やかんにペットボトルの水を入れてコンロに置いた。
水道も使えるようだったが。なんとなく気がひけて使う気になれなかった。
コンロのひねりをゆっくり回すとボッと火がついた。やはりガスも使えるようだった。
やかんをその上に置く。暗闇の中でユラユラと炎の光だけが亜矢の目に映る。
なぜか今日はその光が随分遠くの世界にあるような気がした
普段も仕事で忙しい夜などはよくインスタントで済ますので毎日見てるはずなのに。
あたりまえだと思っていた生活。平凡と充実を混ぜ合わした人生で見てきた光。
だがここにはそれは存在しない。あるのは生への執着と明日への儚き希望につなげる光。
だがあまりにも遠い気がする遠すぎてまだ見えてこない・・・翼よあれがパリの光だ。
シューーー蒸発した煙が舞い上がってくる。コンロの火を切り亜矢はカップメンにお湯を注いだ。
「3分まってと・・・」そういいかけた瞬間。
ゴトッ「だっ誰っ!」不意に聞こえた物音に亜矢は慌てて腰を低くした。
「ミァーーー」暗闇から現れたのは一匹のネコだった。
「あっ・・・もぅ。なんだ。驚かさないでよ」ほっと胸をなでおろした亜矢はネコの顎を
優しくさすってあげた。「ゴロゴロゴロ」ネコは嬉しそうに喉を鳴らした。
「可愛いな。ここの家のぺットだったのかな?ごめんね。お姉さん勝手におじゃまして」
例え相手が動物でも一人ぼっちの亜矢には嬉しい存在だった。
「ニャーーー」ネコは小さく鳴くと小走りに部屋を出て行ってしまった。
「あっ・・・まってよっ・・・」亜矢はネコを目で追った。だが目の先に映ったのはネコではなかった。
そこには人の足があった。
「えっ・・・」思わぬ闖入者の存在でまったくきづかなかった。誰かが入ってきている!?
背筋を冷たいものが走った。目を見開いて微動だにせず相手を亜矢は見つめた。
「ハロー」暗闇のシルエットは喋った。女性の声だった。それも聞き覚えのある声。
「亜矢こんなところに隠れてたんだ。」「ヒカル・・・」ウタダヒカルはニコリと笑い。
イスに腰掛けた。
ヒカルと亜矢はTVの特番などで知り合い話をする仲だった。
海外育ちで鍛えられた英語力ともって生まれた美声。
みずから作詞作曲する才能を見せ若干14歳でデビュー後一躍トップに踊り出た異色の歌手。
オーディションへ足を運び事務所のマーケティングに乗っかって今の地位を気づいた亜矢とはいわば正反対。
実のところ亜矢はヒカルが苦手だった。
彼女に逆らってクビになったスタッフの噂はよく耳にする。
よくいえば仕事に情をはさまない。悪く言えば冷酷らしいと。
「で。ここにずっといるつもりなの?」ヒカルは言った。
「えっ。そっ。そうだね。ここは安全かなと思ってるからしばらくは」「ふーーん。安全かぁ。そうかもね」
くすくすと軽く笑うヒカルに亜矢はなにか薄ら寒いものを感じた。
「あっ・・・そうだ。おなか減ってない?焼きソバ作ったげる。ヒカル食べるよね」
いたたまれなくなって亜矢はヤカンを手にもった。「ねぇ・・・武器何もらった?」
ゾッとするようなヒカルの冷たい声が背中に突き刺さるような感じがした。
武器?どうしてそんな事聞くの?
「あっ。あれ。アハハあの・・・イスに」「あぁこれね」
マグナムを取り出したヒカルがそれを月明かりに照らしまじまじと見つめていた。
「あの・・・そっ。そんなのあぶなくて持てないよね。アハハ。それに撃てる訳ないし。」
勤めて明るく笑う亜矢にヒカルは顔を向けた。だがその顔は笑っていなかった。
「安全装置・・・解除すれば。最高の武器よ。ねぇ亜矢」
カチャ。ヒカルは銃口を亜矢に向けた。足の先から全身に震えが走るような感覚をこらえながら亜矢は必死にとりつくろった。
頭の中で読んだ事のある本がめくれていく。どうしたいい。どうすればいい。
「なっ。なんで?なんでそんな事するの?わ、私達仲良かったのに」
「見せ掛けの友情をちらつかせるつもり?unbelievable」
ヒカルがゆっくりと近づいてくる。額の汗が頬を伝った。沸騰したヤカンの湯気が亜矢の顔の辺りまで漂っている。
「ごめんね。私どうしても生きなくちゃだめなの」撃鉄をゆっくりと引き戻したヒカルは
亜矢の頭部に狙いを定めた。その瞬間。
【バサーッ!】
亜矢はヤカンをヒカル目掛けて投げつけた「キャー」部屋全体に濛々と白い煙が上がる。
亜矢は一目散に部屋を出ようとした。【ドキャン!】低い銃声がしたあと壁についていたインターフォンが木っ端微塵に砕け散った。
撃ってきた?私本当に殺される!?
