol.369
502 :
名無しの歌姫:
三島由紀夫
「偶然という言葉は、人間が自分の無知を糊塗(こと:とりつくろうこと)しようとして、
もっともらしく見せかけるために作った言葉だよ。
偶然とは、人間どもの理解をこえた高い必然が、ふだんは厚いマントに
身を隠しているのに、ちらとその素肌の一部をのぞかせてしまった現象なのだ…
宗教家が神秘と呼び、科学者が偶然と呼ぶもの、そこにこそ真の必然が
隠されているのだが、天はこれを人間どもに、いかにも取るに足らぬもののように
見せかけるために、悪戯っぽい、不まじめな方法でちらつかせるにすぎない」