倉木麻衣・統一スレッドPART8

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761姫護衛隊長
批評のようですな、結構いい感じです(長文!!)

『ストレス社会に幸せ運ぶ3作品』
(前略)
 一方、流行音楽のほうはこのごろ深刻で神経質なものが目立ちすぎて、聴いていて疲れてしまう。確かにすぐれた流行音楽は社会の気質を映し出す鏡だが、いまの日本のような異常なイライラ状況をそのまま映し出しだけの音楽では深みもなにもあったものではない。
 そんななか、人気者、倉木麻衣の二作目『Perfect Crime』は、ハッピーな「Stand Up」や浮遊する「Reach for the Sky」が収録されていることで幸せな気分にしてくれる。
 もちろん、この作品にも深刻なものがないわけではないが、彼女が作曲をしないことが幸い、複数の作曲家の起用により単色に終わっていない。この点で倉木はよい意味で二十一世紀型の歌謡曲歌手だ。
 流行のアレンジのおかげで一般に彼女はR&Bの範囲で語られるが旋律の骨格が六〇、七〇年代ロックである歌も何曲かあり、化石ロック世代の小欄には楽しい。たとえば、ドラマ主題歌だった「Reach for the Sky」はビートルズの「リアル・ラヴ」を想起させる。もっと普通のエイトビートで聴きたい。「Stand Up」のサビの締めのフレーズは八〇年代っぽい。
 本格的なR&Bを目指した曲よりも、これらの曲のほうがずっと心地よい。そこは小欄も日本人だ。この危うい折衷ぶりは実はかつてのGSのようなもので、だから彼女は二十一世紀型の歌謡曲歌手なのであり、若者ではない小欄には宇多田ヒカルや浜崎あゆみよりずっと分かりやすいという次第だ。
〈『産経新聞Web芸能文化面[ES]』disc reviewより〉