亜矢は戸棚の中のものを投げつけた。皿、コップ。茶碗さまざまなものが宙を飛び回る。
ガシャン!「つっ・・・!」そのうちの一つがヒカルに命中し彼女はうずくまった。
コロコロコロ その場にへたれこんだ亜矢の目の前に拳銃が転がってきた
それをゆっくりと片手で持った。ずっしりとした重みが伝わってくる。亜矢は狙いを
ヒカルに定めた。
なぜ?今なら逃げれるのよ亜矢?自己の中の疑問を打ち払うように
小さく亜矢は呟いた。「ダメ・・・今。殺さないと。また狙われる。」亜矢はヒカルを
睨み付けた。「形成逆転だね。フン。そうよ私あなたの事なんて好きじゃない。なによ
いつでもお高くとまって偉そうに。たかが帰国子女とかでチヤホヤされて。あんたの
事なんて昔から大嫌いよ!」
ようやく立ち上がったヒカルが亜矢に向かって歩いてくる。
「こないでっ!きたら・・・ホントに撃つよ!」だがヒカルは止まらなかった。「撃てば?」
そばにこられたときにようやくヒカルの顔を確認できた。額から血を流し。瞳はギラツキ艶のある唇がニヤリとゆがんだ。
それはもう亜矢の知っているヒカルではなかった。
ヒカルの腕が伸びてくる。あと50pいや30cm「イヤーーー!」【ドギャン!】銃声が響き渡った。
亜矢がヒカルに発砲したのだ。しかし
「ああっーーーっ」声をあげたのは亜矢のほうだった。ゴトッ!マグナムが音を立てて地面に落ちた。
亜矢の右手首がだらんと力なく垂れ下がっていた。「ううっ」右腕からの激しい痛みが亜矢を襲う。
S&W 44口径の一キロを超える重量と発砲時の反動は扱いの慣れたものでも両手でしっかり構えないと危険という。
銃など無縁のマイクを握っていた柔な右腕。座ったままの不安定な姿勢での発砲は彼女の華奢な手首を破壊するには十分過ぎる威力だった。
ホルスターを両手で掴みヒカルが亜矢に再度銃口を向けた。「勉強不足のようね。私。銃社会で生きてきたから。詳しいのよ」頬にできた一筋の傷から血がたれてきた。亜矢の放った弾丸は僅かながらヒカルにかすったようであった。その血をヒカルは指で拭った。
「これ。あなたからの死に土産にもらっとくね。フフフ」
「いっ・・・いゃぁ」亜矢はその場から逃げ出そうとした。しかし体に力が入らない。四つん這いで必死に玄関へ向かった。
いやだ・いやだ・いやだ・死にたくない・死にたくない・帰ったら新曲のレコーデングがあるのに。特番の収録もあるのに。ラジオのパーソナリティもあるのに。
あと。あと。
パニックになった亜矢に生きる可能性は残ってなかった。
ああっCMがある・・ちゅーちゅーチュブリラ・・・【ドギャン!】
弾丸が亜矢の頭部を貫通した。
おびただしい血痕が花弁模様のように壁にべっとりと張り付いた。バタッ。亜矢の意識はそこで事切れた。
血まみれになった玄関と亜矢だった死体を見つめながらヒカルは一人で笑った。
「私にむかつく態度とるからよ。ビッグミステイク」
ヒカルは一度台所へ戻った。
そして亜矢のディバックから使えそうなものを物色した。
水入りのペットボトルそれに予備弾奏のパックが入っていた。なるほど。やつらも 当たり には優しいのね。
ヒカルは踵を返すと玄関に戻っていった。ぽっかり穴のあいた頭部からまだ赤い血が流れでている。ヒカルは自分のディバックから何かをとりだした。それはカメラだった。
カシャ。カシャ。フラッシュ光が焦点をうしなった亜矢の目を照らす。何度も何度も。
ヒカルはカメラをしまい住宅から外に出た。街路灯はすべて消えていた。月明かりだけが
ヒカルだけの小さな町を照らしていた。「まっててね。パパ。最高の作品をつくるから
私の。ううん私達家族の為に」そう呟いてヒカルはその場を後にした。
【27番 氏名 松浦】
時間帯:夜 鎌石村(04-C)
[状態]: 銃弾が頭部を貫通して死亡
[装備]: S&W M29 (44マグナム 弾奏数6)ウタダに奪われる
[道具]:支給品一式、弾奏パック1ヶ【6×5】 ウタダに奪われる
[思考]: 冷静に行動していたが。銃の扱いを知らなかった
【03番 氏名 宇多田 ヒカル 】
時間帯:夜 鎌石村(04-C)
[状態]: 頬を銃弾により傷 体調は良好
[装備]: S&W M29 (44マグナム 弾奏数6)
[道具]:支給品一式、弾奏パック1ヶ【6×5】 支給武器 カメラ
[思考]:犯罪国育ちなので生死にはなれている
彼女の支給武器がなぜカメラだったのかはまだ不明。
ただし撮る事に執着している
以上。必要個所のは訂正はしてほしい。前スレ住民より
ミス
>>111銀色のホルスター=銀色の外装
>>115ホルスターを両手で掴み=グリップを両手で掴み
それではノシ
乙
しかし漢字は松浦亜弥じゃないのか?
