アルバム全曲レビュースレin邦楽板 14th

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630名無しのエリー
>>587>>609やってみました。

Wake up!Wake up!Wake up!/the pillows

1.Wake up!dodo ★★★★
力の抜けたコミカルなリフからスタート。Aメロのやぼったいドラムとリズムギターの
鈍さが、必死に羽ばたいても飛べないドードーを連想させる。脱力気味のボーカルも
いい感じ。前半をバンドのキメ、後半を歌メロに割り当てたBメロも全体の流れを
スムーズにするのに一役買っている。

2.YOUNGSTER ★★★
レトロゲームミュージックのようなチープなギターの音が独特の味わいを出している。
ビークル+大塚愛といった感じの分かりやすいアッパーチューン。バスドラの音が
小さめで、ハイハットがやたらうるさく聞こえるような。ギターはプレイそのものは
アイデアが無く、結果的にそれが味になっているとはいえ切れ味は悪い。

3.プロポーズ ★★★★
フロアタムとギターの刻みに独特のユルさのあるミディアム曲。シャキッと弾きすぎ
ない事で詞のイメージを演出するさじ加減がバンドのキャリアを感じさせるような、
単に下手なだけのような…。ブルージーなコード進行なのにポップな曲。彼ららしい
プロポーズだが、前提として彼らについて知識がない人にすればナニコレ、な曲。

4.スケアクロウ ★★★★
ラウドなギターと雄大なシンセがオアシスを思わせる曲。Aメロから脳内でうっすら
「Whatever」を流しながら聴くと、Bメロまでオアシスが歌ってサビでピロウズに
バトンタッチするようなイメージが浮かんで面白い。ゆっくりと全体像を見せながら
昇っていくようなサビは壮大だが、歌はかなり余裕なさそう。
631名無しのエリー:2007/05/12(土) 16:43:15 ID:HN6wJWYp0
5.BOAT HOUSE ★
歌メロがバレ気味な曲。ギターもドラムもひねりがなく、まんまなプレイ。特に
ドラムがリズムを大きく取り過ぎていて曲がスカスカしているような。その隙間を
ベースが埋めに入るが、ベースが細かすぎて浮く場面も。色々試したけど良く
ならなかった、というより「これ位で充分だろ」とライン引きされた曲という感じ。

6.プレジャー・ソング ★★
Bメロのマイ・シャローナ的フレーズからスピッツ的サビへ。とはいえスピッツほど
ボーカルに余裕は無い。アッパーな曲だというのにギターの鈍いリズムはどうした
ものか。詞はいかにも彼ららしいが、予備知識なしで聴いたら薄っぺらく聞こえそう。
 
7.シリアス・プラン ★★★★★
かつてはアルバムのアクセント的な役割だった残念系の曲だが、いつのまにか
主戦力になったような。間の抜けたギターの掛け合いはある意味名演。ドラムも
アップテンポと残念系を叩き分けている印象。「シリアス・プラン」という単語の
持つイメージと、サビでそれとセットで入る実に残念な感じのチョーキングが
相俟って、自分の人生の残念なシーンがオーバーラップする曲。落とした硬貨が
コロコロ転がっていくのをなかなか捕まえられずにいつまでも追いかけてしまう、
そんな残念なシーンが多い人向け。

8.Skinny Blues ★★
疾走感のあるドラムにギターが今ひとつ乗っかりきれてないような。キャッチーな
悪くない曲だが全般的にひねりが無さ過ぎる。センスに長けているので細かい技術は
不問、というバンドだっただけに、アイデアが無いと…。

9.プライベート・キングダム ★
ドラムソロを挟んでサビでは世界が滅びているという詞世界の大きな展開に反し、
演奏は淡々としてサビ前後で大した起伏がない曲。世界が滅びるくらい彼らにとって
今更大した事じゃないんだ、という解釈も出来るが、「かつてのエモなピロウズは
何だったんだ」と疑問に思うのが普通のような。今まで彼らの歌の中の孤独に気持ち
良く酔っていたリスナーが、変わってしまった彼らを見てリアルに取り残された孤独を
味わうかもしれない曲。
632名無しのエリー:2007/05/12(土) 16:43:45 ID:HN6wJWYp0
10.Century Creepers ★
今作中でもかなりインスタントな出来と思われる曲。歌やギターに見るべき技術は
なく、アイデアにしても何のトライも無い。毎回いいリフ乗せてくれとは言わない
までも、コードストロークのみで押し切ろうとせずにたまにはアルペジオくらい
入れて変化を持たせたほうがいいような。

11.Sweet Buggy Days ★★★★
今作中最も彼ららしいリフが出た曲。チャチさに独特の青臭いキラメキが感じられる
ギターの音使いがナイス。シンプルなサビが心に染みるのは、聴き手の想像力を
膨らませる言葉選びのセンスの賜物か。メロディの隙間の空け方が心地よい、
スーパーカーの「LUCKY」みたいな曲。バギーなど乗ったこともないのに、あの懐かしい
スウィート・バギー・デイズを思い出したくなる、「遥かな尾瀬」みたいな曲。

総評 ★★
UKロック的な完成度の高さやダイナミックなエモ・ロックの要素が枯れて、代わりに
独特の残念感が前面に出た、今までの作品に比べて聴き手を選ぶ作品。能動的に
楽しめないとキツイ。狙った残念系の曲は面白いが、アップテンポの曲でも歌メロに
リズミカルさがなく、リアル残念なものも。真鍋の働きぶりも残念で、曲自体が
今一つでもバンドのアイデアで魅力的に仕上げてきた今までのピロウズとは違う
印象かも。最低限のレベルは保証されているというピロウズブランド的な信頼感は
なく、好きな曲以外はとばして聴く普通のアルバム。エイベックスも残念。
ギターは全般的に残念なので、技術をバンドに要求する人はパスしたほうが。
お洒落な音楽が生活にフィットしない残念な人向け。