120 :
名無しのエリー:2007/01/03(水) 01:29:13 ID:EcvsePrW
藤原と桑田書いていい?
121 :
名無しのエリー:2007/01/03(水) 01:38:58 ID:utBocFId
どーぞ
保守 誰もいなくなった?
居るよ保守
保守するくらいならさ、なんか書けよ
待ってたって進むわけないじゃん
全く持ってその通りだな
俺なんかはもう「続けば儲け物」くらいにここ覗いてるから保守してまで続ける気は無いが、
保守してまで続けたい奴はそんなことしないで1作でも2作でも書いたらいい
書かないんなら無駄なスレは鯖負担になるだけで害なんだから保守せずに落とせよ
俺、書いてるよ。
ただ、ネタは使いまわしだけど。
ならきちんと予約して、何時頃までに書き上がりそうか宣言してやれよ
毎回保守保守続けられるのはもううんざりだから
まだ予約できるほど仕上がってねぇんだよコノヤロー……
じゃあ変な自己主張するなよ
書いてる奴が居るのかっていうことで名乗り出ただけ。
変な自己主張してるのはおまえのほうじゃないのか?
アイタタタ、すぐ噛み付いてくるとは・・・
仮にも書き手とあろう者が煽りに出るとは・・・
はぁ・・・こんな書き手しか残ってないとは先が見えちゃったなあ
荒れてるようだが時間が上手くとれたら3日以内に仕上がりそうな気がする。
俺も前スレネタの使い回しだけどね。
と言うことで小松予約
無理臭くなって来たかも…。
センターまでに仕上げるつもりだったけど…ごめんなさい。
これが噂の空予約ってやつか
んー、センターとか言ってる世代が小松好きと言うことにちょっと感動した。
さてとりあえずまとうか
ほs
昔あったのもう一回読みたい
井上陽水と奥田民夫が指示して
あの桑田の死ぬ瞬間はよかった ハゲヅラで死ぬのに泣かせる…
>>141 今個人サイトで第3回バトルロワイヤル書いてる人がいるからそっち
いってみたら?リレー小説じゃないから内容も安定してるし、
雰囲気もあっちのほうが当時のものに近いと思う。
土壌を立て直してもう一回初めからやらねぇ?
無理だな、立て直してこれだもの
それに新たにやるのであれば期間を空けなきゃやり直したって同じ轍を踏む
交流スレでもリスタートしようと騒いでる奴がいるけど、やるとしたって
>>145が真理だろう
「ここが駄目だからハイ次やりましょう」なんてしたってまた終るのが目に見えてるってことが何故解らん?
やるならやるで、何が悪かったのか、どうして失敗したのかを考えて、その上で時間を置いて仕切り直すのが常策
なのにそういう提案もしないであちこちで「リスタートしたい!」なんて書くな、恥ずかしい
ここの恥を晒してるだけじゃんか
少しは考えて物言えよ
まぁそうだわな、じゃあ落としますかって言うことになるわけで。
俺とお前の二人しか居ない気もするし、落としたほうがいいのかもな。
ともかくだ、騒ぎ立てるなら自分で動く
これでFAって事で
誰か出だしかいてくれたら何とかできるかもしれない。
文章力は無いかもしれないけど
出だしって?意味が良く伝わらん
OPの事なら既出のがまだ生きてるだろ
それともSSの出だしを書けと言うことなのか?
>>151 続けようとしてる意思を持ってるのはありがたい
だが、たった2行で自分の意思を伝えられない人に、書き手は勤まらないんじゃないかと思う
前木村カエラ書いた人だよ
大塚愛予約しても良い?
三日以内はムリだけど、三月初旬までには書けると思うから・・・
ksk
ksk
保守
諦めろ
もうここは死んでる
現実を見るんだ
終わったなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww