1 :
名無しのエリー:
2 :
生存者リスト:2005/06/22(水) 11:53:11 ID:zzACzoJo
ラルク hyde tetsu ken yukihiro ミスチル 桜井和寿
ポルノ アキヒト ハルイチ TOKIO 長瀬智也
Bz 稲葉浩志 松本孝弘
CHEMISTORY 堂珍義邦 川畑要
レンジ カッチャン
計13名
3 :
死亡者リスト:2005/06/22(水) 11:53:53 ID:zzACzoJo
レンジ YAMATO RYO NAOTO HIROKI
気志團 綾小路翔 西園寺瞳 早乙女光
アジカン 喜多健介 後藤正文
ジュディマリ YUKI TAKUYA
PUFFY 吉村由美 大貫亜美
サンボ 近藤洋介 山口努
SIAMSHADE HIDEKI KAZUMA
GLAY TERU TAKUROU HISASI JIRO
玉置成美 高橋瞳 マーキー(ハイカラ)
FLOW KEIGO TOKIO 国分太一
元ラルク sakura 奥田民夫
計28名
4 :
生存者リスト:2005/06/22(水) 11:54:52 ID:NLV2dEeE
ラルク hyde tetsu ken yukihiro ミスチル 桜井和寿
ポルノ アキヒト ハルイチ TOKIO 長瀬智也
Bz 稲葉浩志 松本孝弘
CHEMISTORY 堂珍義邦 川畑要
レンジ カッチャン
計13名
5 :
地味な戦い:2005/06/22(水) 13:06:12 ID:NLV2dEeE
夜明けから歩きまわっているが、誰の姿も見つけることができない。
そうするうちに、拡声器から耳障りな音が聞こえてくる。
「皆さんおはようございまーす。実況の上戸彩です。午前6時になりましたー」
明るい上戸の声が堂珍義邦の神経を逆撫でしながら新たな死者の名前を読み上げていく。
だが、今更誰の名前を聞いても何の感慨も沸かない。
ただ、国分の名前が呼ばれた時は、長瀬がどんな顔をしているか、見物してやりたいという衝動に駆られはした。
しかし今度こそ長瀬は俺に容赦しないだろう。向こうも銃を持ち、なおかつ必死でかかってくるからには。
……ただでは済むまい。当面は相手にしない方が良さそうだ。
「……綾小路翔くん」
翔? 意外だな。一番見た目は強そうなのに?
「なお、堂珍くん、川畑くんは、西川さんの意向により途中参加となりました、みなさん、よろしく。」
はん、あいつも参加させられたか。どうせ立ち回り損ねたのだろう。
6 :
地味な戦い:2005/06/22(水) 13:09:02 ID:NLV2dEeE
それはそうとして、上戸彩の声はやはり腹が立つ。
「それではみなさん、頑張っ……ガガッ」
一発拡声器にぶち込んでやった。
何が頑張れだ。他人事だと思いやがって。
本来なら上戸彩本人に一発見舞ってやりたいところだ。
それに誰も見つかりゃしないし、忌々しい。
いい加減嫌になって、傍の木の下にどかりと座り込む。
すると、正面の丘の上が見えるようになった。
いや、丘の上の人影が確認できるようになった、が正しいか。
「そんなところにいやがったのか……」
堂珍の足は自然とそちらへ向かっていった。
7 :
地味な戦い:2005/06/22(水) 13:19:50 ID:NLV2dEeE
「なあんだ、yukihiroさんじゃないですか」
ちょっと聞くとこの場におよそふさわしくない、暢気な声がyukihiroの背後から聞こえた。
しかし、yukihiroは気付いていた。
その裏に潜む、冷たい感情に、いや、これはもっと熱い……?
相手を刺激しないよう、yukihiroはゆっくりと振り向いた。
くそ、自分が良く見渡せる位置ってことは、誰からも自分が丸見えってことじゃないか、どうしてこんなことに気付かなかったんだ!
「……堂珍か」
まずい、非常にまずい。堂珍は俺の知る限りでは、川畑より冷酷なイメージがある。
……確認はしていないが。
その堂珍が、やあyukihiroさん、今日も良い日和ですね、一緒に時間切れまで僕と一緒に過ごしませんか?となり得ようはずもない。
音楽番組で共演した時にエリート云々と口走っていた。すでにトップバンドだったラルクに途中加入したこの俺が見逃してもらえるはずがない。
8 :
地味な戦い:2005/06/22(水) 13:23:59 ID:NLV2dEeE
今は柔和なふりをしているが、いつあの本性を出すやら。
「yukihiroさん、災難ですね。本来ならこんなゲームに参加しないでも済んだところでしたのに、あのバカ西川の気まぐれですか」
とりあえず、適当に合せておくのがいいだろう。
「利用するだけ利用されて放り出されてこのありさまさ」
そこまで言ってyukihiroは肩を竦めて見せた。
「武器一つ渡さずにですか? そりゃ酷い」
そうか、堂珍。そう見えたか。そりゃ良かった。第一ラウンドは俺の勝ちだぞ、堂珍。
「そうさ、まったく酷いものさ。わかってくれるか? 堂珍」今度はもっと大げさに肩を竦めて見せた。
「ええ、ええ。わかりますよ……お前が馬鹿だってことはなッ!」
堂珍が罵声と共にyukihiroに銃口を向ける。yukihiroは「そら、来なすった」と思ったが
「なっ……ど、堂珍?」
わざと慌てて後ずさって見せた。
9 :
地味な戦い:2005/06/22(水) 13:30:38 ID:NLV2dEeE
「お前は最初に仲間を裏切って、裏切られた。その癖同じく裏切り者の俺と仲良くやれると思える神経が常人の俺にはわからないね! つまりお前が馬鹿ってことだ!」
常人の俺とは良く言ったものだ。お前は殺しを楽しんでいるだろう?
それに誰がお前と仲良くやれると思ってるって?
そして気付いた。最初に気付いたあの熱い感情、それは、狂気だ。
しかし今は突っ込みを入れるわけにもいかない。
ましてや精神病院の救急車を呼ぶわけには。ただ怯えて見せるだけだ。
「た、確かにそうかも知れない、いや、俺は馬鹿だ。 事務所の皆を裏切るなんてまったく俺はどうかしていた。謝る。 今の俺はこうして丸腰だ。許してくれ、見逃してくれ」
そう言いながらまた少しずつ後ずさる。もちろん見逃してくれるはずもないのはわかっている。
10 :
地味な戦い:2005/06/22(水) 13:44:30 ID:NLV2dEeE
「は? 寝言は寝てから言えよ? 自分が助かるとでも思っているのか?」
そりゃそうだ、まったくもってごもっとも。俺がお前だったら絶対見逃しはしないよ。
しかし堂珍は俺を威圧するためか、俺の方へ踏み出して来てくれた。
ありがとう堂珍それで充分だ。わざわざ見逃していただく必要なんてございません。そんな見逃していただくなんて。とんでもない。
「なあyukihiroさん、あんた、禿げてきてないか。」
やれやれまた神ネタか。ついさっき同じネタで西川に挑発されたばっかりだ。
今度は冷静でいられる自身があった。それに、先に堂珍が激してしまっているおかげで、さらに自分は冷静でいられそうだった。さあ堂珍、そのまま寄って来い。
いやもちろん、冷静でいることを顔に出すわけにはいかないが。
「なっ、そ、それは……」
「そう、お前の頭の話さ。でだな、もしお前達のボーカルさんが禿げたらどうなると思う?」
後ずさりしながら首を振る。
「消えるんだよ。売り上げ競争に負けてな。ビジュアルがないとダメだ。わかるか?」
11 :
地味な戦い:2005/06/22(水) 13:54:32 ID:NLV2dEeE
「な、何が……」
そう、俺はヘビに睨まれたカエル。さあ、もっと踏み込めヘビさんよ。いや、ヘビに足はないから踏み込みようがないか、まさに蛇足な考えだな、これ。
「お前がそうなんだよ! バンド魂? 笑わせるな! トップバンドの植木鉢に植え替えてもらっておいてバンド魂!?」
そう来たか。yukihiroは自分が冷静でいられることを確認した。
「日本のメジャーバンドって名前のビニールハウスでのうのうと無駄に伸びるドラマーがどこにいるってんだ!?」
言うな……ただ振り回すしか能の無い分際で。今は腹の底で笑う余裕があった。
気圧されているふりをしながらyukihiroは彼我の距離を測り続ける。堂珍は近づきつつあるが、まだまだ、まだだ。
「お前はな、一発屋なんだよ。生っ白い顔しやがって。 ダイコンだな。人の手が入って生命力を失ったのさ。 その結果が1年目の輝かしき売り上げと、今現在の惨めな売り上げ、そして」
yukihiroも負けじと反論した。
堂珍との距離は3メートル。まだだ、まだ遠い。そのままだ、いいか、そのまま歩いて来いよ……。
12 :
地味な戦い:2005/06/22(水) 13:59:56 ID:NLV2dEeE
「人のこといえるか。貴様らの売り上げもそうとう醜いぞ。 しっかし、逃げ出さないのには感心したよ、そこいらへんだけはバ――」
今だ! yukihiroは姿勢を低くしながら、左前方へほとんど跳躍といえるような一歩を踏み出し堂珍に肉薄する。銃声と共に右肩に衝撃を覚えたが、
その時にはすでに堂珍のあごの下にデリンジャーは押し当てられ、トリガーは引かれていた。
yukihiroはいつも皮ジャンを愛用していたが、その袖の中にデリンジャーを隠し持っていたのだ。
小さいデリンジャーならではの作戦だった。
しかし、一瞬でデリンジャーを握り、引き金を引けるかどうかはまさにイチかバチかだった。
13 :
地味な戦い:2005/06/22(水) 15:12:54 ID:NLV2dEeE
そしてデリンジャーは人間の筋肉でも弾が止まりかねない貧弱な銃。
とてもこの銃で撃ち合いはできない。確実に相手の顔面に至近から叩きこむ必要があった。
まあ、引きつける分には充分可能だとは思っていたが。
堂珍は仰向けに倒れている。もう動く気配はなかった。yukihiroはしりもちをついた。
動いたのは一瞬だけなのに息が上がっていた。心臓も早鐘を打っている。それにあわせて右肩がズキズキと痛んだが、
まあこれはかすっただけだろう。それよりも、yukihiroは言わなければならないことがあった。物言わぬ堂珍に向かって。
「ばあか。本当の一流ミュージシャンはな、何があっても死なないんだよ」
14 :
名無しのエリー:2005/06/22(水) 17:12:58 ID:CIuonS88
作者タソ乙!期待してます!
15 :
地味な戦い:2005/06/22(水) 18:14:54 ID:usqA2Pv3
残り12人
16 :
名無しのエリー:2005/06/22(水) 18:28:18 ID:UbrYWo7R
ユキーロイカス!!!!
17 :
名無しのエリー:2005/06/22(水) 18:46:47 ID:DATh1p6i
神かこいいよ神
18 :
名無しのエリー:2005/06/23(木) 11:27:20 ID:09mgMp6f
神カコイイ!
19 :
対面:2005/06/23(木) 19:20:35 ID:oHfKUzGT
稲葉浩志はひたすら目的地に向かって走る。松本とはレコーディングの時にそれなりに話す程度であった。
だが物静かな稲葉相手にそう気さくに話しかけるスタッフなど居るはずもなく松本もその一員であった。
それでも稲葉はどうしても松本だけは助けなければいけないと疾走する。
考えて見れば奇妙な縁だと、こうして今、己の命をかけている相手は15年間も一緒にやってきている相方なのだから。
だがそれでも今の稲葉にとっては何に変えても助けなくてはいけない者である。
(俺のせいで…)
自分の不甲斐ない死のせいで松本は後を追ってしまったのだ。自分が殺めたも同然である、だから何としても助けなくてはいけない。だが稲葉はふいに足を止めると再びデイバックの中を確認する
「これは…武器が無いのか…」
防御の為の武器は必要だと稲葉は色々入っている薬品を入念に調べながらいくつかを合わせ、空き瓶に詰め込んだ。
そして支度が終わるなりまた駆け出す。そして一番の近道である武器庫の前を通りかかる
20 :
名無しのエリー:2005/06/23(木) 19:22:21 ID:vbkpLwYI
__( "''''''::::.
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21 :
対面:2005/06/23(木) 19:36:38 ID:oHfKUzGT
「…!あれは…」
カッチャンは思わず身を隠す。稲葉が凄い早さで走っているのを発見したからだ
「な、なんで…」
稲葉はとっくに死んだはずである。今、目の前を走る稲葉は幽霊なのか、
一瞬そう疑ってしまったがギラつくその目…殺しに酔いしれるわけでも、生にしがみつくわけでもないその目を見るとこれは本物だと認識する。
(なぜ生きている…いや、あのアナウンスは誤報だったというのか…)
だがそんな馬鹿な話などない。そしてどうしたものかとカッチャンは足踏みする。
この際、なんで生きてるのかなどどうでもいい、このゲームに参加しているだけで自分の敵なのだから。
稲葉はあっけなく騙される口であろうが高橋瞳のように自分の手足となって役にたってくれるタイプではない。
(放っておきますか…そのうち誰かに殺されるでしょ)
カッチャンがそう思った時だった、ふいに稲葉は足を止め、
眉をしかめながらデイバックを漁りだし、痛み止めを飲み干した。
(へぇ…)
どうやら稲葉はかなりの医療品を所持しているらしい。薬はいくつあっても足りない程である、
カッチャンは稲葉に利用価値を見いだすと、稲葉が止まっている隙に先回りする。こっそりと狙ってもいいのだが万が一失敗した時にはもうあの薬は頂けないのだ、確実性を考え、カッチャンはあえて接触を試みた。
22 :
対面:2005/06/23(木) 19:43:22 ID:oHfKUzGT
「ヒッ…!い、稲葉さんっ…!」
そして前方から走ってくるなりあたかも死ぬほど驚いたような声を上げた。
「…!オレンジレンジか…」
稲葉は警戒するように身構えたが、怯えるカッチャンを見るなり小さく笑う。
「そ、そんな…アナタは死んだ筈じゃ…」
震えながら後ずさる演技をするカッチャンは注意深くデイバックに視線を送る。
(こりゃあ…かなり入ってるな…)
心の中でカッチャンは笑う。この稲葉を殺すことなどわけはない。こんな状況でも仲間に手を出せないような優しき人間なのだから。
「…まあ色々あってな…とりあえずは生きている…」
「そ、それなら僕と一緒に行動しましょう!…あ、あなたなら絶対に裏切ったりしないはずです!」
高橋瞳の時と同じようにカッチャンは衰弱しきった表情で懇願するように叫ぶ。
「…悪いが俺は誰とも行動できない…やらなきゃならないことがあるんだ…」
「え…」
意外な答えが返ってきたとカッチャンは目を見開く。自分の知っている稲葉ならばこうして縋られれば絶対に拒否できないはずだった。
だがやはり稲葉が拒絶するなど考えられなかった。そしてやらねばならぬという事にひっかかる。
(そのやらなきゃならないことが…この人が生きているということなのか?)
23 :
対面:2005/06/23(木) 19:49:38 ID:oHfKUzGT
カッチャンは今にも泣きそうな顔を作り、稲葉の元に駆け寄る。
「そんな!お願いですから見捨てないで下さい!…僕…僕、もう沢山です…こんな狂気の世界に一人きりだなんて…」
「…お前…」
稲葉の顔に同情の色が浮かぶのを見てカッチャンは内心でほくそ笑む。やはり稲葉は助けを求められて突っぱねることなど出来ない人間なんだと。
(楽勝だな…)
あとは隙を見て稲葉を殺せばいい、予定外の獲物を歓迎する嬉しさを抑えカッチャンは肩を震わす。
(全盛期時代から最後まで、本当に役にたってくれたよ)
皮肉でなくカッチャンは思う。カッチャンとてこの稲葉は嫌いではない、殺すのもなるべく楽にしてやろうと考えるほどの好意はあった。
「…カッチャン…俺はやらなきゃならない事があるんだ…そんな俺に付きあわせるのもお前に迷惑がかかるかもしれない…」
(…チャンス…か?)
稲葉は隙だらけだ。行動するなら今かもしれないとカッチャンは後手に銃を掴む。
「…待て。」
いきなりの背後からの声にカッチャンは思わず振り返る。
24 :
対面:2005/06/23(木) 20:01:47 ID:oHfKUzGT
「さ、桜井さん!」
「稲葉さんが困ってるだろ?仲間が欲しければ俺と来るか?」
「桜井くん…」
稲葉はそっと名を呼ぶ。国民的人気バンド、ミスチルの桜井。裏切りを選んだ桜井…どう声をかけるべきかと視線を向ける。
「あ、アナタなんて信用できるかっ!裏切り者のくせに!」
カッチャンは突然現れた邪魔者に心底から怒りを覚えるが、それでも演技を忘れずにわめく。
「…それなら去れよ。俺も後手に銃を持つ奴は信用できないな…」
「…!」
稲葉は目を見開いてカッチャンを見る。カッチャンはシマッタと思わず稲葉に銃口を向ける。
「撃つ気か?それなら俺もお前を撃つぞ。」
だが、背後から桜井が自分に銃口を向けているのが分かるとカッチャンは舌打ちして立ち上がり、桜井に銃口を向ける。
「…稲葉さん、アナタも運が良いね…ま、オリコン1位を連続でとる人だ、そりゃ強運なはずだな」
「…お前は稲葉さんの後手に気がつかないのか?」
桜井が促す方を見るなり、カッチャンは絶句する。稲葉の後手にはしっかりと火炎瓶が握られていた。あれをこんな至近距離からぶつけられてはひとたまりもなかっただろう。
25 :
対面:2005/06/23(木) 20:06:42 ID:oHfKUzGT
「…強運のみでオリコン1位とれるかよ…やると決めたらやる…それがトップアーティストというもんだ…」
桜井はバツが悪そうにする稲葉の代弁をするように言った。
「くそっ…!」
ここは本当に逃げるしかない。カモかと思っていたがとんでもない食わせ者ではないかとカッチャンは稲葉を睨みつけると、
銃口を向けたまま一目散にその場から逃げ出した。
「アンタ…カッチャンの後手に気がついていたんだ…だったらなんで…」
「…本当に攻撃するか分からないじゃないか…もしかしたら警戒しているだけかもしれなかったし…」
まだ仲間を信用しようと必死なのかと桜井は首を振る。
「アンタも相手の出方によってはそれを投げつける気だったんでしょう?…本来のアンタなら攻撃されても無抵抗な筈…だが今は事情がある…それなら徹底的に非情になるべきです。」
桜井は地面に座ったままである稲葉の隣に座りながら言う。
26 :
対面:2005/06/23(木) 20:11:35 ID:oHfKUzGT
「…桜井くん…お前はなんで俺を…」
「助ける気なんてありませんよ。あのままではアンタの持ち物がカッチャンに取られると思っただけです。」
すげなく答える桜井を稲葉はじっと見遣る自己中心的に見え、それでいて生真面目である桜井は稲葉にとっても最も大事な仲間と言っても過言でなかった。
「…どんな目的かは知りませんが、目的を果たすのにきれいな身のままでいようなんて思わない事です。ただでさえ武器が無いというのに…」
桜井は己のデイバックからチェコ製の拳銃を稲葉に差し出す。
「余ってるからあげますよ。」
「…桜井くん!…し、しかし…」
「殺された奴等の死体を探ってみるもんですね…結構良い武器があるもんですよ。まあ勿論無償であげる気なんてないですよ。」
稲葉の事だから無償では中々受け取らないことくらい察しは付いていたが、あえてこういう物言いをする。
「アンタの医療品…そうですね、止血剤がいいな。それを貰いましょう」
これなら本当に必要になるかもしれないし、数も多い。
「…わかった」
稲葉はやっと納得するように桜井と交換する。
27 :
名無しのエリー:2005/06/23(木) 20:17:46 ID:X5YEEtSk
wakuwaku
28 :
対面:2005/06/23(木) 20:18:09 ID:oHfKUzGT
「さあ、もう行くといいです。アンタを狙わないのもアンタを殺しても敵が減るわけじゃないからなだけ。俺は生き残りたい…それが目的です。
目的の為ならどんな事でもする…裏切りも、殺しも…」
「…桜井くん…」
稲葉はこんな時でも名残惜しそうに桜井を見るが、それでも素早く立ち上がると背を向けた。
「…裏切りも、殺しも最低だが…お前には生き残ってほしい…」
ボソリと稲葉はつぶやくなりデイバックを背負い、振り返る事なく凄い早さであっという間に桜井の前から姿を消して行った。
「…言われなくても…絶対に生き残りますよ…」
そうつぶやきながらも桜井はカッチャンを殺さなかった自分に舌打ちする。いつもの自分ならば簡単に殺せた筈だ。
だが、稲葉がピンチになっているのを発見した瞬間にらしからぬ動揺をしてしまったのだ。
(本当にあの人は…)
自分の脆い面ばかり見せつけられると苛立つ。いっそ殺意がハッキリ芽生えてくれれば簡単なのだが、やはりそう上手くいくものではなかった。
「……行くか。」
とりあえず桜井は稲葉の後を追うように走っていく。稲葉の後を追ってなにがしたいのか…
だがそれでもなぜ追おうとするのか分からぬまま桜井も稲葉を追い深い闇に姿を消すのであった。
29 :
名無しのエリー:2005/06/23(木) 22:15:01 ID:8krRRCub
ちゃんと前スレ使い切れよ
30 :
名無しのエリー:2005/06/24(金) 17:50:52 ID:UGvIjQzv
>>30 ちゃんと前スレ読めよ
・・・・・釣られてる?
31 :
名無しのエリー:2005/06/24(金) 18:43:12 ID:YQRqiF5F
32 :
名無しのエリー:2005/06/25(土) 17:00:00 ID:nG/c/8IN
自然消滅?
33 :
名無しのエリー:2005/06/25(土) 21:48:32 ID:tTfHfS9h
続きまだ??
34 :
名無しのエリー:2005/06/26(日) 00:01:09 ID:fpVtZCNJ
このあと全員生き返ります。
35 :
名無しのエリー:2005/06/26(日) 16:19:57 ID:v4tDvvbj
早くしてよいい加減・・・
36 :
名無しのエリー:2005/06/26(日) 23:54:38 ID:HMpjUWfl
書きためてる?
37 :
名無しのエリー:2005/06/27(月) 13:12:46 ID:kgf4mH4h
もしかして壷使い方わからないのか?
こんなスレ立てるんだったら対処の仕方ぐらい勉強しとけよ(;´∀`)
38 :
名無しのエリー:2005/06/27(月) 20:37:40 ID:CdobeHEW
MADA?
39 :
指令:2005/06/27(月) 23:36:07 ID:fTJcktyG
「ん〜?随分とスムーズに進んでますねぇ〜」
西川はモニターを見ながらのんびりと答える。タマはギクリと肩を揺らして振り返る。
「稲葉君は勘が良いんでしょうかねぇ〜ふっふっふ〜」
「…トップ歌手として長年やってきたわけですしね…」
自分でも間抜けな答え方をしたもんだとタマは心中で呆れる。
もしかしたら稲葉に地図を渡した事に気がついているかもしれない。
急に稲葉の行動を見たいと言い出した時にはかなり焦ったがそれについては西川もどうやら責める気は無いらしい。
(何を考えてるんだ…?)
かといってこのままで済む筈もない。CHEMISTORYを強制参加させた事といいこの男は狂っている、
心底からこのゲームを楽しんでいる…タマはゾッとするように身を震わせる。
「ところで稲葉君が再びゲームに参加した事を報告しましたか?」
「いえ…」
「いけませんねぇ〜歌手諸君には常に状況報告をするものでしょう〜?」
「…はい」
FFタイアップ就任のテストなのだから今更…とタマは思いつつ頷く。
今ここで稲葉が再び参加した事を放送したからといって何だというのか、既に会っている者だとて居るだろうしあえて稲葉を狙おうという者も居ないはずだと。
40 :
指令:2005/06/27(月) 23:41:10 ID:fTJcktyG
「それでは上戸彩に伝えておきます。」
「あと稲葉君が莫大な数の医療品を持っている事も伝えるように。」
「…!なんですって…」
「その方が面白いしねぇ〜」
終始にこやかに答える西川をタマは目を見開いて眺める。
「医療品の種類も細かく述べるように。怪我人も多いでしょうしこれから薬品を必要とする皆さんも多いでしょう。
そういう者達を振り切ってこそ真のスター歌手でしょう〜」
「……」
狂ってる…タマは心中でそうつぶやくしかなかった。ただ今は医薬品のためにわざわざ探しだして攻撃する余裕などないであろうという希望を思うしかなかった。
「稲葉君は今までよくやってくれました、これからもきっと役に立つでしょう〜これは試練ですよ〜さあ、上戸彩のところに向いなさい。」
「…はい。」
タマは大人しく従うしかなかった。
41 :
指令:2005/06/27(月) 23:43:52 ID:fTJcktyG
少ないが、ここまで
42 :
名無しのエリー:2005/06/27(月) 23:47:31 ID:/1JLs/QT
43 :
名無しのエリー:2005/06/27(月) 23:57:11 ID:1/usawR0
乙!
マターリガンガレ
44 :
名無しのエリー:2005/06/28(火) 00:57:33 ID:DFesJnMs
うわあ。稲葉頑張れ。とハラハラしてますYO!作者ものんびりガンガレ
45 :
名無しのエリー:2005/06/28(火) 08:14:23 ID:fRTEon8v
作者ガンガレ!
46 :
来襲:2005/06/28(火) 19:12:36 ID:KBUrsSmw
深夜。
堀江孝文(ライブドア社長)はある命令を受けて、エーベックス事務所宿舎へ潜入していた。
その一室に、浜崎あゆみがいる。彼女の拉致が堀江孝文に課せられた目的だった。
「ん〜恋人対決、面白いね〜」という、西川の一言が発端だった。
(趣味の悪い男だ・・・)
そう思いつつも、堀江は逆らえなかった。
本来なら浜崎は自分のアパートにいるはずなのだが、どうしたわけか今は事務所に滞在している。
(アパートの方が楽だったんだがな・・・)と思いつつ、事務所の侵入はさほど苦もなく進んだ。
音もなく暗い廊下を進んでいく。目当ての部屋まではもうすぐだ。
と・・・・。
かたん、と行く手の方で音がした。
堀江は慌てて、廊下の曲がり角へとその体を隠した。
次の瞬間。
堀江の太い首へ、細長い腕がからみついた。
(な・・・・!)
二本の腕は、実に速やかに的確にその目的を果たした。
47 :
来襲:2005/06/28(火) 19:25:18 ID:KBUrsSmw
足下へ崩れ落ちた堀江孝文を、安室奈美恵の双眸が冷ややかに見下ろしていた。
「やっぱり来とったんやなぁ」
その場にそぐわないようなのんびりした声がした。
「松浦さん」
物音がした方向から現れたのは、
音楽関係者中で唯一邦楽の闇に精通した男、松浦勝人(エーベックス社長)だった。
「浜崎さんを事務所へ移して置いて正解でしたね」
安室が言った。
「全くやな。うちのアーティストにまで手出しされたらたまらんわ」
やれやれと言いたげな表情で、松浦は堀江を見下ろした。
松浦はその立場は一社長であるが、業界随一と言われるその頭脳と広範な情報網で事実上、
エーベックスの柱であった。それ故、邦楽の闇には精通しており、今回の「プログラム」についてもかなり立ち入った情報を入手していた。
そして、長瀬智也の恋人でもある、浜崎あゆみの身に危険が迫ると判断した
松浦は、言い方は悪いが彼女を上手く騙して--------こういうとき、浜崎の単純な性質は幸いだった--------、事務所へその身柄を移したのだった。
48 :
来襲:2005/06/28(火) 19:30:22 ID:KBUrsSmw
「で、やっちゃったわけ?」
松浦が言った。
「いえ、気絶させただけです。始末しろと言うのなら・・・」
「そこまでせんでもええて。お前、結構物騒やなぁ」
安室は幽かに笑った。
彼女はいわば松浦の腹心であり、その手足となって動くことが多かった。
それ故、今回 の件についても松浦から「プログラム」の存在についてある程度聞かされていた。
無論すぐに信じられることではなく、あまりに荒唐無稽に思えた。しかし、その荒唐無稽さが、却ってある種の真実味を持っていた。
「このまま返したところで、失敗を理由に連中に始末されるだけでしょう」
「せやから、どっかに拘束しとこか」
「後続が来るかも知れません」
「そうやな。お前には悪いけど、しばらく浜崎のことは頼むで」
「はい」
「俺の方は平井堅たちへ手を回すわ。あのおっさんはこれ
(そう言って、松浦はこめかみの辺りで指をくるくる回した)やが、頭はええ。己の利にも聡い。お得な取引には応じるやろ」
49 :
来襲:2005/06/28(火) 19:41:18 ID:KBUrsSmw
「大丈夫でしょうか」
「・・・浜崎が狙われてんのは、どっちかと言えばあのチビおっさんの方の悪趣味のせいやろ。
「プログラム」の本来の目的とは関係が薄い。目の前にもっと美味しいエサぶら下げたれば、そっちに飛びつくわ」
「・・・」
「ほなら、人寄越すわ。お前は浜崎んとこ離れんでな」
松浦はそう言って踵を返した。
「松浦さん」
安室が声をかけた。
「・・・なんや?」
「「プログラム」とはいったいなんですか?目的はいったい・・・」
「・・・」
振り向いた松浦の表情は、安室からはよく伺えない。
青白い非常灯の光が反射して、その奥の目の色をも見せなかった。
「安室」
松浦が静かに言った。
「俺も確証はない。ただ、推論は出来る。そしてそれがほぼ真実に近いという自信はある。だからこそ言えん」
「・・・」
50 :
名無しのエリー:2005/06/28(火) 19:45:36 ID:bXNgtHCH
中島美嘉がMステで貧乏ゆすりをするんですが、許せないんです。
51 :
来襲:2005/06/28(火) 19:47:59 ID:KBUrsSmw
「人間、知らないで済むなら知らないままでええ事もある・・・。
俺も出来れば知らんで済ませたかったわ」
「松浦さん--------」
松浦は再び背を向け、今度こそ振り向かずに去った。
その背を見送った安室は、合い鍵でそっと浜崎あゆみの部屋のドアを開いた。
穏やかな寝息が聞こえている。
恋人との連絡が付かなくなってからろくに睡眠もとれずにいた彼女だが、
どうやら夕食に入った「ささやかな思いやり」はよく効いているようだ。
安室はドアを閉め、鍵をかけた。
浜崎あゆみという女は、気性は荒いが、天真爛漫--------天然ボケとも言うが--------な女だ。
売り上げ不調に陥った安室は、しばしば彼女の明るさに泥沼へ陥りそうな精神状態から救われた。
そんな女を巻き込もうとした「プログラム」とはいったいなんなのだろう。
安室はドアへ背を預け、何かを見いだそうとするかのように闇を見つめた。
その双眸は周囲を包む闇よりもなお昏かった。
52 :
名無しのエリー:2005/06/29(水) 14:10:56 ID:sI686NQ6
WAKUWAKU
53 :
名無しのエリー:2005/06/29(水) 20:35:07 ID:PGQjIFrd
レミまだ〜?
54 :
名無しのエリー:2005/06/29(水) 21:16:37 ID:xgwbR9Ic
まだレミ言うとんのかいw
55 :
名無しのエリー:2005/06/30(木) 20:32:37 ID:/o4Gl6RX
ラルクは?ポルノは?
56 :
名無しのエリー:2005/07/01(金) 00:14:29 ID:zFhYNRFn
レミとTRICERATOPSは?
57 :
名無しのエリー:2005/07/01(金) 00:16:38 ID:WRFvad+N
岡村靖幸は?
58 :
名無しのエリー:2005/07/01(金) 09:54:31 ID:Zeaph4vo
HAYAKU TSUDUKI YOMITAI
59 :
名無しのエリー:2005/07/02(土) 13:49:18 ID:ttzrkwNE
HAYO KAITE
60 :
名無しのエリー:2005/07/02(土) 14:38:29 ID:pg+J6xXf
マダー?
61 :
名無しのエリー:2005/07/02(土) 16:04:30 ID:daeiF2XV
62 :
名無しのエリー:2005/07/02(土) 20:31:55 ID:oARAEIyb
カコイイ曲だな
63 :
名無しのエリー:2005/07/02(土) 21:45:59 ID:7lnxVn8V
まだ?
64 :
名無しのエリー:2005/07/02(土) 22:36:20 ID:EUKyD0pL
MADA?
65 :
神楽あおい:2005/07/02(土) 22:52:28 ID:evrn86NE
まだでつか?
てか大分トンでまつぇんか?
66 :
生き残り歌手の動向:2005/07/02(土) 23:33:03 ID:V550gkVd
街の喧噪も、ここまでは届かない。夜景を見下ろす高台で、男は語りかけつつ杯を傾けていた。
もっとも、杯の数は2つなのに対し、そこにいるのは1人でしかなかったが。
「邦楽バトルロワイヤルはあと5人の所で途中中断した。あの時、なんで最後までやらなかったんだと思ったが、しかし考えようによっては、あれで良かったのかもしれん。
こんな・・・・こんな事をやって許されていいはずがないよな」
先程から置かれたまま、一向に酒が減らない杯−最も、飲む人間がいない以上減らないのは当然なのだが−
その前には、一枚の写真が飾られていた。その写真を見ながら男、YOSHIKIは語りかける。
67 :
生き残り歌手の動向:2005/07/02(土) 23:36:34 ID:V550gkVd
「なぁHIDEよ、お前は− こんな馬鹿げた事をもう見たくなかったから、逝ってしまったのか?」
無論、返事は無い。YOSHIKIは、ゆっくりと杯を空け、空を見た。雲もなく、星はよく見えた。
「あいつらは・・・・相変わらず馬鹿な事をやってるよ。結局、俺も参加するハメになった」
頭上に輝く無数の星。あの中にHIDEと、そして今も死んでいるかも知れない歌手達がいるのだろうか?
それが何の救いにもならないことは十分に判っていたが、それでも尚。
せめて。せめて、安らかな眠りであるように− お前も祈ってくれ、HIDE。
祈りつつ。YOSHIKIは苦い酒を飲み続けていた。
68 :
生き残り歌手の動向:2005/07/02(土) 23:55:10 ID:V550gkVd
邦楽バトルロワイヤル生き残りの一人、スガシカオが浜田省吾の邸宅を訪れたのは寒さも幾分和らぎ、麗らかな日光が大気を優しく照らす午後2時半頃だった。
「改まって話って…」
シカオの普段柔和な表情は、だが、今はある種の緊張に彩られていた。
彼は、つい5時間ほど前、幾分疲れた声色で「話がある」と電話をかけてきた浜田の用件を既に理解していたのだ。
「もったい付けるな。お前も、分かってるだろう?」
「……………」
ややあって、黙っていたシカオが「まあ、大体は」と小さい声で言うと、浜田はタマに見せた時とは一転して、やや弱気な、
疲労しきった表情を見せた。
「タマが来たよ、昨日の朝」
「あいつもいい加減変だと思ってるだろうね」
そもそもシカオが異変に気づいたのは、桜が散り、世間がそろそろGWに向けてそわそわし始めている、そんなある日のことだった。
――今年、どうやらソニー限定でプログラムが行われるようだ――そう聞いた時は大して意外にも思わなかった。業界でJ-POPが下火になりつ
つある昨今では仕方がないと言えるが、それを容易に認めようとしないあの社長の性格からしていかにもありそうな事だ、そう思った。
さらには所属するメジャー歌手全員、そして他事務所のアーティストも巻き込んだ派手な物になるらしい、
そう聞いたときは妙に思った。どう考えたって、それでは事務所として機能しなくなる。
そこまでして行う理由は何か、そう考えた時、シカオの脳裏にとある仮説が浮かんだ。
「俺は」
シカオがそう言いかけたとき、浜田は黙って手でシカオを制した。
それからゆっくり首を左右に振り、人差し指を立てて自分の口元に当てた。盗聴を警戒しているのだ。
それに気付いたシカオは小さくため息をつくと、肩を竦めて見せた。
69 :
疑い:2005/07/02(土) 23:59:22 ID:V550gkVd
yukihiro(ラルクアンシエル・Dr)は息を潜め、ただひたすらに待ち人がやってくるのを望んでいた。
スミスアンドウエスンM59オートを握っている手が震えているのが分かり、小さく舌打ちをする。
くそっ!腹くくったはずなのに、この期に及んでまだ震えるか?俺の手は。それとも寒さか?ちっ、それくらい耐えろよ。
まったく使い物にならねぇーな。そんなだからいつまでたってもファンからの評価が上がらな――
そこまで考えて、はたと気づき首を横に振る。
いや…違う。そうじゃない。
俺は変わるんだろ?あいつらから奪うんだろ?
不動のドラマーの評価は俺のものだ。sakuraはもういない。俺だけのものだ。俺だけの――
暗示でもかけるかのように、何度も何度も自分の中で繰り返した。
70 :
疑い:2005/07/03(日) 00:02:47 ID:jzXTU309
ぱしゃっと水が跳ねる音がして、yukihiroはぎくっと顔を上げた。
ぱしゃっ。ぱしゃっ。ぱしゃっ。
降り続く雪が層を作り、僅かに地面に吸われて溶けた水分が水たまりをつくり、それを誰かが跳ね上げている。
音はyukihiroの居る倉庫に近づいているようだった。
誰だ?誰が来たんだ?さっさと姿を見せろよ!!
急速に興奮状態になっているのが自分でも分かったが、もうどうすることもできない。
誰だ?誰だ?誰なんだ!?
ぱしゃっともう一度だけ音がして、その『誰か』は倉庫の入口で足を止めた。視界に鍛え上げられた身体が現れた。
デザインの凝ったカットソーの袖がとれ、右腕が剥き出しになっていた。肩口に巻いた白い布に、赤い血がにじみ出し、雨のせいか
それがピンク色に広がっている。
そしてその腕の先に――拳銃が見えた。ちらりと見えた横顔は、見まごう事なき良く見知った人物――tetsuのもの。
来た。ついに来た!!!!!yukihiroの緊張は一気に跳ね上がった。
tetsuの、その厳しい表情は――そう、自分を捜し出して、惨殺するためのもの。恐らく、sakuraを殺した時と同じ表情であることは
間違いない――いざ、目の前にtetsuが現れてyukihiroは戦慄してしまった。しかもtetsuは拳銃を携えてるじゃないか。
ああ、あの銃で、sakuraにとどめを刺したのだろうか?そして、残る銃弾で、俺を――。
71 :
疑い:2005/07/03(日) 00:07:54 ID:jzXTU309
落ち着け!!落ち着くんだyukihiro!!ここで失敗したら何もかもが終わってしまう。もしこちらの存在に気づかれてしまったならば、
tetsuは容赦なく間違いなく撃ってくるだろう。
同じメンバーである俺でさえも、いやいや、自分をこの糞ゲームにたたき込んだ憎き裏切り者の俺を、sakuraと一緒に自分可愛さに
曲がったことをしでかした俺を、tetsuは絶対に絶対に許さないだろう。
俺は死にたくない。どうせ一度裏切ったんだ。だったら、sakuraみたいにもう後ろは見ない。
tetsuは俺を許しはしない。当然だ。俺は汚い裏切り者。だったら、俺はとことん堕ちてやるまで――
あと少しだ。今の位置からでは狙い難い。もう少し近づいてこい。
「誰か居るんだろ?」
tetsuが静まりかえった空間に向かって問いかける。
あと三歩…
「ラルクのtetsuだ。俺は、戦う気はないんだ」
あと二歩…
「生きてるんなら返事をしてくれ」
あと一歩…
「どこに隠れているんだ?頼む。返事を――」
今だっ!!
狙いを定め、引き金を引こうとした正にその時、タタタッと一匹の、幾分大きめのネズミがyukihiroの後方を横切った。
それは、ほんの小さな音に過ぎなかったが、静まりかえったこの倉庫の中では大きく反響した。もちろんtetsuもその音に気づいたらしく、
音がした方向に目をやった。
yukihiroとtetsuの視線がまともにぶつかった。
72 :
疑い:2005/07/03(日) 00:12:23 ID:jzXTU309
「ゆ――そこに居るのはユッキーなのか?!」
刹那。tetsuの表情に喜色が浮かんだのは、気のせいではなかった。
予想だにしなかった突然の事態に、一瞬躊躇してしまったが、yukihiroは狙いを定めたままの拳銃の引き金を引き絞った。ぱん、と音がして
銃口から小さな火炎が伸び、腕が少しだけ反動で跳ね上がった。
その銃の向こう、tetsuのやせ気味の身体が弾かれたようにくるっと回った。仰向けに倒れた。
「――――」
頭が、瞬時に真っ白になる。
yukihiroは無我夢中で銃を握り締めたまま、たたっとその身体に走り寄った。とどめを刺さなければならない、とどめを!もう二度と
起き上がれないように!
yukihiroは、tetsuから二メートルほど離れたところで立ち止まった。
tetsuのカットソーの左胸に小さな穴が開いていて、その回りがどす黒く変色し始めていた。
しかし、地面に投げ出された右腕の先には、まだ拳銃が握られていた。まだその銃を持ち上げる可能性がある。頭だ。頭を狙わなくては
ならない。
そのtetsuがぐるっと首を回し、yukihiroを見た。yukihiroは銃を下に向けて構え、引き金を――
ぴくっとその指が動きを止めていた。tetsuが、銃を手から投げ出したからだ。それだけの余力があれば引き金をひくこともできた
はずなのに、どういうわけか。
拳銃はくるっと一度回転し、それから、がしゃっと横倒しになった。
――は? なんなんだ、これは。何を考えているんだ、こいつは。撃ってくるんじゃなかったのか?憎い憎い俺を撃ってくるんじゃ
なかったのか?
73 :
疑い:2005/07/03(日) 00:17:17 ID:jzXTU309
しんしんと降り積もる雪が、大気をますます冷やしていく中、yukihiroは両手に銃を構えたまま、立ち尽くしていた。
「ゆ……にげ…は、早く…」
tetsuがその、横たわったまま、苦しそうに、しかし、しっかりyukihiroを見据えたまま、左手に持つPDA端末のような機械を差し出して言った。
「受け取れ。は、はや…く。一刻も……早く、逃げろ」
yukihiroの耳にそのtetsuの言葉は届いていたけれど、yukihiroには、tetsuが何を言っているのか理解できなかった。いや、状況それ自体が理解
できなかった。
tetsuが続けていた。
「生き残って……ら、ラルクを」
「は?……何言って」
tetsuがかすかに笑んだようだった。辛抱強く、繰り返した。
「これを使えば、て敵に遭う危険が減……るから。お前に、やるよ」
tetsuがぎこちなく左腕を動かし、その手に持っていた端末をyukihiroの方に放った。
「……………」
yukihiroの思考回路が、急速に冷却していった。
74 :
疑い:2005/07/03(日) 00:20:40 ID:jzXTU309
危険が減る?逃げろ?……生き残れ?
何を言ってるんだ?お前は…俺が憎いんじゃなかったのか?俺はsakuraと一緒なんだぞ?
お前が殺したsakuraと同じく、お前を裏切っ……――そこで不意に、気が付いた。
そういえば、“誰”がtetsuがsakuraを殺したと言ったのだろう?
なぜそいつはtetsuがsakuraを殺したことを知っていたんだろう?
どうして、sakuraがtetsuに惨殺されたと、そいつは知り得たのだろう?
おかしくないか?それって。
だって、tetsuがsakuraを殺すなんて、変じゃないか。
tetsuって、そんな奴じゃないだろう?
75 :
疑い:2005/07/03(日) 00:26:13 ID:jzXTU309
「――!!」
その瞬間、yukihiroは弾かれたように銃をかなぐり捨て、tetsuに縋り付いていた。
「て、tetsuくん!!tetsutetsu!!………しっかりしろ!!しっかりしてくれ!!!」
yukihiroはそう言いながら、自分の白々しさにカッとなった。
自分が撃ったから死にかけてるのに、何が“しっかりしてくれ”だ!!反吐が出そうだ。ふざけんなよテメエ!!!
「いいから」とtetsuは弱々しいが、しっかりとした口調で言った。「俺のことはもういいから、お前は、は早く逃げろ」
「い、いやだ、嫌だ嫌だ嫌だ!!!一緒に、一緒に逃げようtetsuくん!!逃げるんだよ!!」
yukihiroの顔色がだんだん蒼白になっていく。tetsuの命の灯火が目に見えて細くなっていくのが分かるからだ。
「俺は、どのみちもう助からない――sakuraも、待ってるし、お前が助かるならもう、いいんだ」
「sakura……sakuraが」
「sakuraは、俺が看取ったんだ。あいつレ、レンジのカッチャンにやられて……」
「――――」
その言葉を聞いて、yukihiroは脳天から雷を落とされたような衝撃に近い絶望を感じた。
そう、全てが、茶番だったと。
カッチャンが仕組んだ、他愛もない罠だったと。
それに、あっさりと引っかかった、愚かな俺。
俺は、俺の愚かさによって、大切な仲間を…………
「――――」
訳の分からない熱い感情がyukihiroの目頭にこみ上げてくる。
それは悲しみなのか口惜しさなのか腹立たしさなのか、何がなんだかわからなかった。
76 :
名無しのエリー:2005/07/03(日) 05:31:58 ID:5KUthNHE
おどろいた
77 :
名無しのエリー:2005/07/03(日) 05:54:50 ID:cwsUEyXC
tetsuかわいそう。tetsuの死を知った時のkenタンの反応が
見ものだな。悲しむだろうけど。
78 :
名無しのエリー:2005/07/03(日) 14:22:41 ID:WvCGVTrQ
うわぁぁtetsu───!!!!ゆっき──!!
ラルヲタの自分からしたら悲しすぎる死に方だ…
79 :
名無しのエリー:2005/07/03(日) 20:29:13 ID:n73Na1dv
うっわ・・・
ゆっきー・・・
tetsu、お前はいい奴だ
80 :
名無しのエリー:2005/07/04(月) 12:12:45 ID:6nmCW1xN
tetsu…!
ラルオタとしてはすごく面白いから作者さんガンガレ!
81 :
名無しのエリー:2005/07/04(月) 16:35:32 ID:HQ7/9Tyc
ワクワクドキドキワクワクドキドキワクワクドキドキワクワクドキドキワクワクドキドキワクワクドキドキ
82 :
対談:2005/07/04(月) 21:15:19 ID:pKVJm5b+
「朝早くに申し訳ありませんな、平井さん、西川さん」
来客室のソファにゆったりと座りながら、松浦勝人(エーベックス社長)は言った。
「かまわんよ。我々は朝が早い」
平井堅は松浦の向かいに座っていた。
その隣で西川貴教が、薄ら笑いを浮かべながらも戦々恐々として座っている。この男の「エーベックスアレルギー」は有名だ。
正直平井も、この松浦という男は苦手であった。
「ま、お二人とも早いところ「ゲーム」へ戻られたいようですから、手短にいきましょうか」
さらりと言った松浦の言葉に、ぎくりっと西川の体が強張る。
アホが。
平井は腹の中で毒づいた。
己が絶対的優位になければ肝の座らぬ小物め。
「手っ取り早く言えば、うちの歌手に手ぇ出さんといて欲しいんですわ。いくら超人気歌姫言うても、事務所が違いますし」
浜崎あゆみのことか。あの、パクリのくせに女優をやめた途端活躍し始めたあの女。
そう言えば、西川が「恋人対決でも〜」などと言っていたが・・・。
西川は小刻みに手を振るわせていた。口元には余裕を見せようとでも言うのか、相 変わらず薄ら笑いを浮かべているが、それもひどく白痴的だ。
そうだ、昨晩堀江社長を脅迫し、浜崎あゆみを拉致させに向かわせたが・・それっきりだ。
83 :
対談:2005/07/04(月) 21:19:55 ID:pKVJm5b+
連絡はおろか消息も掴めない。
「なんのことだね?今回のうちの補強戦略には・・・」
空とぼけようとする西川を、松浦は片手を挙げて制した。それだけの動作だが、異様な威圧感がある。普段の「松浦勝人」からは到底伺えぬものだ。
「まあ、厭だ言われても困りますんで。あまり良い返事を頂けなければ・・・」
松浦の口元が薄く笑んだ。
「それはそうと、お二人が所持しておいでの株は実に面白い動きをしますなぁ。あ、いや、名義はお二人のものじゃ無いのでしたね、失敬失敬」
平井の目がすっと細められた。
「このご時世に株で儲けられると言うのも不思議ですねぇ。千里眼でもお持ちで?」
松浦の唇は相変わらず笑みを形作っている。
だが、目は笑っていない。目の奥の小さい瞳は、怜悧な光を宿して目の前の2人の男を見据えている。
耐えきれなくなったのは西川だった。
「しょ、証拠があるとでも言うんですかね?ええ」
平井は嘆息した。
84 :
対談:2005/07/04(月) 21:26:10 ID:pKVJm5b+
この男が告発するだのと言う単純な真似をするものか。
この一見サラリーマンめいた風貌の男も又、黒い霧を身の内に孕む者だ。
「証拠?なんのことですかな?」
松浦はしれっとした表情で言った。
「ふざけているんですか、君は」
「私は株の話をしただけですわ。ただ、お二人にあやかりましょうとか思いましてねぇ。私もちょっとした「からくり」を作ってみたんですわ。まあ、まだ動かしてませんけどね」
松浦の笑みが深くなる。
「ここでのご返答次第で動くかどうか。動いたときは、2時間後くらいの市場 が面白いでしょうなぁ。ああ、それとその「からくり」は自動実行機能もありますんで」
つまり、ここで松浦をどうこうしたところで、何にもならないというわけか。
つくづくと厭な男だ。
「わかった」
平井は言った。スター歌手一人を「プログラム」へ組み込もうと執着して余計な損失を被っても仕方がない。
「おたくの歌手へは手を出さない。それでいいだろう。もし手出ししたと判断したら、いつでも「からくり」を動かすがいい」
隣で西川が不満げな唸り声をもらす。この男のことだ、長瀬浜崎恋人対決などとや らせて悦に入りたかったのだろうが。
「ありがとうございます」
松浦はニッコリと微笑んだ。普通に見れば十分人好きのする笑顔だろうが、今の西川には憎々しいことこの上ない。
85 :
対談:2005/07/04(月) 21:30:54 ID:pKVJm5b+
「礼と言うてはなんですが、別の「からくり」を動かさせてもらいますわ」
「ほう」
「ま、ささやかなもんですがね。後で市場確認しといたってください。ちょっとは喜んで貰えますやろ」
「・・・あなたは社長よりももっと別なものになれたんじゃないかな」
もっとも、そのお陰で助かったという人間が多いだろうがな・・・平井は胸の内で一人ごちた。
「・・・話はおわりですね。僕は失礼させていただきますよ」
西川がいらただしげに立ち上がる。金のこともさることながら、自分の考えていたちょっとしたゲーム企画を潰されたことが腹立たしい。
「『ゲーム』へ戻られますか」
ドアへ向かう西川へ松浦が言った。西川は無視して出ていこうとした。
「ゲームと言えば、ボーナスゲームなんてのがありますねぇ」
いきなりなにを言い出すのか、この男は・・・。
「他より目立つ敵が出てきて、そいつを打ち落とすと大量得点が入る。ところがそれに気を取られててうっかり雑魚にやられるなんてことがあったり」
西川はドアノブへかけた手を、少しの間止めた。
成る程・・・・ボーナスゲーム、か。
面白いことを言ってくれる。
廊下へ出た西川は、にやにやと笑いを浮かべながら足早に歩き始めた。
己がちらつ
86 :
対談:2005/07/04(月) 21:36:36 ID:pKVJm5b+
愚かな男だ。
平井は冷たく西川を見送った。
自分が手玉に取られているとも知らず、嬉々として行きおった。
まあ、いい。実際に事に当たらせるのは、あの程度が丁度良い。下手に高い知性の持ち主では却って邪魔になる。
「では、私もここで失礼しますわ。あ、見送りは結構ですんで」
松浦が立ち上がり、一礼するとドアへ向かった。
「一つわからんことがあるんですが、松浦さん」
平井が声をかけた。
「なんですかな?」
「浜崎あゆみは今年こそ活躍できたが、年齢などを考えれば未来の保証は無い歌手だ。その程度の歌手のためにあなたが尽力するのがわかりません」
松浦が少し笑った。
「まあ、こう見えても私もなかなかロマンチストで」
「似合わないですね」
「庭師としては、自分の咲かせた花を他人に散らされるのは我慢出来ませんわ」
「全盛期は過ぎた、そう長くは咲けんでしょう」
「その時は、自分の手で散らさせてもらいます」
それでは、と松浦がドアを閉めて出ていったとき、平井は我知らず太く息を吐いていた
87 :
絶望:2005/07/04(月) 21:53:38 ID:pKVJm5b+
「それの使い方は、適当にいじってれば………な、なんとか」
あまりのショックとこみ上げる感情のせいで茫然となっているyukihiroは、その言葉に促されるまま無意識に端末を拾い上げた。軽い。
「それから、これもやるよ」
tetsuはぎこちなく右腕を動かし、ポケットから100円ライターをつかみ出してyukihiroの方へ放った。
「それで生の木を燃やせ。焚き火を、二つ。そしたら、どこかで鳥の声が聞こえる。そ、その鳥の声の方へ進めば、アキヒトとハルイチと
ケンちゃんがいる。きっと…お前も、助けてくれる」
「ケンくんが――?」
「それから、hydeを……助けてやって欲しい」
「tetsuくんは?tetsuくんも助かろう?!な?……お前がいなかったら、誰があのベースひくんだよ!!!」
yukihiroは涙ぐみながら、必死で叫んだ。tetsuが笑んだ。
「hydeは、まだ狂ってないから………あいつも、助けをも、求めて――」
tetsuは薄れゆく意識の中で、これまでの事を思い出していた。
メンバー達を探して島中移動している間、たくさんの後輩達に会えた。
88 :
絶望:2005/07/04(月) 21:57:48 ID:pKVJm5b+
まぁ、そのほとんどが死体だったが…。
それでも生きている人達、kenちゃん達や、hydeにも会えたし、sakuraの最期にも立ち会えた。自分が死ぬ時には、こうして見守って
もらえてるし。
俺って結構ラッキーだったのかも? もしかして。
ごほごほと咳をして、口から血を噴き出したtetsuにyukihiroは気が動転して叫んだ。
「tetsuくん!死ぬなよっ!!!sakuraのところなんか行くなってば!!!」
「は、早く逃げた方がいい。誰か――来る前に。な…長話しすぎたな――あ、それから…」
「――――」
それから、の後の言葉を待ったが、もうtetsuは何も言わなかった。
89 :
絶望:2005/07/04(月) 22:01:22 ID:pKVJm5b+
「tetsuくん?」
肩をつかんで揺すってみたが、tetsuの体からは何の反応も得られなかった。yukihiroは、目を見開いた。
「あ………」
俺が殺した。
俺が、死ねばいいと願い、それを実行して殺してしまった。
殺して、しまった。
大切な、メンバーを。
「……………」
立ち上がる気力も無いまま、雪の降り積もる枯れた地面にyukihiroは座りこんでいた。
これは悪い夢だ。yukihiroの目から、改めてぽろぽろと涙がこぼれた。
夢なら、早く覚めて欲しい。
sakura、誰がtetsuくんを連れていっていいって言ったんだよ。
目が覚めたら、とりあえずお前くまんばちだからな。
ああ、だけどもう、こんな夢はたくさんだ。
90 :
名無しのエリー:2005/07/04(月) 22:06:21 ID:f8Equ8lP
テチャンーー!!!!!!!!!!!!!
ウワァーーーン!!
91 :
絶望:2005/07/04(月) 22:09:02 ID:pKVJm5b+
「はーい、終了ーーっ♪」誰かが言った。
びくっと体を震わせ、yukihiroは振り向き、そして見た。
さらさらな綺麗な茶色の髪を雪に濡らしたカッチャン(オレンジレンジ・Dr) が自分を見下ろし、その手が拳銃を構えているのを。
その綺麗な顔に、心の底からの笑みが浮かんでいるのを。
ぱん、ぱん、と乾いた音が二度鳴り、yukihiroの右こめかみに二つ穴が開いた。
yukihiroの体は、tetsuに折り重なるように倒れた。額の穴からは血が溢れ出し、顔を伝う。
カッチャンは、マーキー(HIGH and MIGHTY color・Vo) から手に入れたスミスアンドウエスンM19・357マグナムを降ろして、言った。
「最高♪もう、ホントに最高でしたよyukihiroさん♪」
yukihiroの体を軽く足で払い、笑みを浮かべた。
92 :
絶望:2005/07/04(月) 22:11:05 ID:pKVJm5b+
次回、hyde登場予定。
93 :
名無しのエリー:2005/07/05(火) 01:32:39 ID:zrCBD3Ug
tetsuーーー!!yukihiroーーー!!(泣)
94 :
名無しのエリー:2005/07/05(火) 10:00:34 ID:EHDj3M+B
からくり楽しみ。
95 :
名無しのエリー:2005/07/05(火) 15:19:31 ID:3eWTnLV4
hydeはカッチャンがsakuraとyukihiroを殺したと知ったら
カッチャンを探しだして殺そうとするのだろうか
96 :
名無しのエリー:2005/07/05(火) 16:23:30 ID:vYkg0DtD
WAKUWAKU
97 :
名無しのエリー:2005/07/05(火) 20:42:00 ID:13bVnZT1
おい・・・
メンバー2人も死んだらhyde本当に狂っちゃうぞ・・・
。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
98 :
名無しのエリー:2005/07/06(水) 00:06:49 ID:TPehgud0
作者はユキタンを軽視してるのかいな・・・カワイソス
99 :
名無しのエリー:2005/07/06(水) 02:16:39 ID:v90JnJ2v
カチャ─ンウザス!!(`Д´)ノ
本気で怒ってみるorz
100 :
生き残り歌手の動向:2005/07/06(水) 18:56:22 ID:XUlEuD0+
「ん〜、というわけで残り6人をきった時点で参戦してもらうよ〜」
二人の間にあるテーブルには、こっくりとした色のワインが置かれていた。
部屋の灯りが反射して、深みのある色を作り出す。まるで作り物のように。
「バトロワか、懐かしいなぁ」
30を過ぎても何処か幼さの残る顔の中に冷笑を浮かべ、清春は手を組んだ。
西川はワインの入ったグラスを手に、推し量るように対面してる相手−清春を見た。
「あのまま続けてたら、誰が優勝したんだろ」
唇の端だけを上げて笑うと、八重歯が零れる。
だが、瞳は酷薄な色を映したままだ。
「一介のミュージシャンとして、勉強になるね、このゲームは」
「そうか」
ぐいっとグラスをあおり、西川は傍らにあった受話器を取り上げた。
そして一言二言喋ると、もう一度清春に向き直った。
「下の部屋にタマくんがいる。ん〜、詳しい状況説明は彼から受けてね」
「わかった。有り難うよ」
清春は立ち上がり、西川を睨み付けた。
101 :
生き残り歌手の動向:2005/07/06(水) 18:59:54 ID:XUlEuD0+
そのまま背を向け、部屋を辞そうとした時、不意に西川が呼び止めた。
「ん〜、ワインは嫌いだったか?」
ドアのノブに手を掛けたところで振り返り、清春は、
「すまない。あまり得意ではないんだな」
と答えた。
「そうか」
「せっかくのご厚意、申し訳ないね」
西川がもう行っていいと言うように視線を逸らしたので、清春はもう1度だけ礼をして、ドアの向こうに姿を消した。
そして、ドアを閉じる直前、再び西川が受話器を取り上げたのが、清春の視界に入っていた。
102 :
生き残り歌手の動向:2005/07/06(水) 19:13:22 ID:XUlEuD0+
やれやれ。
ご飯温めよっか?とリビングから尋ねてきた兄さん旦那に
「喰ってきたからいいよ」といかにも疲れきった返事をし、宇多田ヒカルは夫の顔も見ずに二階の書斎に向かった。
二階への階段を上がり、書斎の扉の前に立つと、中からくすくすと、抑えようとしても抑えきれなかったらしい笑い声が漏れていた。
宇多田は顔をしかめ、勢いよくドアを開けた。
慌ててパソコンデスクにバン!と手をつく音。
夫のキリヤが、きまり悪そうにディスプレイの前に立ちはだかっている。
その肩越しにディスプレイを見ると、モー娘に胴上げされた浜崎あゆみがくるくると回転し、
そのまま宇宙へ飛んでいったかと思うと大気圏に突入した挙げ句小野にヘディングをゴールをきめられた画像がある。
思わずブフッと吹き出した妻を、夫はじいっと媚びるような上目遣いでみつめた。
さすがにバツが悪くなり、わざとらしく咳払いをすると「こんな遅くまでバカな画像見てないで、さっさと休んでよ」とキリヤを追い払いにかかった。
相変わらずゴールポストに突き刺さっている浜崎あゆみの画像を閉じるに忍びす(どこでこんな画像拾ってきたんだ、いったい!でも面白いからこのままにしておこう)、
宇多田は気もそぞろに「プログラム」のギャンブルサイトへアクセスし、プログラム実行委員会から付与されたIDとパスワードを入力した。
103 :
生き残り歌手の動向:2005/07/06(水) 19:20:41 ID:XUlEuD0+
データは「1分おきに更新」に設定してある。
―――――こいつは・・・
歌手名簿の「カッチャン」「yukihiro」の横に、それぞれ「交戦中」の文字が点滅している。
他に「交戦中」の歌手はいない。
自動でリロードされる一分という間すらももどかしく、手動で更新し続ける。
真っ暗な部屋の中、ディスプレイの光だけが、瞬きも忘れて二人の歌手の名を食い入るように見つめ、マウスをクリックし続ける宇多田の顔を照らしている。
その形相は、歌姫のものでも、冷静に家事を加える主婦のものでもなかった。
かつてアンチから嫉妬を以って呼ばれた「豚だ」そのものだった。命の奪い合いに魂を奪われる、一人の「豚」だ。
ブラウザがリロードしきれていないうちに、宇多田は何度もクリックし続けた。
カチッ、カチッ、カチ、カチ、カチ、カチ……………
104 :
生き残り歌手の動向:2005/07/06(水) 19:35:10 ID:XUlEuD0+
やがて、「カッチャン」の横の文字が消え、「yukihiro」の横に、目に痛いほど鮮やかな赤い「死亡」の文字が輝いた。
宇多田には倦まず飽かずクリックしていたせいで長い時間が流れたように思われていたが、実際はそうでもない、わずか5分間のできごとだった。
宇多田の顔に、不気味な笑顔が浮かぶ。
―――――カッチャンか、一度戦ってみたいね。
おもむろにプログラム実行委員会作成の専用メールソフトを立ち上げ、メールチェックをする。これも今回特別に付与されたメールアドレス・
[email protected]に、新たなメールが配信されていた。
自分を含めた5人の歌手の参戦速報などが記されたメールである。松岡に強制参加の情報を与えたのも宇多田であった。
前に殺しそこねた桑田圭介はいないが、嬉しいことに変わりはない。
ディスプレイの隅で大気圏に突入する浜崎あゆみを眺めながら、宇多田はデスクに両肘をついて、手を組んだ。
―――――さて、と。次の勝負のしどころは・・・“HK対決”か。
hydeとも闘ってみたいな。
けど死んじゃった歌手達には前のバトロワの記憶がないんだよね。
宇多田は思案に暮れた。
105 :
闇を裂いた銃声:2005/07/06(水) 19:41:37 ID:XUlEuD0+
カッチャンは倒れているtetsuの顔に視線を移した。
そして、会心の笑みを浮かべた。
「ホンットに世紀の名演♪僕、貴方ほどの名俳優を知りません♪まさか、ここまでやってくださるなんて♪………ククク」
笑いが止まらないカッチャンは、雪に濡れた前髪を鬱陶しそうに掻き上げながら、その場にしゃがみ込んだ。
「tetsuさん、久しぶりですね♪さぞかし満足でしょう♪やっと見つけた大切なメンバーと一緒に死ねて♪」
だが、口調とは裏腹にやれやれというように頭を振ると、yukihiroが取り落としたスミスアンドウエスンM59と、tetsuが放りだした(これは
かつてカッチャンが持っていた)コルト・ガバメントを拾い上げるために、腰を浮かそうとした。
「カ…カ……」
カッチャンはギョッとした顔で声がした方に目をやった。笑顔が消えていた。
106 :
闇を裂いた銃声:2005/07/06(水) 19:48:20 ID:XUlEuD0+
「tetsuさん、貴方ホント、いい加減しつこいでございますよ?まだ生きてたんですか?折角なんですからyukihiroさんにあっさり殺されて
いれば素晴らしい芸術になれたものを♪……そんなボロボロになってまでまだ生きてるなんて♪……どこまでも不運な人ですね」
tetsuにカッチャンの声が届いたのか、届かなかったのか。tetsuは虚ろな目で、言葉を押し出すように唇を動かした。
「カッチャン…お前には……hydeは殺…せない。せいぜい、気を……つけろ。俺がお前に言えるのは、それくらいだ…」
カッチャンは心底呆れ返っていた。
「tetsuさん、状況理解してます?僕がyukihiroさんを、そう、あと、sakuraさんも殺したんですよ?その僕に、気をつけろって?ふざけすぎ
ですよ、それ。おまけに笑えないし――」
やっぱりこの男が考えていることは、俺には理解できない。半ば苛立ちながら、カッチャンはそう思った。同じバンドマンとしてでも、tetsuは
異質すぎる存在。所詮、最期まで分かり合える関係にはなれないのだ。
でも――。
「僕が止めを刺してあげますよ」
もともとあんたは俺が殺すはずだったんだしな。
tetsuは微かに笑んでいた。カッチャンにはそう見えた。さっきyukihiroを撃った、スミスアンドウエスンM19・357マグナムの引き金に指をかけ、tetsuの額に狙いを定めた。
「誰も助けちゃくれない……人生なんて、そんなものでしょう?」
ウィセラヴィ
108 :
闇を裂いた銃声:2005/07/06(水) 19:54:30 ID:XUlEuD0+
yukihiroの手に渡る筈だった探査機端末をついでのようにパシリと踏みつけ、カッチャンはこのゲームの中ですらきちんと整えていた眉を顰めた。
「そんなもんですよね………高橋さん」
高橋瞳 は助けてくれた。自分を。あまり面識のない先輩である自分にも心を開き、自分と出会うまで一緒にいた
マーキーの言うことではなく、自分の言葉を鵜呑みにして自分の盾になって自分を救い、そして、自分をひとりにした。
否、高橋にとどめを刺したのは自分だったのだが。
目の前には、自分が作り上げた死体が一つ。そして、これから作ろうとしている死体が一つ。
ふつうなら、男二人で心中なんて、まっぴらだ。
ああでも、長年一緒に苦労を共にしてきたメンバーだったら、まだマシですか?だからtetsuさん、アンタはこの期に及んでそんなに
笑っていられるんですか?
羨ましいけど。俺にはもうそんな奴がいないことが、妬ましいけど。
でもね、tetsuさん。高橋さん。
やっぱり、誰も助けちゃくれないんですよ。誰も助けちゃくれないのに………助けようと差し伸べた手を、銃や刀でめちゃくちゃにされる
だけなのに。
アンタら、どうしようもなくおめでたいよ。おめでたすぎて、心の底から腹が立ちますね。
カッチャンは、端末を踏みしめていた足をどけた。無惨に粉々になった端末は、もはや、何の役にも立たない。
「さよなら、tetsuさん。sakuraさんとyukihiroさんに、宜しくお伝え下さい。あと、うちのメンバーにも…」
その時、カッチャンは、ぱららららら、という古びたタイプライターのような音を聞いた。
109 :
闇を裂いた銃声:2005/07/06(水) 19:58:55 ID:XUlEuD0+
同時に、背中にいくつもの衝撃が跳ねた。銃弾が上体を貫通し、すっかり泥と血で汚れてしまった服が大きく裂け、血が噴き出していた。
足がよろけるのがわかり―――すぐに、体の中に焼けぼっくいを押し込まれたような熱の感覚が膨れ上がった。
カッチャンの頭を占めたのは、しかし、その痛みによるショックよりも、そんなばかな―――という気持ちだった。この足元がぬかるんだ中、
背後に忍び寄る誰かの足音が全く聞こえないなんて、そんなばかなことがあるだろうか?
純粋に銃弾の衝撃で体が反転し、tetsuやyukihiroが横たわっている水たまりへ倒れ込む瞬間、カッチャンは見た。
いったい、何人の血を吸ってきたのだろう。血染めのシャツの男が立っていた。漆黒の髪、同じく漆黒の瞳、瓜実顔に厚ぼったい唇を
持った、一見おとなしそうに見える、だが双眸は血走り爛爛と輝いて、荒い息を吐きつづけている男―――hyde(ラルクアンシエル・Vo)が。
110 :
闇を裂いた銃声:2005/07/06(水) 20:00:24 ID:XUlEuD0+
残り11人
hydeキターーーー!!
1さん乙。
明日も楽しみにしてます
テチャンはたすかるんかな?ワキワキ
頑張れhydeーー!!
113 :
名無しのエリー:2005/07/06(水) 21:06:13 ID:TPehgud0
ハイタソキターーーーーーーー
(∂Д6)
みんなハイド大好きだなー
テツにとどめをさすのはハイドか
自分は豚d・・・宇多田の言ってた
死んじゃった歌手は前の記憶がないとか云々が気になる
前の邦楽バトロワの話か!
つかさ、
>>104でメアドが
[email protected] ってなってるんですが…………。
別にジャイアンツバトロアのパクリだろーがどーでもいいが、
こーいうとこでおもいっきり「コピペして名前変えて書いてます」と
あからさまに出してしまうのはやめてくれ………
急に萎える。
もしかして作者タソの吊りか???
ご飯温めよっか?とリビングから尋ねてきた兄さん旦那に
これはだれ?
つまり実際に死んでるわけではないという設定なの?
>>115 釣りじゃなく作者が見落としただけじゃないかな
前にもちょこちょこ名前間違いがあったし
確かにちょとアチャーってなるけどやっぱおもろい
>>117 一回死んだ人間を何らかの方法で蘇らせて日常生活を送らせていたとか?
って何らかの方法って何だよorz
でも本人だったら前の記憶がないとしてもここまで性格は変わらんか。
やっぱ前回はバーチャル?でもそれもなあ・・・結局謎。
ちゃんといつか種明かししてくれるよね?
してくれなきゃ軽く暴れる
119 :
名無しのエリー:2005/07/07(木) 15:44:08 ID:JvcEelCj
(∂д6)
清春はよ投入して!
つか西川に従う清春って思い浮かばないな…仲良しのイメージしかない
121 :
ビデオ:2005/07/07(木) 18:57:38 ID:VEYuC5hN
全てが始まった場所。
あの、代々木に見立てた体育館。
ken達が目を覚ました場所であり、そして大多数の者が再び戻って来れ無いその場所で、男達は、後片づけをしていた。
本当は未だしばらくそのままにしておく予定だったのだが午後に入ってから天候が悪くなり、今にも雪が降ってきそうということで急遽、
片づけられることになったのだ。
「じゃいくぞ、せーの!」
掛け声と共に外に安置してある50インチはありそうな大型TVが、おそらく日雇いであろう、作業服に身を包む数人の男達によって持ち上げ
られた。
流石に重いのか、頼りない足取りではあったが何事もなくそれは、建物の中へと運ばれていき、その後にはビデオデッキやケーブルなどの
比較的軽い物を運ぶ者が続いた。
取り敢えずはこれで良し、だ。
リストと照らし合わせ、屋外に出していた物は全て室内に収容されたのを確認し、平井堅は一息ついた。
ふと、目が一本のビデオテープに止まる。
「………結局使わなかったなぁ。名演技だったのに」
口元を歪め、平井は薄笑いを浮かべた。
それは、プログラムのレクチャービデオだった。
122 :
ビデオ:2005/07/07(木) 19:03:04 ID:VEYuC5hN
話はGW前に遡る。奥田民夫が次々と本格的な活動を展開する段取りを決め、折を見てそれを西川に報せにきた時のことだ。
それを聞いた西川はしばし考え、
「へー、忙しそうですねぇ〜…。でも、民夫さんがオフになったら、レクチャー作成について力を借りるかもだから、よろしくお願いしますよ」
と言った。
相変わらず何が言いたいのか良く分からなかったが、まぁ新しく台頭してくる若手の面倒を見てやってくれ、そう言うことなんだろうと
民夫は解釈していた。
だから、突然呼び出しを受けた時もそう驚きはしなかった。
ただ。その内容は予想とは全く違った物だった。
123 :
ビデオ:2005/07/07(木) 19:08:57 ID:VEYuC5hN
「これはー斧だー。当たりを引いたぞー!」
民夫は慣れない演技をカメラに向かって続けながら、戸惑っていた。
台本はカンペを見ながらやるから覚えなくても良い。しかし、一体これは何なのだろう。
なんかの隠し芸大会だろうか。ん?本格的に活動するって事で早くもドッキリを仕掛けられているのか? 俺はいつから芸能人になったんだ
ろう?もしかしてこの後ジャジャーン陽水登場!とかあり得るのだろうか。
しかし戸惑いは、カメラを操るスタッフの後ろにやってきた人物を見て更に明快な謎へと転身した。
それは、桜井和寿、yukihiro、sakuraの3人であった。
何だ、あいつら…。取り合わせが意味不明なんだが…。やっぱり隠し芸か何かか?
と。つかつかとyukihiroが歩み寄ってきて、民夫の隣に立ち語りかけてきた。
「やぁ、民夫さん、何でそんな物騒な物もってるんですか?」
「いや、なんだかバッグに入ってたんだ」
この野郎、ドッキリだったか…――そう思いつつ、yukihiroが肩から下げている物が気になった。
「おいyukihiro、それは……」
「これですか?マシンガンですよ。見ての通り」
ああ、そうか。ここで何でそんな物騒な物を持っているんだ?と聞くとそりゃお前だ!とツッコミが入るってわけか。
良いだろう、乗ってやるよ。
「何でそんな物騒な……」
だが、yukihiroのリアクションは民夫の予想もしなかった物だった。
124 :
ビデオ:2005/07/07(木) 19:15:27 ID:VEYuC5hN
「ああ、それはつまり」
その言葉が終わるか終わらないかの内だった。
ぱらららら、という音が響き、民夫は派手に吹っ飛び、そのまま床に叩き付けられ、そして恐らくは何が起きたか判らないままに
――息絶えた。
だから、yukihiroがカメラ目線で
「銃は安全装置を外してからでないと撃てないからな。常識だろ?」
という声も聞こえなかったし、勿論その後西川が
「なんでこいつは、4年前のプログラムの記憶がないんだ・・・・まさか、hydeが!」
と呟く事など知るはずもなかった。
125 :
新たなる狂気:2005/07/07(木) 19:20:57 ID:VEYuC5hN
生暖かい息を吐きながら、hydeは仰向けに倒れたカッチャンの頬をイングラムで突いた。
反応はない。カッチャンの手からスミスアンドウエスンM19・357マグナムを奪い、そのまま前に歩もうとした―――
「うああああああああああああっ!」
今まで発したことのない叫び声とともに、カッチャンがスタンガンでhydeの背後に襲いかかる。らしくなく不意打ちを喰らい、hydeは
たったいま手にいれたばかりの銃を取り落とした。
その隙を逃さず、カッチャンは銃を拾いながら、最後まで持っていたカマを振りまわす。そこらじゅうにある合板を投げ飛ばしながら逃げる
hydeに、カッチャンは容赦なかった。ついに廃棄物となったベルトコンベアまで追い詰め、hydeの心臓当たり目がけて、拾ったばかりの
スミスアンドウエスンM19・357マグナムをありったけ撃ち込んだ。
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ。
hydeの身体が、人形のように跳ねる。
126 :
新たなる狂気:2005/07/07(木) 19:28:28 ID:VEYuC5hN
―――この、化け物め!
自分ももう十分に銃弾を浴びていたが、カッチャンは勝利して喜ぶよりも寧ろ怒り狂っていた。
その瞬間、まったく一瞬のうちに、カッチャンは考えていた。いつから人の助けなどいらないと思って生きてきた?
何も理解しようとしてくれない周囲。家族、友達、担任、近所、チルヲタ。いつでも、いつになってもカッチャンの周りは変わりはしなかった。
周りが変わらないのなら自分が変わろうと、様々なアイデアを出して革新的なことをすれば途端に叩かれ、そっぽを向かれた。すべて
わかっていてくれると信じていたメンバーでさえ、時にはカッチャンの言葉に戸惑いを覚え、その歩みを止めようとした。
どうして、同じ物を見てくれないんだ?ここには、こんなに素晴らしい景色があるのに!!
革新的なカッチャンの周りの保守的な全ての物が、少しずつ、いやはやたっぷり、カッチャンから奪っていった。与えたのはただ、お前にはついて
いけない、という言葉と、それでも無尽蔵に溢れ出る楽曲と、アイデアだけ。でもそんなものは役に立たず、ついにカッチャンは、抜け殻に
なってしまった。
―――俺は、おれは、絶対に生きのびる。おれは、ただしい。ぜったい、まけな………!
ところが、とっくに撃ち殺した筈のhydeが―――笑っていた。あのいつものように不敵な、自信に満ちた笑みで。
一体、どうして?
「――気が済んだか?」
hydeはゆっくりと態勢を立て直し、静かにそう言った。
ひどく、酷薄な笑みが浮かんでいた。
「テメエだけは、許すわけにはいかない」
127 :
新たなる狂気:2005/07/07(木) 19:37:21 ID:VEYuC5hN
その時、カッチャンは気付いてしまった。hydeが、防弾チョッキを着込んでいると言うことに。
ひるんだカッチャンになおも笑いかけ、その色白の腕からは想像もできないような力でhydeはカッチャンがスタンガンを握っていた左腕と、彼に
致命傷を与える筈だったスミスアンドウエスンM19・357マグナムを持った右腕をぐっと掴みあげ、そしてこれまた見た目からは想像も
付かない脚力で、器用にカッチャンの胸倉を蹴り上げた。
hydeの手の内で今しがた奪ったばかりのスミスアンドウエスンM19・357マグナムが火を噴き、体勢を崩したカッチャンの体に、一つ一つ、
穴をあけていった。
カッチャンがどう、と倒れる。ぴくりとも、動かなかった。
それを見てから、hydeは何事もなかったかのような足取りでtetsuに歩み寄り、傍らに片膝を付いた。
「テッチャン」
「―――」
既に視力を失い、虫の息だったが、それでもtetsuはhydeが近づいてきたことに気付いて、うっすらと微笑んだ。
「すまない。……yukihiroとsakuraを宜しく頼む。俺は……絶対生き延びてみせるから」
「―――」
tetsuは、頷いたようだった。
tetsuは知っていたのだ、カッチャンの背後にhydeが迫っていたことを。だから、笑んだのだ。
128 :
新たなる狂気:2005/07/07(木) 19:40:56 ID:VEYuC5hN
「生きて…だって………」
同じく虫の息のカッチャンが呟いた。そして、腹の底から、おかしそうに笑った。
「はは、あははははは、あはは……ふ、アンタらもみんな死ぬんだよ、みんなみんな………死んでいくんだよ」
「黙れ」
hydeはカッチャンの言葉にみじろぎもせず、いささかも動じず、今度はイングラムM10を打ち込んだ。
男前ともてはやされ、その美貌を褒め称えられるカッチャンの顔から胸にかけて、縦一列に穴が空いた。常に女性ファンたちの垂涎の的だった
白皙の面貌は、いまやhydeの銃弾の的となり、見事に的は弾け飛び、まるきりストロベリイ・パイを投げつけれらたような状態になった。
今度こそカッチャンの体が銃弾の勢いで吹っ飛び―――背中が濡れた地面にどっと当たった。当たったときには、事切れていた。いや、もう
とっくに死んでいたのかもしれない。肉体的にはその数秒前に、精神的には、はるか遠い昔に。
129 :
新たなる狂気:2005/07/07(木) 19:45:41 ID:VEYuC5hN
「テッチャン………ユッキー……」
hydeは振り返る。
だが、既にtetsuは眠るように息を引き取っていた。そして、カッチャンに撃たれたyukihiroの方は、即死だった。
二人とも、綺麗な死に顔だった。
とてもとても、安らかで、穏やかだった。
「―――」
その時初めて、hydeの目から、一筋の涙がこぼれ落ちる。どうにも、こらえられなかった。
sakuraが、逝ってしまった。そして、更にまた二人も―――
崩壊していく、何もかもが。
hydeの表情に乏しい顔に浮かんでいるのは、間違いなく、絶望感。
だが、その胸の奥にははっきりとした意志が生まれていた。
kenちゃんを、殺さなくては―――
正気と狂気のパラドクスの中で、hydeが今やるべき事はただ一つだった。
130 :
新たなる狂気:2005/07/07(木) 19:48:50 ID:VEYuC5hN
131 :
アゲハ蝶:2005/07/07(木) 19:51:57 ID:YXtBguDq
「くだんな、バカじゃねぇの?
消えてしまえばいいのに」って言われるよ
hydeが・・・狂っていく・・・
。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
ラルヲタきもい^^;
民夫じゃねーーーーーーーーーーー、
民生だーーーーーーーーーーーっ
カッチャンかっこ良かったよ。
カッチャン〜!!ついに死んぢゃった…↓↓
レンジヲタもきもい^^;
138 :
名無しのエリー:2005/07/07(木) 23:53:17 ID:JvcEelCj
ヤターはいどの勝ち(∂д6)
でもなんでケンタソをヌッコロす思考なんだ?
もういちど読んでみまつ。
もしくは漏れの読解力がないの?
このあと大どんでん返しが!
140 :
名無しのエリー:2005/07/08(金) 02:27:36 ID:rMBwgjJS
やはり(`w´)に期待か
ハイタン(*n´∀`n*)
>>133>>137 実際の人物名で殺し合いをしてる話を読んでる時点で、
自分もおまいもきもい^^;
息抜きのネタだって。気にするな^^
>>139 革命が起こって生存者と死亡者が全員入れ替わる!!
とかなったらカッチャン一人勝ちか?
ここで生存者全員にロケットランチャー支給
>>145 ロケットランチャー使いにくいぞ、衝撃は強いし、攻撃範囲が広すぎる。
撃ち合いになったら終わりだ。
全て夢だったよって目覚めて
148 :
エーベックス編:2005/07/10(日) 15:16:11 ID:28uliJQh
「ごめん、わたし、ちょっと部屋戻ってるわ」
ポリポリと頭を掻きながら、浜崎あゆみはソファから立ち上がった。
特に周りと話し込んでいたり、誰かと一緒にTVのバラエティを観て大笑いしていたというわけでもなかったので、
「おつかれーっす」という自分のほうを見るでもなくかけられる声を背に、娯楽室から出た。
いつもならそのまま廊下を通って控え室に戻るのに、
どうしてこの時、浜崎は不意に通路のつきあたりの窓を見遣って、耳をすませてしまったのだろう。
ドン・・・ドン・・・
その音は決して大きくなかったけれど、確かに聞こえた。
そして、林の中に埋もれそうな古い小屋の扉が、音と同時にほんのわずかだが揺れている。
そんな揺れが日も暮れようとしているとはいえはっきり見てとれるほど、
この小屋は古い。元は用具置き場として使われていたのだが、いまどき木造の用具置き場もないだろうということで、もう大分前に使われなくなった。
とは、浜崎がデビューして間もなくのころ、やはりこの事務所を使うようになってから教えてもらっていた。
現に、歌手たちがこの小屋を使っているところを浜崎は見たことがなかったし、浜崎自身も他の歌手と一緒に別の用具置き場を使っていた。
149 :
エーベックス編:2005/07/10(日) 15:23:34 ID:28uliJQh
なんで使ってもいない用具置き場の扉が揺れているの?
警備員を呼ぼう、という考えは、浜崎の頭にはまったく浮かばなかった。
裏口のドアから事務所を出て、小屋へ歩み寄る。
間違いない。小屋の扉を叩く音も、事務所からはわずかにしか見えなかった扉の揺れも、かなり大きい。
誰か、中にいるんだろうか。
何の考えもなく・・・・・・そう、何の考えもなく、浜崎は扉の鍵(ちょうつがい式の簡単なものだった)を開けてしまった。
中から扉を叩いていたらしき人物が、勢い余ってまろび出る。
その人物に、浜崎は覚えがある・・・どころではなかった。
「ホリエモン!?」
なんで堀江社長が、両手両足を縛られて、こんなところに転がっているの?
もっとも、驚いているのは堀江も同じで、目を見開いて浜崎を見、
そして、手ぬぐいで塞がれている口から呻き声を洩らした。
浜崎にとってみれば、実は堀江孝文は目標ともいえる人物だった。
わたしもあんなにお金が欲しい、そう思っていた。
150 :
エーベックス編:2005/07/10(日) 15:32:49 ID:28uliJQh
どうして、という疑問よりも、可哀相に、という同情のほうが勝り、浜崎は堀江の口を塞いでいた手ぬぐいをとってやった。
堀江は早口で何事かまくしたてているが、声が小さすぎて浜崎には何が何やらさっぱりで、途方にくれた。
と。
「ともや・・・・・・・・・・・・・・・」
その名前を、浜崎は聞き逃さなかった。
「ともや? 智也!? 長瀬くんがどうかしたの!?」
堀江とて浜崎が何を驚いているのかはわからなかったのだろうが、長瀬の名前に反応したことぐらいはわかったようだった。
しきりに頷いて、また「ながせ、ながせ!」と繰り返している。
よくよく聞いてみると、「ながせ あいたい」と聞こえる。
会いたがっている! 長瀬くんが。ということは、堀江は長瀬の居場所を知っているのだ!
「長瀬くんがどこにいるか知ってる?」
浜崎が尋ねると、堀江はまた深く頷いた。
151 :
エーベックス編:2005/07/10(日) 15:40:14 ID:28uliJQh
堀江の両手両足をぎちぎちに括っていたロープを、なんとかほどいてやった。
なぜ堀江が恋人の自分すら知らない長瀬の行方を知っているのか、などという矛盾に気づく余裕も、
ロープを解かれてほくそ笑んだ堀江の表情の変化に気づく余裕も、浜崎にはなかった。ただ「早く、早く」と繰り返し、自分を長瀬の所に連れて行ってくれるように頼んだ。
にっこり笑って堀江は立ち上がり、浜崎に手を差し出した。浜崎が手を取ろうとしたその時―――――
「浜崎さんっ!」
まだ青さの残る声が、事務所のほうから聞こえた。大塚愛だ。
「愛ちゃん!?」
浜崎が驚きの声を上げ、堀江は強引に浜崎の腕を掴みあげた。
「!?」
続けざまに堀江は迷彩ジャケットに隠されていたガンホルダーからコルトガバメントを取り出し、銃口を真っ直ぐに大塚へ向けた。
「堀江さん!?」
「ちくしょう、ざけんじゃねえよ!」
銃口が火を噴くのと、大塚が自分のパーカーの大きめなポケットからスマイリーボールを取り出して堀江めがけて140km/hの直球を投げつけたのはほぼ同時だった。
152 :
エーベックス編:2005/07/10(日) 15:52:43 ID:28uliJQh
銃弾は大塚の頭をかすめ、サラサラの髪を少し焦がした。
ボールはまともに堀江の顔面を直撃し、その鼻を陥没させるに留まらず、一時的に視力をも奪っていた。
痛みに悲鳴を上げ、思わず浜崎の腕を放す。その隙に浜崎は事務所に向かって駆け出して、大塚に体当たりする形でぶつかった。
「あ、ご、ごめん、」
「浜崎さん、平気?」
「ああ、うん・・・大丈夫だけど・・・」
二人とも、両手で顔を押さえて喚き散らす堀江を向こうに見ながら、驚愕や恐怖といった感情を通り越して、ただただ茫然としていた。
その二人の頭上から、暢気な声が降ってきた。
「やるなあ。あれくらいコントロール効くんやったら、始球式も投げてほしいわ」
「・・・・・・松浦さん」
いまだ心ここにあらずの大塚の声を聞きながら、松浦勝人の右側の眉が釣りあがった。
ピ・・・ピ・・・ピ・・・・・・
153 :
エーベックス編:2005/07/10(日) 15:57:54 ID:28uliJQh
それは無機質な電子音だった。聞こえてきた先は・・・堀江の首から。
黒のハイネックに覆われてよく見えなかったが、堀江の首には、まさしく長瀬智也たちが強制的に嵌められている首輪があった。
それまで顔にやっていた堀江の両手が、首輪にかかる。顔面を砕かれた堀江の表情はもはやわかるべくもなかったが、
首輪を必死で取ろうとしている仕草から、この首輪から響く電子音のほうが顔面陥没よりも重要そうであることは、誰の目にも明らかだった。
ピ・ピ・ピ・ピピピピピピピピ・・・・・・
電子音の間隔がせばまり、堀江の悲鳴がますます高く大きくなる。
次の瞬間、バシュッ! という音と、小学生が下手なリコーダーの音をめちゃくちゃに響かせたようなひゅるるるるという音がして、首から派手に血しぶきを上げながら堀江は大の字に地面に倒れ込んだ。
「あ・・・・・・・・・・・・」
倒れた堀江の首あたりから、じわじわと血が流れ出て、地面に吸い取られていく。
「ほらー、車のバックファイアの音だったから、戻るべ戻るべー」という持田香織の声を、浜崎は遠くに聞いていた。
154 :
エーベックス編:2005/07/10(日) 16:05:40 ID:28uliJQh
すっと、安室奈美江が松浦のそばに歩み寄る。
「すんません、油断しました」
ここでようやく、浜崎は事の重大性に思い至った。
恋人の自分ですら知らなかった長瀬の行方を、どうして一社長の堀江が知っているのか?
あの銃はなんだ? そして妙な首輪、ああ、よくわからないけど首輪が堀江の喉元を吹っ飛ばして血が―――――
「松浦さん、長瀬・・・長瀬くんは、どうなってるの? あんた、何をどこまで知ってる!?」
「浜崎さん!」
松浦の喉元を締め上げようとした浜崎を、安室と大塚が必死で止めた。
松浦の目が光る。それだけで、浜崎はえも言われぬ圧力を感じ、動けなくなった。
「・・・これで「なんでもない」言うても、納得するわけないな? ともかく、中に入ろ。
話はそれからや。・・・ああ、安室、お前油断した罰や。アレ(と言って松浦は堀江のほうへ顎をしゃくってみせた)、始末しとけ。ええな?」
「ンッフッフー、大人しくしていればいいものを、こっちも是非とも浜崎あゆみには参加してもらいたいんですがねぇ、
これもいわゆるひとつの約束ですからねぇ、それを破っちゃいけませんよー堀江社長ー、わたしの実入りがなくなっちゃいますー、はいー。」
本人が知るべくもない密約のことを引き合いに出して、西川は嬉々として首輪のコントロールボタンを押していた指をどけ、再び現況を示すスクリーンに目をやった。
155 :
最後の参加者:2005/07/10(日) 16:14:07 ID:28uliJQh
「堂珍っ…堂珍!しっかりしろっ!」
「……」
腹部から夥しい血を流す堂珍義邦を川畑要は泣きそうになりながら覗き込む。
ついさっき、堂珍義邦が倒れていたところを見つけたのである。
「…くそっ…このままじゃ…」
確実に出血多量で死んでしまう。川畑は今まで悩んでいたがやがて決心するように立ち上がった。
「稲葉さんを探そう…」
先程、放送で聞いた稲葉浩志の再参加。生きていただけでも驚きであったがそんな事よりもその所持品の方が今は重要であった。
「あの人ならきっと…」
156 :
最後の参加者:2005/07/10(日) 16:20:57 ID:28uliJQh
事情を話せば分けてくれるであろう。同じミュージシャンというだけで向こうは大ベテラン、
こっちは落ち目真っ逆さまな歌手であるため殆ど口を聞いた事もなかったが同じダブルミリオン歌手である、
その人柄くらいは噂でも良く聞いていた。だが問題はどこに稲葉が居るか…であった。
もしかしたらとんでもなく遠い場所かもしれないしこの広い島で探しだすのは困難である。他歌手に自分が殺される可能性もあるし探している間に堂珍が死んでしまう可能性は大きい。
「…堂珍…待っててくれ…頼むから踏ん張ってくれ…俺が戻るまで…」
だが、ここで無駄に時間を過ごすだけではそのうち堂珍が死ぬのは明白である。
ならば助かる可能性が少しでもある方を選ぼうと川畑は堂珍に声をかけた。堂珍は何も喋らない。
「……」
「とにかく俺が戻るまでは絶対に耐えるんだぞ…」川畑は立ち上がるとデイバックと唯一の武器である二丁拳銃を手に取った。
ポニキャニ編も見たい
大塚キタ━━━━━ヽ(゚∀゚)ノ━━━!!!!!
159 :
名無しのエリー:2005/07/10(日) 22:46:56 ID:/+eDXH+x
ゆうちゃん(元ミッシェル)、ベンジー(元ブランキー)、岸田(現くるり)、向井(元ナンバガ)、木下(現アート)、それとプロデューサーミヤジ(現エレカシ)はマダー?
元MGJCGSりも参加させて欲しいですw
160 :
名無しのエリー:2005/07/11(月) 07:19:02 ID:lCvkFre/
ベンジー(・∀・)イイ!!
みっしぇりいいね!見たい!
162 :
冷酷:2005/07/11(月) 18:31:04 ID:oLytQuKr
川畑要はあてもなくただ走る。稲葉はおろか誰一人と出会わない道をひたすら進む。まったく確信もなくただ無我夢中であった。
「堂珍…」
堂珍と同じ地方出身であった稲葉を偶然その堂珍の為に探す事になった川畑は堂珍の言葉を思いだす。
『同じミュージシャンなのに凄い差ですよね』
そして自分はとてもあんな歌手にはなれないでしょうねと寂しく笑った堂珍に川畑はそんなことないよ、
などとは言えなかった。実際にケミはもう落ち目なんだろうな、もう、俺達消えていくんだろうなと言った時に堂珍にそんなことないと言われても余計に虚しくなるだけであろう、
堂珍も分かっていたのか何も言わなかった。
ここまで辛い仕事なのにそれでも音楽が好きだから不安ながらも続けてこれたのだ、なのにこんな形で終わってしまうなんてあんまりではないかと川畑は口唇を噛む。
163 :
冷酷:2005/07/11(月) 18:37:00 ID:oLytQuKr
「頼むからっ…」
とにかく稲葉に会い、堂珍を助けたい…願いはそれだけだった。
こんな惨い状況から必然にも芽生えた友情だった。なんとしても助けたい…ずっと奇跡など無いと思っていた、
自分があの天才を抑えてオリコン1位を勝ち取る奇跡など起こるはずもないし、奇跡自体が存在しないものだと思っていた。
だが今はこんな自分にも一度くらいの奇跡…この広い場所で稲葉に会える奇跡くらい起こってくれと川畑は天を仰ぐ。
「…あっ!」
思わず川畑は感嘆の声を上げる。…奇跡は存在するものなのだと。堂珍の居る場所からそう遠くない獣道の入口で腹を抑えてデイバックを取りだす稲葉を発見したからであった。
「稲葉さんっ!」
川畑は手に持っていた二丁拳銃を変な警戒心を持たせてはいけないと慌てて背後に隠し持ちながら声をかける。
「…ケミストリー?」
痛みで眉をしかめながらも痛み止めを飲み干した稲葉浩志は、川畑を見遣る。自分のゲーム参加が既に放送されたことも、
その所持品まで暴露されたことも当然知っていたゆえに稲葉は注意深く川畑を見るが、その必死の形相になんとなく事態を察知する。
164 :
冷酷:2005/07/11(月) 18:44:25 ID:oLytQuKr
「お願いですっ!薬を分けてください!」
縋る目で叫ぶ川畑に稲葉は頷く。予想通り共に行動している仲間が怪我でもしたのだろう。
「…傷の具合はどうなんだ?」
「…胸を撃たれて…貫通してしまって…凄い、凄い血が…あれじゃもう…」
「落ち着くんだ!…弾丸が残ってるわけじゃないんだな?胸を貫通したか…
それでも諦めるのは早い、急いで戻れば間に合うかも!止血止めと痛み止め、抗生物質、消毒液を渡そう…あとは傷口を固定してじっとしてるんだ…」
稲葉はデイバックを取りだすと中を探る。川畑はやっと落ち着きその様子を眺めた。
(本当に凄い数だ…いや…待てよ…)
もし稲葉に貰った薬だけでは足りなくなったらどうするのだ…川畑の頭の中はそんな想像が巡る。
またこうして稲葉を探さなくてはいけないのか、奇跡が何度も起こるものか…と川畑は薄暗い気分になる。
(冗談じゃない…また堂珍を置いてこんな気分を味わうかもしれないのか…?)
堂珍の傷は稲葉が思う以上に深い、薬が足りなくなる可能性は十分だ。
(…もし…この薬を全部奪えたら…)
こんな怯えにさい悩むことはない、堂珍だってずっと楽になるであろう…
(ここでこの人を…)
殺めてしまえば…そんな殺意が一瞬芽生えた川畑は思わず後ろ手に握った二丁拳銃をギュッと握り直した。
165 :
冷酷:2005/07/11(月) 18:50:24 ID:oLytQuKr
「…!」
その時、銃声が響いた。川畑はギョッとするように飛び上がるがふいに右肩を襲う激痛に思わずしゃがみこむ。
「…さ…桜井っ!」
稲葉は川畑の背後で新しい銃を構えていた桜井和寿に悲鳴を上げる。
「…外したか…狙いを定める時間がなかったからな…」
とりあえず稲葉には当たらないようにと撃った結果、反対方向の右方に大きく逸れてしまったと桜井はつぶやく。
「お前っ…」
「なんで?とか言わないでくださいよ。そいつは一瞬でもアンタに殺意を向けた…それで十分でしょう?情けを頂く者が殺意を向けた時点でもう終わりだ。」
「川畑っ!」
そんな桜井から視線を外すと稲葉は川畑に駆け寄る。
「薬を…薬を下さい…」
「あ、ああ…」
稲葉は川畑の肩に止血止めを使おうとするが川畑に手を振り払われる。
「俺は…いいです…桜井さんの言う通り…一瞬でもあなたに殺意を向けた…ひどいですよね…」
川畑は肩を抑えながらも稲葉から様々な薬品の入った袋を受け取る。
166 :
冷酷:2005/07/11(月) 19:01:37 ID:oLytQuKr
「バチが当たったんです…稲葉さん…本当にすみませんでした…でも…俺はもう行きます…」
堂珍の元へ帰らねばならない、この肩口の傷など後でどうにかすればいい、一刻でも早く堂珍の元へ戻ろうと川畑はよろめきながらも来た道を戻り始める
「川畑っ!」
「…彼に構う暇なんてアンタにもないでしょう?」
思わず動こうとした稲葉を制するように桜井は答える。
そんな桜井を稲葉はキツく睨み付けながらも首を振ると川畑を見送る。確かに今の自分には川畑に構う時間は無かった。
「本当に稲葉さんは阿呆ですねぇ。あの殺気に気がつかなかったんですか?」
「桜井!」
小馬鹿にするように言う桜井に稲葉は怒号する。
「…感謝されこそすれ怒られるのはおかしいと思いますが?…アンタは雑念が多すぎます…
少しでも敵意を見せた者はぶち殺す…くらいの意志が無いなら大人しく本部に戻ればいいんです。」
相変わらずの無表情で答える桜井を稲葉はバツが悪そうに見る。
確かに桜井が発砲しなかったら先程の川畑はあんな動揺したままでは発砲してもロクに狙う事など出来なかったろうが、それでも怪我していた可能性はあった。
167 :
冷酷:2005/07/11(月) 19:06:11 ID:oLytQuKr
「気がつかなかったわけじゃない…気がついた瞬間…」
あの殺意に気がついた瞬間、既に桜井が発砲していたのだった。
「気がついても攻撃していたかどうか…まあいい。さっさと行ったらどうです?」
「お前はなんで…」
自分の後を付いてくるのか。二度も同じケースで遭遇したのだ、さすがに自分の後を追っているのだと分かった稲葉は口を開く。
「あんたの後を追うか?…なんででしょうねえ…それとも大事な時間を無駄にして今ここで俺と戦いますか?」
挑戦的に笑う桜井に稲葉はなんともいえない顔つきになるが、無言のまま無防備に背を向けたまま桜井に振り返る事なく走り去ってしまった。
「それが答えというわけですか…」
俺を撃てるものなら撃ってみろと言わんばかりの稲葉の態度に桜井は薄く笑う。そしてその通り発砲など出来ない自分にも失笑するのだった。
「本当にさっさとここから脱出してほしいもんだ…」
本当に彼は自分の脆い面、見たくない面ばかりを実感させるとため息を付く。
早く目的を達成して今の自分とは関係無い世界に行ってほしい、この見たくない面はこの状況においてはマイナスでしかないのだから。
168 :
冷酷:2005/07/11(月) 19:13:02 ID:oLytQuKr
「堂珍…」
夥しい血を肩口から流しながら、つたない足取りでなんとか川畑は堂珍の居る場所に近づく。
「…もう少しだから…辛抱してくれよ…」
川畑は堂珍を隠してある茂みをかき分け、よろめく足を踏み入れる。
「結局…」
俺には、そして堂珍にも奇跡は起こらなかったんだなあと川畑は小さく笑う。
出血多量の為うっすら霞掛かった視界ももうどうでもいい事であった。
だが、これだけはやらねばと稲葉から貰った医薬品の袋を地面に置き、火を付けた。
狂人共にこれを残すわけにはいかない、そして自分もこれは使えない…僅かでも稲葉に殺意を抱き、結局堂珍を見殺しにしてしまう形になった自分に使う権利は無いのだと。
「…堂珍。」
炎で照らされた堂珍の遺体をぼんやりながめながら川畑は目を閉じる。視界だけでなくとうとう意識も霞んできた…このまま意識を手放してしまえばもう二度と目を覚ます事はないだろう…それでも川畑は瞳を閉じたままであった
そして炎が消えると同時に川畑の意識も消えていってしまった
169 :
冷酷:2005/07/11(月) 19:15:46 ID:oLytQuKr
稲葉、松本、桜井、hyde、ken、アキヒト、ハルイチ、長瀬・・・か??
WAKUWAKU
藤井フミヤは?
173 :
名無しのエリー:2005/07/11(月) 22:57:29 ID:Phmx8qzs
ケンケンワンワン!!
保守っておく。
175 :
名無しのエリー:2005/07/13(水) 18:11:42 ID:7PGtyaw/
早く書いて…禁断症状が…。
176 :
悲痛:2005/07/13(水) 19:47:39 ID:Y2oBmvw3
「……何の冗談ですかっ、コレは!」
怒鳴りながら、その男達は目前のテーブルにガツンッ、と拳を叩き付けた。
常人より大きいその手が立てる音はもの凄く、ロビー中の客が男達に視線を注ぐ程で。
「…ザンネンナガラ、ジョウダンデハアリマセン。」
興奮している様子の男もいれば、その隣で冷静な表情をしている男もいる。
この男達の目前にいる外人は、静かな口調でそう告げる。
彼の前には一台のノートPC。
液晶の画面には、日本語で構成されたHPが表示されている。
『ソニーミュージックバトルロワイアル』。
デカデカと一際存在を誇示している文字列は、そう読む事が出来た。
「松岡さんから噂には聞いてましたが…本当に……。」
こんな馬鹿げたな事が実際に行われるなんて。
冷静な表情でじっと堪えていた男、松岡昌弘(TOKIO.Dr)はポツリともらす。
「嘘だろぉ…なぁ…。」
同意を求めるように外人の顔を見ながらKOHSI(FLOW.Vo)達は問いかける。
177 :
悲痛:2005/07/13(水) 20:01:24 ID:Y2oBmvw3
「エイプリルフールデモナイノニ、ワタシガアナタガタヲダマシテドウスルンデスカ。」
外人は苦笑して、まぁ、仕方ないですけどね…と小さく肩をすくめた。
この外人はプログラム配属の外国人SP。
プログラム参加を免れた、アジカン、サンボマスターなどの参加者以外の他メンバーはつい先ほどこの外国人に電話で呼び出され、
指定されたホテルへと訪れた。ロビーで待っていた外国人は手頃なテーブルに男達を導いて座らせると、開口一番。
「プログラムガ…ハジマッテシマイマシタ。」
そう、切りだしてきたのだ。
松岡昌弘は何か心当たりがあったのか、そうですか…と小さく唸っただけだったが、KOHSI達にはバレンタインの言葉が何を意味しているのかはわからなかった。
そこでこの外人に問いただしてみようとしたところ。
外人はプログラムの内容を、極めて簡潔にKOHSI達に答えてくれた。
「ゲンザイ、ソニーノカシュイチブハ、ダレモシラナイバショデコロシアイヲシテイルンデス。」
松岡含めTOKIOのメンバーは軽く眉をひそめただけだったが、ほかのバンドマンにはそれでもどうにも理解出来ない。
別にKOUSI達の知能が特別劣っているわけではないのだが、外人の話の非現実性に、どうしても飲み込む事が出来ないようで。
バレンタインキター
179 :
悲痛:2005/07/13(水) 20:08:54 ID:Y2oBmvw3
そこで、外人は持参のノートPCを起動させ、慣れた手つきで男達に…いや、KOHSIに提示して見せたのだった。
ソニーミュージックプログラムの詳細をリアルタイムで表示してくれる、関係者専用のHPを。
「…少し、触っても良いですか?」
KOHSIは外人に訊ね、許可が下りる前にはもうノートPCのキーに触れていた。
常人よりも大きな手、太い指で苦心しながらも参加者一覧表を開く。
hyde…アキヒト…カッチャン……何て事だ。ソニーの主力ほとんどが…殺し合いに参加させられているって言うのか?
KOHSIはじっと大粒の目を細めて一覧表を睨み付ける。
歌手名の横にオッズなどが記されているのが、何ともKOHSIには腹立たしかった。
KOHSIもギャンブルは別に嫌いな方ではないが…さすがにコレは生理的に受け入れられそうもない。
画面を下へとスクロールさせていく内に……KOHSIの手は不意に止まった。
「……どうしました?」
中川圭一(ミスターチルドレン・Ba)がKOHSIの方を覗き込みながら、尋ねてきた。
「…KEIGO…が、KEIGOが…っ」
ライブ会場では堂々とした姿を見せるKOHSIが、動揺を隠しきれない様子で指さした先には。
180 :
悲痛:2005/07/13(水) 20:22:43 ID:Y2oBmvw3
KEIGO 死亡。
その文字が並んでいた。
KEIGOは、KOHSIと同じバンドのメンバーである。カバー曲でブレイクして
音楽関係者から総叩きにされたバンドだった。
ツインボーカル、ライブ会場でステージと観客席を行ったり来たりしているボーカリスト、
衝突はあったにせよ、KOHSIにとってKEIGOも大切なFLOWの仲間の一人だったのには変わりはない。
それが…それなのに?
「…もっとよく見て見ろ。そう、一番下だ。」
中川が感情を殺した声で、KOHSIに告げる。
しかし、この感情の殺し方は、つまらない質問を向けてくるマスコミに対する時のそれではなく。
「……桜井さんまで!?」
中川の言葉に従うまま画面をスクリーンさせたKOHSIは一瞬自分の目を疑った。
が、画面には確かに桜井和寿という文字も並んでいる。
桜井は偶然にもかつてMステの際に競合できたミスチルのボーカリスト。
181 :
悲痛:2005/07/13(水) 20:32:17 ID:Y2oBmvw3
そう、偶然にも今さっきその死亡を確認せざるを得なくなってしまった、KEIGOの計らいで、
フットサルの試合も頼み込んだ。
KOHSIにとっては彼もまた、目標である。
日曜日はライブに行くと聞いていたが。
ソニー歌手じゃないのに…?
中川は軽い眩暈を感じた。コレが壮大なドッキリだったらいいのに。今すぐにでもあの柱の影から、カメラマンを連れたタレントが出てきて…笑い事で片付けてくれればいいのに。
KOHSIはともかく、ミスチルにはそんなバラエティー番組に出演する機会は山のようにあって。
そんな現実逃避にも走りたくなる。
「ソニー歌手じゃなくても…まして首にされて他事務所に行っていても関係なく参加…ですか。」
「ハイ。コンカイノプログラムハ、イママデデイチバンセイサンナケツマツトナルデショウネ。」
KOHSIの代わりに画面を弄りながら、呆れたように洩れた中川の呟きに、外国人SPはそう、答えた。
182 :
悲痛:2005/07/13(水) 20:38:47 ID:Y2oBmvw3
灰色の低い空から、ちらちらと白い物が舞い降りてくる。雪だ。
「――………」
アキヒトは空を見上げて、思わず嘆息した。
あれから数十分が経過している。やっとなんとかkenが落ち着きを取り戻したのを見計らって、アキヒトは気の重い事実と真っ向から
対面する決心をつけようとしていた。
即ち、kenに“『マシンガン野郎』の正体を告げなければならないという事実”である。
戻ってきたkenが一人だったこと。そしてhydeの事を一言も口にしないことから察するに、恐らくまだkenは“マシンガン野郎”
の事は知らないでいる筈だ。果たしてhydeが、あの暗闇の中自分が襲ったのがkenだと気づけたかどうかは別として――そうだとすれば
また話は変わってくるかも知れないが――だが、それにしても、だ。
あなたを襲い、結果として死に追いやろうとしたのは実はあなたたちのメンバーでしたよ、だなんて、どうして今のkenに告げられるだろう。ただで
さえ、翔達の死が彼にとって相当こたえているこの状況へ持って、そんな事を告げたらkenはまたどんなに打ちのめされることか。
それとも、何も知らないでいる方がいいのだろうか?何も知らせないで、このまま――このまま、hydeが誰かに殺されるのを待つ方が?
いや、その可能性は限りなく低い。何せ、hydeは“マシンガン野郎”なのだ。おそらく、今生き残っているバンドマンの中で1、2を
争う実力(実力?こんな実力があったからってバンドマンとして何も誇れはしない)を持つ男。
そして――このゲームに真っ先に乗ったであろう、恐ろしい男。
初めてリアルタイム更新見ちゃった(*^_^*)
作者タン乙ー
清春の活躍がたのしみー
184 :
悲痛:2005/07/13(水) 20:44:36 ID:Y2oBmvw3
自分たちが生き残り、最後に勝利するためにはいずれhydeとの対決は避けられない。
その時になってkenはやはり知ることになるのだ。
だったら、あらかじめ知っておいて、覚悟を決めた方がいいのだろうか。ああ、だけど――アキヒトは、ともすれば苦渋に満ちた表情に
なりそうな自分の顔を、努めて平静に保とうと努力した。しかし、それは難しかった。
「……………」
アキヒトのあからさまに強張った表情を見て、ハルイチもアキヒトの心に飛来する物を見て取ったのか、燻らせていた紫煙を腰掛けていた岩肌に
押し付けた。そのまま、視線を投げかけてきたアキヒトを黙って見返す。ある種の無言の圧力だ。
アキヒトは、観念したように重い口を開けた。
「kenさん、話がある」
「?話…なんだ?」
それまでじっと俯いていたkenが声をかけられた方に振り返ると、そこにはやや顔色の悪いアキヒトが立っている。
「その、………つまり、何から話せば良いのか………」
だが、口篭もるアキヒトに代わって、ハルイチが口を開いた。
「その前に、俺から一つ質問させてください」
「あ、ああ」
怪訝そうなkenに、ハルイチは一つ息をつくと、視線を虚空に投げた。彼もやはり、迷っている。でも、言わなければいけない。これは自分たち
にも、ひいてはkenの生死にも関わるかもしれないことなのだから。
「………“マシンガン野郎”はあの後どうなったか憶えていますか?」
185 :
悲痛:2005/07/13(水) 20:50:03 ID:Y2oBmvw3
kenは首を横に振った。残念だけど、と付け加え、崖から転がり落ちてからの記憶はないから、奴がどうなったのかまではわからない、
とやや沈痛な声で言う。
「………そうですか」ハルイチがそうため息混じりに言うと、ふと、kenはなんとなく嫌な感じを受けて思わず顔を上げた。
「“マシンガン野郎”が、どうしたっていうんだ?」
「……………」
ハルイチも、やはり黙ってしまう。なんだか、二人揃って様子がおかしい。いくら鈍感なkenでもそれだけははっきりと分かってしまった。
なんというか、何か、そう、何かとても重大なことを隠しているような――
まさか、とその時KOHTAの脳裏に嫌な想像が閃く。まさか、いくらなんでもそんな。有り得ない。
「俺は、最初に言いましたよね」
次いで、先に口篭もっていたアキヒトが言った。
「『相手がやる気になってたらこちらもやるしかない』と。あなたはあの時答えなかった。いや、答えられなかった。だけど、俺はもう一度
敢えて問います。kenさん、あなたは躊躇なくやれますか?例えそれが……」
「………アキヒト」
kenはその時、己の心臓の音が嫌に大きく跳ねた様な錯覚を覚えた。
186 :
悲痛:2005/07/13(水) 20:53:37 ID:Y2oBmvw3
まさか。
でも、そんな馬鹿なことが………あっていい筈がない。
「…それが、hydeさんが相手だったとし――」
「それって」
遮る声が、震えている。
ken自身、寒さのせいではなく、身体の奥底からぶるっと震えが上ってくるのを自覚していた。
「それってつまり…“マシンガン野郎”は、hydeだった、ってことか?」
多分その時、kenはアキヒトが「いや」と首を横に振ってくれることを期待していただろう。
だが、アキヒトは一瞬息を吐いてから、ゆっくり、頷いた。
突然読みにくい文章になったが,これは…?
188 :
名無しのエリー:2005/07/13(水) 22:53:33 ID:KCxb8kcG
作者さん乙!
ケンタソ・・・ただでさえ、これからもっと悲痛な知らせが(ry
テチャソ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おまえら、自分勝手な感想やら書かないでくれ
うざい
特にラルヲタ
次の放送でkenどうなっちゃうんだろ
ポルノの2人は…??
>>191 多少ならいいんじゃない?
作者さんもノーリアクションじゃ寂しいだろうし
でもラルヲタがウザいのは同意
194 :
エーベックス編:2005/07/14(木) 22:38:19 ID:ghVzS4Xd
「さて・・・どう話せばいいやろな」
松浦勝人は自室へ大塚愛と浜崎あゆみを招き入れて言った。
「松浦さん、長瀬くんは・・・長瀬くんは・・・」
「まあ、落ち着けや。浜崎、お前も音楽界の人間や。あのソニーが妙な事務所だってことは知っておるやろ」
松浦の言う通りではあった。
2年前、ソニー本社に訪れた時すぐに、浜崎は「わたしはここの事務所にいられない・・・いや、いたくない」と感じた。
それは競争意識の激しさや事務所の雰囲気からばかりではない、なにかもっと、本能的な部分でどうしようもない拒否感があった。
殆ど接することのない幹部達、音楽界でそのカリスマ性を謳われる社長、
スター揃いの歌手達、破格の契約金、限りなく整った設備・・・どれを取っても、憧れてしかるべきものだったが、
どうしても浜崎にはソニーという存在そのものに、激しい拒否反応を示していた。それは彼女が全く無意識のうちに、
ソニーに潜んでいるどす黒い闇の汚泥を感じ取っていたからかも知れない。
195 :
エーベックス編:2005/07/14(木) 22:44:01 ID:ghVzS4Xd
だが・・・そのことが今なんの意味を持っているというのだろうか?
「あそこでは数年に一回裏の行事みたいなもんがあった。よう「ソニープログラム」なんて言われておるがな。
平たく言えば歌手達によるサバイバル・ゲームや。但し、使うのは本物の武器。・・・これがどういうことを意味するか、判るな?」
サバイバル・ゲーム。
本物の武器。
浜崎の顔から、見る見る血の気が引いていった。
「・・・まさか・・・そんな・・・まさか・・・」
信じられない。
信じたくない。
そんな。それじゃまるで小説か映画だ。荒唐無稽に過ぎる。
けれど。
嘘だとすれば、もう少しましな嘘のつき様がある。
ならば。本当なのか。本当だと、するのなら。
「長瀬くんは・・・長瀬くんは・・・・」
「・・・今回のイベントは、ソニーの有名歌手のほとんどが参加させられている」
本物の武器を使うサバイバル・ゲーム。
196 :
エーベックス編:2005/07/14(木) 22:49:31 ID:ghVzS4Xd
ゲームなんてもんじゃない。殺し合いだ、それは。
浜崎は、長瀬は、そんなものに参加させられているというのか。
「どこです・・・どこなんですか!!!どこでそんなことを!!!!!」
浜崎は叫んだ。
行かなければ。助けなければ。長瀬が死んでしまう。殺されてしまう。
長瀬が。デートの時、いつも自分にまとわりついていた彼が。同じ道を歩み、ライバルでありながらなお深い絆で結ばれ続けた恋人が。
「教えてください!!知って居るんでしょう!!??長瀬くんはどこなんです!!どこに居るんですか!!」
半狂乱で浜崎は松浦につかみかかろうとした。
「浜崎さん!!」
その体を大塚が必死で引き留める。
「知ってどうすると言うんや」
「助けに行くんです!長瀬くんの所へ行くんです!!教えてください!長瀬くんの所へ行かせてください!!!」
「だめや」
冷然と松浦が言い放つ。
197 :
エーベックス編:2005/07/14(木) 22:54:50 ID:ghVzS4Xd
「お前を行かせるわけにはいかん。お前はうちの歌手や。俺にはエーベックスの歌手を守る義務がある」
「だったら、今わたしはエーベックスを辞めます!!だから、教えてください!!長瀬くんの所へ行くんです!」
「だめや」
松浦の目が冷たく光る。見る者を圧し、凍りつかせさえするほどの眼光だ。
「だったら・・・だったら、あの人達に直接聞きに行きます!」
あの人達、つまり、ソニーの幹部や社長のことだ。奴らなら知っている、長瀬の居る場所を。
もともと深く物事を考えられない女である。増して半狂乱の今に至ってはなおのこと。己の身が危険になるだろうという考えなど微塵も浮かばなかった。
浜崎はしがみついてくる大塚を振りきり、ドアへ突進した。
半ばぶち破るようにドアを開けて廊下へ飛び出す。
と。
力強い手が、浜崎の腕を捕らえ引き寄せた。
「!?」
首筋に一瞬刺すような痛みを感じ、何が起きたのかさえ判らずに。浜崎の意識は急速に闇の中へ堕ちた。
力を失って崩れ落ちる体を、いつ戻ってきていたのであろうか、安室が静かに抱き止めた。
198 :
真近:2005/07/14(木) 23:05:30 ID:ghVzS4Xd
もうゴールは直ぐそこである、だが何事もなくゴールできるとは思えない。きっと目的地寸前には藤井フミヤがいるに違いない…
漠然ながらもそう予測をたてると余計急がねばならないと稲葉浩志は一歩進もうとするが険しい顔つきに変わると、何の変哲もない茂みに向かって銃口を向ける。
「誰だ!そこに居るのは分かっている…出てこい!」
たった今、この場に来たのだろう、今まで人の気配はまったくなかったのだから。稲葉は剣呑な顔つきのまま銃口を向け、茂みを睨み付ける。
「…俺ですよ。」
茂みをかき分け足を踏みだしてきたのは長瀬智也であった。長瀬は一応の形で稲葉にボウガンを向けたまま歩み寄る。
「俺に敵意はありません。あなたならなおさらです。それよりも…堂珍を知りませんか?」
「堂珍?ああ…あいつなら死にかけてるんじゃないか。…酷い話だ。」
堂珍の豹変など知るはずもない稲葉は気の毒そうに答える。
「稲葉さん…堂珍は以前の堂珍じゃない。ここへ来て…恨みのあまり変わってしまった。」
「…そうか。無理ないな。」
まだ気の毒そうにつぶやく稲葉に長瀬は顔を上げる。
199 :
真近:2005/07/14(木) 23:20:06 ID:ghVzS4Xd
「だけど今はアイツは俺の一番の敵だ!アイツが狙っているのは俺だ!俺を殺す事でエーベックスに復讐しようとしている!
それに万が一生き残っても浜崎を殺す気でいるんだ!」
叫ぶ長瀬に稲葉は目を見開く。大抵の意味は分かった。堂珍はエーベックスに何か深い恨みがあるらしい、浜崎は多分エーベックスが守ってくれているのであろう、
無理やりに堂珍はこうしてこのゲームに放り込まれたのだから、やり場の無い怒りと絶望を向けるのはエーベックスとその彼氏しかいないのだろう。
「…堂珍はここらへんに居るのか?」
「ええ…方角からしてここあたりだと。」
稲葉はじっと考え込む。…先ほど自分達を狙った川畑は演技ではないかと。あの彼なら考えられる。
そして堂珍は実は生きていた…確かにもう自分の知っている堂珍でないかもしれない。
(…あんな優しい奴でも…変わってしまうのか。)
あれほど優しい気性の者が冷徹な者へと変貌するにはどれほどの絶望が必要だったのか…そう考えると思わず身震いがした。そしてじっと長瀬を観察する。
「ところでお前の彼女というのはあの整形した奴だっけ?わがままな事務所問題でクビにされそうになっちまったような奴だったな。」
「…稲葉さん?」
まるで棒読みで台詞を読むような稲葉の言葉に長瀬は目を見開く。怒り、というより驚いたからだ。あの稲葉が他人を見下す発言をしたのが信じられなかった。
200 :
真近:2005/07/14(木) 23:25:47 ID:ghVzS4Xd
「…どのみち来年は使い物になりっこないのにな。エーベックスもよくそんなモンを庇うもんだ。」
「…アンタ…何言ってるんですか…」
この状況のせいでおかしくなってしまったのだろうか…稲葉でなければ怒り狂うところであった。
「ファンに暴言を吐いた歌手なんて所詮三流なんだ。三流は何年も活躍できやしない。」
「…止めて下さい。いくらあなたでも…」
さすがに長瀬の中に怒りが涌いてくる。稲葉ほどの大物からしてみれば自分達カップルなど同じ歌手とさえ思えないかもしれない、
何年もトップに君臨した者にとってはほんの一瞬輝けた歌手にしか見えないかもしれない。…だからといって許せる言葉ではなかった。
「事務所から要らないと言われたら潔く引退するもんだ。それをみじめに問題を起こしてまで縋り付く…か…そこまでして続けるものか?」
「止めて下さい…頼むから…皆が皆あなたのような歌手じゃないんだ!浜崎とあなたは違う!」
瞳を伏せたまま、表情を見せずに台本を読むような稲葉の様子などすっかり見えない長瀬は叫ぶ。
201 :
真近:2005/07/14(木) 23:33:25 ID:ghVzS4Xd
「当たり前だ。ミリオンもやっとようなお前の彼女と俺を一緒にするな。不愉快だ。」
「止めろ!それ以上浜崎を侮辱するなら本気で撃つぞ!」
長瀬は怒号しながら稲葉にボウガンを突きつけた。稲葉はやはり、とため息を付き長瀬を睨む。
「…撃ってみろ。そんなどこを狙ってんだか分からない手元じゃ俺に当たらないぞ。撃ってみろ。その瞬間お前の命は無い。」
「…!!」
長瀬は弾かれるように目を見開くと、稲葉を凝視する。あやうい手元の自分と真っすぐに自分の額に焦点を合わす稲葉の銃口…
どちらが命を落とすか嫌でも理解できる。
「…浜崎や国分の為に堂珍を殺すというなら仕方ない、俺には何も言う権利は無いからな。…けどそんなんじゃ返り討ちに逢うのがオチだ。
…お前はバラエティー企画でもそうだったからな…頭に血が登ったらそこでお終い…もはやここではゲームも殺しも一緒みたいなもんだ…」
「…稲葉さん。」
冷水をぶっかけられたように長瀬はボウガンを下げた。今まで怒りで頭に血が上っていたのが嘘のように落ち着いていくとうな垂れた。
先程、国分の忠告で充分冷静になったはずなのにこれだ…と自己嫌悪する。…うな垂れたままの長瀬に稲葉は小さく笑う。
202 :
真近:2005/07/14(木) 23:43:05 ID:ghVzS4Xd
「俺の棒読み台詞くらい直ぐ気がつけよ。」
確かに棒読みだったと長瀬は苦笑する。冷静になった今思い起こせば学芸会以下の棒読みだった。
「…すみません。」
稲葉は相手を思いやる人間な分、相手が何を言われたら傷つくか…が良く分かるのだろうし、
敏感なのだろう、そういう気性の者が不本意とはいえ他人を罵倒するのは嫌なものであっただろうと長瀬は反省を込めて謝罪する。
「いや…俺も嫌な事を言って悪かった。」
「そんなこと…けどやっぱりみっともないですか?事務所を巻き込んでまで暴れるのは…」
正直、長瀬は彼女のそんな姿を見るのが辛かった。自分に音楽を教えてくれた彼女のあの姿…とても辛かったのを思いだす。
「そんなことはない。その社長がよっぽど好きなんだろう。
…ただ俺は…歌手生活が長いと下らないプライドもあるんだな、最初からいた事務所に要らないと言われる日が来る前に自分から決断して引退したい。」
長年トップとして君臨した者にとってはそれが当たり前なのだろう…そう思う長瀬の横を稲葉は通り過ぎる。
「…それに比べてお前の彼女は立派だよ。エーベックスの要だ…だから今があるんだろう。」
203 :
真近:2005/07/14(木) 23:48:12 ID:ghVzS4Xd
長瀬は頷く。自分達はどん底を見てきた者だ、だからがんばることができる、
そして歌手として長年頂点に立った稲葉はあがく必要の無い、スターとしてのプライドを選ぶ者…それだけの差なのだと。
「もう俺は行く。お前も立派な彼女のために…死ぬんじゃないぞ。」
「稲葉さん…」
長瀬は一礼しながら稲葉を見送った。稲葉がFFタイアップになりたいがためにゲームに参戦したとは思えない、
何か大きな理由があるのだろう、無事でいてほしいと顔を上げると気合いを入れるように頬を叩く。
「…よし。」
もう大丈夫だ。稲葉のお陰で冷静さを取り戻しそれを不動のものとさせた。そして立派な彼女のため、という誇りも手に入れたんだと拳を握る。
「堂珍…」
その彼女のため絶対に仕留めねばならぬ者…堂珍の姿を追い求めるべくその場を後にした。
乙です。スマートな更新でしたね。
今回は文章が読みやすいです。
205 :
名無しのエリー:2005/07/15(金) 12:56:25 ID:MPRosbP0
稲葉が腰を捩らせて、立ち上がり粘液を滲ませている。
松本の高ぶりに自分のそれを擦りつけた。
松本の唇からも熱い吐息が漏れる。その唇を褐色の胸の上で固く尖っている
稲葉の乳首に這わせた。
「…ふっ…く…」
くすぐったさに精液が体を捩ったと同時に、松本はその場所に歯をたてた。
噛み千切りたくなる誘惑を押さえ、歯列をずらすようにして、そっと刺激する。
そして、小さな突起を愛撫し続けながら、悶えるように下腹を打っている
二つの固まりを束ねて握りしめた。
微かな恐怖と激しい興奮が稲葉の体を仰け反らせていた。
「…ぁ…っ」
自分のものではない感触に稲葉の背筋に震えが走った。
手足が痺れるように動かない。
松本は燃えるような息を漏らしながら、手の中のそれを
確かめるように揉みしだいていたが、ゆっくりとしごき始めた。
二つの高ぶりを攻め上げる手の巧みな動きと、
時折激しく脈打つ松本の雄芯の熱さに
稲葉の下腹の奥が爛れたように熱くなる。
稲葉は羞恥から懸命に声を噛み殺し、胸の上を愛撫し続けている松本を
抱き締めていた。
206 :
名無しのエリー:2005/07/15(金) 13:26:02 ID:h+8FRCQW
↑えっとスルーしていいのかな?
207 :
名無しのエリー:2005/07/15(金) 17:28:17 ID:ROkve7sz
↑こんなとこでヤ●イ妄想すんなヴォケが!!!!!!ここはバトロワスレだ!!!!!!
エロい妄想したいんならピンク版逝ってやれっつーの!!!!!!!!!!
見なかった事にした。
>205
ちね(´∀`)
210 :
451:2005/07/15(金) 23:48:59 ID:UAaFLhrG
普通にキモチワルイ
211 :
名無しのエリー:2005/07/16(土) 07:51:45 ID:L1f7VAmo
ス ル ー
213 :
桜井と稲葉:2005/07/16(土) 22:01:59 ID:4Uqo/imN
稲葉は地図を広げながら走り続けた。この先にある筈のトンネルを抜ければやっと目的地…松本の居る建物にたどり着く。…やっと助ける事が出来るのだ。
(もう少しだから…)
頼むから無事でいてくれと稲葉はさらに加速する。そして前方にうっすらとトンネルらしき膨らみが見えると小さく頷き、トンネル目がけてひた走る。
「…!なっ…」
だが、ハッキリとトンネルが見えるなり稲葉は絶句して立ち止まった。
ただくぐり抜けるだけだと思っていたトンネルが予想さえしなかった状況になっていたからであった。
214 :
桜井と稲葉:2005/07/16(土) 22:09:49 ID:4Uqo/imN
トンネルをくぐり抜けるなり、稲葉は絶句した。先程、別れたばかりの桜井和寿が真っすぐにこちらに向かって、ワルサーを向けていたからであった。
「さ、桜井くん…」
「アンタがチンタラと長瀬と喋っている間に、ここへ来たのが間違いでした。…悪いけど死んでもらいます。」
ただ無表情に答える桜井に、稲葉はさらに絶句する。
「そういう事だ。」
「フミヤさんっ!」
木陰から現れた藤井フミヤは、桜井の背後に立つ。その手にはリモコンのような物が握られていた。
「これは西川がくれた物でな…」
「お前…」
これで納得ができた。つまり従わなければ桜井の首を吹っ飛ばす、とでも言ったのであろう。それならば桜井も従うしかない。
「…桜井くんは関係無いだろう?俺を殺したいなら、俺と勝負しろ。」
ドス暗い怒りの目でつぶやく稲葉に、フミヤはせせら笑う。
215 :
桜井と稲葉:2005/07/16(土) 22:16:38 ID:4Uqo/imN
「桜井が関係無い?アンタの手助けをしたなら十分だろう?アンタと桜井に殺し合ってもらうのが一番だ。
アンタが死ねば桜井は助かる、桜井が死ねば俺と戦う…そういうわけだ。」
圧倒的有利の立場に立ったフミヤは得意げに言い放つ。
(どのみちお前の負けだ…)
稲葉の気性であれば、自分のせいで巻き込まれた桜井を絶対に殺す事など出来ない、
今の松本とまったく同じ立場になってしまった桜井を殺めるなど不可能だ…
だが、松本も絶対に助けねばならぬ者…その苦痛の葛藤を示すようにじっと俯く稲葉を、フミヤは満足げに見遣った。
「このリモコンがアンタの首輪にも対応できれば簡単だったのになぁ。アンタの首輪はただのお飾りだそうだ。当然何も反応などしないと西川の奴が言ってたっけな。」
確かに稲葉にまで通用するのならゲームにならない、それもそうだとフミヤは思う。
「まあ、今まで禁止エリアを回避して回り道したのが、まるで無駄だったというわけか。」
そんなフミヤの言葉に、稲葉は何も答えない。今はそんな事などどうでもよかったからだ。
「とにかく、今のアンタに出来る事は桜井を殺すか、それとも殺されるか、だ。」
「そういう事です。…アンタを殺すのは気が進みませんが、仕方がない。」
ひっそりと答える桜井を、稲葉はじっと見る。
216 :
桜井と稲葉:2005/07/16(土) 22:23:09 ID:4Uqo/imN
「…そうか。…それなら仕方ないな…全ては俺のせいだからな。」
まるで初対面の人物をくまなく観察するように、桜井を伺いながら稲葉は首を振った。
「俺を…殺せ。」
「そう言うと思いました。…だけど遠慮なんてしませんよ。」
銃を持つ手を下げ、完全な無防備状態になる稲葉に、桜井は銃を構えた。予想通りに進む光景に満足するフミヤの前、桜井はそっと首を振る。
「…すみませんね。」
そうつぶやくなり、桜井は躊躇無く稲葉目掛けて発砲した。銃声音と共に稲葉の体は崩れ、ずり落ちたデイバックを抱えるように地面に俯せに崩れる。
「…やったか!?…いや、本当に仕留めただろうな?」
「…狙った通りです。」
相変わらずの無表情のまま、すげなく答える桜井に、フミヤは肩を竦める。
「外したかもしれないだろう?おい、ちゃんとくたばったか様子を見るんだ。下手な事はするなよ、
少しでも妙な行動を起こしたらお前の首は吹っ飛ぶぞ。」
リモコンのスイッチに触れるフミヤに、桜井はうんざりするようにため息を付くと、地面に突っ伏したままの稲葉の方に歩み寄り、様子を覗き込む。
217 :
桜井と稲葉:2005/07/16(土) 22:28:38 ID:4Uqo/imN
「…こと切れています。これで満足ですか?」
「ふん、相変らず冷たい男だな。尊敬する先輩だったんだろう?」
「…尊敬しているからって命をあげなきゃならない決まりは無いですからね。」
ただただ冷たい面で桜井は答えた。
「それとこれは別…か。稲葉も立派な後輩を持ったもんだな。まあいい、おい、桜井。お前は手にある銃をこちらによこせ。」
フミヤの言う通り桜井は何を今更、という表情で銃をフミヤの足元に投げつけた。
「よし、これでお前は俺に手出しはできん。俺の隙を突いて発砲もできないだろう。
お前は稲葉の遺体を仰向けにして、俺の横に廻れ。今度は俺が確認する。いいか、変な動きはするなよ。」
どうせならもっと苦しませて殺せばよかったか、と思いながらもフミヤは桜井を横に稲葉に近づいた。稲葉は固く瞳を閉ざしたままであった。
218 :
桜井と稲葉:2005/07/16(土) 22:33:06 ID:4Uqo/imN
「…なんだ?傷口が無いじゃ…」
稲葉を起こすなり、怪訝そうにフミヤが答えた時であった。
稲葉はいきなり目を見開くと、素早く銃を握ったままの右手を掲げ、フミヤの右手にあるリモコンを撃ち抜いた。
フミヤが驚く暇もなく、リモコンは宙に舞う。これだけの至近距離だ、
絶対に外れる事のない弾丸によって射ぬかれたリモコンは、ショートした電子音を出しながら、地上に落ちる。
「この野郎っ…!」
まったく予想外であった。現に稲葉と桜井は当然、打ち合わせなど出来なかったし、
銃を構える相手に対し銃を下げるという行為は、桜井に殺されてもいいという現れであった。その、死を覚悟した者が咄嗟にこんなことなど出来る筈もないと。
「ったく、物騒な物だな。」
桜井は既に壊れているであろうリモコンに、念を入れるように余った配給の水をかける。
リモコンは感電音と共にバチバチと火花を立ててとうとう静かになり、これで完全にリモコンは使い物にならなくなった。
219 :
桜井と稲葉:2005/07/16(土) 22:45:00 ID:4Uqo/imN
結局、二日続けていつも以上の睡眠をとってしまったken(ラルクアンシエル・G)は二人にもっと休憩して貰おうと見張りを引き受けた。
怪我人である上、精神的にかなりのダメージを受けているkenに、それを任せるのは不安だったのかアキヒト(ポルノグラフティー・Vo)も
ハルイチ(ポルノグラフティー・G)も躊躇したが、やはりこの状況での2、3時間の睡眠では体力的にかなりきつかったのだろう。横になると数分で
寝息を立て始めた。
tetsuからの煙が上がった場合、すぐ対応出来るように、そして何より誰かが現れた時の為、kenは廃屋の壊れた壁の隙間から外の景色
を眺めていた。
降り出した雪はあっという間に地面をうっすらと白く染め、大気をしん、と静寂に包み込む。
だが、kenの心はちっとも静まりはしない。
もう頭の整理がつかない内に、この数日は過ぎていった。
そして最初は信じられなかったこの状況にも、すっかり慣れてしまっていた。
そうならざるを得ない程、kenの前では人が死にすぎていたのだ。
もう、何人の死体を目にしてきただろう。
その中には自分に殺意を向けていた連中もいた。しかし、kenには彼らを憎く思う気持ちは消えうせていた。皆が疑心暗鬼になる。
生き残る為には殺すしかない。そんなルールの前では。
誰も誰かを傷つけるために、武器をとった訳ではないだろう。
玉置成美もTAKUYAもHIDEKIも喜多も、ただ怖かっただけだ。死にたくなかっただけだ。
自分やハルイチやアキヒトと同じ様に。
220 :
桜井と稲葉:2005/07/16(土) 22:52:16 ID:4Uqo/imN
kenの中でのやりきれない思い――憎しみも恨みも怒りも全てソニー事務所へ、ひいてはこのJ-POP音楽業界へと向いていた。
kenは音楽を始めた頃は他のジャンルの音楽に夢中であったし、J-POPへの思い入れは別段なかった。
けれど、この業界に入ってからは、このジャンルに誇りを持とうと、自分達のバンドを大事にしようとそう思った。
自分が将来、ラルクアンシエルというかなり変則的なバンドのリズム部分をtetsuと共に支えていかなければならない事は十分に分かっていた。
だからその期待に応える様にやってきたつもりだ。
演奏だけではない、余計な波風を立たせない様に言動、とりわけMCにだって気を配った。
たまにtetsuとラジオで下ネタで盛り上がったりはしたけれど、それだけだ。
当り障りのない発言をし、慎重に行動する。ファンの喜びそうな発言だって寒さをこらえて言ってみた。
時にはジャニーズ系や芸人みたいに好き勝手言いたい事だってあった。
hydeやtetsuみたいにもっと派手に遊びまわりたい時だってあった(いや、ちょっとどころかかなり遊んだけど)
それでも、自分を押し殺し、ぐっと堪えたのだ。
ラルクアンシエルのメンバーとして、そしてラルクのギタリストとして、恥ずかしくない様に。ファン達の夢を壊さない様に。
それなのに、この業界はあっさりと自分を裏切ってくれた。
何の企みがあるのかは知らないが、こんな人の道を外れた最悪のゲームを行っていたなんて。
kenは思った。ここから逃げ延びて、その後は必ずこの事を世間に知らせる。
そして西川達にはそれ相応の罰を受けて貰う、と。
今後こんなものが、二度と行われる事のないように全てを明らかにする。
ソニーを潰すことになっても、ファン達を裏切ってしまう事になっても構わない。
死んでしまった仲間の為に、それが自分のできる全てだ。
だからここからは絶対に逃げ出してみせる。
その為には――やはり、倒さなければならないのだろうか。
221 :
桜井と稲葉:2005/07/16(土) 22:56:39 ID:4Uqo/imN
殺人鬼、hydeを。
正直、kenはまだ、さっきアキヒトに告げられたことが信じられないでいる。
あの、マシンガン野郎は、hydeだ――
確かにアキヒトはそう言い、ハルイチも沈黙することでそれを肯定した。信頼する後輩達二人の言うことだ、万が一としての見間違いの可能性は
あるが、全く完全な偽情報と言うこともないだろう。
おそらく生き残っているであろう面子から見ても、可能性は高い。
というより、それ以外に当てはまるべき人物がいないのだ。
「hyde……」
だが、何かの間違いだと、kenは思っている。
心のどこか、壊れてしまっている部分はそれを納得してしまっているのに、それでもまだ、kenはあのhydeが、マシンガン野郎だと
言うことを信じられないでいる。
「hyde、どこにいるんだよ………」
kenの体中が、寒さのせいだけではなくぶるっ、と震えた。
222 :
桜井と稲葉:2005/07/16(土) 22:58:46 ID:4Uqo/imN
一応言っときますが、藤井フミヤは主催者側の人間です。
作者タンもつ(´∀`)つ旦~
hosyu
いきなりkenのほうに場面移ってテンションがいっきに下がった
作者さんへ
×ポルノグラフティー
○ポルノグラフィティ
227 :
稲葉vsフミヤ:2005/07/18(月) 15:44:20 ID:+3ct+mqe
「おっと、フミヤさん。動かないで下さいよ。動いたら命は無いですよ。」
前方には起き上がった稲葉が銃を構え、横には桜井が先程捨てた銃を拾い上げ、構えていた。
完全に形勢逆転で今度はフミヤが窮地に追いやられる。
「稲葉さん、よく俺が本気じゃないと分かりましたね。」
「ああ…まったく殺気を感じなかったからな。」
滅多に感情を出さない桜井ではあるが、長い付き合いだ、自分に対して殺意があるかどうかくらいなら感じる事は出来た。
桜井が言葉とは裏腹に殺意が無いと分かった瞬間、稲葉も合わせるように無抵抗の素振りをして、銃を下ろしたのだ。
考えは同じな筈…とりあえずリモコンをなんとかする、それにはかなりフミヤに接近する必要があった。
(まあ、俺の勘違いでなくてよかったな。)
桜井は殺気が無いまま自分を殺すと言い、発砲しようとした。その時に稲葉には桜井の考えている事が分かった、
…発砲した時に殺られたフリをしろと、リモコンが有る限り桜井には何も出来ない…つまり後は稲葉に任せる、そういう事であろうと悟った。
最もこの直感がまったくの勘違いで、本気で桜井が殺そうとしていたとしたら勿論、自分の命は無かっただろう。だが、それでも稲葉は手を下げた。
228 :
稲葉vsフミヤ:2005/07/18(月) 15:49:29 ID:+3ct+mqe
「どうせならフミヤさんをそのまま殺せばよかったのに。」
淡々ながらも馬鹿にする言葉を吐く桜井に、フミヤは忌忌しげな視線を送る。
「…そんな危険な事が出来るかよ。」
それは出来なかった。フミヤを狙うとすれば秒殺以外は許されなかった。
あれほどの至近距離だ、かなりの確率で秒殺は可能だったかもしれないが、万が一に致命傷程度のダメージだった場合、
最後の力でフミヤがスイッチを押すかもしれなかったからだ。桜井の身を最優先に考えた場合、フミヤではなく、狙いはリモコンのみでしかなかった。
「この野郎…どこまでも…」
なめやがって…フミヤは憤怒の表情で歯ぎしりをする。
「怒る余裕があるんですか?これで2対1になりましたよ。」
冷静な口調で答える桜井は、フミヤに銃を向けたまま嘲笑う。
桜井の言葉通りであった。これではあまりに不利である。フミヤは稲葉の方を向くと、あえて挑発的な視線になる。
229 :
稲葉vsフミヤ:2005/07/18(月) 15:55:29 ID:+3ct+mqe
「稲葉くん、アンタと桜井の二人を相手にする気はない。あきらかにこっちが不利だしな。
どうだ?こうなったらサシで勝負しないか?銃撃戦ではなく、ナイフでだ。一対一の勝負というわけだ。」
「何を今更。稲葉さん、こんな阿呆な申し出には…」
「…いいだろう。」
即座に答える稲葉に桜井は口をポカンと開くと、呆れた視線を送った。
「…アンタって人は…」
本当に馬鹿だな、とため息を付いた。反対にフミヤはさらに憎々しい、というべき表情で稲葉を見ると、軍用ナイフを稲葉の足下に投げつけた。
「…ルールは簡単だ、武器はナイフのみ…どちらかがくたばるまで戦う一対一の勝負だ。」
ナイフを構えるフミヤを確認すると、稲葉は頷きながらもナイフを拾い上げた。
(なるほど…正攻法ねぇ。)
正々堂々の勝負…という方が稲葉も色々考え、情けを起こす可能性もある。桜井は上手い手を使うもんだと、頷く。
230 :
稲葉vsフミヤ:2005/07/18(月) 16:02:45 ID:+3ct+mqe
「…分かった。桜井、お前は下がってくれ。」
「言われなくても。もう巻き込まれるのはごめんですからね。」
桜井はトンネルの入口に身を任せながら、遠方から稲葉とフミヤを見遣る。
卑怯な手を使うならば稲葉も容赦はしないであろうが、正々堂々の勝負ならばそれに応じて甘くなることは請け合いだ…
それを考えると稲葉の方が不利ではある。
(ったく…もう知らないですけどね。)
あんな事までされてもまだ真面目に向おうとする稲葉に、桜井は舌打ちする。
自分の撒いた種なのだから不利でも何でも自分でなんとかしろと。
「…フミヤさん…まさかお前とこうして戦うことになるとは…」
「そうかな?俺は昔からアンタが嫌いだった。」
「…俺はあなたに何かやったのか?」
「ああ、アンタは謙虚だよ、実績をひけらかしたりもせずお偉い大スター様だよ。
ロックたるものこうでなきゃとも能書き垂れることもなきゃ、努力をアピールしたりもしない、まったくご立派なもんだ…ビーイングの良心と表されて満足か?平成のロックスター様は。」
憎々しい形相で毒を吐くフミヤを稲葉は呆然と見つめる。生まれて初めて他人にここまで憎悪を示されたのだ、しかも理由がさっぱり分からないのがさらに呆然とさせる。
231 :
稲葉vsフミヤ:2005/07/18(月) 16:10:59 ID:+3ct+mqe
「…まあいい。これからアンタを殺せると思うと気も晴れてきたしな。さあ、来いよ!血祭りにしてやる!」
向こうは本気で勝負を挑んでいるのだ、こちらも本気で答えないといけない…稲葉は、意を決するようにもう一度フミヤを見るが、驚くように目を見張る。
「…フミヤさん…」
さらに稲葉はフミヤを見ると、なんともいえない表情で名をつぶやく。それでもすぐに表情を元に戻すとフミヤから二回り程離れてしまった。
(何やってんだ、稲葉さんは…いきなり逃げるなんて。)
驚き、身を乗りだす桜井の前、稲葉はさらにフミヤから遠ざかる。
「どうした?来いよ!それとも所詮はノミの心臓か?」
フミヤは稲葉目がけてナイフを握ったまま突っ込んだ。稲葉は素早くかわすと再びフミヤから離れる。
そして注意深く様子を探るように間合いを取った。
「この憶病者!マトモにやり合う事もできないのか!」
フミヤは稲葉を向わせようと挑発するが、稲葉は向かい合うどころかフミヤからさらに逃げるように凄い勢いで後方に走ってしまう。
(ったく、何考えてんだ、稲葉さんは…早速、フミヤに情けが出たのか?)
戦わずしてあの建物に入る気なのか…と桜井は舌打ちする。
232 :
稲葉vsフミヤ:2005/07/18(月) 16:16:58 ID:+3ct+mqe
「逃げるつもりかっ!」
そうはさせんとフミヤは獰猛に真っすぐに稲葉を追いかける。そんな時だった。
「フミヤっ!」
今まで背を向けて逃げていた稲葉は、ゾッとするような剣呑な表情で振り返ると、
かなりの遠方から…15m程先から手に持っていたナイフを、フミヤ目がけて勢い良く投げつける。
「…!!」
勢い余ったフミヤは足を止めるのが精一杯だった。稲葉の投げたナイフはフミヤの心臓付近に、思いきり深々と突き刺さった。
フミヤはゴボリと血を吐く…それは致命傷を負わせたという現れであった。
「ぐっ…」
たまらずフミヤは膝を付く。稲葉は肩で息をしたままじっとフミヤを見つめる。
イチかバチかの賭け…外してしまったらもう勝ち目はなかったであろう。
振り返る一瞬で狙いを定める…わずか一瞬での判断、己の集中力に全てを賭けた。
大舞台の残り1曲を思い出すように…稲葉にはそこまで危険な賭けをしなければならなかった理由があった。
稲葉は悲しげにフミヤの懐からカラン、と落ちたその理由である小型デリンジャーを見つめる。
233 :
稲葉vsフミヤ:2005/07/18(月) 16:24:35 ID:+3ct+mqe
「…気…が付いていたのか…」
息も絶え絶えなフミヤに稲葉は何も答えない。
フミヤがサシで勝負だと言ったものの、密かに内ポケットにデリンジャーを忍ばせていたのを、
稲葉は勘付いていた。小さなデリンジャーならばかなり接近しないと発砲する事は難しい…
それ故にフミヤは稲葉に挑発し近づこうと試み、稲葉は絶対に近づかないように逃げ、
イチかバチか遠方からナイフを急所に突き刺すことしか道は無いと悟ったのだ。
「…意外に…いい…コントロールだ…なんで…」
稲葉が復活さえしなければ自分はこんなことに…フミヤはもう一回大きく吐血して、
とうとうガクリと体を揺らすと地面に崩れ落ち、息絶えた。稲葉は無言のままフミヤを見下ろす。フミヤの卑怯な手を責めることなどできなかった。
「…まさかデリンジャーを持っていたとはね。…よく気がつきましたね。」
歩み寄る桜井に、稲葉は振り返る。
「…向かい合った時、フミヤのスーツのシワが不自然な感じだった。
内ポケットに何かあると気になって、まさかと思いながら観察していたら…フミヤが少し動いた時に、クッキリと銃のラインが出るのが見えたんだ。」
「…アンタも十分に怖い人ですね。」
昔からそうであったが、これほど普段とステージに立った時の差の激しい人はそういなかった。
イザという時の集中力と鋭さはこんな時にでも発揮するもんだ、と桜井は多少の畏怖の念を込めて稲葉を見る。稲葉は地面に崩れたフミヤの遺体から目を逸らすように、首を振る。
234 :
稲葉vsフミヤ:2005/07/18(月) 16:29:16 ID:+3ct+mqe
「フミヤさんの事を嘖む時間は無いでしょう?早く松本さんの所に行ったらどうです?…
さすがに俺もそこまで付いて行く悪趣味さはありませんからね、ここで本当にお別れです。」
「桜井…」
なんとも言えない表情になる稲葉に、桜井は肩を竦めた。
「だから、感動の別れのシーンなど演じる時間なんてないでしょう?俺はもう行きます。
こんな場所に居ても仕方ないですしね。」
稲葉に言葉を出す隙さえ与えないように、桜井は背を向けるとゆっくりと歩きだす。
稲葉はほんの一瞬、桜井に手を伸ばそうとしたが、吹っ切るように建物の方を見ると、振り返る事無く全速力で建物目がけて走り去って行った。
「………。」
気配が無くなったのを感じると、桜井は足を止め、振り返る。そして微かにしか見えなくなった稲葉の後ろ姿をじっと見送った。
作者さん乙
残り何人ですか?
思いつくのが
稲葉、桜井、アキヒト、ハルイチ、hyde、ken
松本が気になる…生きててくれ( ´Д⊂
>>237 ああ、そっか。
そういえば松本もまだ生きてるんだっけな。
稲葉、松本、桜井、アキヒト、ハルイチ、hyde、ken、長瀬
の8人?
239 :
生存者:2005/07/19(火) 19:04:12 ID:6W/hmREP
hyde アキヒト
桜井和寿 ハルイチ
稲葉浩志 松本孝弘
長瀬智也 ken の8人
240 :
謎のメッセージ:2005/07/19(火) 19:06:09 ID:6W/hmREP
ここはhydeとHISASHIの激戦の跡地。
暗闇の中、HISASHIが所有していたパソコンが、うっすら光を放っていた。
『こんにちは、僕ジョーカー。
僕、ついさっき死んじゃったんだ。殺した奴?
hydeっていう暗そうな奴さ。本当にムカつくよなー。
だから、これからそいつを殺りに行くんだ。
大丈夫さ。僕もう死んじゃってるから、あいつは僕を殺せない・・・・
フフフ、あひゃひゃひゃひゃぁぁぁーーーーー』
というメッセージが自動でコピペ荒らしのように連続で書き込まれている。
そして、なぜか横で倒れているHISASHIの死に顔が笑みの表情を浮かべていた。
241 :
エーベックス編:2005/07/19(火) 19:14:24 ID:6W/hmREP
闇に包まれた夜の街を黒塗りの高級車が疾走する。スモークガラスに覆われて、外から中の様子を伺い知ることは出来ない。
その車の後部座席で悠然と構えていた男はふと、振り返った。その視線の方角、その先にはついさっきまで自分がいた邸がある。
闇の中で、ライトアップされる新しい建物。
彼は、そこの主だった。
男、井上陽水はゆっくりと向き直り懐から携帯電話を取りだした。
ボタンを押して1回…2回…きっかり3回目の呼び出し音が終わった後、相手が出た。
「そうか、もうそんなところまで…。いいね、ほぼ理想的な展開じゃないかね。予定通りいけそうじゃないか」
「…そうか。では、いよいよ……か」
「分かった。いや、ちょっとエーベックスに用事があってな……」
シンプルながら品のいい調度品に彩られた車内で、短い会話を終えた陽水は端末を置くとすぐさま別の番号を押し、幾つかの簡潔な指示を出した。
数刻後。某港から、なにやらトラブルが発生したとかでしばらく足止めを喰っていた貨物船がゆっくりと出航していった。
その船の乗員は船乗りにしてはいささか目つきが鋭すぎたし、何より貨物船というにはいささか物騒な荷物が積み込まれていたのだが−。
その事に誰も気づかぬまま、何事もなく貨物船は沖へと進んでゆき、そして港からは完全に見えなくなった。
242 :
エーベックス編:2005/07/19(火) 19:21:44 ID:6W/hmREP
安室奈美枝の手には暴徒鎮圧用の麻酔銃の一種があった。
万一のためと渡されていたあまり使いたい代物ではなかったが、仕方がない。
少し遅れて大塚愛が飛び出してくる。
「安室さん!・・・浜崎さんは!?」
「眠らせただけ。効果はしばらく続く・・・」
「可哀想なコトしてもうたな」
松浦勝人が呟くように言う。
「・・・わたしの責任です」
僅かな隙のことだった。ほんの少し、目を離した隙に浜崎は堀江社長を閉じこめた小屋へ行ってしまっていた。
自分が油断しなければ、いつものようについていれば、避けられた事態だった。もし大塚が気が付いて追っていなかったら・・・。
「あんまり自分を責めんでええ。いずれはなんかの形で彼のことは知らせにゃならんかった。 ・・・あれはどうした?随分早かったやん」
あれ、と言うのがホリエモンの死体であることに大塚が気が付くのに、少しかかった。
243 :
エーベックス編:2005/07/19(火) 19:29:33 ID:6W/hmREP
「すでに準備はしておきましたので、物を入れるだけでしたから」
さらっと安室は言ったが、それでは既に堀江を始末するくらいのつもりではいたかのようだ。
用意がええな、と言わんばかりに軽く肩をすくめる松浦と、殆ど表情を変えない安室を見比べ、大塚はふっとうそ寒さを感じた。
数日前に、「浜崎がソニーの連中に目をつけられている」と聞いたときは何のことかと思った。
「万一のためだ、出来るだけ、浜崎についていてやってくれ」と言われたとき、なんだかゲームみたいだと思いさえした。
だから、少し面白く思ってさえいた。映画のボディガード?なんて感じで。
だが、堀江の銃は本物だった。僅かに焦げた髪がそれを証明している。
あの時は捕らわれていた浜崎を助け出すという一心であのボールを放ったが。もし、遅れていたら自分は死んでいただろうし、浜崎も・・・。
それに、「プログラム」の話。あれはいったいなんなのか。ソニーの歌手同士の殺し合い?なんでそんな事を?無茶苦茶な話だ。
大塚は混乱した。ホリエモン。本物の銃。プログラム。殺し合い。
なによりも、わたしは今、何を見て居るんだろうか。
244 :
エーベックス編:2005/07/19(火) 19:34:45 ID:6W/hmREP
平然と、死体の始末のことを、まるでゴミでも片づけたかのように喋っている二人。
ぐったりと目を閉じ、まるで死んだように眠らされている浜崎。
異常な光景であった。
やがて、安室が浜崎の体を抱き上げた。
「・・・部屋へ連れて行っておきます」
「待てや。浜崎は最上階の部屋に移す」
松浦が安室へ鍵を渡した。
「真ん中の部屋や。あそこやったら足がかりもないから、窓から逃げ出す言うのも出来んやろ。鍵は付け替えて中からも鍵無しで開かんようにしてある」
安室は鍵を受け取り、頷いた。
「浜崎さんをどうするんですか?」
大塚は思わず聞いた。
「話は聞いたやろ?・・・しばらく浜崎は外へ一歩も出せん。お前にも協力してもらわなならんやろな。
まあ、まだ気が落ち着いとらんな。ゆっくりして来ぃや」
大塚は呆然と、部屋へ戻る松浦と、浜崎を抱き上げて去る安室を交互に見た。
245 :
エーベックス編:2005/07/19(火) 19:38:19 ID:6W/hmREP
変だよ、こんなの。なんだかおかしいよ。
さっき聞いた話から、ソニーでとんでもないことが起きていることは判る。
松浦さんや安室さんが、浜崎さんをそれから守ろうとしてることも判る。
けれど。
そのために、ソニーの歌手を見捨て。
浜崎さんの恋人を見捨て。
人の死体をまるでゴミか何かのように扱い。
守ろうとする浜崎さん自身さえも。
理屈は判るのだけれども。
けれど、何か、普通ではない。
・・・・なんだ。
ここだって、同じだ。
大塚の顔に、昏い笑みが浮かんだ。
ここにも闇は潜んでいる。
乙。ところで時間帯はいつになってるの?季節は冬だよね?
247 :
名無しのエリー:2005/07/21(木) 12:12:11 ID:AsTb357O
カッチャンってどこで死んだんですか?
249 :
同盟:2005/07/21(木) 13:47:34 ID:wlkuU8/s
緩い斜面を吹き下ろす風に混じった意外な匂いに、長瀬智也は思わず風上を仰いだ。
固形スープかなにか、そういう匂いだ。普通に考えればごくありふれた匂いなのだが、いまこの場ではたとえば血か硝煙ならそちらの
ほうがずっと当たり前に思えるだろう、まったく忌々しい話だが。
ともあれ煮炊きをしているというのはつまりそちらに間違いなく誰かいるということだ。
誰か――敵が、殺すべき相手が。
理性のレベルではよくもこんなときに呑気に調理などする、と皮肉めいた感想を抱いたのだが、もっと奥深いところでは全く別の感情が
動いた。
このくそ下らないゲームが始まって以来、あまりに多くが死に過ぎている、親友すらもはや生きてはいないのだ。
人間らしさとおよそかけ離れたこの状況ゆえの、端的に表現するなら人恋しさだった。
どちらに従うにせよ、長瀬の選ぶ方途はただひとつしかあり得なかった。
匂いの源を辿る、探し当てる。その先を具体的に想像はできないが、きっとこの手は引き金を引くのだろう、というある種の諦めが胸中を
よぎる。
なにしろ稲葉浩志(Bz・Vo)と遭遇し、そういう結果になってからまだ幾らも経ってはいないのだ。
苦い笑みの残滓を口元に留めたまま、長瀬は道を逸れ、茂みを分けて斜面を登り始めた。
大した距離も進まぬうち、丘の頂上近くへ至った長瀬の前に、草木に埋もれるようにして建っている荒ら屋が現れた。
道も消えているし棄てられてかなりの時を経るのだろうがまだ家の形はしている。
そちらへ近付きかけて、長瀬は足を止めた。
膝下あたりの高さに、糸が引かれているのに気づいたからだ。
250 :
同盟:2005/07/21(木) 13:52:20 ID:wlkuU8/s
下生えに紛れるように張られたそれは明らかにトラップワイヤーと見えた。
廃屋をぎりぎり視認できるまさに絶妙の位置、建物に意識のおおかたを割いて迂闊な一歩を踏み出せば見事に引っかかるという寸法だ。
トラップといっても地雷か手榴弾でも支給されたのでなければ長瀬自身がかつて仕掛けようかと考えたそれがそうであったように
鳴子どまりだろうが、わざわざ引っかかって確かめるほど馬鹿な話もないだろう。
認識してさえいればトラップ自体を避けるのは容易いが、そのあとはどうなることか。
待っている相手は偶然頼みで今までを生き延びたわけではない、それなりの意思と能力とを備えているのに違いなかった。
長瀬は左手を後ろに回し、右手にぶら下げているデイパックの中身を確かめた。
デイパックの中には様々な道具――それは、人を生かす物もあれば殺す物もある――が入っている。使い方さえ上手くやれば、最期まで
立っていられるのは自分だけなのだ。
唇を引き結んで長瀬は顔を上げ、廃屋の方を睨んだ。
とうに覚悟は決まっていたはずなのに、踏み出すまでには若干の時間が要った。
その足も三歩目には下生えとは異なる感触の抵抗を感じて止める羽目になった。
張られた糸、二段構えの警報装置。
考えていた以上に容易ならぬ相手なのだと長瀬が思い知ったと同時にどこだろうか少し離れたところでがらん、と音がした。
「誰だッ!」
間髪入れず鋭い声が響く。マシンガンを握ったken(ラルクアンシエル・G)が姿を見せた。
251 :
名無しのエリー:2005/07/21(木) 13:53:56 ID:KbAI3VV/
よく、そんなに描くね。
本でも出版したらどうでしょう。
うおお初めてリアルタイムに立ち会った
作者さん乙!!
253 :
同盟:2005/07/21(木) 14:01:26 ID:wlkuU8/s
意外と細身の体躯を覆う衣装はかなり傷んでいるしその下からは包帯らしき白色が覗いている。
kenはさっと首を巡らせて、長瀬の視線とぶつかったところで止めた。
「長瀬……?」
kenは拍子抜けしたような声で呟いた。妙な反応だ。
だがそんなことはどうでも良かった。空き瓶にアルコールを詰めた即席の火炎瓶をそちらへ向ける。
早口にkenが声を張り上げた。
「待って――待ってくれ! 俺達、殺し合う必要なんかないんだ!」
今更何を言っているのか、長瀬はそう思った。
それに――もしお前にないとしても俺にはある。国分との約束が――
その思いに突き動かされるまま、長瀬は火炎瓶に火を付け、狙いを定めて投げつけた。
しかし激しく蒼い炎を吹き上げる火炎瓶は柱の古びた肌にぶつかって砕け、瞬時に赤い炎へと姿を変えてむなしく柱を燃やすのみに
留まった。
素晴らしいとしか言いようのない反射神経でkenは柱の陰へ引っ込んでいたのだ。
「ちょ……長瀬ッ!」
しかしkenはすぐにまた顔を出した。声が続く。
「脱出できる方法があるんだよ!」
世迷い言を、と再び2個目の火炎瓶に手を掛け、けれど長瀬はそれを止めた。
254 :
同盟:2005/07/21(木) 14:08:29 ID:wlkuU8/s
HIROKI(オレンジレンジ・Vo) とRYO(オレンジレンジ・Vo)を思い出したのだ。彼らが展望台で呼びかけを行ったのは―― そして誰の
応えも得られぬまま命を落としたのは、もう遠い昔のように思えるがしかしたかだか二日前のことだ。
kenの言葉は彼らに似ていた、その事実のもたらした感傷が長瀬をためらわせた。
しかし躊躇の生んだ間に、長瀬の理性は彼らとkenの決定的な相違に気付いた。
『脱出できる方法がある』、kenはそう言ったのだ。
kenはすでにマシンガンを引っ込めていた。長瀬が撃たないことに力づけられた風に続ける。
「ここから逃げ出せるんだ、逃げるって言ったら聞こえは悪いけどこんな腐れゲームのルール、馬鹿正直に守るこたない。だから」
「……だから?」
反問しながら長瀬はデイパックの中に突っ込んでいた左手をそっと出した。
この話は聞く必要がある、kenが本気で言っているのなら。具体的な方法次第では、優勝を目指すよりも合目的的であるかもしれない
のだ。長瀬にとってはもとよりこのゲームの優勝は手段であって目的ではないのだから。
長瀬が聞く素振りを見せたためだろう、kenは目に見えて安堵した様子で言葉を継いだ。
「俺、アキヒトと一緒にいるんだけど――そのアキヒトが、裏をかく方法を知ってるんだ。ゲームのシステムの、穴を
利用するんだ」
それは全く具体的でない物言いだったが、看過できない情報を含んでいた。
255 :
同盟:2005/07/21(木) 14:14:49 ID:wlkuU8/s
「アキヒト…さんも、一緒なんですか」
「そうだ、それと、ハルイチも」
その言葉を待っていたようにその二人が姿を見せた。
いや、待っていたようだったのは正しくない。
二人とも、仕方なくといった様子が見て取れた。
その無表情や手にある銃はワイヤートラップの印象とすんなり結びついた。銃口は長瀬に据えられていたのに違いない。デイパックから
手を引っ込めるのがいま少し遅れたなら火を噴いてさえいたかもしれなかった。
「それで――脱出の方法というのは」
アキヒトに向けて訊ねながら、長瀬は三人を見比べた。
やりあうことを考えるなら、三人という相手の数がそもそも問題だった。ハルイチは動けるのが不思議なくらいの深手を負っているにもかかわらず
その目は殺気を帯びているし、何せアキヒトは前ソニープログラムの優勝者だ。仕切り直せたにせよ不意を打つのは難しく、果たしたとしても全員を殺して
のけてなおかつ自分が殺されないというのはほとんど不可能だろう。
つまり――それでは元の世界に帰れないのだ。
折角国分の“約束”も、生かすことが出来なくなる。だったら――
よほどでなければこの話に、一口乗せてもらうよりほかない。
「悪いが、今はまだ詳しくは話せない」
意外でありまた奇妙でもある答えに長瀬は目を瞬いた。
これは一体……どう判断するべきだろうか?
「敵を欺くにはまず味方から、というだろう? お前さんも味方に数えてるってことさ」
冗談めかして言いながらアキヒトは、自らの首に填められた銀の輪を指し示した。
256 :
同盟:2005/07/21(木) 14:19:18 ID:wlkuU8/s
なるほど、と思わず言葉に出ていた。
このいやらしい首輪には発信器やら爆弾やらいろいろ仕込まれている、ついでに盗聴器の類も積んである。
長瀬は勿論その事を知っているし、経験者であるアキヒトもその事を熟知しているのだろう。
脱出にはシステムの穴を利用すると確かkenはそう言った。間に合わせでもそれを塞がれるとまずいということなのだろう。
というより、まさか、アキヒトの考えていることは――
そこまで思い当たって、長瀬は急にはっとしたように頷いた。
「じゃあこれだけ、聞かせて下さい。……可能性はあるんですね?」
「――確実とは言えないが、それなりの成算はある」
アキヒトの瞳は真摯な色を湛えている。嘘や出任せにはとても見えなかった。
とはいえ、これは長瀬にとって大きな賭けだ。
「……………」
暫く瞑目して悩んでから、長瀬は目を開いた。
どちらにせよ、手を取らないのなら、どちらかが消えなければならないのだ。
だったら、より可能性のある方に掛けた方が、お互いのためというものではないか?
「……先刻は、すいませんでした」
言いながら長瀬はkenへ右手を差し出した。
kenの顔がぱっと輝く。がっちりと手を握り合って、これで同盟の成立だった。
257 :
同盟:2005/07/21(木) 14:23:38 ID:wlkuU8/s
今現在の時刻
3日目 7:00〜11:00
ほしゅ
作者さん乙
259 :
爆発:2005/07/23(土) 14:49:59 ID:3nCcNp0o
「…やっと。」
やっとここまで辿り着いた。比較的新しく出来た物らしいコンクリートの建物…松本がいるであろう建物を、稲葉は見上げる。
だが、感慨に耽る暇もない、あと10m程で辿り着く…逸る思いでさらに加速しようとした時であった。
「…え?」
建物が一瞬、揺れ動いたように見えた…思わず稲葉が足を止めた瞬間であった。
「ーー!!」
激しい爆発音と共に、凄い突風が稲葉を襲い、その体は数メートル程吹っ飛んだ。
飛んできた瓦礫達に体をしこたま打ち付けられながら、地面を転がる。
「……あ。」
尻もちを着いたまま、稲葉は視界に広がる光景に固まる。今まであった建物は四方散らばり、その瓦礫達は稲葉の周りにバラバラと落ち行く。
そして瓦礫達の中に混じって落ちてきたもの…松本の体は稲葉の腕に振り落ちるように、叩きつけられた。
「…松本さんっ!」
「…い…いなば…」
以前からの傷だけではない、爆風にやられた傷は所々に骨が見える程に惨いものであった。
260 :
爆発:2005/07/23(土) 14:56:34 ID:3nCcNp0o
「しっかりしろっ!くそったれ!誰がこんな…」
「……いきなり…爆発して…」
松本は火傷の跡が色濃く残る顔を引きつらせながら答えた。
「喋るな!…今助けて…」
「…すま…ん…」
「辛抱しろよ。もうすぐこんなとこから脱出できるから…」
そう言って稲葉はデイバックを開けるが、松本の予想以上の酷い状態…よくこうして生きていられるという程の惨い姿に息を飲む。
だが、大丈夫だと言い聞かせるように中身を取りだそうとする。
「…俺のために……」
松本は稲葉の手を制すように、動かすのさえ困難な手を微かに上げる。
「…全部俺が悪いんだ…あなただけは絶対に死なせない…それだけのために…」
仲間を殺した、そして仲間を見捨てようとしている。だが、自分の良心など問題ではない、いや、ある意味良心の為にこの松本だけは何としても助けなければいけないのかもしれない。
「ありが…とう…迷惑…ついでにもう一つ…お願いがある…稲葉は…生きてくれ…俺と同じ事にはならないで…」
「馬鹿言うな!」
「稲葉…でも…また会えて…よかった…会うまでは…死ぬわけに…いかなかった…から…」
「いいから…喋るんじゃない。」
261 :
名無しのエリー:2005/07/23(土) 14:57:24 ID:YspzORp2
作者さんガンバレ
262 :
爆発:2005/07/23(土) 15:01:48 ID:3nCcNp0o
稲葉は松本をじっと見据えたまま、低い声色で答えながら応急処置を試みようと、腕を掴もうとした。だが、ズルリ、と滑るようなその感触に目を見開く。
「…酷いでしょう…これじゃ…もうギターをひくことはできないかな…」
「松本さん…」
「…稲葉に…迷惑かけちゃって…これも…天罰かね…でも…もう一度だけ…」
言いかけた松本は微かに笑ったまま稲葉に腕を伸ばすが、パタリと地面に手のひらを落とし、カクリと首を擡げる。
「…松本さん?…松本さんっ!」
稲葉は松本を激しく揺するが、もう松本は何の反応も示さなかった。
稲葉は何が何だか…この状況が把握出来ないように瞳を見開いたまま、呆然としていた。
だが、かすかに温度のある松本の遺体…閉じられたその瞼を認識してしまったその時…
稲葉はガクガクと震えながら、悲鳴にならないような悲鳴を上げる。…松本の命はもう消えてしまった、その現実だけが稲葉を襲う。
眼球の白い部分に赤い血線がクッキリ浮かび上がる程に目を見開いたまま、さらに震える。
263 :
爆発:2005/07/23(土) 15:09:53 ID:3nCcNp0o
「…俺は…玉置成美を…藤井フミヤを…」
殺してしまったのだ。何が何でも松本だけは助けなくてはならなかった、そのために殺したのだ。
だが、その松本が消えた今、仲間殺しという堪え難い罪と、何よりもまたも松本を結局は二度も死なせてしまうという、
一番惨い終りに巻き込んでしまった…それらは一気に稲葉の精神を侵食する。
「………。」
もう十分であった。稲葉の瞳はみるみる精気を失い、もはや言葉さえ発する事もできずにダラリと手を下げた。
松本の死と、己の堪え難い罪が一気に襲ってきた精神はもう消えてしまうしかなかった。まったく動かなくなった表情は、精神の停止を表していた。何を憂うも、思う事もその精神は拒絶する。
「…!稲葉さんっ!これは…」
爆発を見た桜井が、息を切らしてやって来る。そして尋常でないこの光景に暫し絶句する。
だが、灰色の瞳のまま松本の遺体を預ける稲葉を見るなり、こちらの方がただ事でないと桜井は稲葉の肩を揺する。
「稲葉さんっ!しっかりして下さい!」
だが稲葉は何も答えない。そしてその表情はもう廃人そのもので、桜井は戦慄くように目を見張る。
264 :
爆発:2005/07/23(土) 15:15:34 ID:3nCcNp0o
「…稲葉さん。くそっ!」
桜井は数発、稲葉の頬を叩くが、それでも何の反応は無い。…どうして稲葉がこうなったか…容易に想像は付く。
…この事態に耐えるのは稲葉にとって堪え難いだろう。だが、そんな事は認めないというように、桜井はさらに肩を揺さぶった。
「いい加減にして下さいよ!…アンタって人は…」
殺されるわけでも、自害するわけでもない、精神の停止という形の終焉…考えた事も、考えたくもない最悪の終焉など冗談ではない。暫くして桜井は稲葉の肩を掴んだまま俯いた。
「…本当にアンタと関わるとロクな事がない。」
だがもうそれにさえ稲葉は答える事は出来ず、ぼんやりと視線を宙に浮かせたままであった。
「…これはもう…」
自分の知ってる稲葉ではない。もはやただの廃人だ。
「…まあ、最初に裏切った時から決めていた事ですけどね。」
桜井はじっと俯いたまま、寒気のするような声を出す。この人だけにはみっともない終焉だけは迎えさせない、その為なら場合によっては…
「このままその朽ちた姿を晒させる位なら…俺が終わらせる。」
とにかくもう一秒たりともこんな姿など見たくはない…桜井は何の感情も無いような表情で、ゆっくりと顔を上げると、銃口を稲葉の頭に押し付ける。
「……。」
だが指は動いてくれない。…桜井はまだ残る自分の甘さに舌打ちする。そんな時であった。
265 :
爆発:2005/07/23(土) 15:25:54 ID:3nCcNp0o
「待て!」
大勢の足音が聞こえ、桜井は振り返る。
そこには重装備に例のリモコンを持つタマ(ポルノグラフィティ・Ba)と、背後には銃を構える護衛が立っていた。
「…やっぱり…こうなってしまったか…」
虚ろな視線のままの稲葉に、タマは首を振る。
「…爆発させたのは上の指示です。…どのみち松本さんを生還させるわけにはいかない、プログラム違反になりますからね。
稲葉さんが辿り着く寸前で爆発せよと、稲葉さんがここまで辿り着けるか見届ければ済む話だと…俺も稲葉さんに耐えられる筈無いと止めたんですが…」
「…だから何だというんだ。」
そんな話などどうでもいい、桜井は冷たい目でタマを見る。
「稲葉さんをどうする気だ?もう役にも立たないだろう?」
「…本部に連れて帰ります。稲葉さんを連れてこいとの命令です。まあ、上はこうなるとは思ってもなかったでしょうが。」
「こんな廃人をか?もうこれは何も考えられないし、何も出来ない、それを…」
「…命令は命令です。様子を見るかもしれないし、処分するかもしれない…それでも連れて帰ります。」
266 :
爆発:2005/07/23(土) 15:31:33 ID:3nCcNp0o
桜井はじっと抜け殻になった稲葉を見るが、ふいに癇癪を起こすようにタマにその体を投げつけた。
消えた精神は当然、動く事もできず稲葉の体はタマにドシン、とぶつかり支えられる。
「…勝手にすればいい。…こんなのどうなろうが知ったことか。」
稲葉の体からズリ落ちたデイバックを、桜井は冷たい面のまま拾い上げる。
「…ま、これくらいの物は頂かないとね。」
まるで機械音のような声色で、桜井はつぶやく。
「…なるべく精神を回復させる方向に運ぶようにしますから…」
「だから勝手にすればいい。これがどうなろうがもう関係無い。むしろこれを持っていってくれた方が清々する。」
稲葉をこれ呼ばわりする桜井に、タマは何とも言えない視線を送ると、稲葉を背後の者達に預ける。
「…あと松本さんも持って行け。…ついでだからな。」
ある意味一番酷い目にあった歌手かもしれない…そう思うと、ここで野ざらしにさせるのはあまりに不憫だ…せめてきちんと埋葬しようとタマは指示する。
「…とにかくそれをさっさと持っていってくれ。…一秒たりとも見たくない。」
背を向け、吐き捨てるように言う桜井にタマは小さく頷いた。
267 :
爆発:2005/07/23(土) 15:37:26 ID:3nCcNp0o
「…桜井さんはどうして欲しい?生かして欲しいのか、殺して欲しいのか…」
「どうでもいいよ。…勝手にすればいい。」
「…分かりました。おい、稲葉さんを運べ。」
タマは桜井から背を向ける。連れの者達は松本の遺体を抱え、歩く事さえ出来ない稲葉を両サイドから肩を貸しながら、
引きずるように歩き出し、タマと共に船に乗り込むべく去っていった。
「……」
足音が聞こえなくなっても、桜井は振り返らなかった。体を細かく震わせたまま、拳を握る。
…怒りなのか、何なのか分からないが、とにかくこんなに不快な気分は初めてであった。
「本当に…なにもかも下らない。」
この言いようのない不快感に桜井は舌打ちする。
「…本当に…どいつもこいつも…不愉快だらけだ。」
何に対してこんなに不快なのか…稲葉に対してか、また稲葉を壊したソニーにか、
そしてこの下らないゲームになのか…理由などどうでもいい、ただただ不快なだけであった。
桜井は自嘲気味に笑い、辺りの景色を見遣る。この景色でさえ不快に思えてくると、桜井はゆっくりと歩き出す。ただ冷たい、無機質な表情で。
作者さん乙!!
稲葉・・・・・・
269 :
爆発:2005/07/23(土) 15:39:08 ID:3nCcNp0o
残り6人
まっ、松本さ…( ´Д⊂
爆破リスペクト乙!
272 :
名無しのエリー:2005/07/23(土) 22:04:15 ID:TK+4Aku6
やっと追いついた…
結構前のことだけど大塚愛がスマイリーボールでホイエモンに投じた
140qの直球には誰も突っ込まないんだなWWW
嗚呼…どうなるんだ…
274 :
名無しのエリー:2005/07/24(日) 16:53:21 ID:iarWhZRE
作者タン今日はマダー
275 :
名無しのエリー:2005/07/25(月) 13:07:06 ID:/wjHYfcj
今から風俗行かんないけんけ作者タンはやく
276 :
ノート:2005/07/25(月) 18:26:17 ID:m/Y3FlBN
桜井和寿は崖の上からじっと海を見ていた。一艘の船がゆっくりと進み行くその光景を何の表情も無く、ただ見ていた。
これからあの船は…稲葉は悪鬼達の元に返還されるのだろう。あの稲葉を見たあいつらは、どう判断を下すのか…
「まあ…どうでもいいことだ。」
一人の廃人がどうなろうが構うものか、桜井はそれでもその場所を動く事無く、ただ船を見る。船は徐々に霞んでゆき、やがて桜井の視界から、水平線からその姿が消えた。
桜井は完全に船が消え去った海を暫し眺めながら、手にあるデイバックを固く握る。
「…無駄な時間を喰ってしまったな。」
馬鹿馬鹿しい時間を取ってしまった…桜井はその場に座り込むと、不快をくすぶらせたまま、稲葉の持ち物を整理し始める。
それぞれほんの小さな小瓶ばかりであったが、聞いた事も無い薬品も多かった。そして底にあった小さなノートを発見すると、ページを開いた。
「なんだ…心情綴ってる暇あったら少しは薬品の事でも書いて欲しかったもんだ。」
桜井は、最初ページを開き、目を通すなりつぶやく。ノートには走り書きみたいにその時、気が向いた時に状況を書れていた。
277 :
ノート:2005/07/25(月) 18:38:00 ID:m/Y3FlBN
『…とにかく松本さんを探そう。あの人は仲間を殺す事なんてできないだろう。…探そう。
…もし、万が一に松本さんが変わりきって、俺を殺すような事があっても…それでいい、松本さんなら構わない。』
ああ、ゲーム開始直後のメモかと桜井は理解する。松本孝弘がまだ生きている頃に書いたのだろうから。
「あの二人って仲良かったからな。」
日本を代表するロックグループの二人は、仕事仲間以上に気心の知れた親友でもあっただろう。
だが、それ以外のことは書かれていなかった。ペンを取る気力さえ失ってしまったのだろうと続けて桜井はノートをめくる。
『…KEIGOが民家で殺されていた。…FLOW…まだ若い、これからのバンドだったのに…俺のような終った歌手が生きて、
こんな若い歌手が死ぬなんて間違っている。…俺はもう過去の産物だ、過去の産物の俺一人と若いバンドマン一人、どちらが大事か…分かり切った事だ。もうどうでもいい』
メモ書きはここで一旦終っていた。これはsakuraに出会う寸前に書かれたものだろうか、文面からどことなく自分を見失っている感じがした。
そして次ページから薬品のメモになっているところから、ここからは再びゲーム参戦した後に書かれたのだろう。
278 :
ノート:2005/07/25(月) 18:42:56 ID:m/Y3FlBN
精神崩壊という終焉を迎えた稲葉だったが、なるべくしてなったのだ、気に病む必要もないと桜井は割り切ろうとするが、
それが出来ればこの不快感などとっくに消えているだろう。桜井は苦笑しながらも、ノートを読み続ける。
だが、後は心情を綴ったものでなく、薬品名が細かく記されているように変わっていた。やっと肝心な事に話が移ったと桜井は意識を集中させた。
「火炎瓶の作り方や、アルコールランプまである。…あの人…理工系だったのか?」
特にそんな話は聞いた事はないが、まあいい、と桜井は目を通す。細かく所持する薬物に○だの×だのが付けられていた。
そしてこの×という隣に薬品名であろう字が連なるところから、これらを掛け合わせたりしてはいけない…という意味も書かれているらしい。
これは桜井にとっては重要であった。稲葉にしてみれば危険だから混ぜてはいけない、というつもりなのだろうが、自分にしてみれば劇薬を作る事を示すメモなのだ。桜井は入念にメモを見る。
「…ん?…これは…」
そしてその中で『タブン』と書かれた字に注目する。
279 :
名無しのエリー:2005/07/25(月) 18:46:02 ID:DhfZsqC0
リアルだーーーーーっ!!!感動
280 :
ノート:2005/07/25(月) 18:46:14 ID:m/Y3FlBN
「…ん?…これは…」
そしてその中で『タブン』と書かれた字に注目する。
「タブン…どっかで聞いたような…ああ…」
どこかの宗教団体が地下鉄で事件を起こした時のニュースで聞いたっけ、と思い出す。
「確かサリンと同じような有毒ガスだって言ってたっけな…」
サリンよりは毒性は弱いが、それでも十分に危険なものであろう。メモには『有機リン』+『フッ素』=タブンのような物。と書かれている。
つまりこれがタブンの原料となることを示していた。きちんとした研究所で作りでもしないかぎり、タブンそのものを作るのは不可能だが、
これらを混ぜ合わせればタブンのような完全なる有毒ガスでないものの、十分に死に至らせる事のできる劇薬を作る事は可能なわけか…と桜井は小さく頷く。
「あの時、ニュースで見た事でも覚えていたのかな…」
よく覚えていたものだと感心する。…稲葉が悪党であったらたちまち皆全滅していたであろう。
そして稲葉が殺され、ヤル気になった者にこれらが渡った場合を考えると…とことん上はこのゲームを楽しんでいるのだな、と呆れるが、次のページをめくるなり絶句する。
「…!なんだって…」
そこには『万が一、これを開封する場合は体を水に濡らしておく事』と書かれていた。読むにつれ、まるで第三者に対しての言葉になっていく文章に、桜井は絶句したままだ。
281 :
ノート:2005/07/25(月) 18:50:58 ID:m/Y3FlBN
「…有毒ガスは体を水に濡らしておけば皮膚吸収しない。…だって?」
そして『万が一、これらを使用する場合、事前にプラリドキシムを打っておくか、吸い込んだ場合には即急にプラリドキシムを打つ事』と書かれていた。
解毒剤のラックの中にプラリドキシムと書かれた注射器があるのを確認すると、桜井はどういうことだ…とさらにメモを読み続ける。そして最後の文を見るなり、さらに絶句し、何とも言えない表情で体を強張らせた。
『お前が必要と思うなら、俺としては反対だが使ってみるといい。だが、最悪の事態という状況で無いかぎり使用しないでほしい。』
桜井はデイバックの奥底で、頑丈にタオルで包まれた瓶を取り出す。そこには『タブンのような物』と記入されていた。
『お前がこれを使って残ったみんなを全滅させるかもしれない、だがそれでも俺はお前に託す。…俺はみんなを見捨てていずれここを出るだろう。
そんな俺に仲間を気遣う権利なんてない。…だけど、それでもお前だけには生き残って欲しい。…どうしても俺は松本さんだけは助けなくてはいけない、それでもまたお前には会いたい。…桜井、生き残ってくれ。』
最後の一節を読み終えると、桜井は暫し目を見開いたまま、動けなかった。だが、ふいに小さく笑うとさらに声を立てて笑った。
282 :
ノート:2005/07/25(月) 18:54:31 ID:m/Y3FlBN
「何が生き残ってくれ…だ。またお前に会いたい、だ。…廃人が何言ってるんだ。」
馬鹿馬鹿しい話だと、桜井は歪んだ笑みのまま立ち上がる。
「…あの人の割には気の効いたプレゼントだ。のん気な顔してとんでもない物を作っていたなんてね。」
あの稲葉がどんな思いで、こんな恐ろしい物を作ったのか。自分と一緒に行動する前か、喧嘩別れした後かは分からないが、これを自分に託したらどうなるか…勿論考えながら、それでも託したのだろう。
「…稲葉さん、これがアンタの崩壊する前の望みなんですか?…まあ、今のアンタには何も答える事などできないでしょうけどね。」
桜井が生き残る為なら仲間を皆殺しにしても仕方ない、という事を本当に望んでいたのかなど分からない。
「アンタに言われなくても俺は生き残りますよ。…生きたいんじゃない、死ぬ事が、負けるのが嫌なだけだ。別にアンタに会いたくもないけどね…いずれは会う事になりますよ。」
絶対に生き残る、負けるのなどごめんだ、と桜井はその稲葉の残した恐ろしい瓶をポケットに押し込むのであった。
283 :
エーベックス編:2005/07/25(月) 19:02:46 ID:m/Y3FlBN
どことなく夢の中にいるような感覚で、大塚愛は廊下を歩いていた。
何なの一体。これは何の冗談なの?
狂乱する浜崎あゆみの顔が、松浦社長の威圧する眼差しが、そしてホリエモンの恐怖に歪む顔が、何度も脳裏をよぎっていた。
ついさっきまで、まるで想像もしなかった世界。けれど、その世界はこんなにも近かったのだ。
「あ、大塚さん」
声に視線をあげると、向こうから持田香織が歩いてくるところだった。その世界を持田はまだ知らないのだな、などと大塚はぼんやり思った。
「あの、知ってる?今ここに意外な人が来てるんだよ」
持田の言葉に、大塚は心臓を鷲掴みにされたような感触を覚えた。
ホリエモンの事か?ホリエモンの事なのか?そんな。そんな馬鹿な。
「え、ええ?一体、誰が、来ているです?」
狼狽していることをはっきり自覚しながら、大塚は持田の顔を見つめた。
キタ━━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━━━!!!
作者乙!!!
285 :
エーベックス編:2005/07/25(月) 19:10:03 ID:m/Y3FlBN
持田の顔は至って普通だった。そこには翳りは一切見受けられない。・・・・ホリエモンではないのか?
考えてみれば、持田がホリエモンの事を知ってもなお、いつもの様に声をかけてくるだろうか?それはあり得ないだろう。
「なんか凄いびっくりしてるねぇ。いや、わたしも誰か聞いた時には驚いたんだけどね、それが何と」
「陽水さんいうやないか」
声は不意に背後から聞こえた。驚いて持田が振り向くと、いつの間に来ていたのか、松浦社長が背後に立っていた。
「あ、知ってたんですか、松浦さん」
呑気な声で持田が尋ねる。
「ああ、たった今内線で呼び出されたわ。なんや知らんが俺に用があるらしい。移籍してくれ言うかもしれんなぁ」
「ええ、そりゃ勘弁ですよ松浦さん〜」
軽口を言う持田の目は笑っていた。それは松浦を信頼しているからなのだろう。
しかし大塚は知ってしまった。松浦がいざというときどんな行動を取れるかを。
確かに、他に方法は無かったのだろう。けれど、何かが・・・・
「んじゃ、俺は行くわ。大塚、お前少し休んでおけよ」
軽く手を挙げて、松浦は去っていった。大塚は割り切れない思いのまま、その背中を見送るしかなかった。
286 :
エーベックス編:2005/07/25(月) 19:22:30 ID:m/Y3FlBN
部屋では井上陽水が既に待ち受けていた。
「わざわざ済まなかったね。事務所はもう大丈夫なのかな?」
「ま、ぼちぼちって所ですわ。年末にじっくり立て直しますよ」
笑みを浮かべた顔を正面から見据え、松浦は答えた。しかし松浦は知っている。陽水の軟らかい表情の裏の凄みを。
例えば西川の怖さはヤクザのそれだ。確かに力は強大だが利害に忠実であるため動きは読み易く、対処さえ間違えなければ問題はない。
だが、陽水はそんな単純ではない。一瞬たりとも油断は出来ない。何の変哲も無い会話を交わしながら、松浦は自分の感覚を研ぎ澄ましていた。
「遅くなったが松浦君、まずは事務所総売り上げNO1おめでとう。実に見事な活躍だったね」
「ありがとうございます。しかしこれもみんなの力あってのこそですわ。それより、どんなご用件で?」
「いやいや、謙遜しなくても良いよ。君の多大な貢献は誰もが知るところだ。君のスカウトのおかげで開眼した歌手も多いからね。
浜崎君とか・・・・そう、安室君とかね。ただ、悲しいかな、新事務所で急に活躍すると何かと逆恨みを買ったりするのが世の中のツネというものだからね」
浜崎、西川という言葉に妙なアクセントを感じたが、松浦は黙っていた。
287 :
エーベックス編:2005/07/25(月) 19:26:28 ID:m/Y3FlBN
やはり喰えないオッサンや。とぼけた調子ではぐらかしつつ逆に切り込んできよる。
顔には出さずそう考えていた松浦を陽水は少し見つめていたが、微笑むと
「さすがだね、表情一つ変わらない。ふむ、それでは本題に入ろうか?しかしだ」
そこで陽水は言葉を切ると、意味ありげに扉を見た。
「良い諜報員を持っているようだね、松浦君」
松浦は眉をひそめると、静かに扉に歩み寄りそして一気に開け放った。
そこには、驚いて立ちつくしている女がいた。しかし、松浦は驚かなかった。陽水の言葉を聞いた時に、予想はしていたのだ。
「・・・・盗み聞きは良くないで?なぁ大塚」
大塚愛は何も言えなかった。
288 :
名無しのエリー:2005/07/25(月) 20:55:32 ID:hCXy4Z1T
作者タンファイト(」゚ロ゚)」
289 :
名無しのエリー:2005/07/25(月) 21:59:05 ID:/wjHYfcj
作者タン乙
次回楽しみに待ってるよ
ノート編、よかったお。
291 :
名無しのエリー:2005/07/27(水) 13:32:48 ID:3vZBzjcJ
『ノート』で泣いた
。・゚・(ノд`)・゚・。
過去ログ読んだが、ぶっちゃけユキヒロが参加すると決まったときから
琴弾の役するんじゃないかと思ってた。
293 :
密談:2005/07/27(水) 16:41:36 ID:NOlEVfUp
「・・・・蘇生術?」
演技ではない、動揺したその声を最後に、聞こえてくるのはノイズばかりになった。
世紀の実験か。意外にばれなかったな。女はそう考えると装着していたヘッドホンをゆっくりと外し、サイドテーブルに置いた。
これで向こうはどう出るだろう?状況から考えて、自分が誰だと分かるまではそう時間は掛かるまい。
しかし、それが分かっても直接は意味も分かるまい。そうなるように慎重に動いてきたのだから。
と、なると次に向こうが打つ手は・・・・
思考は電話の音で中断された。自分がここにいることは極一部の人間しか知らないはずであったが、しかし女は驚かなかった。
なるほど、そうきたのか。女は内心頷くと、ゆっくり受話器を取った。少し間をおいて、言葉を発する。
「・・・・もしもし」
「・・・・さっきの話は本当か?」
相手の声は、明らかに苛立っていた。冷静にならねば見える物も見えないだろうに・・・・
内心で嘲笑しながら、苛立ちを煽るべく、とぼけて続ける。
「ああ・・・・松岡さんですか。本当ですよ、邦楽バトルロワイヤルは蘇生術の実験のために行なわれたのです」
「蘇生術・・・・? 何をぬけぬけと!おまえは何を企んでいるんだ!」
そう、女・・・・ すなわち宇多田ヒカルは松岡充にプログラムの全貌を明かしたのだ。
もっとも、自分も得られた情報は大して多く無かったのだが。
294 :
密談:2005/07/27(水) 16:44:04 ID:NOlEVfUp
思いがけない話に動揺している松岡の隙をついて、話を続けた。
「プログラムの裏側を知った以上ただでは済みませんよ。お互い気を付けないといけませんな」
松岡の性格からして、ここらが我慢の限界だろう。宇多田には、相手の歯ぎしりが聞こえるような気がした。はたして。
「それとさっき言ってたソニープログラムって何なんだ?」
あれ、聞こえてた。もっとも、それすらも予想済みだったのだが。
宇多田は知っていた。邦楽バトルロワイヤルで死んだ歌手は、プログラム終了と共に蘇生し、プログラム
の記憶を消去される。しかし、機械に誤作動が生じ、二人の歌手に悪質な記憶が生みこまれてしまった。その二人が今回のプログラムの鍵を握る。
無論、わたしはその実験に少し関わっていたけど、ね。
「一年後、ソニー限定でまたこのプログラムを行なうらしいですよ。」
さも狼狽したような声を出す。それに気を悪くしたのか
「もうこんな不毛な会話はやめよう。盗聴されてるかもしれん」
小声で松岡はそう言い残し、電話は切られた。
これで向こうはどう思うだろうか。ほかの生き残り歌手にこのことを伝えるか?
どうせソニーには関係ないし何も影響はない・・・・か?
司令部に進入していくつかの情報は確認できた。
悪質な記憶を生みこまれた人物ーおそらくそれは西川貴教とラルクのhydeだ。
295 :
密談:2005/07/27(水) 16:46:21 ID:NOlEVfUp
そこで宇多田の思考は中断した。誰かがドアをノックしている。
宇多田は少しの間ドアを見つめると慎重に近づき、ドア越しにどなたですか、と聞いた。
「失礼しました、部屋を間違えたようです」
男の声 ー声からして30代後半だー が響き、そして足音が遠ざかっていった。
宇多田はそれを聞き分けて一息つき、ゆっくりと部屋の奥に戻っていった。
誰が見たろうか。今のやりとりの間に宇多田がドアの隙間からそっと封筒を差し出したことを。
誰が気づいただろうか。それを受け取り、去っていったその男こそあの元黒夢の清春であったことを。
296 :
桜井対hyde (前編):2005/07/27(水) 16:53:19 ID:NOlEVfUp
桜井はまだ崖の上に立っていた。そして先程拾った探知器をじっと眺めた。
探知器は人が近づいてくる事を表していた。だが、探知器はみるみる色が薄くなり、最後はプツリと切れる。
「くそ…電池切れか。こんな時に…」
ならばこんな物は要らない、と桜井は海に探知器を投げ込んだ。
(探知器が現していたのは…アイツか…)
定かではないが、こういう勘は結構当たるんだとため息を付いた。
(…もっと他の奴で手慣ししてからやり合いたかったんだが…しょっぱなからアイツとはね…)
まったくついてない。だが、ガッカリする暇さえないのだ。桜井は辺りを注意深く探りながら、マシンガンを構える。
「…どのみち…アイツとはやりあわなきゃいけないってことか。」
ならば一度向かい合ってみるか…桜井にしてみてもどこかでhydeとはやりあわねばいけない、そんな意識はあった。
「アイツとは色々複雑な因縁があったけど…まさかこんな形で決着付ける事になるとはね。」
桜井はため息を付くと、ボトルに詰め込んだ水を被る。
297 :
桜井対hyde (前編):2005/07/27(水) 17:03:05 ID:NOlEVfUp
「…さっそくお出ましか。…少しは考える時間が欲しかったが…」
気配には敏感な方である桜井は、左端の茂みに銃口を向けた。
「…hydeさん。居るのは分かってる。」
桜井がつぶやいた瞬間、ガサガサと茂みをかき分ける音がした。そして姿を現した人影は、桜井の予感通りの人物…hydeだった。
「やっぱ気がついてたんか。狙い撃ちせんでよかったわ。」
hydeは、何の表情も無い、瞳だけが必要以上にギラついている面で桜井の後に立つ。桜井はただ、偶然に知りあいと会ったような、特に緊張もない様子でhydeを見る。
「なんだ、顔つきと一緒に声まで変わったんですか?」
つられるように尋ねる桜井に、hydeは薄く笑う。
「ああ、ここへ来てから滅多に喋らんかったからな。…少ししゃべるか?」
「銃を向けあって何話すんです?」
「この状況やと相討ち間違いなしやろ?こうなったら長期戦覚悟で、暫く睨みあいや。無言のままや飽きるからな。」
まるで世間話を始めよう、というように銃を桜井に向けたまま答えた。
298 :
桜井対hyde (前編):2005/07/27(水) 17:22:24 ID:NOlEVfUp
「話す事なんかない。」
「ホンマにあんたはムカつく奴や…。昔っからそうや。まったく興味無い、ってツラで見下した目ぇしてたな。」
インディーズ時代から常に皆の視線と、とりまきに囲まれていた自分であったが、桜井は違っていた。
ラルクがデビューした時にはすでに、ミスチルはダブルミリオン、レコ大受賞など数々の記録を打ち立てていた。
それだけでも屈辱的であった。
「…なんでそう思うんだろうな。」
桜井は本心から言う。お互いのファンが仲が悪いのは知っていた。だが、どうしてそう争うのかが分からなかった。
ラルヲタというのは、悪童で、不毛なAAを某掲示板に張りまくっているのを耳にしたことがある。普通ならば馬鹿らしい、と無視するものを、それもままならなかった。
「まあええ。今は機嫌はええ方や。参加者に中々会えへんで、苛ついてたんがやっと殺り合えるんやしな。」
hydeは憎々しげな表情から一転、薄く笑った。
「さあ、もう話はいいでしょ?」
桜井はすげなく答える。
299 :
名無しのエリー:2005/07/27(水) 17:26:55 ID:kUbafywO
稲葉が腰を捩らせて、立ち上がり粘液を滲ませている
松本の高ぶりに自分のそれを擦りつけた。
松本の唇からも熱い吐息が漏れる。その唇を褐色の胸の上で固く尖っている
稲葉の乳首に這わせた。
「…ふっ…く…」
くすぐったさに精液が体を捩ったと同時に、松本はその場所に歯をたてた。
噛み千切りたくなる誘惑を押さえ、歯列をずらすようにして、そっと刺激する。
そして、小さな突起を愛撫し続けながら、悶えるように下腹を打っている
二つの固まりを束ねて握りしめた。
微かな恐怖と激しい興奮が稲葉の体を仰け反らせていた。
「…ぁ…っ」
自分のものではない感触に稲葉の背筋に震えが走った。
手足が痺れるように動かない。
松本は燃えるような息を漏らしながら、手の中のそれを
確かめるように揉みしだいていたが、ゆっくりとしごき始めた。
二つの高ぶりを攻め上げる手の巧みな動きと、
時折激しく脈打つ松本の雄芯の熱さに
稲葉の下腹の奥が爛れたように熱くなる。
稲葉は羞恥から懸命に声を噛み殺し、胸の上を愛撫し続けている松本を
抱き締めていた。
300 :
名無しのエリー:2005/07/27(水) 17:28:09 ID:kot41sy6
300げっと
301 :
桜井対hyde (前編):2005/07/27(水) 17:33:49 ID:NOlEVfUp
「そう言うけどな、お前はイングラム、俺はマシンガン、同時に発砲すれば間違いなく相打ちや。…お前と心中だけはごめんや。」
「俺かてあんたと心中なんてごめんだ。」
桜井はポツリと答える。
「…だけどな、たとえあんたに先に発砲され、虫の息になってもあんたに発砲し返す気力くらいは俺はある。
…胴体狙う馬鹿な事もしないで、狙うのはあんたの頭のみだ。」
「…!お前…」
やっとhydeに動揺の色が浮かぶ。
「あんた、防弾チョッキ着てるでしょ?服のしわ見ればわかるよ、明らかにシャツ以外のモノを着てるってね。」
「…バレてたんか。さすが桜井さんやな。」
「…どこかの誰かさんのお陰だけど。前にこういう見破り方をしたのを見たんだ。
そうじゃなかったら、正直危なかったかもしれない。あんたのことだ、
相打ちは覚悟のフリして、同時に発砲し、俺は死亡、あんたは防弾チョッキで助かる…という考えでもしてたんじゃないか?」
「思った通り…嫌な奴だな。その通りや。せやけどバレてんなら話は別や。なら、どうするんや?このままお互い構えたまま無駄に時間食うつもりか?」
既に動揺は消え、hydeは桜井に聞き返す。
302 :
桜井対hyde (前編):2005/07/27(水) 17:38:16 ID:NOlEVfUp
「だけどなぁ、武器を降ろすわけにはいかないでしょ?」
桜井としては、とにかくこうしてhydeに真っ向から構えられててはあの、悪魔のようなガスの入った瓶を使う事は出来ない。
怪しい素振りなど見せれば即発砲される。とにかく発砲されてはお終いなのだから。
「まあな、せやけどこの状況にはもう飽きたんや!」
そういうなり、hydeは信じられないくらいに素早い動きで、大きく右後に逸れると同時にマシンガンを連発する。
桜井もある程度は察しがついていたため、なんとかそれを除けると、左の茂みに転がり込んだ。
(いよいよ…始まりか…)
どうやら派手にやりあう事になりそうだ…
桜井はため息交じりにポケットの中の瓶を眺めつつ、hydeの動向を探るように、茂みのすき間から息を潜めて覗き込むのであった。
303 :
桜井対hyde (前編):2005/07/27(水) 17:40:40 ID:NOlEVfUp
296の桜井の武器
マシンガン→イングラムに訂正
hydeキターーーーーーー!!
作者さん乙
ついにこの2人が来たか
今更ですが稲葉さん・・・・・つД`)゚・.
蘇生術、気になりますね。
序盤で目玉と喉と股間をこっぴどくやられた稲葉さんが
こんな完全復活したのと関係あるんすかね?
とりあえず作者さん乙ですー
299はスルーで。
309 :
名無しのエリー:2005/07/27(水) 23:41:00 ID:b52tdf+W
ついにこの二人の対決が・・!!
楽しみです。
作者タン乙
ラルヲタとチルヲタの
2ch事情が入ってたのに少しワロタwww
これは嫌だけどハイドの負けだな
ハイドは桐山的存在だから勝ちそうなきがす
313 :
sage:2005/07/28(木) 10:12:55 ID:Ot3nbwL9
どうなるや〜
kenって七原の役だよな?って事は生き残るんか
ポルノ二人はどうなるんだろうか
死んでも生き返る まるでドラゴンボールの世界だな
チルヲタでラルヲタな俺はどうすればイイんだよwww
どっちも生き残るとふんだ
ここでhydeが死ぬとジョーカーの意味ないし
桜井もまだまだ死ななそう
ミスチルとか全然聞いたことないけど
B'zオタの自分としては
桜井さんに稲葉さんの分まで頑張ってほしい。
あ〜待ちきれねぇ〜
321 :
桜井対hyde(後編):2005/07/29(金) 15:23:53 ID:FByoQDw1
「さあ、これなら存分に動けるやろ?隠れてないで出てこいや!」
茂みに隠れる桜井に、hydeは怒鳴る。向こうは防弾チョッキがある。こういうゲリラ戦となると明らかに向こうが有利だ。
(どうするべきか…一旦逃げるか?)
だが、どこまでも追ってくるだろう。…そう思ううちにhydeの弾丸がさらに桜井の潜む茂みに撃ち込まれた。
(アレをどうにかしないとな…)
桜井は既に茂みの中を移動し、イングラムでhydeに対応する。
桜井を追おうと茂みに入ろうとしたhydeは、慌てて逸れると、元の位置まで戻る。hydeの方も桜井のイングラムを意識しているのか、深く追えずにいた。
(アイツも馬鹿じゃないんだ、やみくもに撃ってるわけじゃないだろう…)
何かあるはずだ…向こうに行動を起こされる前に、こちらから仕掛けるしかないのか…
(こうなったら…)
この毒ガスの瓶を投げつけるしかない。万が一瓶が割れなかったら…などと考える状況では無い、割るしかないのだと、
桜井は瓶を手に構えつつ、hydeの放つ弾丸の嵐をよける為に茂みの中で、左方に動いた時だった。
322 :
桜井対hyde(後編):2005/07/29(金) 15:30:05 ID:FByoQDw1
「…!!」
カチン、と手前の足元に何かが落っこちた。…と同時にそれは大爆発し、たまらず桜井の体は茂みから吹き飛ばされると、
元に居た位置…崖の上に叩きつけられた。
「くっ…」
それが手榴弾だったと気がついた時にはもう遅かった。
左腕はブラブラと、わずかな肉のみで繋がっている状態で、左半身は酷く焼けただれ、骨が剥き出しになった状態…もはや動くのが精一杯で、右腕にあったイングラムを構える事も出来ない。
「…お前も終わりやな。」
あえて留めを刺さないのは、このまま楽に殺すのは惜しいと思った優越感からであった。
どのみちこのまま放置しても息絶えるだろうと。
「…随分…賢くなった…みたいだな…」
すでに瀕死の状態である桜井は小さく笑う。hydeがひたすらマシンガンを撃ち込んでいた理由 …
あくまで桜井の意識を惹きつける為のもので、本命の武器はこの手榴弾であった。そして思いきった賭け…マシンガンを撃ち込んだ瞬間に、
桜井がどの位置に逃げたか想定した上で、思いきって投げつけたのだった。
「くたばる寸前やのに相変わらずやな。ま、数分もすれば終わりや。あがくだけあがけや。」
見下すように言うhydeに、桜井は薄く笑ったまま、イングラムを崖から海の下に投げ捨てる。
続けて己のデイバックも投げ捨てた。
323 :
桜井対hyde(後編):2005/07/29(金) 15:37:23 ID:FByoQDw1
「なんや、遺留品は残しません、か。そんなクサレ武器、要らへんわ。」
「…なあ、hydeさん…あんたがどんだけの人殺したのか…知らんけどな…」
桜井はかすれた声で言う。
「…俺にならとんでもない武器を…託してもいい…そう言い残した…阿呆な人がいたんだけどな…
タブンというもの…まあ…そのタブンの不完全品みたいなもんだけどな…」
いきなり何を言い出すのかと、hydeは怪訝そうな顔つきになる。
「…それでも…吸いこんだら…暫くすれば…死ぬだろうやろな…あんたも阿呆だな…
自分で割ってしまったんだから…」
桜井は吹き飛ばされたと同時に割れた瓶を見遣りながらつぶやく。hydeは、何の真似だと身構えるが、同時にガクリと膝を付いた。そして地面にジワジワと広がる液体を見る。
「…これがその…タブンだ…俺は平気だけどな…ああ、息止めても無駄だ…皮膚からも吸収するからな…」
自分は事前にプラリドキシムを打っておいたからまったく問題はないが…とはまでは桜井は言わなかった。
「…!ぐっ…な…んや…」
ふいに襲いかかる激しい頭痛と目まい、吐き気にhydeはたまらずうずくまった。
wakuwaku
325 :
桜井対hyde(後編):2005/07/29(金) 15:45:16 ID:FByoQDw1
「…いくらあんた…でも…サリンは知ってるだろ…それよりかかなり軽いもんらしいが… それでも…このままだと…死ぬ…な…」
今度はhydeが蒼白になった。そんなものを桜井が持っている事など、それこそ想像も付かなかった。
「くそっ…まさかあんたが手榴弾まで持っていたなんて…な…どのみち俺は…駄目なわけか…」
「くっ!…くそっ…俺は…」
ここで桜井と相討ちというわけか…hydeはこの結末だけは嫌だったと歯ぎしりするが、吐き気は酷くなるばかりだ。
「…死んだ後なんて…どうでもいいことだ…そう思ってたけどな…
hyde、あんたは…俺があんたらなんかまったく鼻にかけない…そう言ってたけどな…」
桜井は動かぬ右半身を引きずるように、左半身のみでズルズルと崖に向かうと、小さく笑いながら半身を起こす。
「あんたにだけは…くたばるとこなんか見せたくない…どうやら俺は随分と…あんたを意識してた… らしいな…」
最期のこの瞬間まで気がつかなかったが、と桜井は苦笑しつつポケットから何かを取りだす。
「…まあ、あんたには色々…迷惑かけたしな……これ…使え。」
心中する気などさらさら無かった。桜井はプラリドキシムと書かれた注射器を、嘔吐し始めたhydeに投げつけた。
326 :
桜井対hyde(後編):2005/07/29(金) 15:52:44 ID:FByoQDw1
「これを…打って暫く…じっとしてれば…じきに回復する…。
一時間以内で打てば…後遺症も …無い…今まで…通りに…動けるだろ…あんたとなんて心中はごめんだからな…
ったく…最悪な結末だな…だけど…おかしなもんだ…さっきまでの…不快感が…無くなった……」
桜井は崖に半身を乗りだした。苦しむhydeの表情はあの時の、侵食のPVような顔で、思わず苦笑する。
「ああ…これも…持ってかないとな…最後の最後まで…稲葉さんも…面倒なもんだな…」
桜井は稲葉のデイバックを掴む。もう何も分からなくなった彼は、桜井の死も分からないだろうし、
このデイバックが自分以外の者に悪用されるのを悲しむ精神さえ消えてしまったろうが、それでもhydeにこれを残すわけにはいかない。
「…じゃあな…hyde…せいぜい頑張れよ…」
まるで軽い挨拶をするような飄々とした声色で、桜井は微かに笑ったまま稲葉のデイバックを抱え、崖から身を乗りだし真っ逆さまに落ちる。
そして真っ黒な崖の下に吸い込まれるようにその姿はゆっくりと消え去って行った。
「……!」
hydeは目を見開くが、それより先にと忌忌しそうに手元にある注射器を取ると、既にかなり痺れた腕をブルブル震わせたまま、なんとか動脈に薬を注入させた。
それからただじっとうずくまる。…どれほどの時間が立っただろうか…hydeはゆっくりと起き上がり、半身を起こす。
327 :
桜井対hyde(後編):2005/07/29(金) 15:58:28 ID:FByoQDw1
「…ちくしょう…」
hydeはかなり回復した腕で地面を叩きつける。どうやら吸い込んでそんなに時間が経たなかったせいか、この特効薬はかなり効いたらしい。
これがもう少し遅ければ、今頃死んでいたところだろう。サリン程強いガスでもない事もあったせいか、あと暫くじっとしていれば完全に回復しそうであった。
「…俺は勝ったんや…あの野郎に…そうや…勝ったんや…」
だが、まるで敗北者のようなこの気分は何だろうか。ギリギリで自分に助けを与えた桜井…死に際を見せるものかと、
遺品も残すものかと、所持品と共に崖の下に消えた桜井。…自分は仕留めた筈の桜井に情けをかけられたのだ…
その事実だけで十分に敗北者ではないか…hydeは言い様のない怒りで体を震わす。
「最後の最後まで…あの野郎…」
最後の最後まで自分を馬鹿にしているのか…お情けをかけて、
自分を生き残らせ消えていった桜井に怒りと屈辱感が消え失せないまま、hydeは死んでもなお、最後まで自分に最大の屈辱感を与えた桜井の事など考えないように首を振る。
「俺は…勝ったんや…アイツは死んで俺は生きている…くそっ!」
呪文のように何回もそうつぶやくものの、一向に屈辱感と敗北感は消え去らない。
それはhydeをさらなる闇へと突き落とし、さらなる鬼へと進化させた。
「くっ…ああ、ホンマに腹立つわ…」
誰でもいい、何でもいいから全てを消し去ってやりたい。ここにいる全員をこの手で始末してやる…あらためてそう誓う。とにかくみんな殺してやりたくなった。
「…もう…暫くか。」
完全に毒が抜けきったら、また殺戮に没頭するまでである。
…今のhydeにとって望みはそれだけであった。
328 :
桜井対hyde(後編):2005/07/29(金) 16:05:14 ID:FByoQDw1
(なにやってるんだろうなぁ…)
崖からその身を落とす、僅かな最後の時間…桜井は稲葉のデイバックを抱えたまま、微かに笑う。
(自殺なんて下らない…これじゃあの阿呆な人の相棒と同じじゃないか。)
その阿呆な人は今頃どうしているのだろうか。今になって稲葉が壊れてしまったことに微かに安堵している自分がいた。
自分の死を嘆かれるなど冗談ではない、屈辱的なだけである。だが、嘆くことも出来ないと思えば安心する。
(…俺も随分と余裕なもんだな。)
死が近づいているというのに。これがhydeでない者のせいであったら、最後の最後まで不本意な不快をひきずったままであったろう。
殺されるのも自殺も無様なものであるが、そこまで悪い気はしないのはやはりhydeだからだったのだろう。
(ま、どうせならアイツに生き残って欲しいけどな。)
生き残ったところで色々面倒な余生を送るであろうが、それでもこの自分を仕留めた男なのだ、無様に死なれてはこっちの立つ瀬がない。
(ああ…いよいよか…)
長いこと急降下していたせいか、それとも傷のせいか分からないが意識が急激に薄れてきた。
(何がまた会う事になる、だ。俺も阿呆だな…)
結局あれが稲葉との最後の別れだった。この手で殺す事のできなかった今、自分は稲葉に何を望むのか。
hydeには進むだけ進み、仲間の屍の上に残る最後の一人を望んでいるが、あの酷い状態の稲葉には何を望むべきか…
329 :
桜井対hyde(後編):2005/07/29(金) 16:10:50 ID:FByoQDw1
(できれば…目が覚めて欲しいもんだ。)
それは彼にとっては最大の地獄であろうが、それでもだった。
崩壊したままあいつらに殺されるくらいならば…正直、稲葉の苦痛などよりもこうなった今、あるのは自分の中の望みの方が重要だった。
(目が覚めた後…どうなってもかまわない…とにかく目を覚まして…)
できれば…そう考えた瞬間、桜井は脳裏に過ったある意味、一番彼にとっては惨いであろう望みに苦笑する。なんという酷い事を望んでいるのかと。
(だけど…あのまま殺されるよりはよっぽどいい。)
昔から今現在まで、望みはそれだけだった。あの人ほどみっともない、
朽ちた姿が似合わない者はいないと。それは昔から抱いていた、落ちた事のない潔癖なるスターへの敬意の念からであった。
(死ぬ間際のただ一つの望みが叶うなら…)
hydeが選ばれし生き残りになる事か、それとも…。桜井はhydeには根拠無い、不思議な信頼をしていた。だからこそ桜井は後者の望みを念じる。
(つまらんな…最後の最後に…)
思い浮かべたのがあの二人とは…そう思いながらも桜井は安堵するように目を閉じた。そして…
稲葉のデイバックを抱えたままその体は荒れ狂う海の中に消えて行った。
330 :
桜井対hyde(後編):2005/07/29(金) 16:13:49 ID:FByoQDw1
残り5にん
作者さん乙。
すごいおもしろかった。
乙ですー。
桜井さんまで…つД`)
ここまで言うからにはまた稲葉さん出てきますよね。
などと期待してみる。
桜井さんカッコよかったですー(*´∀`)ノ
うおー桜井さん・・・。
面白かったです。作者さん乙です。
桜井さん・・・いい人だ
桜井格好良いな・・・
作者さんお疲れさん、残りも頑張ってくれ
336 :
名無しのエリー:2005/07/30(土) 11:00:00 ID:2og2AQxb
桜井信者キモい…
乙です。
何か切ないな。
339 :
真相:2005/07/30(土) 20:53:12 ID:PBiKaa25
松浦社長はちょっとの間困ったような顔をして大塚愛を見ていたが、
「まぁ、またやらかされてもしゃぁないし、どうせお前にも話す事にもなるやろしなぁ。
しかしどう転んでも多分愉快な話にはならんで? この先にあるのは不愉快な現実だけや。その覚悟があるなら好きにしろや」
それだけを言うと部屋の奥に引っ込んだ。大塚は少し逡巡したが、その為に来たのだ、と気を取り直し入室した。
「やぁ、これは大塚君じゃないか」
「はぁ・・・・どぅも」
間の抜けた返事だ、そう思いつつも井上陽水の挨拶に大塚はそれだけを返すのがやっとであった。
大体、盗み聞きしていた相手ににこやかに挨拶されてどんな返答があるというのだろう?
そんな大塚を可笑しそうに眺めてから陽水は松浦と向き合った。
340 :
真相:2005/07/30(土) 20:58:11 ID:PBiKaa25
「さて松浦君、私がここまで来たのはね。ずばり君の意見を聞きたいからなんだ。今回のプログラムについてね。
一応聞くが、大塚君はここにいるからには当然知っているのだろうね?」
「まぁ、最低限の事は言いましたわ。個人的には知らんかった方が幸せやろと思いますがね」
「はぁ・・・・こんな世界があったなんて想像もしなかったんで・・・・その、なんというか、ただ驚いてます」
「それは当然の反応だよ大塚君。こんな事は普通の人どころか歌手だって想像もしないだろうからね。
ただね、今回のプログラムは私のように色々この世界の裏側を覗いてきた人間から見ても異質なんだ。
それを業界一の頭脳は一体どのように捕らえているのかが知りたくて今日はここまで来たのだよ。色々と教えてくれるとありがたいんだがね、松浦君」
「陽水さんだって色々考えておられるのでしょう。俺の意見を聞くまでもないのと違いますか」
「慎重だね。確かに色々考えてはいるよ。まぁ意見を求めに来たわけだし、こっちから言うのが筋か。
これはあくまで推測でしかない、それで良ければ少し長話につきあって貰おう」
陽水は足を組み替え、良いかな?という様に二人の顔を眺めてから話し出した。
341 :
真相:2005/07/30(土) 21:01:15 ID:PBiKaa25
「さて、民法テレビ内ではソニーの歌手達はイベント中テロリスト達に拉致された、とそういう事になっている。
表向きは裏がとれていないという点、国際的問題になるかもしれない、という理由で箝口令が敷かれている為にまだ発表されてないがね。
おそらくプログラムの終了と同時に箝口令は解除され、世間にはこのせいでソニーの歌手達が死んでいった、と伝えられるだろう。
そこでだ、すると来年にどういう事が起きると予想されるかな、大塚君」
突然振られて大塚は戸惑ったが、それでもなんとか考えを纏めようとした。
つまり、ソニーの歌手は壊滅状態になるから、新規に事務所を作り直すにしても時間が足りないだろうし・・・・
「実際にそうなるかどうかは別にして、戦力的にはトイズ、エーベックス天下・・・・ あ、もしかしてこれをきっかけに事務所の合併・・・・?」
「どうかね松浦君、大塚君の言っているような事態になると思うかね?」
「まぁ、事務所の合併というのは有り得るかもしれんですわ」
ごく簡潔な松浦の答えに陽水は頷いた。しかし次の言葉は大塚にとって予想もしない物だった。
「そうだね。しかしおそらくソニーにとっては事務所の合併などどうでも良いことだろう」
「そ、そうなんですか?」
342 :
真相:2005/07/30(土) 21:11:07 ID:PBiKaa25
「君はソニーの人気、そしてそれが持つ力を考えに入れていない。
この事件の悲劇性が世間に与える印象を考えてみる事だ。そこで西川くんが・・・・そうだな、例えば
『我々はこの事件に決して負けない。今は亡き歌手の分まで音楽に打ち込む。心ある者は共に歌ってくれ』
等と呼びかけてみたとしたらどうだろう。新生ソニーミュージックの編成は強力に世論から支持を受けるだろう。
そしてそんな状況で、ソニーに来てくれと言われて首を横に振れる歌手、
この歌手をくれないかと言われて断れる上層部、あるいは親会社がどれだけいると思うかね?」
松浦は想像する。悲劇性を身にまとい、支持を一身に受けるソニー事務所を。そして、その先に待っている物を。それはつまり−
「そして、その影響は歌手移籍だけに収まらないだろう。例えばオリコンから何から、ソニーの発言力、政治力は今の比では無いほどに強力になるだろうね。
世論という物が背後にあるだけに抵抗も難しい。つまり、早い話が」
日本音楽界の全てがソニーの物になる−。恐らく、来年ほどくだらない年間チャートになる年は無い。
いや、ひょっとするとその後永遠にそうなのかも知れないが−。そう思い、松浦は乾いた笑みを浮かべた。
「誇大妄想だと笑うかね、大塚君」
大塚は何も言えなかった。普段の状況ならまさしく誇大妄想で片づけるところだ。
しかし・・・・
343 :
真相:2005/07/30(土) 21:13:53 ID:PBiKaa25
「・・・・しかし、ここまで大がかりなことをしてまで・・・・その、旨味がある物なのでしょうか?」
「音楽バブル時の経済効果は1000億とよく言われるよね。
話半分どころか5%に聞いたって50億だ。
ま、それは別にしてもこの事件のせいでライブ観客動員、CD売り上げ、これらは恐らく全て過去最高の数字を叩き出すだろう。
他にもグッズ売り上げ、あるいは義援金など様々な副収入も見込まれる。
今年は「CDが売れない」とさんざん騒がれたろう? これだけの事をしても充分お釣りがくると思わないかい?
おまけに日本音楽界を支配できる、という特典付きだ」
大塚が苦い顔をして黙り込んでしまったので、陽水は横目で松浦を見た。
松浦は目を細めて、苦悩する大塚を眺めていた。松浦がこの事を考えていただろう、と陽水は見ていた。そして、
多分にその先も。それこそ大塚に言ったように誇大妄想の様な話なのだが・・・・ ここでは、その事を口にする気はなかった。
344 :
真相:2005/07/30(土) 21:21:06 ID:PBiKaa25
そもそも陽水が異変に気づいたのは、去年のことだった。
−今年、ソニーでどうやらプログラムが行われるようだ− そう聞いた時は大して意外にも思わなかった。
なにせ、あれだけ派手に特典をつけてこの様だ。あの社長の性格からしていかにもありそうな事だ、そう思った。
しかし、どうやら今回はメジャー歌手全員、そして他事務所の歌手も巻き込んだ派手な物になるらしい、そう聞いたときは妙に思った。
どう考えたって、それでは事務所として機能しなくなる。
そこまでして行う理由は何か、そう考えた時、大塚に話したような仮説が浮かんだ。
しかし何故、部外者であるはずの陽水がいち早くそんな情報を手にすることが出来たか?
理由は、邦楽バトルロワイヤルでも行われてきたギャンブルにあった。
ルールは基本的には単純だ。一体誰が生き残るか?それを巡って決して少なくない額の金が動く。陽水はそれに目を付けた。
345 :
真相:2005/07/30(土) 21:26:42 ID:PBiKaa25
通常、この手の非合法のギャンブルは現金払いが原則である。しかし、陽水は多額の賭け金を株で支払った。
通常は受け入れられないその行為は、担当者に結構な額の手数料、例えば邦楽バトロワは賭け金8千万の35%だったが、それを同様に株で支払う事で解決した。
無論内密に。銘柄は、マイナーな企業の物だったり、時には名を聞けば誰もが頷くような企業の物だったり色々であったが、
担当者が不安を感じ、その会社を調べてみても業績は好調だったし、何よりその金額は魅力的であったので、まず受け入れられた。
しかし。プログラムが終了した時、担当者の顔は蒼白になっていた。
陽水の予想が的中し、配当を払う分には問題はなかった。
しかしその逆の場合、いざ賭け金を本部へ上納する段階になった時、その株価が暴落していたり、時にはその会社が倒産している事さえあったからである。
今更換金しても到底足りない。しかし、どう転んでも自分で用意できる額ではない。
この事が本部に知られたらどうなるか?あんな事を歌手にさせる所である。恐らく、いや確実に。文字通り首を切られるだろう。
そして。焦燥している彼に甘い声で囁く者が現れる。
「お困りのようですから必要ならば現金を用立てて差し上げます。金利は勉強しますし、ある時払いで結構ですよ。ただ、我々に協力していただければ、の話ですが」
こうして、小規模なプログラムが行われるたびに、ひっそりと、しかし着実に陽水は内通者を増やしていったのである。
来るべきその日のために。
346 :
現在の生き残り:2005/07/30(土) 21:29:09 ID:PBiKaa25
hyde ken
アキヒト ハルイチ
長瀬智也
初めてリアルタイム更新に立ち会いました。
わくわく。作者さん頑張って下さい。
作者さん乙です!!
そろそろ清春参戦?
349 :
名無しのエリー:2005/07/31(日) 00:34:22 ID:Oeqv7/SW
ずたぼろになりながらも最後の最後まで
実は桜井生きてんじゃね?
残りのメンバーだと何となく盛り上がりに欠けそうな気はする
執筆頑張れ!
351 :
情報交換:2005/07/31(日) 16:06:36 ID:o8RhUZqV
見張り位なら大丈夫だからと言い張るハルイチにとりあえず任せて、kenはアキヒト、長瀬を伴って屋根の下へ戻った。
求めるまでもなく長瀬は武装解除を申し出た。
「でなきゃ話もできないでしょう」と皮肉でもなさそうに言う様子、kenにはそれだけで目の前の相手は信ずるに足ると思えた。
ただ、長瀬の携えていたものはとても“武器”と呼べるような物ではなかった。ある意味、とても有意義な物ではあったけれど。
大量の毒薬、そして様々な麻薬、化学薬品、基本的な銃…
少し長瀬自身によって手を加えてある化学薬品もあるようだが、それがなんなのか、kenにはさっぱり分からなかった。
アキヒトは幾分鋭い目つきでそれらの薬品の入った瓶や、長瀬が調合した薬を手に取って見ていたが、ふと、調合の際にでも使ったのか、
ノートにびっしりと書き加えられているメモを見つけて読み始めた。
「ふうん、お前、薬品に詳しいんだな」
「ニュースでやってたのを思い出したりしてね…まあ、素人技ですけど」
長瀬がそうすげなく言うと同時に、ページをめくるアキヒトの手が一瞬ぴくり、と止まった。
「アキヒト?どうかしたんだ?」
kenがそのアキヒトの異変に気付いて声を掛けると、アキヒトは「…いや」と呟くように言った。
そのアキヒトの視線が鋭く長瀬に向いていたが、kenは気付かず、そのまま長瀬に向かって言った。
「信じてもらえて……嬉しいよ」
言いながらkenはアキヒトを見やった。
アキヒトは頷くでもなかったが、口を挟みもしなかった。消極的だが肯定だ。なんのかの言いつつもアキヒトはハルイチは勿論、kenを真実案じて
くれている。危険だと判断したら口でも手でも出すだろう。それをしないのだから。
おおかたそのような気配は読みとったのだろう、長瀬も表情を緩めた。
「こっちこそ。――じゃ、情報交換と行きましょうか」
352 :
情報交換:2005/07/31(日) 16:20:47 ID:o8RhUZqV
kenは頷いた。死人はともかく、危険人物を確認することには大いに意義があった。
とはいえすべては過ぎたことで、それでいて過ぎたというにはあまりに生々しくもある。kenとしてはそれらを逐一つまびらかにする
ことに意味があるとも思えなかったし長瀬も同様だったらしい。互いに話は事務的に進め、経緯はごく大雑把にしか触れなかった。
誰が死んだか、誰が危険か、ほぼその羅列だ。いや、羅列というほどの数もない。
聞いたのは稲葉との接触のこと、話したのはオレンジレンジのカッチャンとそしてhyde――これはkenにとって今一番辛いことなのだが
――は危険だということだけだ。
「レンジのカッチャンに……hydeさん、か。そうだな、あいつらはかなりやる気だからな」
長瀬はそう呟いて小さくひとつ溜息をついた。
その長瀬の呟きでkenは、あ、と気付いた。そう、長瀬は元々この事務所から解雇されており、あまり情報は
持ってない筈だ。それに、冷静に考えれば彼も今やソニーとは何の関係もないのだが――
「教えてくれ、長瀬」
「――何?」
それでも酷く切羽詰まった声を、思わずkenは出した。
353 :
情報交換:2005/07/31(日) 16:27:33 ID:o8RhUZqV
考えるべき、話すべきはこれからのことだ。
それをkenが言おうとした途端だった。
「アキヒト、kenさん!」
若干興奮した声を上げながら、ハルイチが不自由な体で蹌踉めくように飛び込んできた。kenやアキヒトが問うより早く、せき込んだ調子でハルイチは
続けた。
「煙が……煙が上がってるぞ、二つ」
その言葉に、kenは反射的に立ち上がっていた。そのままの勢いで外へ飛び出す。
ぐるり周囲を見渡すと、黄昏の薄暗い空に揺れる二筋の煙が確かに見て取れた。
「tetsu……!」
kenは思わず、無事な右手でガッツポーズを作った。
この土壇場でtetsuという新たな仲間を得たことは心強くまた幸先がいいように思えた。
だから、と続けるべき相関のあるわけもないのだが、それでもkenは思った――
だからきっとtetsuもユッキーを見つけて、ああして合図を送ってきたんだ。それとも、もしかしたら――!!
元気な、やかましい玩具的な騒音が響いた。アキヒトの光線銃だ。アキヒトは時計を見ながら、きっかり15秒鳴らしてそれを止めた。
「たぶん、これでもまあまあ近くまで来ないとこの音は聞こえない。もうしばらく中で待ちましょう」
アキヒトにそう促されて、kenは廃屋へ戻った。
「……そしたら、光線銃を鳴らすと。合流して、一緒に逃げ出そうって事で」
ハルイチの話す声が耳に入ってきた。そういえばその話はしていなかった。長瀬はさぞ面食らっただろう。
354 :
情報交換:2005/07/31(日) 16:36:45 ID:o8RhUZqV
「yukihiroさんを見つけたんだな、tetsuさん」
ハルイチはそう締め括り、なあkenさん、と微笑を浮かべて振り返る。
kenも笑い返しかけたところで、ハルイチは笑みを消した。不思議に思ってアキヒトを顧みると、アキヒトの顔も笑ってはいない。
「アキヒト――?」
アキヒトは誰とも目を合わさず、低い声で呟いた。
「tetsuさんは……yukihiroさんの死体を見つけたのかもしれないと、思っただけだ」
虚をつかれた感じで、kenは絶句した。
「そんな……」
ハルイチがやや凹んだような表情で呻く。アキヒトはなお続けた。
「仮に死体じゃなかったにしても――」
アキヒトはそこまでで口を噤んだが、長瀬が苦いものでも呑んだような表情をして、それでなんとなくアキヒトの言葉の先がkenにも
想像できた。
気がついてしまえば自分が長瀬のような反応をしなかったことが不思議なくらいだった。
よく知っているはずの誰かが、似ても似つかぬ何者かに変じている―― たとえばkenにとって最悪なことにhydeがそうだったように。
tetsuの前にそのようなyukihiroが立ったのかもしれない。煙が上がった以上tetsuは無事なのだろうがyukihiroもそうとは限らないのだ。
「まあとにかく、tetsuさんがここへ辿り着けるように祈るとしましょう」
言われなくともkenは祈った。tetsuがyukihiroと一緒に戻ってこられるように。
もう、sakuraの時のような思いも、hydeに対するような思いも、したくない。
355 :
情報交換:2005/07/31(日) 16:42:28 ID:o8RhUZqV
自分が生きているという稀有の僥倖に感謝すると同時に、それはどうしても抱えなくてはならない思いなのかも知れないけれど――
「まあ……なんにしてもカッチャンとは、もしかしたら――hydeさんともやりあうことになる。そのときは、kenさん――容赦なくやれますよね?」
アキヒトの瞳は真剣だった。
hydeに居場所を知らせるような真似をしたらどうなるかはRYOとHIROKIの件で思い知っている。カッチャンも、どんな姑息な手を使ってくるか
分からない。それ以前に、彼らとやりあって、こちらが全員無事で済むという保証など全くないのだ。kenが躊躇って死ぬのがken
ならいいが(いや、良くはないが)、ハルイチやアキヒト、長瀬、あるいはtetsuやyukihiroを危険にさらすことになるかもしれないのだ。
「わかってる」
kenは言って、頷いた。
でも、まだkenには、一縷の望みがあった。hydeが、あの時自分達のメンバーであると知らずに襲ったかも知れないと言う可能性――あの時の
あの暗闇では、十分あり得る。なんせ、ken自身も襲われておきながら気づけなかったのだから――それに、実はまだkenは心の
奥底で期待していた。
356 :
名無しのエリー:2005/07/31(日) 19:48:45 ID:d8KDg1pn
作者タン乙
煙は誰があげたんだろう…やっぱhydeか
今何時頃だ??
そろそろ放送ある頃だよな。
hyde×残り4人の対戦になるんだな。
なんかhydeがすごく切ないというかなんというか・・・
清春は最後の最後で出るのかな。もうすぐ終わりそうだけど
塚、服は血まみれ口の周りはゲロまみれ
そんな人が無表情でマシンガンぶっ放してきたらものっそい怖いな
さすがにこんな時でもゲロは拭くか
生き残りメンバーで謎の存在長瀬ガンバレw
カッチャン…orz
361 :
名無しのエリー:2005/08/02(火) 13:23:07 ID:bYMSMK16
ふぅ、やっと最初からここまで追いついた;
作者さんファイトです。ポルノ、かっこいいわぁ゚+.(・∀・).゚+゚
ハイタンマダー?(´∀`)
363 :
名無しのエリー:2005/08/02(火) 16:38:40 ID:j68M3/HN
test
364 :
名無しのエリー:2005/08/02(火) 16:43:08 ID:j68M3/HN
部屋を沈黙が覆い、重い空気が立ちこめる。それを破り、松浦が始めて自分から口を開いた。
「確かに陽水さんが言うような事は俺も考えましたわ。どう思うか言われたらその可能性は充分ある、と言うしかないですわな。・・・・しかし、それを言う為だけに来たわけではないんでしょう?」
淡々と話す松浦に陽水は、勿論だ、とばかりにゆっくり頷く。そして、先程から黙り込んでしまった大塚愛を見やった。
大塚は、明らかに憔悴していた。陽水は、そんな大塚を慰めるかのように話し出した。
「随分ショックを受けたようだねぇ。まぁ無理もない。実際ひどい話だし、そんな未来など誰も望んでいないだろうからね。
しかしだ、さっき言った様な未来を回避できるかも知れない方法があるとしたらどうだね?」
「そんな方法が・・・・あるんですか?」
「ある。それも単純な方法だ。もっとも、簡単だという意味ではないがね」
そう前置きして、陽水はその方法を語った。それが余りに簡潔だったので、大塚は思わず聞き返していた。
365 :
真相:2005/08/02(火) 16:47:47 ID:j68M3/HN
「・・・・それだけ・・・・ですか?それだけで阻止することが出来ると?」
「絶対とは言わないよ。しかしだ、少なくともそう簡単にソニーの思うようにはいかなくなると思うね。
ただ・・・・言うまでもないが、チャンスは一度きりだろう。だから向こうに警戒させるようなことはしたくない。さて松浦君、私の頼みというのはここだ。」
陽水は顔を上げ、じっと松浦を見つめてた。松浦は無表情で見つめ返している。
再び部屋を沈黙が満たし、そして破られた。
「君は先日、西川君達と会談したそうじゃないか」
「・・・・さすがですな。ようご存じで」
「まぁね。そこでだ、君が取引材料に何を使ったのか、そしてその仕組みはどうなっているのか教えて欲しいんだな。しかし、君に一番望むのは」
陽水は、そこでいっぺん言葉を切った。松浦が陽水の言葉を待ち受けてか、すっと目を細めた。
何故か大塚には、それだけのことで部屋の気温が一気に下がった気がした。
そして、ゆっくりとそれは告げられた。
「今後ソニーミュージックに一切手出しをしないで貰いたい、という事だ」
366 :
真相:2005/08/02(火) 16:51:46 ID:j68M3/HN
それは要請でも懇願でも、命令ですらなかった。その響きは、一方的な宣告のそれだったので、大塚は思わず立ち上がっていた。
「じょ、冗談じゃないですよ、だってそうでしょう?
あんな話を聞かされて、じゃぁ辞めましょう、なんて言えるはずが無いじゃないですか。大体、ここで手を引いたら、浜崎さんは一体どうなって……」
それ以上続けられずに、大塚は松浦を見た。松浦は、まぁ落ち着け、と言うように片手を上げ大塚を制止し、その後を続けた。
「ウチだって好きで関わってる訳じゃないし、出来るならとっとと手を引きたいんですがね、
大塚の言うとおり今の状況でじゃぁ辞めますってわけにもいかんでしょう。勿論、陽水さんの事ですからそんな事情は判ってると思いますが」
「そうだね。君達の立場は判っているつもりだ。急にそんなことを言われても納得しないのは当然だろう。
しかし、幸いなことに我々は協力できる………少なくとも、敵対せずに済むと思うんだ。そこで、ささやかながら手土産を持ってきたよ」
「ほぅ? 手土産ですか。一体何ですかね」
「まぁ、期待に沿えるような物かどうかは判らないがね。例えば、こういう物がある」
そう言うと、陽水は足下からブリーフケースを取り出し、机の上に乗せた。それが開かれる音が妙に大きく響いたような気がして、大塚は唾を飲み込んだ。
これで二日分?
続きを期待します
368 :
参戦:2005/08/02(火) 17:52:08 ID:j68M3/HN
YOSHIKIはひどく焦っていた。
パソコンのモニターにはken・アキヒト・ハルイチ・長瀬を指す赤いランプが 1点に固まって表示されている。 その方向に4つのランプが集まっているところから、 1つのランプが向かっていく。
「hyde、もうよすんだ・・・」
YOSHIKIは独特のメイクで日本ロック界に名を残す] Japanの名ドラマーだ。
そんな] JAPANが解散した翌年、ラルクは全盛期を迎えた。
自分と同じ、ヴィジュアル系の若者達は、明らかに自分達よりも凄い才能を持っていた。
YOSHIKIはソニーに頼み込む。
「3年間、遊ばせないでくれ。そうすれば奴らは俺達を超えるバンドになる―――」
今回のプログラムでのhydeの噂はひどいものらしい。
・・・すでに10数名もの人間を殺したと聞いている。
だが、YOSHIKI達にはわかっていた。
「このゲーム、運だけじゃ勝ち残れない・・・。」
YOSHIKI,スガシカオ、松岡充、宇多田ヒカルは船上の人達だった。
これから地獄へ向かう。
もう1人の生き残り清春は、たった今ゲームに参戦したそうだ。
369 :
参戦:2005/08/02(火) 17:54:29 ID:j68M3/HN
「刺客として途中参加?う〜んそれはいいですね〜」
―――このガンダム悪魔が!
YOSHIKIは内心そう思った。
一大企業ソニーミュージック、やがてそれは作り物であった事に気くのには、そう時間はかからなかった。
その輝きを守るため、裏でどれだけ前途有望な若い歌手が犠牲になったのだろう・・・。
「TOSHIがどんな思いで音楽界を去っていったかわかってるのか・・・。」
それだけじゃない・・・。
―――HIDEはプログラムの口止めで惨殺された―――
「全ては西川や陽水の責任・・・。!、いやっ・・・。」
―――果ては、彼らも政府の犠牲者か・・・。―――
――船が島に着いた。
YOSHIKIは武器を確認する。
「38式歩兵銃。銃剣も付いてるぞ。俺にお似合いか・・・」
YOSHIKIは苦笑した。
――待ってろ、hyde。――
YOSHIKI達4人の刺客は地獄の島へと踏み込んだ・・・。
370 :
三つ巴:2005/08/02(火) 18:04:19 ID:j68M3/HN
「んー、これは見物だね〜 いわゆる一つの、ハイライト。エキサイティングゲームです〜 タマ、君はどういう形で決着が付くと思う〜?」
モニターを見ながら、上機嫌で西川が呟いた。現在の生存者、僅かに5人+刺客5人。
そして、次に起きる戦闘は間違いなくkenグループVShydeVS刺客5人だろう。
今までのhydeのやり方からして、相当凄惨な戦いになるはずだ。
なのにそんな事を笑顔で訪ねる西川に嫌悪感を感じつつも、
「普通に考えれば…hydeが圧倒的不利なんですが……」
そう答えたもののタマは疑問を感じずにはいられない。hydeのようにkenやハルイチが容赦なくやれるか?
もしやれないのなら…… それを見逃すhydeではないだろう。
(……迷うんじゃないぞ、kenさん………!!)
「ポルノもラルクも、このバトルを乗り越えれば更に更にビッグなバンドへと変身出来るからね〜 非常に、非常に楽しみだ〜。う〜ん、まだか〜?」
祈るような気持ちのタマの横で、西川はあくまで上機嫌だった。
YOSHIKIを超えるV系はいないぜ!!
とりあえずみんながんがれ。
Xよりもラルクが上だとは思わない
オリジナリティねぇな…
HIDEはともかくYOSHIKIもこのプログラムの被害者なんだな
YOSHIKIじゃなくてTOSHIだったorz
西川がセゲオ口調のままなのがうける
377 :
邂逅:2005/08/03(水) 17:22:46 ID:HFyNXqai
松岡達と別れた後、YOSHIKIはノートパソコンに目をやってkenたちの位置を確認し、走り出した。
急がなくてはならない。hydeはkenたちに近づいてきている。
自分はもう結構な年だ。三八式歩兵銃はかなりの重量だ―に加えてこのお荷物、老体に響く。だが、これがあるから正確な位置がわかるので、我慢しなくては。
(それにしても酷いな。さっきはTAKUYAで今度はSIAM SHADEのHIDEKIか…全くこんな凄惨なものだったとは…。)
ここはYOSHIKIの想像を遥かに超える場所だった。…だが図太いYOSHIKIはすぐに適応する事が出来た。
(もうすぐだ。急ごう。…kenとは馴染みがあるが、他の3人は俺の事をよく知らないはずだ。誤解を受けるかもな。)
廃屋が見えてきた。YOSHIKIは走るのを止めた。
正面にあったドアをノックすると、中から返事があった。
「tetsu?」YOSHIKIは返事をする。
「いや俺だ、YOSHIKIだ。」「エーッ、YOSHIKIさんですか!?」
378 :
邂逅:2005/08/03(水) 17:29:46 ID:HFyNXqai
kenは驚きを隠せなかった。
傍らの長瀬の顔には緊張感が走っている。そしてポケットの中の銃に手を掛けようとした、のをアキヒトが止めた。
「よせ、YOSHIKIさんは多分大丈夫だ。…kenさん、鍵を開けてください。」
「ああ、解かった。YOSHIKIさんちょっと待ってくださいね。今、開けます。」
kenが言った。YOSHIKIが中に入ってくる。
「YOSHIKIさん、あなたも参加させられたんですか?」
アキヒトが尋ねた。YOSHIKIが返す。
「詳しい事は後だ。ここを出よう。hydeが向かってきている。」
「なんだって!」一同、驚きと狼狽が隠せない。
「何でそんな事が解るんですか?」長瀬が疑わしげに問う。
「これだ。」YOSHIKIはノートパソコンを見せた。
「これが長瀬、お前だ。そしてこれが…hydeだ。」
―――kenは、ふとした疑問をいだいた。
「じゃあ…、じゃあ、testuとユッキーは?」
「2人は…、死んだ。」少し躊躇ってYOSHIKIが答えた。
「!!!」(…なんてこった。やはりあの時、止めておくべきだった。)
kenは激しく後悔した。
379 :
邂逅:2005/08/03(水) 17:39:17 ID:HFyNXqai
「ken、今は人のことで感傷に浸る時間はない。自分のことだけ考えるんだ。…移動しよう。」
「稲葉もこの島にはもういない。桜井、カッチャンは死んだ。」
「じゃあ残っているのは俺達とhydeだけだったんですか…」
「アキヒト、バードコール…?そうかそれで…よし、もう一度鳴らしておけ。」
「わかりました。」
―――死体、しばらく行くと、また死体、無残だ…。―――
「YOSHIKIさん、何であなたがここに?」
「いろいろとあってな。hydeは俺が止める。」
「!、そうか、あのいざこざは全部…。」
「ああ、芝居だったんだ。」―
「ちょっとさっきから聞いてたら何のことをいってるのかさっぱりわかりませんよ。」
ハルイチと長瀬が不審そうな顔をしている。
「]もラルクも素晴らしいバンドだってことだ。」
アキヒトが言った。
380 :
邂逅:2005/08/03(水) 17:51:55 ID:HFyNXqai
―――「よし、ここら辺まで来れば大丈夫だろう。」
YOSHIKIはノートパソコンを置いた。一同、画面に目を見やる。
「ここがさっきの所だ。hydeの奴、周辺を躍起になって探してるみたいだな。」
(hydeと一戦交えなければいけない所だった…、いや、奇襲されてたら下手をすれば皆も命がない所だった…。)――
――kenはhydeの鬼のような顔を想像して思わずぞっとした。
活動休止したてでhydeがソロに悩む頃、ラルクはマスコミにかなり嫌がらせをされた。 しかし気丈なkenはそんな事にはめげなかった。
それどころかkenはラルクを尊敬していた。心から復活して欲しい、そう願っていた。
2003年後半から2005年、復活して笑顔を見せ、自分にライバル心をあらわにするtetsu、いつでも解散宣言しそうなラルクは、
kenにとって尊敬すべきバンドだった。それでこそラルクだと…、kenは嬉しかった。
―カイサン――ラルクカイサン――
カイサン、カイサン、カイサン、「おーい、ken!聞いてるのか?」
kenは現実に引き戻された。「えぇっ???、何ですか、YOSHIKIさん?」
「全く、ちゃんと聞いてろよな。いいか、まず俺がhydeを説得してみる。それで・・・お前は・・・。」
いよいよhydeと戦わなければいけない時が来た。
kenは覚悟を決めた。
381 :
邂逅:2005/08/03(水) 17:58:04 ID:HFyNXqai
「ここにもおらんな・・・。」
hydeは血眼になってkenたちを探していた。自分はラルクが大好きだ。
絶対に勝ち残らなければならない。そして…kenに引導を渡す時が来た。
(ラルクの作曲は俺がする。)
(・・・それにしても見つからなんな。)
確かにこちらのほうからバードコールの音が聞こえたはずだった。
廃屋があったがそこはもぬけのからだった。付近はくまなく捜したはずだが見つからない。
(妙やな。ばれたんやろか…?いや、それは有り得ないはずや…。)
――ありえないとも言い切れないな。――
ふと、体バランス飲料DAKARAのコマーシャルを思い出し、思わず笑ってしまった。
(そういえば笑ったの久しぶりやな。このプログラムが始まってからまったく笑とらんかったわ。
…俺は何であんなにあっさりとRYOとHIROKIを殺してしまったんやろ? あんなに頑張ってたのにな…。)
―――何で自分はそんなにラルクにこだわっている?
そこまでラルクは本当に自分にとって大事な物なのだろうか?―――
382 :
邂逅:2005/08/03(水) 18:02:39 ID:HFyNXqai
そんな考えが一瞬、hydeの頭に浮かんだ。だが…、
(大事や。大切や・・・。…それに俺は後藤を殺したあの時点でもう元には戻れん。後藤を殺ると決めた時点で覚悟を決めたんや…。)
hydeは、にやけた後藤の顔を思い浮かべた。数秒後、hydeは笑っていた。
「tetsu、すまなかった。俺は、俺は…。」
突然、バードコールが鳴った。
hydeは口元を結ぶと、バードコールの聞こえる方へ走っていった。
383 :
名無しのエリー:2005/08/04(木) 14:59:51 ID:EG3zwDZN
作者タン乙
マダカナマダカナ?
385 :
名無しのエリー:2005/08/04(木) 21:59:51 ID:IcqJjT9s
学研の
オバチャンまだかなー!
(このネタ知ってる患具士いるかな)
…患具士???w
387 :
名無しのエリー:2005/08/04(木) 23:55:53 ID:FeT4IXoa
かんぐし
香具師<やし>
なぁコレを か ぐ し って読んでんの?
か ぐ し・・・。
ごめん久しぶりに大笑いした。
390 :
音:2005/08/05(金) 16:51:04 ID:w33D02Mz
(俺はもう後には引けんのや。もう、勝ち残るしか道は残されていないんや。)
バードコールの音が大きくなってきた。
(近いぞ…。)hydeはマシンガンを構えて慎重に近づいた。
茂みの向こうのやや広い所に人間らしき姿が窺えた。
しかしそれはkenでもアキヒトでもハルイチでも長瀬でもない。
元] JAPANの男である。
「hyde、待ってたぞ。」
「YOSHIKIさん、何で…。」
「俺はな、お前を止めるためにここへ来たんだ。」
「…俺を、止める?」
hydeの顔が少し曇る。同時に、胸の中に例えようの無い嫌悪感が沸きあがった。何故、こんな所にYOSHIKIがいるのかは自分にとって問題ではなかった。
自分の行動を止めに来たという言葉に酷くムカつきを覚えていたのである。
「ああ、お前をこれ以上苦しめたくはないんだ、お前は…」
「YOSHIKIさん、俺はtetsuをも殺しかけたんだ!もう戻れないんですよ。生き残るしかないんだ!!」
YOSHIKIの言葉を遮って、hydeは言った。
YOSHIKIも勿論このルールは知っている。しかしkenやポルノらを、修羅と化したhydeに殺されるのを黙っているわけにはいかなかった。
同じジャンルのバンドマンの豹変を、これ以上見ていられなかったのだ。
両者に一瞬の静寂が訪れる。
391 :
音:2005/08/05(金) 16:58:30 ID:w33D02Mz
「!そうか、kenらを逃がしたのはあんたやな。
kenはどこにいる?俺は出来ればあんただけは殺したくないんや。さあ、言ってくれ!」
「知らん。俺は誰にも会ってない。」
「嘘つくとためになりませんよ。だいたい、一人で来るいうのも怪しいもんや。案外、近くにいるんやないのか?」
マシンガンの銃口をYOSHIKIに据えたまま、hydeが一歩前へ出た途端だった。
「みなさんこんばんは、上戸彩です――」
定時放送が島に響いた。
hydeやYOSHIKIにすれば話の腰を折られた格好だが、拡声器の向こうの上戸にそこまでの配慮を求めるのは当然ながら無理だろう。
392 :
音:2005/08/05(金) 17:03:13 ID:w33D02Mz
ごく淡々と仕事を果たした上戸彩はいつも通りに死者やら禁止エリアやらの情報をもたらしてくれた。もののついでに稲葉浩志の退場も。
「……あと5人か」
死にも死んだりだな、とYOSHIKIが低く呻いた。それを受けて、
「あんたは俺がそのうち何人を殺したか……知らんのでしょう?」
俯いたhydeの顔が、泣き笑いのような形に歪んだ。だがそれは本当に一瞬のことで、YOSHIKIへ向き直ったときにはもうhydeは無表情を取り戻していた。
平板な、冷え冷えとしたhydeの面で、ただその瞳だけが異様な精気を孕んで燃えていた。
「生き残るのは俺や――もう、決めた」
地の底から響くような声が決裂を、あるいは訣別を宣告し、銃火が連続して閃いた。
血煙が上がって、hydeの眼前でYOSHIKIの体が跳ね上がりそして地面に叩きつけられる様が スローモーションのように見えた。
393 :
名無しのエリー:2005/08/05(金) 17:06:19 ID:8TJjrzo2
かぐしって何?(藁
香具師(やし)
夏だなぁ〜
395 :
殺害:2005/08/05(金) 17:24:02 ID:w33D02Mz
ken達は見晴らしのいい小高い丘に来ていた。
『俺がhydeを説得してみる』、YOSHIKIはそう言った。
それを蔑ろにできるわけもなく、kenにはただ成り行きを見守ることしかできない時間が過ぎてゆく。
「kenさん…誰か出てくる」
慌ててアキヒトが腕を引っ張り、茂みの陰に姿を隠した。
両肩に荷物を背負った、宇多田ヒカル。
片方には例のデイバッグ。もう片方には、……スーツを着た人間。
ドサリとその『荷物』を地へ落とすと、宇多田は呟いた。
「Por fabor, Sr.sikao.前回の主人公がこんなに早く脱落するなんてね」
そして、胸の前で小さく十字を切り、地に寝かされた人間の腕からバッグを奪い取ると、
宇多田は悠々と、背伸びをした。
アキヒトには、胸の辺りを真っ赤に染めた、既に事切れたスガシカオの身体が目に移った。
396 :
殺害:2005/08/05(金) 17:26:55 ID:w33D02Mz
残り5(8)人
作者タン乙!!
398 :
名無しのエリー:2005/08/05(金) 18:03:13 ID:ui7WaGv5
YOSHIKI死ぬの早すぎ
いま気付いたけど、バードコール?
・・・・つっこんじゃいけないのかな?
作者さん乙です
400 :
名無しのエリー:2005/08/06(土) 19:22:27 ID:YIisdfBG
今全部読んできた!個人的にはハッカーHISASHIに感動した
hydeはどうなるんやろ?
401 :
殺害:2005/08/06(土) 19:47:13 ID:BegWry/R
「シカオさんっ……!!」
kenは思わず叫び、身を隠していた藪から立ち上がっていた。
わかっていたはずではなかったか。説得なぞ通じる相手ではない、あれはもう、kenたちの知っている宇多田ヒカルではないということくらい。
なぜ自分は、シカオにそれを伝えなかったのだろう。でも、もうおそい――
「kenさんッ!」
声が聞こえると同時に引き倒された。頭の上を銃弾の列が通過する。あのままなら当たり前にkenの体を抜ける軌道だった。
「アキヒト……」
「静かに! 位置を知られる」
言いかけた礼をぴしゃりと遮られ、kenが絶句する間に宇多田とは別の方向から単発の銃声が聞こえ、二人を追うと思われた火線が途切れた。
長瀬だ。長瀬がベレッタで応戦している。さすがにそれであっさり倒れてくれる宇多田でもなく、撃ち返すガトリングの銃声がすぐに戻ってきた。
だがとにかく長瀬は、この事態にもkenよりははるかに冷静に対処していると見えた。
ある程度は想定なり覚悟なりしていたのかもしれない。むしろそれが当たり前だ。
ただ――長瀬の射撃はあまりにも正確すぎる、kenは一瞬そう思ってしまった。
402 :
殺害:2005/08/06(土) 19:56:22 ID:BegWry/R
もっとも宇多田相手では殺すつもりで撃たなければ牽制の用すらなさないに違いない。
要するに長瀬の対処は非常に適切だ。だがkenはその適切さにこそ違和感を覚えていた。
あれではまるで――このくそ下らないゲームに乗ったようにしか見えない。
そう考えかけた矢先、「kenさん」と低い声でアキヒトに呼ばれた。
相手が誰であろうと容赦なくやれますよね、そう訊かれたときの声に似ていた。
アキヒトの手が、なにか硬いものをkenに押し付けてよこした。MP5だ。
ことここに至って、ようやくkenはあの問いの意味するところが解った気がした。
――やれるのか、俺は?
kenは自身にその問いを向けた。
『戦うのはやめてください!』
『みんな戦いたくなんかないですよね?』
RYOとHIROKIの言葉が耳に甦った。あの二人は俺達を信じようとして、しかしその二人をhydeは情け容赦なく屠ったのだ。
それを思い返し、宇多田とhydeはどこか似てるなと感じた。
やれる……いや、やる!
そう答えを出してkenはMP5を宇多田に向けて構えた。
403 :
清春とhyde:2005/08/06(土) 20:48:48 ID:BegWry/R
清春は暢気に獣道を進んでいたが、いきなり足を止めた。
「…誰か、居る……」
茂みの先に人の気配を感じ、清春は足を止める。俺達が参戦した今、生き残っている者は大抵は一筋縄ではいかない奴等ばかり
だろうと。 今まで農作業用の小さな小屋を見つけ、ただその中にひたすら眠っていた彼にとってそれはこのゲーム始まって以来の最大の
厄介事であった。
「面倒だね……」
大体今までが幸運過ぎたのだ。自分でも最初見落としていた、視界に入りにくいその小屋は人一人でも入り込むにはあまりに小さく
軽トラック1台が入ったらいっぱいいっぱいの大きさでしかなかったのだ。が、清春はその軽トラックの荷台に死んだように横たわって
眠っていたことで、上手く隠れる事に成功していた。
途中、小屋の前で派手な銃撃戦が繰り広げられ何人かの怒号が飛び交い、清春も目覚めたのだがそれもやがて済んだ。
その場は確認は出来なかったがやがて人の気配が完全に周囲から消え去り、人間が去ったことを清春は確信した。
これでいい。後は、時間が過ぎて他の奴らが勝手に自滅していけば――楽勝。
404 :
清春とhyde:2005/08/06(土) 20:51:25 ID:BegWry/R
それから再び軽トラの荷台に横たわり、空腹に耐えかねたときだけパンを囓って水で喉を湿らせた。退屈なのは仕方ないが、外に
出て面倒な戦いをするよりはずっとマシな筈だ。
この狂った殺人ゲームの中、ただ、首輪の食い込む息苦しさに耐えて
寝ていられるのは、稀有の僥倖という物だった。
いいよ、このまま…どんどんみんな死んでってね。
ミュージシャン達はいっそ腹が立つほど順調にその数を減らしていた。放送を聞くに、YOSHIKI達も島に着いたらしい、だけど、
自分のように無傷でいるミュージシャンなど、もういるわけもないだろう。放っておけば、勝手にみんな死ぬだろう。いいよ、その調子だ。
何もしないでも勝てるという清春の淡い望みは、だが、あっけなく踏みにじられた。
小屋を含む周辺の地域が禁止区域に指定されてしまったからだ。
ゲーム参戦以来、本当に三、四時間ぶりに外に出た清春の目に飛び込んできたのはYOSHIKIの変わり果てた無惨な姿だった。
銃で、一発だった。即死だっただろう。
405 :
清春とhyde:2005/08/06(土) 20:53:56 ID:BegWry/R
誰がやったのか清春は当然分からなかったが、その鮮やかな手口に今まで忘れていた興奮を呼び覚まされる。
この辺に、まだYOSHIKIを殺した奴が潜んでいるのかも…そう考えてその可能性が薄いことを清春は思い出す。
そう、もう指定の時刻まであと数十分と迫っているのだ。
未だにうろついている奴がいるとしたら、そいつは自殺志願者に違いない。
清春は十分辺りを警戒しながら、支給された武器であるデリンジャーを構えて小走りに小屋を後にした。
そして、やっと禁止区域(になる予定のエリア)を抜けたところで、獣道の先に人の気配だ。
まさか、YOSHIKIさんをやった奴なんじゃ……!!
清春の全身をたちまち緊張感が支配する。
デリンジャーは、相手が意識していれば筋肉で止められてしまうようなひ弱な銃だ。銃の中ではもっとも火力が低く、速射も利かない
のだ。真正面から撃ちあって、という武器では決してない。
ただ、非常に小さい。掌中に収まってしまうサイズなので、上手く立ち回れば
良い武器として使えるはずだ。
406 :
清春とhyde:2005/08/06(土) 20:55:37 ID:BegWry/R
「…撤退しよう」
まともに正面から行くのは面倒だと清春は背を向けたが、ふいに眉を吊り上げるとデリンジャーを構えて振り返る。
「…!」
背後に居たのはhydeだった。向こうもこちらの気配を感じて来たのだろう。
(こいつか…)
清春はデリンジャーを構えたまま舌打ちする。hyde、キルスコアNO1アーティスト。それに俺の、
ブラックリストにも入ってる。このゲームで最も殺したい奴の一人!!!
(YOSHIKIさんをやったのは、こいつだな!)清春はそう思いこむと一瞬だけ、hydeの手を見た。
どういう訳か、hydeの両手は土で汚れていた。しかし、何も持ってはいない。銃器を隠し持っている訳でもなさそうだった。
(――楽勝だね!!)
清春は内心快哉を叫びながら、一気にhydeに突進した。
hydeは、そんな清春の姿に呆然としている。突然何の心構えもなく出くわして、hydeも戸惑っているのだろう。だとしたらチャンスは
今しかない!!
興奮して、自分でも訳の分からない奇声を上げながら清春はhydeに体当たりを食らわせ、hydeが思わず蹌踉めいたところへ清春は
デリンジャーをhydeの心臓に押し当て、引き金を引いた。
(勝つのは、俺だよ!!!)
おおお!
ワクワクテカテカワクワクテカテカ
どうせ防弾チョッキなんだろ・・・
意味不明に長瀬ガンバレ!
防弾チョッキってhydeある意味最高の武器だな
昨日前スレの一から今までずっと読んでたよ!
俺の睡眠時間を奪うたあ、作者さん、あんた最高だ!
413 :
名無しのエリー:2005/08/07(日) 14:54:56 ID:z8r3Exw0
かっちゃんって死んだの?
414 :
名無しのエリー:2005/08/07(日) 14:59:07 ID:0xSqAn8f
>>413hydeに殺されますた
確かhydeだったと思う
違ってたらスマソ
腱鞘炎の人が銃を…?
416 :
名無しのエリー:2005/08/07(日) 15:07:15 ID:0xSqAn8f
417 :
地図:2005/08/07(日) 16:54:57 ID:sJA2pEbn
ブリーフケースから井上陽水が取り出した物、それは一枚の紙だった。身を乗り出して大塚愛はそれを見た。
「地図……?」
大塚が思わず呟いた通り、それは島の地図だった。
もっとも、どこにある島なのか大塚には見当もつかなかったが、それに目を走らせた松浦社長がああ、そこやったんか。
と呟いたのを聞いてその地図の意味する事は判った。
「ふむ、やはりあたりはつけていたのか。突き止めようとは思わなかったのかね?」
「知ったところでどうしようも無いんではねぇ… それより優先してやるべき事が有りましたし」
大塚は松浦の言い方に引っかかる物を感じたが、それよりも確認したい事があった。
「陽水さん、つまりここが」
「…そう、プログラムが行われている場所だよ」
「そ、それがわかってるんだったら…どうにか出来ないんですか?」
「まぁ、難しいだろうねぇ。向こうだって監視体制は整えているだろうし、武装もしている。
遭遇したら戦闘は必至だ。そんな騒ぎを起こしてみたまえ。間違いなく上層部は危険が迫ったと判断し、最も手っ取り早い口封じにでるよ。つまり」
「首輪の一斉爆破…そして誰もいなくなった……っちゅうわけや、大塚」
「……どうしようも無い…って……そういう意味ですか」
つまり。長瀬さんが生き残るよう祈るしかない。そういう事なのか。
話があっちこっち行きすぎ
419 :
地図:2005/08/07(日) 17:01:12 ID:sJA2pEbn
「浜崎さん……」
やりきれない思いで大塚は呟いた。
「しかし陽水さんも人が悪いですな。手出しをするな、と言いつつ今更こんな物を見せて…何を考えているんですかね」
「いや何、こっちから協力を呼びかけるんだから、こちらの動きを知らせておかないと信頼は得られないだろうと思ってね。
それに、誰だって無能な相手とは組みたくないだろう。だから、こっちの能力を見せておく必要もあるしね…他にも幾つか持ってきてあるよ」
陽水の言葉通り、もたらされた情報はそれだけではなかった。
中でも大塚が驚いたのはHISASHIに仕掛けた盗聴機から拾った会話だった。
それを信じるならば、楽天の三木谷社長もこのプログラムの進行に一役買っていた。
昔、TVで見た三木谷さんの印象は勝負強い陽気な男、といった物だった。
しかし。テープから流れてきた現実は少女の頃に抱いた幻想をあっさりうち砕くのに充分だった。
あの頃でさえ既に、上層部は闇に覆われていたというのか。
その深遠さを改めて感じ、大塚は寒気すら感じたがそれを振り払うように疑問を口にした。
420 :
地図:2005/08/07(日) 17:07:35 ID:sJA2pEbn
「しかし…何故こんな物まで…」
「HISASHI君もこのプログラムには大いに戸惑っていたようでね。無理やり参加させられたんだ。
ライブ会場で逢った時……ね。最も、彼も忙しい身のようで殆ど時間はとれなかったんだがね。
彼個人としてはハッカーのようだったが…まぁ、彼にはどうすることもできなかったのはこのテープの通りだ」
「そうですね…しかし残念です。もし上手くいっていれば」
「確かにそうだが現実問題として一人でどうこうというのはやはり無理だろう。
…さて、これで私の話すべき事は全て話したつもりだ。そろそろ君の返事を聞きたいんだがね、松浦君」
部屋を沈黙が包んだ。ややあって、それを松浦が破った。
421 :
名無しのエリー:2005/08/07(日) 17:14:10 ID:0xSqAn8f
リアルで立ち合った(゚∀゚)
作者さんガンガレ
422 :
4対1:2005/08/07(日) 17:16:54 ID:sJA2pEbn
kenが撃つより先に、宇多田はざっと茂みを分けてkenの視界から隠れた。
とはいえ逃げたわけでは無論ない。宇多田は自身を狙った弾丸の来た方へ前進したのだ。
一対四の状況を一対一×四へと持ってゆくつもりであるのに違いなかった。
宇多田は相手が誰だろうが構わず撃てるがこちらはそうはいかない、宇多田とてそれは先刻承知だろう。
撃ってきたことで居場所の知れた長瀬を各個撃破の最初の対象に――長瀬だと認識しているかはともかく――定めたのだ。
近接戦闘に持ち込まれてしまっては当事者以外は手が出せなくなる、仲間を助けるために撃った弾丸が仲間を撃ち殺すのでは冗談にもならない。
なんとしてもそこまで距離を詰められる前に宇多田の足を止める必要があった。
思いは同じなのだろう、kenの先を行くアキヒトが撃ち始めた。多少狙いが甘くとも、牽制になれば意義はある。
しかし宇多田に対してはなんの効果も及ぼさなかった。
止まるどころか脇目も振らない。
至近へ降る鉛弾の雨に気付かないわけもまさかないし、当たればどうなるかなどなお判らないわけがない。
それを宇多田は敢えて無視している。
423 :
4対1:2005/08/07(日) 17:29:49 ID:sJA2pEbn
考えてみれば宇多田にとっては数に勝る敵を皆殺しにしなければ勝ちのない、端から分の悪い賭けなのだ。
多少の危険などは度外視して効率を追及したほうが結果が良いと判断したのだろう。
どうやら――殺すよりほかこの女を止める手立てはないと比喩抜きでそういうことらしい。
改めてkenはMP5を握る手に力をこめた。草葉の向こうに宇多田の後ろ姿がちらつく。
背中からということにちらりと罪悪感が掠めたがそんな場合ではないとすぐに思い直した。
フルオートにしたMP5の引き金を絞る。
反動は思いのほか傷に響いた。連射の途中からは銃を支えきれずによそへ向いてしまう。
その流れ弾が、遠方の長瀬智也に被弾した。
長瀬はそのまま後方に倒れこんだ。しかしそんな誤爆に気づかずkenは銃を宇多田に向け直す。
狙いを絞りきれないならばらけても当たるようなやりようをするよりほかないだろう。
近すぎない範囲でできるだけ距離を詰めて、どこかしらには当てる。それしかなさそうだった。
424 :
4対1:2005/08/07(日) 17:35:19 ID:sJA2pEbn
宇多田はそれでもkenやアキヒトの射撃で少しは速度を落としたのか、さきほどよりも背中が近い。
近づきすぎかと一瞬ためらい、しかし相手はあの宇多田だ、こちらも多少のリスクは背負わねばとそれを打ち消す。
「――kenさん!」
ハルイチの声で名が呼ばれたのとその一歩を踏み出したのが同時だった。
待っていたように宇多田が振り返る。燃える眼がkenを射た。
殆ど反射的に、kenはMP5の引き金に掛けていた人差し指に、全身全霊の力を込めた。
銃弾が発射される衝撃と合い重なるように、kenの左肩に激痛が雷となって迸る。
MP5からシャワーのように放射される鉛弾の群れが、宇多田の背中へと一斉に衝突していく。
理不尽な殺し合いゲームで非情なる死を遂げていったスガシカオの怨念とkenの怒りが乗り移ったように、次から次へと。
「死ね、殺人鬼野郎!」MP5の喧しい掃射音に勝るkenの雄叫びが、周囲を矢のように劈いた。
425 :
解説:2005/08/07(日) 17:39:48 ID:sJA2pEbn
MP5の奏でるその轟音に、西川貴教はとっさに耳を覆った。そして、そのままモニターを凝視する。
ついに、この時が来たのだ。それぞれの最終対決の時が。
掃射音が止んだのを確認し、西川はゆっくりと耳を覆った手を下ろした。
−決着が付いたのだろうか? もしそうなら、程なくモニターの光点の数が減少する。
そうでなければ−
西川の思考はそこで中断した。スピーカーが拾ってくる音が、いや、声が聞こえる。
「なるほど」
スピーカーから流れてくるそれを聞き、西川は事態を把握した。
「まだまだスウィートだねぇ」
そう言って、西川は笑みを浮かべた。
426 :
解説:2005/08/07(日) 17:41:41 ID:sJA2pEbn
残り4(7)人
バンプは?
言ってみたかっただけです許してください
長瀬〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
早くhydeと清春の対決みたい!
Kenは相当浜崎に恨まれるなw
結局長瀬は死んだのか??
残り4人だからそうだろ
途中乱入除いたら
hyde,ken,ポルノ二人だし
長瀬は結局、被弾して死んだのか?
433 :
名無しのエリー:2005/08/07(日) 20:43:27 ID:2gTXmrhy
(´ д.`)
私は数に入ってるんですか? 入ってないんですか? by 稲葉
稲葉さんは入っていませんね・・・
>>432そうだよ。Kenの打った流れ弾でさようなら
436 :
名無しのエリー:2005/08/07(日) 21:22:19 ID:CWfb3AUC
427 笑 藤君とか出して欲しかったですね。
すいません、言ってみただけです。
存在が薄いのに生き延びてるハルちゃんが
不憫というかずうずうしいと言うかw
まぁとにかく続き楽しみにしてます。
(■∋■)…イナバマダー?
素敵に睡眠時間を削ってくれて有難う
作者さん乙(´・ω・`)
仕事の休み時間まで潰して読んでしまった
元ポルノヲタとしては続きが楽しみwww
ゴスとか韻星とかも出して欲しい…とか我が侭言ってみるテスツ
キューンは駄目か。そうか。
取り敢えずエイベックスいらね('A`)
漸く追い付きました。
hyde×清春期待。
素朴な疑問
GLAYのHISASHIがしかけたウイルスはどうなった?
最後に威力を発揮するのか?
HISASHIかっこいいな。
これ見てるとHISASHIファンになりそうだよ。
キューンはダメかってラルクはキューンだよ
443 :
清春とhyde:2005/08/08(月) 16:41:50 ID:qiv+hzh7
ぱっ、と血飛沫が上がった。続いて、お約束のように絶叫が。
「ぎゃああああああっっ!!」
「……………」
hydeは体当たりを食らった勢いで派手に尻餅を付いたまま、今度こそ本当に呆然として今自分を襲った敵の姿を見上げた。
目の前で、清春が左手で右手首を掴み身体全体を強張らせながら、吹っ飛んだその手の先を凝視している。
赤黒く染まった指が数本、二人の足下に散っていた。
指の他に転がっているのは、既に部品の殆どが暴発の衝撃で変形してしまったデリンジャーだ。ひ弱だが、至近距離で撃てばそれなりの
威力を発揮する銃。銃口を心臓の真上に当て、引き金を引けば間違いなくあの世逝き決定。さっき、まさにhydeはその方法で殺されようと
していたのだった。だが、hydeの心臓辺りに押し当てられたデリンジャーは、銃口からかかった圧力のみを彼の胸板に残しただけで
その役目を果たす事が出来なかった。
そして、彼の目の前では清春が、本人は全く予想していなかったであろう苦痛に襲われ、額に脂汗を滲ませていた。
「運がなかったな」ひどく冷たい声でhydeは言った。
清春は返事の代わりに、はははは、と低く呻いた。それを聞いて、hydeははじめてその整った顔立ちに酷薄な笑みを浮かべた。
444 :
清春とhyde:2005/08/08(月) 16:49:05 ID:qiv+hzh7
hydeの心臓に弾をぶち込むはずだったデリンジャーの銃口は、実は詰まっていたのだった。小さな銃でも、暴発すれば命取りになりうる。
ある意味、右手を吹き飛ばされただけで済んだ清春は幸運と言えた。だが、今この状況では意味のない幸運ではあった。
むしろ、不運といっても良いかも知れない。
「ベスト5の俺としたことが…」
清春は地底を這うような低い声で吐き捨てた。
「多いんだよな、こういうの。自滅型、っていうのかいな」
実はhydeは、参加する前にプログラムデータをレコーディングの合間に参照していたのだが(勿論バレないように、こっそりと、だ)、
その中で、銃の扱い方を把握していないために命を落とした歌手達が少なからずいるという点に目を付けていた。それはそうだ。
こんな本業とかけ離れた、銃器に詳しいミュージシャンなんてそうそういるわけがない。ましてやこの異常事態の中だ。支給された銃器が
安全装置を外さないと使用できないとか、先が詰まって暴発する危険があるとか、そんな事いちいちチェックしないで焦って銃を
ぶっ放そうとしたとして何ら不思議ではない。むしろ、始めから支給された武器を完璧に使いこなして殺戮を繰り返している
俺の方がよっぽどおかしい、というか不思議なのだ。
445 :
清春とhyde:2005/08/08(月) 16:56:34 ID:qiv+hzh7
hydeはその事を十分知っていたから、清春が襲ってきたとき、まず用いるであろう凶器を素早く探した。そして清春がその手に
隠すように持っていたデリンジャーを発見し――その銃口が詰まっているのを見て、無抵抗を決め込むことにした。下手に抗って
揉み合いにでもなったら、自分も暴発に巻き込まれる可能性がある。そんなのはごめんだった。そんなことをしなくても、勝手に相手は
自滅していく――果たして、その通りになった。全くもって、自分の冷静さに改めて感心したくなる。
hydeは興ざめしたような口調で静かに言った。
「去れ。俺は、これからやらなければならないことがあるから」
「ふ、嫌だね」
右手を吹っ飛ばされ、神経を灼く激痛にその身を苛まれながら、清春はギラギラとした目をhydeに向けた。
「ここで君を逃したって、またどうせどっかで遭うんだろ。だったら、今ここで決着付けてやるよ」
その言葉に、hydeはすっと目を細めた。「――逃がす?」
冷たい土にまみれた手の先が、一瞬だけぴくりと動いた。既に凍えている手ではあるが、それでも清春が失った手よりは上手く
立ち回れることだろう。
446 :
清春とhyde:2005/08/08(月) 17:04:57 ID:qiv+hzh7
「勘違いするな。逃がすんやない。俺がお前を、逃がして、あげるんやからな」
「なっ………」
そのhydeの冷たい言葉が、清春を刺激する。
「――死ねよ!!」
相変わらず薄笑みを浮かべるhydeに、激昂した清春は飛びかかろうとした。左手だけしかない清春にとって一番効果的な殺傷法は、
まずsakuraが稲葉にしたように目を潰すことだ。目さえ潰せば、条件はかなり変わる。だがそれより僅かにhydeが、羽織っている
ジャケットの中から何かの液体が入った薬瓶を取り出す方が一瞬速かった。清春が手を伸ばし、その指の先がhydeに触れるか触れないか
のところで、hydeの投げた薬瓶が清春の顔面にぶち当たって粉砕した。
「ああああああああああ!!!!!」
しゅううう、という凄まじい音と同時に、白い煙状の気体と物凄い臭気が清春の顔面から噴き上がった。たちまち清春の顔がどす黒く
焼け焦げていく。浴びせられた液体は顔から首を伝って清春の上半身に広がり、激しく服を溶かしながら焦がしていった。
447 :
清春とhyde:2005/08/08(月) 17:14:23 ID:qiv+hzh7
人肉の焼けただれる嫌な臭いが、つんとhydeの鼻を突いた。
「だから言ったのに。逃がしてやるって」
hydeが投げた薬瓶に入っていたのは、強力な酸だった。
桜井が死ぬ間際、さりげなくスッておいたのだ。最初はこんな物何に使うのかと思ったが…なるほど、確かにこれは武器だ。立派な。
「ぐあああああああっっ!!!」
清春が腕をめちゃめちゃに振り回す。それを優雅な動作で避けながら、hydeは少し首を傾げた。
「どうした、あっけないな」
hydeは首を竦めると、もう一つ、先ほどの薬瓶より一回り大きいビニール袋をジャケットのポケットから取り出した。
ビニール袋の中には、何か透明の液体が詰められている。袋の上にはhyde自身の字で『さわるな、危険』と書かれてある。
「でも、そうも言っとられんみたいや」
そう呟くと、hydeはその中身の詰まった袋を暴れ回る清春の足下に置き、素早くブーツの先で踏みにじって破った。
たちまち、臭気が立ち上る。
サリン。それは、あのオウムも開発に着手していた神経系のガスだった。
リアルで立ち合ったぜ!!作者さん乙!
サリン!!さりげなく最強かhyde!?
450 :
ラスト間近:2005/08/08(月) 17:22:09 ID:qiv+hzh7
kenは呆然としていた。狙いは正確だった−はずだ。
「−死ね、か。その言葉、そっくり返すわ」
宇多田は何事もなかったかのように言い捨てた。
宇多田が無傷と言う事よりも、その語感のあまりの冷ややかさにぞっとし、kenは反射的にMP5の引き金を引いた。
しかし。手応えは無かった。音もしなかった。つまりは−
「弾切れだね。kenさん、サヨナラ」
宇多田はゆっくりと、ガトリングの銃口を上げた。何の感情も浮かべない目が、kenを見つめていた。
あいつは俺を殺そうとしているんだ、とkenは夢のような感覚で思った。
あいつは撃とうとしている。俺を殺そうとしている−。
指先の痛みか痺れかもうわからない感覚が全身に広がっていった。俺は、ここで−
451 :
ラスト間近:2005/08/08(月) 17:29:52 ID:qiv+hzh7
「kenさんっ!」
叱咤するような力強いその声にkenは弾かれるように飛びずさった。
宇多田の銃が火を噴いたのは、ほぼ同時だった。
宇多田のばら撒いた弾丸はどれもあたりの草だの木だのを痛めつけたばかりで、kenには届かなかった。
こんな状況で傷を増やさずに済んだのはほとんど奇跡だった。ただ――それがいつまで続くか。
逃げ回ったところで勝てるわけがない、だが反撃するには弾丸が要る。
補充の隙をよりにもよって宇多田が与えてくれようはずもない。
どうやれば勝てる?
答えはどう考えたところで出そうにもなかったので考えることは放棄し、勘だけでkenは動いていた。
手にしていたMP5、弾丸の切れたそれを宇多田めがけて力一杯投げつけたのだ。さすがの宇多田も、顔を庇って腕を上げる。そこへkenは体ごとぶつかった。
よろめきこそしたものの、宇多田は倒れなかった。
組み付きながら、kenは宇多田の体を探っていた。ガトリング一丁でシカオさんを倒したとも思えない。他にもすぐ使える状態の武器を持っていると見て間違いない。
452 :
ラスト間近:2005/08/08(月) 17:37:47 ID:qiv+hzh7
こっちに弾丸がないのなら、あるものを使わせてもらえばいのだ。
伸びてきた宇多田の手がkenの左腕を掴んだ。ぐいと引かれて、思わず上げた悲鳴は噛み殺しきれない。
どうにも踏ん張りがきかずにそのまま引き倒された。押さえ込まれるのにも、抵抗らしい抵抗はできなかった。
「ねえkenさん。わたしと浜崎と、どっちが日本の歌姫が似合うと思う?」
呼吸ひとつ乱さずに、宇多田はそんな問いを口にした。
瞳には憑かれたような光がある。宇多田に対してばかりでなく、kenは悪寒を感じていた。
『歌姫』、もしかしてそれが、この人をここまで変えてしまったものの名前か。
「……ま、いい。そろそろ終りにしましょう」
冷え切った声がそう告げた。同時になにか硬いものが首筋に押し当てられる。
なにかどころではない、銃口に決まっている。状況のひっくり返しようがない。このままならもう、終わる。
俺は死ぬ。殺される――
「あの人に勝ち逃げされて、この上あなたにまで負けるわけにも――」
ぱん、と乾いた音が響き、宇多田の声は唐突に途切れた。首にかかる重みが一瞬増し、背を擦って消える。
――なんだ……?
右腕だけで上体を起こすと、すぐ隣に倒れている宇多田の姿が見えた。
453 :
ラスト間近:2005/08/08(月) 17:42:57 ID:qiv+hzh7
残り4(6)人(長瀬はあれで死亡)
今回死んだのは宇多田じゃなく清春です。
作者さん乙!続き楽しみにしてます
リアルタイムって素晴らしい。
作者さん、禿げ上がる程に乙!
作者たんグッジョブ!
長瀬は結局流れ弾で死んだのか…長瀬カワイソス
hydeは相変わらず鬼神の如き強さだな。サリンまで使うとは…
457 :
名無しのエリー:2005/08/08(月) 19:05:53 ID:O1dTlYHC
GLAYを殺すなよ
GLAYはヴィジュアル系じゃねえよ
459 :
名無しのエリー:2005/08/08(月) 19:23:02 ID:O1dTlYHC
今JIROが死ぬとこまで読んだんだ
そうか。残り3人の死に方特にTERU切ないぞ
hyde最強すぎんぞ
この役が似合ってんのもw
>>442 そうだよね(-ω-;)
まりがd
出てこないかな〜流石に今からじゃ無理か
次回作に期待(・∀・)
ガラ(ヽ´_ゝ)とかかなり冷酷非道そうだwww
ハイタソ的役割で是非
しかしそんな漏れはテツマ(ry
うわー
真面目にhydeがあんなセリフ吐いて戦ってる姿を想像しちゃったよ・・・
後の3人はすごい運がいいな。特にken。
作者さん終わったら感想とかまぁそんなの出来たらヨロシク
結局宇多田を止めたのはポルノ?
すごい楽しませてもらってます。みんな似合ってる。とくにhyde、ケン、ひさし。
HEY3のひさしがハッカーにしか見えなかった…
タブン、サリンときたら有機リンガス三姉妹の残りもくるのかなあワクワクテカテカ
468 :
(´ д.`):2005/08/09(火) 00:25:08 ID:WRXa7cHD
私はあれっきりもう出てこないの? by 稲葉
宇多田の体をまさぐるken萌え
清春終りか〜
前の時カッコよかったから少し期待してたんだけど、hyde強すぎ(・ω・)
亀だけど
>>466漏れも…orz
音楽雑誌見てて登場人物が出てきたらこの話の事に
結び付けて考えてしまう漏れはちょっと危険?
レンジのカッチャン脱退ってニュース聞いた時も
あぁあの殺人鬼、って一瞬思っちゃったよw
漏れも思ったww
歌番組でポルノ見たらハルイチう(ry!!!ってなったorz
影響されまくりやばいな
今日は更新しないのかな?
475 :
桐山対決:2005/08/09(火) 19:47:21 ID:LF/3bU2I
「ちっ、これじゃもう使い物にならへんな」
hydeは、ひびの入った防弾チョッキを置いて再び歩き出した。
(……誰か、いるのか?)
人の気配を感じて、hydeは足を止めた。頭を少し低くして、藪越しに目を凝らす。
誰かいるのは確かなようだが、まだ少々距離がある、誰だかまでは視認しかねた。
が、まあ誰であれあまり関係はない。何を持っているかは問題になるかもしれないが。
できれば問題にしないで済む方向で処理したいな、とhydeは銃を持ち上げた。
一発で仕留められさえすれば相手が何を持っていようが差し障りはないのだ。
と、人影が動いて、藪が揺れる。その姿が確認できた瞬間、左肩がちりっと痛んだ気がした。
――松岡充(SOPHIA.Vo)だ。
反射的に引き金を絞りかけて思いとどまり、hydeはことさらゆっくりと深呼吸をした。
銃を握る右手を下ろす。ついでに引き金から指を外した。
476 :
桐山対決:2005/08/09(火) 19:54:38 ID:LF/3bU2I
(……まだだ。まだ、早い)
いま殺してしまっては勿体ない。まだこれから、
ken達を殺った後――この期に及んで本気でそんな都合のいいシナリオを信じているわけではないが、
だが、可能性が0になるまでは考慮に入れておいてもいいはずだった。
殺せるときに殺せる奴を殺しておく、松岡をその例外に数えたとしても。
それでもなお逸る気持ちを抑えようとhydeは半歩後ろへ下がった。
そのささやかな動作はさして意味もないはずだったのだが――踏みつけられた枯れ枝がhydeの足の下でぱきん、と思いの外大きな音を立てた。
松岡が弾かれたようにこちらへ顔とボウガンを向ける。
「――hyde」
驚いたように目を見開いた松岡の機先を制して、hydeは口を開いた。
「今お前とやりあうつもりはないわ。お互い生き延びたいんやし、 しなくて済む揉めごとは勘弁してくれ」
今までを踏まえたらこの言い草はないやな、と自分でも思ったが、煙に巻くなら勢いが肝心だ。休む間もなく言葉を継ぐ。
「……運があったらまた会おう。それじゃ」
言い捨てて背を向けようとしたが、
「待て!」
その声に、hydeは思わず松岡の顔を見た。目が合った。
477 :
桐山対決:2005/08/09(火) 20:01:02 ID:LF/3bU2I
松岡はボウガンを構えたままで、意外なほど静かな、けれど底には怒気を孕んだ声でhydeに問う。
「……生き延びて……そのあとお前どうするつもりや?」
それは無視して背を向けた。わざわざ聞くのはわかっているからだろうに、と思ったが口に出すほど軽率ではない。激発されても面倒だ。
そのままhydeは歩き出す。一見不用心な振る舞いだがそれなりの配慮はしている。
「やる気」になっているのでないなら、背中から射つことには抵抗があるはずだった。
「待て、hyde!」
松岡が叫んだが、それも聞き流す。
(なんだかこれじゃ、別れ話のこじれたカップルみたいやな)
場違いにもそんなことをふと思い、hydeはかすかに唇の端を上げた。
同時に、風を切る音が聴こえ、視界の隅をなにかが追い越してゆく。
傍らの木が、枝もろとも幹を揺らした。幾枚か、ひらひらと葉が舞う。
hydeはそちらを見、すっと目を細めた。
厚ぼったい樹皮を割って、黄色い羽根をつけた矢が突き立っている。――つまり、どうあっても生かして帰すつもりはないということか。
その判断はまったくもって正しかった。だが遂行の手段は下の下だ。
hydeとしては極端な話、ふたりきりになってから10時間を待つ気持ちがあった。
実際そうなるかは怪しいが、それでも可能な限りは引っ張るつもりでいたのだが。
だが――もういい。
銃の引き金に人差し指を掛けながら、hydeは松岡のほうへ向き直った。
「手伝うよ、――今すぐ死にたいんなら」
リアルタイムキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
479 :
伏兵:2005/08/09(火) 20:10:56 ID:LF/3bU2I
なんで――なんであの人まだ立ってるんだ!?
ハルイチは恐慌を来しかけていた。
kenの撃った弾丸は、確かに宇多田の胴へ吸い込まれたはずだ。一つ残らずではないにしても、かなりの割合で。
普通に考えたら背骨から内蔵から二目と見られないようなことになっているはずなのだが、
しかし宇多田は死なないどころか傷を負ったようにすら見えない。
宇多田といえば体脂肪、しかし体脂肪というのはもしかしていわゆるバッタの外骨格を着込んだとかそういうことだったのだろうか?
それは馬鹿馬鹿しすぎるにしても、他に考えようも――
脈絡を失いかけたハルイチの思考を、幾つかのイメージがよぎった。
いつ見たかもわからないような映画や漫画やテレビドラマ、動物ドキュメントなどの雑多な映像はしかし、共通の内容をはっきりと示唆していた。
確実かつ迅速に息の根を止めるつもりなら首から上を狙え。
手足や胴ではまだ動かないとも限らない、現実に宇多田は倒れないではないか。
無傷ではないのかもしれないが、止まらないなら致命傷を負わせても勝ちは決まらない。
480 :
伏兵:2005/08/09(火) 20:15:08 ID:LF/3bU2I
――四人が四人とも殺される、既に命取りの傷を負った宇多田に。そして誰もいなくなった。
背筋を這い登り手足を縛る悪寒を、ハルイチは唇を噛みしめ振り払った。
だから、首から上へ――これを。
右手に握っていたブローニング・ハイパワーを持ち上げ、左手を添えた。
確かな重さを両手で感じる。イングラムやMP5と比べてしまえばずいぶん華奢だが、
それでも人を殺すのに足りないということはないはずだった。
何十メートル単位しか離れていない人間の頭蓋骨を砕き、脳を潰すくらいは十分可能だ。
――首から上を。
もう一度、今度は噛み砕く調子で呟き、手にある銃を強く意識した。波立っていた精神が鎮まる。
根拠もなければ撃ったことすらないのに、外れる気はしなかった。
「なあkenさん。わたしと浜崎と、どっちが日本の歌姫が似合うと思う?」
宇多田は撃たずに話し続けていた。ハルイチたちには手が出せないとでも思っているのだろうか。
481 :
伏兵:2005/08/09(火) 20:19:55 ID:LF/3bU2I
いや、違う。
この女は、自分の歌手人生をはっきりさせるためだけにここにいるのだ。
――宇多田さん、
人差し指を引き金にかけ、照準を定める。あとは引き金をひくばかりだった。
本物の歌姫は、歌姫には、前や後ろに助け合っているスタジオミュージシャンがいるんだ。
ひとりぼっちじゃ音楽なんかできっこないんです、絶対に。
だから、歌姫は――あなたじゃない。
ハルイチは引き金にかけた指へ力を込めた。
482 :
伏兵:2005/08/09(火) 20:21:26 ID:LF/3bU2I
ここまで
作者さん乙!!
作者さん乙
ああだめだ歌番組を見るとどうもここのことが出てくる・・・
続きも楽しみにしてます!
作者さん乙!
新旧鬼神対決が楽しみです!
hyde余裕杉ちょっとムカ
487 :
名無しのエリー:2005/08/09(火) 23:35:17 ID:N+DtsMGL
あれ、ポルノたちっていつの間に宇多田に出逢ったの…?
前スレみてもポルノが宇多田に逢ったシーンが
一度もでてこなかった気が…
へたれハルちゃんについに活躍シーンが!?w
489 :
名無しのエリー:2005/08/10(水) 03:51:27 ID:lO7cUb7t
>488
ヘタレはかわいそうですよ。彼は重症なんですから
と亀レス
最近CD屋に行ってもこの話と結び付けてしまう
ハルちゃんガンガレ!w
最後まで残るのは誰か?
hydeタソ凄すぎ((;゚д゚)超こぇ。。。kenちゃんにガンガてほしぃ
494 :
名無しのエリー:2005/08/10(水) 12:45:27 ID:wHQJeFxM
リアルタイム―――――キタ―ー(゜∀・)ー―――tetsuゥ〜
作者タソまだaaaaa???
いつも夕方ジャマイカ
497 :
桐山対決:2005/08/10(水) 15:36:40 ID:sv8O0byV
銃声が三度続けて響いた。松岡は反射的に身を屈める。
弾丸はどれも木々に阻まれて松岡には届かず、木片だの小枝だのが舞い上がった。
hydeはといえば当たる当たらないも確かめずに前へ出ていた。
結果はどうあれ松岡が射てぬ間に距離を詰めるつもりだったのだ。
狙って当たらないならばらまくまで、それでも駄目なようならぴったりくっついて撃てばいくらなんでも外さない。ごくごくシンプルな理屈だった。
そこまで読み切ったわけではないが、初めこそ三連射したものの後が続かないと見て、松岡は二の矢を番えた。
すぐさまhydeへ向けて構える。
hydeは進路を変え、大木を回り込んだ。その陰からまた三度撃って、再び前へ出たところでhydeは息を呑んだ。
弾丸を避けて引っ込んでいるはずの松岡がまだボウガンを構えている。
しまったと思ったときには既に矢は放たれていた。
松岡にしても賭けだったが、それなりの成算はあった。
hydeがこの距離を挟んでの射撃を当てにしていないらしい感触が根拠だった。
当てにしていないからきちんと狙いもしない、牽制以上の意味を持ってはいない、だからhydeは先刻そうしたように撃ったらすぐ出てくる。
松岡はそれを待ったのだ。
腹に生じた灼熱をしかしhydeは意識的に無視して両腕を伸ばした。弾丸のある限り引き金を引きさえすれば撃てるのがマシンガンの強みだった。
498 :
桐山対決:2005/08/10(水) 15:44:52 ID:sv8O0byV
松岡の右の二の腕で血が花を咲かせ、投げ出されたボウガンが派手な音を立てる。
hydeは右方の銃を意識して、右へ傾いでいた身体を無理に左へ引っ張り、結果として大きく体勢を崩すことになった。
松岡のほうは一歩下がっただけでどうにか踏み止まっていた。
間髪入れず松岡は地を蹴り、hydeに掴みかかる。右手首を銃もろともひっつかんで、傍らの木へ叩きつけた。
轟音が空気を震わす。
暴発した弾丸は松岡の左大腿を掠ったが、そのくらいは我慢できる、松岡はそう思った。
それを最後にマシンガンはhydeの手から滑り落ちていたからだ。
これでお互い徒手空拳だ。腹に矢を刺したhydeに負ける気はしない。
しかしhydeと目を合わせた瞬間、松岡は計算違いに気付いた。
hydeは笑っていた。もちろん苦痛に歪んではいたにしても。
後ろに回ったhydeの左手が、アイスピックを抜き出していた。
hydeにはまだ武器があったのだ。太い針が真昼の陽を跳ね返して白く光る。
咄嗟に松岡はhydeの腹へまだ突き立ったままの矢へ両手をかけ、力任せに揺さぶった。
499 :
桐山対決:2005/08/10(水) 15:48:50 ID:sv8O0byV
勢い良く溢れ出た血が松岡の両手を汚す。
hydeは喉の奥から呻いたがしかしそれでも左腕を伸ばし、アイスピックを松岡の右脇腹へ抉じ入れた。
深手を負ったhydeに一息に押し込むことはかなわなかったと見え、残った3分の2ほどの長さをじりじりと沈めていく。
むろん松岡とてそれを終いまで待ちはしなかった。渾身の力でhydeを突き放す。塞がっている両手でなく足を使って。
だが松岡の両手が塞がっている理由のゆえに、その行動は所期の効果を上げなかった。
hydeの唇からまた苦しげな声が零れ、アイスピックは止まったが、それだけだ。
状況が状況だ、松岡は手を離すところまで頭が回らず、ただ夢中でもう一度蹴った。それで両者の身体は離れた。
hydeは地に伏していた。倒れまいと頑張ったのだがあと少しのところで叶わなかった。
湿った土がひどく冷たい。どんどん体温が奪われてゆく気がする。
初のリアルだ!!作者タソガンガレ
501 :
桐山対決:2005/08/10(水) 15:53:18 ID:sv8O0byV
このままじゃ本当に死ぬぞ、脳裏をよぎったその言葉にhydeは身震いした。
恐怖もないではなかったが、それよりずっと怒りのほうが大きい。
こんな理不尽を甘んじて受け入れるなど、できるはずがなかった。
(起きろ、起きて……止めを……)
hydeは己れに言い聞かせる。従うべく努力する右手に固いものが触れた。
首を持ち上げてそちらを見、hydeは目を見開いた。
信じ難いことにそこに転がっているのは――先刻落としたマシンガンだ。
まだ弾丸は残っている、それも一発二発外しても大丈夫なはずだった。
僥倖としか言いようがない。腹からは相変わらず血が流れ出ているのが自分でもわかって、
重量はその分減っているはずなのに無闇に重くままならない身体に苛立ちを覚えたが、
しかしともかくhydeは懸命に銃を掻き寄せた。文字通り命懸けの力で銃把を握る。
松岡に銃口を向けようとして、hydeは慄然とした。
――持ち上げられない。現在のhydeに、マシンガンは余りに重かった。それが決して持ち上がらないことをはっきり確認した途端、hydeは笑い出していた。
込み上げる笑いはどうしても止まらなかった。それはそうだ、笑う種は幾つもあった。
502 :
桐山対決:2005/08/10(水) 15:56:37 ID:sv8O0byV
たかだかマシンガンひとつ重くて持ち上げられないとか。
起き上がれもしないくせに相手に止め刺してどうなると思ってるのかとか。
――生きて帰るっていったいどこへ帰るつもりだったんだとか。
hydeはただ喉を震わせる笑いに身を委ねた。
尻餅をついた姿勢のままで松岡はhydeを見ていた。
引っ繰り返らずに済んだのはちょうど大木に受けとめられる形になったからだった。
もちろんすぐに立ち上がろうとしたのだが、そのとき不意にhydeが笑い出した。
名状しがたいその笑い声が松岡の気力を削いだのだ。
hydeが起き上がるようならまた違ったのだろうが、動く気配も見せなかった。
それでなんとなくそのまま眺めていたのだが。
503 :
桐山対決:2005/08/10(水) 16:03:18 ID:sv8O0byV
幾らもしないうち、例によって上戸彩の声が拡声器から流れた。定例放送だ。
まずはつらつらと、禁止エリアの予定が読み上げられる。
(……チェックしとかないと)
そうは思ったのだが身体が動かなかった。
続いて死者の名が告げられる。
新たな死者は6人、スガシカオ、YOSHIKI,長瀬智也、清春、宇多田ヒカルと――hyde。
(そうか……そうなのか……)
松岡は溜息をついた。なんともいいようのない気分だった。
だが――まだゲームは終わっていない。こんなところで座り込んでいる場合ではなかった。
松岡は軽く頭を降ると、まだ矢を握っていた両手を引き剥がし、背にしている木へ伸ばした。
身体を持ち上げるようにしてやると、きちんと立てた。
そのことにまずは安堵し、改めて松岡は自分の身体を見下ろした。
(ひとまず、ken達と合流するか)
右腕、左脚、そして右脇腹。痛いのは痛いが、止血さえしておけば十分動ける。
松岡はもう一度だけhydeを見やり、それから出発した。
ここで歩みを止めたか、hyde…再びの直接対決は叶わなかったか。
作者たん乙。
505 :
決着:2005/08/10(水) 16:08:36 ID:sv8O0byV
褐色の斑に染まった宇多田の服に、鮮やかな朱で模様が描き加えられていた。
うつ伏せに倒れたその後頭部から一握りの皮が剥ぎ取られ、骨も砕けて穴が開いている。
銃弾が貫通しているのは間違いなく、顔などは二目と見られぬようなことになっているのだろう。
そのようにして宇多田が死んでいることと、自分がそれを見ている――生きていることがにわかには信じられずに、
kenはただ宇多田をまじまじと見つめた。
「kenさん……!」
茂みをかき分け転び出てきたのはハルイチだ。宇多田も目に入らない様子でkenのそばへ膝をつく。
「kenさん、大丈夫ですか」
ハルイチに問われて、どうにか頷く。立ち上がろうとすると、ハルイチが手を貸してくれた。
その右手はまだブローニング・ハイパワーを握ったまま、そして銃身にはまだ熱が残っている。
してみると――、kenは宇多田のほうへ目をやった。宇多田を撃ったのはハルイチか。
もちろん非難できた筋合いではない、命を救われたのだからむしろ感謝をするべきなのだ。
506 :
決着:2005/08/10(水) 16:16:45 ID:sv8O0byV
けれど――ハルイチが、生きているミュージシャンのうちではただひとり誰も殺していなかった
ハルイチがその手を汚すことになったのには理屈抜きでひどく抵抗を感じたのだ。
kenが次の言葉を見つけるより先、アキヒトが隣へ立った。
「無事ですか、kenさん」
kenが頷くとアキヒトも頷きを返し、次いで足元の宇多田の死体へ視線を落とした。
「――防御ウェアだったんだな」
アキヒトの呟きで、kenにもやっと合点が行った。それが宇多田の倒れなかった理由だったのだ。
さしもの防御ウェア様も、頭まではそのあらたかなる霊験の及ぶところではなく、ハルイチは首尾よく宇多田を打ち倒し得たというわけだ。
「……ていうか、長瀬は……?」
周囲を見回しながらハルイチが言って、それでやっとkenは長瀬の姿が見当たらないことに気がついた。
「長瀬……?」
寄ってくる様子はなく、kenの呼んだ名にも応えがあるでもなかった。
「長瀬、長瀬ぇ!」
ハルイチが声を張り上げたが返事はやはりない。
「……探しにいかないと」
言ったkenに、アキヒトは首を振って見せた。
507 :
◆x3MabobiPY :2005/08/10(水) 16:20:12 ID:rqRuPlF3
あげ
508 :
決着:2005/08/10(水) 16:26:48 ID:sv8O0byV
「それじゃ動き回るのはしんどいだろうが。ハルイチ、お前もkenさんについててやれ。探してくるから」
わかりました、と頷いたハルイチの手がkenの肩を軽く押さえる。待っているべきだと無言で伝えてきたハルイチに、
kenも従わざるを得なかった。アキヒトはそれを見、しかる後に首を巡らした。
「ここ……じゃあんまりだな、そうだ、先刻の小屋まで戻って、そこで休んでてください」
kenとハルイチが首肯するのを確認して、アキヒトは二人に背を向ける。
ああ、とアキヒトは踏み出しかけた足を止め、kenとハルイチへ振り返った。
「――最悪の事態は考えておいてくださいよ」
最悪の事態。アキヒトの言ったその言葉に背筋が冷えた。
露骨な言い方をすれば、長瀬がすでに死んでいるとことだ。
それに、まだ生き残ってるhyde,松岡、清春が襲ってくることまで想定しなくてはならないのか。
しかし、いまさら死ぬわけにいかないのも事実だった。
長瀬も含めてここまで来て誰かが欠けるというのも我慢がならない気もしたが――避けられない流血なら少ないに越したことはない。
「アキヒト、気をつけてくれ」
だから、kenが言えるのはそれだけだった。
あとはハルイチと二人、遠ざかる背中を見送ることしかkenにはできなかった。
509 :
決着:2005/08/10(水) 16:28:34 ID:sv8O0byV
残り4人
hyde死んだの?
残りはKenとポルノと松岡
512 :
名無しのエリー:2005/08/10(水) 17:15:24 ID:wHQJeFxM
ハ、ハハ、ハイドォ〜〜ウ"ォ〜〜!!!!!
漏れ…いつか書こうかな
ついにhydeが・・・。
最強だったのに。。
hydeとうとう!?
裏切りおちは来ない…よね?
ハ・・・ハイド・・・
名前読み上げられたってことは、死んだんだ・・・
ken達が知ったときの反応が見たい
作者さん乙
ハイドーーーー!!11!1!!!
最強が生き残ることは無かったのか・・・
ハ…ハイド………orz
もう一度kenに会って欲しかったなぁ。
続きも楽しみにしています。
作者タンがんがれ!!
Kenとhydeの対決が見たかった・・・
後は松岡と戦ってどうなるか・・・か
多分アキヒトと松岡が戦うか、アキヒトが裏切りそうな予感
ラルク死に過ぎでKenちゃんカワイソス(´・ω・`)
今までに散った他のバンドにも言ってやれよそれw
アジカン…orz
hyde、ちょっとウザかったが死んだからまぁヨシ
524 :
名無しのエリー:2005/08/10(水) 22:29:28 ID:c9D7zRJ3
松岡ってアキヒト達と合流するとか言ってたからもう闘う気ないんだな
後はアキヒトが知ってる脱出する方法で脱出するだけか
自分もてっきりそうだと思った
松岡の生き残り率、ちょっと凄いな
(初代ビジュ板バトロワとか)
526 :
名無しのエリー:2005/08/10(水) 22:53:00 ID:lO7cUb7t
B'zみたくhydeとかがやっぱり生きてました〜wとかもうないよな!? 松本があっけなかったから復活は嬉しかったがあの手のは一回で十分だぞ
527 :
名無しのエリー:2005/08/10(水) 22:57:25 ID:PZ5hZYbI
あの〜レンジのYOHはどうなったんですか?
YOHは綾小路たちが作ってたシチューに入ってました
529 :
名無しのエリー:2005/08/11(木) 04:40:28 ID:fYodWFrz
ハイドーーーーーーーー!!!!!!(T皿T
けんちゃんがてっきり引導をくれてやるのかと思ってた・・
いやでも、ハイヲタな私はやっとハイド死んでちょっとほっとしたよ・・グスン!
でもhydeは絶対まだこの後どこかででてくる気がするなー。黒幕に復活させられたりとかして。それじゃB'zとかぶるか。
それより稲葉さんはもうでてこないのかな?廃人でも生きてるならまだ続きがあるかなと期待してたり。
稲葉さんはきつくない?もう無理な希ガス
なにこの痛い流れ
533 :
名無しのエリー:2005/08/11(木) 11:45:32 ID:vZROu18l
うおーすげー!!かんどー!!!(今サラ)
今日は松岡VSポルノとkenですな
535 :
名無しのエリー:2005/08/11(木) 12:05:41 ID:vZROu18l
とりあえずken応援しよう。
3人の変わりにガンガレ〜!!!
hydeタソ死んじゃったのね(。>_<。。)てかHISASHI…気になる
ハッカーHISASHIは影の功労者か!?
うわああぁ…hyde…うん、頑張ったよな…
539 :
裏切り:2005/08/11(木) 16:53:20 ID:FRMdwcKK
西川貴教は上機嫌だった。
理由はわかっている、hydeと松岡の直接対決という、
おそらくはこの男がこのプログラムの中でもっとも見たいと願っていたであろう局面が実現し、なおかつ望んだ結果が出たからだった。
どんなに歪んだ形であれ、西川が松岡に抱いている期待は並々ならぬもの。
松岡を参加するべく素材の段階でプログラムへ引き入れたのは他の誰でもないこの男だ。
タマはモニターを見直した。
kenにハルイチ、松岡、そしてアキヒト。怪我の程度までは本部からは直接確認できないが、
少なくとも命があるという意味では全員無事だ。
その事実にタマは胸を撫で下ろし、そして胸を撫で下ろしたことに居心地の悪さを感じた。
hydeや宇多田なら死んでもいいというのと変わらないことに思えたのだ。
この期に及んでそんな綺麗ごとを口にできた立場ではないことは百も承知だったが、
それでもタマとしてはそう感じずにはおれなかった。
リアルキタ━━(゚∀゚)━━!
廃人の稲葉にhydeの脳を移植とかしたら面白そう
542 :
裏切り:2005/08/11(木) 17:04:12 ID:FRMdwcKK
――こんなだから、俺は。
タマは横目で西川を盗み見た。
だから、西川にとってタマはどこまでも”一流になりきらない男”だったのに違いない。
オールナイトニッポンなどでのトークはそれを忠実に表している。
「そろそろですよー、タマ」
抑えきれぬ興奮を滲ませた西川の声に、タマはあわててモニターに目を戻した。
なるほどアキヒトと松岡を示す二つの光点の距離はもはやないに等しい。
『探したで、アキヒト』
『……松岡さん……』
盗聴マイクの拾った音が、西川とタマのもとへ届く。
音源の数がプログラムの開始当初と比べれば段違いに少ないのもあって多少の雑音は混じるものの声の調子までも聞き取れる。
『あとの二人はどうしたんや』
松岡の声は硬い。アキヒトは答えを返さなかった。
543 :
裏切り:2005/08/11(木) 17:08:19 ID:FRMdwcKK
『……同じこと考えてたってわけか』
『そのようですね』
短い沈黙を挟んで松岡が問い、アキヒトが頷く。
タマは会話の意味を取りかねたが西川は違ったらしい。
あのとめどなく喋る男が、ものも言わずにきらきらした目で耳を澄ましている。再び沈黙が戻ってきた。
――まさか、
西川の瞳にある光はタマに事態を教えたのだが、タマとしては認めたくない状況だった。
アキヒトも松岡も――
タマが現実を噛み砕くのを待たず、轟音が響いた。
ほとんど同時に起きたその音が銃声だと、それだけはタマにもわかった。わからざるを得なかった。
「あ、あ……」
どこまでもいまさらなのだが、それでもまだ、信じたくない。
なにかの間違いであってくれと祈る思いのタマを嘲笑うようにたっぷりと間を取って、モニター上から光点が一つ姿を消した。
本部に三度静寂が訪れた。
544 :
裏切り:2005/08/11(木) 17:14:05 ID:FRMdwcKK
kenとハルイチは顔を見合わせ、そのことでそれが自分だけの空耳ではなかったと知った。
少し遠いが、間違いなく銃声だ。
「アキヒト……」
ハルイチがぽつりと呟いた。もちろん先刻の銃声にアキヒトが関わっていないわけもない。
だがここからでは結果がわかるはずがないのも確かだった。
空々しい希望的観測を口にする気にもなれず、
さりとて悪いほうへ考えるのにも抵抗があって結局kenは言うべき言葉を見つけられなかった。ハルイチもそれ以上はなにも言わない。
『最悪の事態は考えておいてくださいよ』、アキヒトはそう言い置いていったのだが、
考えておけと言われても、ハルイチに万一のことがあればなんの考えようもないのだ。
どうやって西川達の裏をかくのか、術を知っているのはアキヒトだけなのだから。
考えるとしたらハルイチと二人きりになった場合どうするかくらいだ。時間切れなら心中だ。
545 :
裏切り:2005/08/11(木) 17:22:12 ID:FRMdwcKK
あるいは一方が死ねば他方が生き残る、だから死んでくれと迫るのか、
はたまた生かすために死んでやるのか。――いや。
さっきの定例放送で、hydeや長瀬達の死が告げられた。松岡はまだ生きてるのか・・・・
kenは小さく首を振った。
もし本当に松岡がやる気になっていて、これからここへ来るのなら、こんな気持ちで勝てるとも思えない。
その先を思案するだけ無駄だろう。
そのとき不意に、がたん、と音を立てて扉が揺れた。
kenとハルイチが立ち上がったところで、鍵のかからないそれが開け放たれた。
「アキヒト……!」
kenとハルイチは同時にその名を叫んでいた。
「――待たせたみたいですね」
声が硬い。沈みかけた陽の朱を背負ったアキヒトの表情はまったく読み取れなかった。
546 :
裏切り:2005/08/11(木) 17:24:52 ID:FRMdwcKK
kenは妙な居心地の悪さを感じ、しかしそれを打ち消したくてもう一度目の前の仲間の名を口にした。
「アキヒト――?」
アキヒトは無言で右腕を水平に持ち上げた。
その手に、夕日を鈍く跳ね返す小さな鉄の塊が握られている。
吹き込んだ生温い風が、硝煙の臭いをkenの鼻へ届けた。
「これで、終わりですよ」
抑揚に乏しい声がkenとハルイチにそう告げた。
547 :
裏切り:2005/08/11(木) 17:26:05 ID:FRMdwcKK
残り3?人
ねえ、まさかまさかさぁ
アキヒト…もしかして…うらg(銃殺)
ここまで来ると一番心配なのはタマだな
予想がつかん
漏れの予想
タマがハルイチとKenをかばう
ぬぁー!
続きが気になる!
HISASHIも気になるし!
更新が楽しみだ。
作者タソ乙です。
身体に気をつけて頑張ってください。応援してます!
2ch初心者のカキでスマソ
もしかしてアキヒトが言ってた『助かる方法』って
絶対裏切らなさそうな仲間を見付け一緒に隠れる
もちろん自分も裏切るような素振りは見せない
そして仲間だけになった時に裏切る
だったりして……
原作読んだ事を激しく後悔中
でも主催側とかの展開に期待
やっぱりこの先は原作と同じ流れか・・・。 _| ̄|○
なんかhydeが死んだときのレスの伸び具合が・・・
hydeが死んだ時のkenの心理描写が欲しかった。
ラルク全員死んだんだから、色々考えてるだろ。
そうとは限らないかも
ウィルスもまだ結果わからないし
作者タソ、すげぇよ
つかhyde死んだらなんのためのジョーカー伏線…?
hydeの死体にでもとりつく気なのか
>>557 そういやジョーカーってそんな話しあったな
hydeとケンでなにかなってほしかったな。hydeがなんのためにここまで残ったんだか。でも作者さんありがとう。
560 :
名無しのエリー:2005/08/11(木) 23:48:21 ID:SbtRltYe
嘘でしょ・・・昭仁さんが裏切り・・・?
信じられないんだけど・・・
気持ちは分かるけど松岡を倒した時点で
この三人で殺し合わないと全員死ぬからね
人間は極限状態になったら変わるのよ
さすがラルクヲタは違いますね
悪い意味で
>>562 hydeが??
まさか。
あ、でもこれも早く回復するようになってるか
>>562 それだけはやめてくれ、勘弁してくれ…!
自分ハイヲタじゃないけど。。。
想像するだけでグロいからorz柴崎ヤバイヤバすぎる
566 :
名無しのエリー:2005/08/12(金) 17:20:30 ID:S+hJNxFj
今日はやらないのかな??
残念…
投下マダー?
今日はなし?
569 :
優勝者:2005/08/12(金) 18:37:55 ID:7nqn9cvq
闇に包まれた夜の街を黒塗りの高級車が疾走する。
スモークガラスに覆われて、外から中の様子を伺い知ることは出来ない。
その車の後部座席で悠然と構えていた男−陽水はふと、振り返った。
その視線の方角、その先にはついさっきまで自分がいたエイベックス事務所がある。
もっとももう見える様な距離ではないのだがなんとなく−
そう、ただなんとなく、陽水は闇の向こうのあの宿舎から松浦が、
−多分大塚も一緒だ−こっちを見ているような気がした。
−お互い気苦労が多いな、松浦君−
胸の中で独白し、陽水はゆっくりと向き直り懐から携帯電話を取りだした。
ボタンを押して1回…2回…きっかり3回目の呼び出し音が終わった後、相手が出た。
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
571 :
優勝者:2005/08/12(金) 18:47:43 ID:7nqn9cvq
「ええ…ソニーミュージックプログラムは終わりました。ほぼ予想通りな展開かと。」
「…そうか。では、いよいよ……か」
「はい、そろそろ頃合いかと」
「分かった。では……」
シンプルながら品のいい調度品に彩られた部屋で、
短い会話を終えた電話の相手、西川は受話器を置くとすぐさま別の番号を押し、幾つかの簡潔な指示を出した。
数刻後。某基地から、なにやらトラブルが発生したとかでしばらく足止めを喰っていた軍用ヘリがゆっくりと離陸していった。
そのヘリの乗員は兵隊にしてはいささか目つきが鋭すぎたし、
何よりヘリコプターというにはいささか物騒な荷物が積み込まれていたのだが−。
その事に誰も気づかぬまま、何事もなくヘリは上空へと進んでゆき、
そして基地からは完全に見えなくなった。
572 :
優勝者:2005/08/12(金) 18:54:49 ID:7nqn9cvq
吹き降ろす人工の風と轟音に、アキヒトは頭上を仰いだ。
あのときと同じように、優勝者に迎えが差し向けられたのだ。
アキヒトの眼前、安全面の配慮はなんらなされていないであろう近距離に、
ヘリコプターがゆっくりと降りてくる。
立っているのがやっとの強風に目を細めつつも、
アキヒトはその横腹にくっきりと印された『SONY』のロゴを読み取っていた。
二歩、三歩と下がるアキヒトの前に、軍用のものとしか見えないヘリが着陸する。
ローターが完全に止まるのも待たずにハッチが開き、西川貴教が単身降り立った。
西川に続き、ヘリに乗り込んできたアキヒトを見て、タマは
「アキヒト…」
とだけしか言えなかった。どんな言葉をかければ良いというのだ。
何故殺した、か?良く生き延びた、か?いずれにしろ、こっち側にいる俺には何も言う資格がない。
アキヒトはそんなタマの顔をちら、と見るとその胸中を読みとったのか、
にやりと不敵な笑みを浮かべて見せた。
「お前は…」
その表情をどう解釈して良いか分からず、
思わず漏れたその呟きに被さるように轟音がいっそう激しくなり、ヘリはそこから飛び去っていった。
リアルキタ━━(゚∀゚)━━!
うあああああああ今日でついにおわり!?
リアルだ!
で、残りはどうするの?
アキヒトやっぱり殺しちゃったのか・・・
HISASHIのウイルスは?
578 :
優勝者:2005/08/12(金) 19:01:57 ID:7nqn9cvq
最悪の目覚めだった。頭の芯がずきずきと痛む。体の節々もこわばっている。
二日酔いを数段ひどくしたようなその不快感で、浜崎あゆみは目覚めた。
体中にべったりと気持ち悪い汗が張り付いている。嫌な夢でも見たのだろうか。
−取り敢えずは、着替えだね−
そう思いのろのろと浜崎は身を起こした。何か体を拭く物を…と薄暗い部屋の中を見渡して−。
「どこ…ここ……」
浜崎は呆然とした。その部屋は全く見覚えがなかった。
混乱する頭をどうにか落ち着かせようと、頭に手を当てて何があったかを思い出そうとして−瞬時にそれに思い当たる。
「あっ!ああ!馬鹿かわたしはッ!」
思わず叫びが漏れる。一瞬でも忘れるなんてどうかしている。長瀬の事を。
こんなところで寝ている場合ではない。慌ててベッドから飛び降りて−浜崎はバランスを崩しつんのめる。
579 :
優勝者:2005/08/12(金) 19:05:14 ID:7nqn9cvq
反応の鈍い体に思わず毒づきながら、上半身を起こした時、なにか光る物が目に入った。
目を凝らすと、それはモニターだった。半ば無意識に、目はそれに映る文字を拾い出す。
…者 アキヒト……ラム 終了……?
「……優勝者……アキヒト……プログラム終了……?」
思わず読み上げたそれがどういう意味を持つのか数秒経ってから浜崎は理解して−
部屋に絶叫が響いた。
580 :
優勝者:2005/08/12(金) 19:10:04 ID:7nqn9cvq
残り1人
何?浜崎が長瀬を殺したのはアキヒトと勘違いして二人の対決か?
えええええ
何何?
もおわからん…orz
583 :
名無しのエリー:2005/08/12(金) 19:57:30 ID:S+hJNxFj
うおおお!!??ハルイチは??kenは??
584 :
名無しのエリー:2005/08/12(金) 20:03:44 ID:S+hJNxFj
死んだんじゃないの?
ちょーちょー
気が向いたら番外編みたいなのやってね
描いて欲しかった場面がいっぱいあるから
586 :
名無しのエリー:2005/08/12(金) 21:12:26 ID:7hvToRk8
アキヒトが優勝・・・?
ポルノファンとしては複雑な心境(´・ω・`)
587 :
名無しのエリー:2005/08/12(金) 21:32:10 ID:S+hJNxFj
me too
588 :
488:2005/08/12(金) 21:33:55 ID:ulIx2Sm0
ハルちゃんの見せ場はあれだけだったのね…w
kenは結局hydeが死んだって知ったのかな?放送聞いてる余裕あった?
ついに終わり?
591 :
588:2005/08/12(金) 22:00:04 ID:ulIx2Sm0
592 :
名無しのエリー:2005/08/12(金) 22:29:09 ID:9ao2SJom
原作では川田、七原、中川・・・って言う噂。
原作読んでないから間違ってたらスマソw
原作どおりだったら芸がないからむしろ死んでてくれ
594 :
名無しのエリー:2005/08/13(土) 10:02:14 ID:DDI9L0xU
ってかkenはhydeの死を告げられたとき
hydeについてはなんも触れてないよね。
…気にならないのかな。
どっちにしても作者さんガンガレ!!
プログラムは終わってもまだまだ話は続きそう。
全部終わったらまとめサイトみたいのつくってもらえる?てかいっそつくっていい?<作者さん
596 :
名無しのエリー:2005/08/13(土) 10:27:41 ID:DDI9L0xU
うわ、サイトできんなら超楽しみ
まとめサイト大賛成ノシ
やっと追いついて晴一生きてるしかも何気に格好良かったのに翌日には...orz
まとめサイト是非作って欲しい
みんな賛同dクスw言い出しっぺの自分が作った方がいいのかな?
まぁどっちにしろ動くのは話が終わってからになりそうだけど。
601 :
霧:2005/08/13(土) 13:50:38 ID:0Xp4erp+
アキヒトが優勝したのは嬉しいですが、なんだか・・・複雑だなぁ。
原作バトロワもそんなかんじでしたよね。
602 :
名無しのエリー:2005/08/13(土) 14:20:44 ID:YQ0q0xHM
さて、原作の展開で行くのか
…なにかオリジナルの展開があるのか…
603 :
霧:2005/08/13(土) 16:02:49 ID:0Xp4erp+
でも原作少ししかわかんなかったので、この小説は楽しんで(?)読めました。
次はオリジナルがいいですねぇ・・。(笑)続編なんかもみてみたい。
そろそろ更新か?
ここで言う原作ってどっちのこと?
本物の原作。
自分映画しか見てないが、全体的に流れとしては同じ。
607 :
名無しのエリー:2005/08/13(土) 18:28:25 ID:TXQOf+hc
本でも流れは一緒だよ。
とくにHISASHIのハッキングのシーンは。
でもアーティストがやってると流れがわかってもワクワクする。
…殺人ゲームでワクワクはいかんか??
作者さん、尊敬の目で見させていただきます。
608 :
優勝者:2005/08/13(土) 18:56:23 ID:fu7TsO5+
勝者にはVIP待遇が与えられる。
本土へ帰る船、その中に設えられたそこらのホテルのスイートルームより余程上等な部屋は、
ソニーミュージックのプログラムの勝者、アキヒトに与えられた。
アキヒトにとっては二度目の利用となる。
ミュージシャンの命を縛った鉄の軛は、もうその首には無い。
用意された安楽椅子に体を沈め、アキヒトは目を閉じていた。
優勝したアキヒトに西川は興奮してあれやこれやと話し掛けたが、
「自分が生きるためとはいえ、大切な仲間を手に掛けたんです。
しばらく放っておいてはもらえませんか。少なくとも、本土に着くまでは」
この言葉で、さすがにおとなしく引き上げた。
この部屋は最下部にあるが、西川は今、最上部のもう一つのVIPルームに居るのだろう。
「……やれやれ、長かったな」
アキヒトがそう漏らしたのと、厳重に(外から!)ロックされた鋼鉄製の扉がノックされたのはほぼ同時だった。
609 :
優勝者:2005/08/13(土) 19:00:43 ID:fu7TsO5+
「……西川さん、放っておいてくださいと言った筈ですがね」
返ってきた答えはアキヒトが想定していたものとは違っていた。
「いや、タマだ。お前と話がしたい。入るぞ?」
アキヒトが返事をする前に、タマは扉を開いていた。
「……良いのか? 勝手にこんなことをして?」
「……もうプログラムは終わったんだ。
ましてや参加者ではないんだから、拘束を受ける理由は無いな。
そんな人間が優勝者にインタヴューをして何が悪いって言うんだ?」
そうか、とアキヒトは気のない返事をして、
「それで、俺と何の話をするって言うんだ? 今更?」
と、顔を背け、タマを目の隅に留めたまま尋ねた。
「なあ、なあアキヒト、道は、道は無かったのか。皆が助かるための道は!」
口を開いた瞬間こそ穏やかな声だったが、語尾には激昂とも哀願ともつかない激しさが満ちていた。
リアルキタ━━(゚∀゚)━━!!
リアルキタキタ━(゚∀゚)━!!
612 :
優勝者:2005/08/13(土) 19:05:45 ID:fu7TsO5+
――興奮しているな。そう思った。
仕方の無い話だ。タマは自分とは違っていわゆる「いい人」だ。
多くの知らぬ仲ではない人間の死に動揺しないで居ることなど出来まい。
しかしこれは厄介だった。興奮した人間は何をしでかすか解ったものではない。
何とかタマを落ち着かせたかったが、この部屋に盗聴器は無いのか?
タマはいわゆる「いい人」だが、これからどういうスタンスを取る?
自分の生死が掛かってまで「いい人」で居続けられるのか?
俺だって元々は「いい人」だったんだぞ――
「ありはしないよ」
思考していると気取られずに返事をしなければならなかった。
その限りで出た返事はこうだった。
「タマが2番目によく解っているんじゃないか?おまえ主催者じゃないか。
そんな夢のような道があったのならおまえが俺より先に気付くはずだ。あったのか? 穴が?」
タマは顔を伏せると「そんなものは無かった」と搾り出すように言った。
613 :
優勝者:2005/08/13(土) 19:13:04 ID:fu7TsO5+
「じゃあ無かったんだよ。傍目八目と言うじゃないか。
傍目で見ていれば物事は良く解るんだよ。
何で主催側のタマに解らない隙を参加者の俺が衝けるって言うんだ?」
「しかし!」
タマは大声で食い下がる。
「お前とハルイチは今回の参加者の中で唯一前身プログラムに参加した男だ!
そこから何かヒントを引き出して何とか、 何とかできなかったのか!」
アキヒトは小さく舌打ちした。盗聴器の心配が拭い切れない以上、その話題にはあまり触れて欲しくない。
いや、そもそもこの状態でのんびりタマとは会話していられないのだ。
過ぎた事をいつまでもいつまでも……女々しい男だ、とアキヒトは少し苛つきを憶えた。
その苛ついた頭は、この部屋からタマを追い出せと警告する。
人のいいタマのことだ、死んだ仲間を侮辱するような発言をすれば怒って勝手に出て行くことだろう。
アキヒトは口を開いた。
リアルタイムキタ━━━*゚ー゚)∂_6)・ω・)冫、)━━━!!!!
>>614に便乗してw
リアルタイムキタ━━川゚し゚川・⊆・)*゚w゚)ー´>━━!!
616 :
優勝者:2005/08/13(土) 19:19:56 ID:fu7TsO5+
「ええ、ヒントは引き出したよ。
ヒントを引き出したと言うか、前身参加のメリットは生かしたよ。
参加したことを話したらkenさんも、ハルイチも、長瀬も、俺が持っている、ありもしない脱出法に縋って俺の優勝を手伝ってくれたよ」
タマの顔色が変わった。怒ると青くなるタイプのようだ。
もう少しだ。もう少しでタマは椅子を蹴ってこの場から居なくなるだろう。
それがタマのためにもいい。
「結局はこの俺に殺されるとも知らずにね! 人を疑うことを知らないおめでたい奴らだよ!」
アキヒトはややタマに向けていた顔と視線を正面に戻し、呵々大笑した。
「お前……それは本気で言っているのか?」
タマの返事は先程までとは打って変わって静かなものだった。
「さっきまで生きるか死ぬかの戦いをやっていたんだ。
その後すぐに冗談を言えるほど俺も器用じゃないよ、タマ」
そろそろタマは憤然と部屋を出て行くはずだ。しかし。
「そうか……」
返ってきた言葉はまたもや静かなものだった。
617 :
優勝者:2005/08/13(土) 19:24:31 ID:fu7TsO5+
何かがおかしい、アキヒトはそう思った。
「それなら、仕方が無い」
仕方が無い、その言葉が更なる違和感となりアキヒトを襲った。
カチリ。
何だ、その音は。
アキヒトが視線をタマに戻すと、コルトガバメントを両手で構えるタマが居た。
「散々仲間を殺して! 騙して利用して生き延びた上に侮辱までするって言うのか!
俺は貴様を許さん! お前を殺さないとお前のために死んでいった仲間が成仏できやしない!」
アキヒトは顔の筋肉を引き攣らせて硬直した。その表情は笑っているように見えるかもしれない。
待てよ、タマ、冗談か。その声は音にならなかった。
いや、こんなところで、そんな理由で参加者以外に殺されたのでは冗談ではない。
洗いざらい全て話せばあるいはタマは納得するかも知れないが、盗聴器があれば、と考えるとあまりに危険だ。
ならば。こうなっては仕方が無い。最悪の中の最善をとるしかなかった。その話は、できない。
618 :
優勝者:2005/08/13(土) 19:32:03 ID:fu7TsO5+
アキヒトは両手を上に上げた。
「待てタマ、俺を殺したらタマも消されかねんぞ?
このプログラムで沢山の人間が消された。そのついでにと協力者のタマが消されては勘定が合わないはずだ」
「構わん!」
タマは動じない。
「おまえには親や兄弟も……」
「黙れ!」
コルトガバメントが火を噴いた。
アキヒトは右肩を強く叩かれたように回転すると、床に倒れ伏した。
「お前が殺した奴らにも親は、兄弟は居たんだ……」
タマは倒れ付したアキヒトにそう言った。
アキヒトの服は赤く染まり始めていたが、急所は外れていたのか、まだ生きているようだった。
「タマに、撃たれるとは、ね。参ったなあ……」
アキヒトは何とか自分の体を反転させ、仰向けになった。
タマは怒りか、哀れみか、蔑みか。複雑な表情でアキヒトを見下ろしていた。
コルトガバメントはその銃口を真下に向けている。追い討ちをかけたりやとどめを刺すつもりは無いらしい。
619 :
優勝者:2005/08/13(土) 19:39:43 ID:fu7TsO5+
こうなってしまったからには、盗聴器が仕掛けてあったとすれば、奴らは既に警戒体制に入っている筈だ。
もう何を話しても同じ、か。最初からこうすれば良かったな。
「タマ……俺は構わんが、これから来る仲間達を撃たないでやってくれよ?」
タマは目を見開いた。
「そ、それはどういう意味だ!?」
アキヒトは苦痛に顔を歪めながら尋ねる。
「この部屋に、盗聴器は、あるのか?」
「いや、無い筈だ。必要が無いからな」
「そうなのか、それはしくじったな」
アキヒトは皮肉な笑みを浮かべる。
「それより」
「なに、すぐにわかるよ」
その声の方が早かったか。外から銃声が聞こえてきた。
タマは外に向けてコルトガバメントを構えたが、アキヒトが「大丈夫だよ」とそれを止めた。
銃声が鳴り止むと、タマが面白いぐらいに驚いているのが見て取れた。
「あ、あんた達……無事だったのか!」
タマが顔を向けると、アキヒトは傷口に手を当てたまま、口を歪ませて笑みを作った。
620 :
優勝者:2005/08/13(土) 19:41:33 ID:fu7TsO5+
今日はここで終わり
621 :
名無しのエリー:2005/08/13(土) 19:43:28 ID:vQb9j9IO
よかったっす!!
続き超気になる〜〜〜!!!
乙!外から来た人は誰だろ?
まさかken達とか…?
まさかな…?
624 :
名無しのエリー:2005/08/13(土) 19:50:25 ID:QMntGjmy
死んだはずの人全員だったりして。どうやって入ったのかどやどや船内にw 連れてかれたはずの稲葉も何故か松本と現れるのw あゆは無視
625 :
名無しのエリー:2005/08/13(土) 19:52:19 ID:CZuDoJNZ
ヤバイ!スッゲェ タノシミ(^∀^)
なんで七原とか川田とか持って回った言い方するの?
松井とか川相とか言えばいいじゃん
626が言ってる名前の方がわからない
誰か解説ヨロ
>>627 この話が巨人軍バトロワのコピペだから。
まあぐぐってみなさい。
なんか誤解されそうだな
それだから作者は楽してるだろうとか作品が面白くないとか言うつもりは毛頭無いんだ
>628ありがとう
巨人か、どうりでわからない訳だ
作者さん乙です!
やっぱりいい意味で期待を裏切ってくれましたね。楽しみ楽しみ。
やっぱほぼ原作と一緒か・・・チェ
原作を知らないので最高に面白い件について
原作をホラー大賞選外にした審査員て、リングを佳作止まりにした人達より無能だと思う
原作読んでても面白いよ
ググッたらでてきた。
そして読んでしまった。
・・・軽く後悔。
>>636 俺も今日(昨日)の更新待ちきれずに読んでしまった。
でも誰が誰にあたるのか途中から分からなくなって止めた。
レミとゆら帝はオリジナルだと思ってたよ・・・
640 :
名無しのエリー:2005/08/14(日) 02:24:29 ID:x26Tgsp9
641 :
名無しのエリー:2005/08/14(日) 09:19:58 ID:ebuivFfF
>>639 乙、いいかんじ。
ちょっとした誤字、脱字は直したほうがいいんじゃないか??
名前が間違ってたりとか…。
642 :
名無しのエリー:2005/08/14(日) 09:23:33 ID:ebuivFfF
バトロワって少しグロいけど、なんか泣けてくるのは俺だけか。
読み返してちょっと泣いた。
あまりに暇だったから昔のMステSPのビデオみてたら
いっぱいこれに登場した方々が出て
気が付いたらこれに結びつけて考えてる漏れがいたorz
645 :
名無しのエリー:2005/08/14(日) 15:09:18 ID:sAXs1APy
たった今、全部読んだよ!!
最高です!
ラストが楽しみです!
>>639 乙です。
よければ文字化け禁止タグいれてください
みなさんdクスです。
>>640>>646 機種によって見れたり見れなかったりなんでしょうか。
とりあえず自分のケータイ(W21H)は見れなくはないです。崩れすぎて読みにくいですけどorz
そのうち対策とります。
>>641 気づいたところはなおしましたが、まだあったらぜひサイトの掲示板にて教えて下さい。ここでやるとスレ違いになってしまうので。
>>647 一応今朝自分が知ってるのをつけたのですが環境によっては作動しないのかもしれません。
もしよかったらサイトの掲示板にタグかタグが載っているサイトを教えて下さい。
今日は更新ないのかな(´・ω・`)ショボーン
650 :
生還:2005/08/14(日) 19:36:27 ID:o14ZAMQw
外の人間はタマの姿を見て躊躇していたようだったが、
アキヒトが力を振り絞って「大丈夫だ!」と叫ぶと、まず松岡が姿を見せた。
松岡は周囲を見回して、アキヒトが見当たらないことに不審をおぼえたか、
銃口を上げかけたまま、すぐにアキヒトの姿を床に見付けた。
「タマ! おまえ!」
松岡は即座に銃口をタマへと向けたが、kenがそれを制した。
「タマがそんな事をする筈が無い、事情がある筈だ」
ハルイチは蒼白になって駆け寄ると、アキヒトを抱き起こした。
アキヒトは「そうだkenさんの言う通りだ、タマは敵じゃない」と掠れた声で言った。
「これは一体……」
茫然自失の一歩手前のような顔で、タマは尋ねた。
「なに、この人達には死んだふりをしてもらったんだよ。
俺は首輪の仕組みを事前に、独自に調べていてね。
銃声と共にあの首輪を爆発しないように、うまく外せば死んだように見せかけられるんだよ」
「だったら!」
アキヒトは先を読んで答える。
まってたぜ!
652 :
生還:2005/08/14(日) 19:42:18 ID:o14ZAMQw
「全員助けるのは無理だ。3人程度だったからこの船に隠れて乗ることが出来たんだ。
それに『やる気』になっている人間と話し合うことなんて出来ない。
この3人は『やる気』にならなかったんだよ。そして俺を信じてくれた。
だから助けると言っちゃおこがましいが、ここまで連れてくることができたんだ」
それを聞いて、松岡は少し俯いた。
「それじゃあ、それじゃ逆じゃないか! 俺は! 俺は!」
タマはコルトガバメントを取り落とし、跪いてアキヒトの顔を覗き込んだ。
アキヒトは口を歪めた。笑おうとしたのだろう。
「俺は、撃つ必要なんて無かったのに! 俺は!」
「俺が悪いんだよ、タマ。ありもしない盗聴器に怯えすぎたんだ。
怯えるあまり、話を奴らに聞かれる、タマが鬱陶しいと思って挑発的なことを言ったのが悪いんだ。
タマは悪くない。タマを信じきれなかった俺が悪いんだ。タマを信じるなら最初から全てを話すべきだった。これは、その罰だ」
「しかし!」
アキヒトの眼光が急に鋭さを帯びた。
待ってたよ!待ってたかいがあったよ!
…ありがとう。ついでにアキヒトが裏切ってなくてよかった
654 :
生還:2005/08/14(日) 19:54:34 ID:o14ZAMQw
「……もう一度バンドに復帰してくれ。これからはお前がリーダーだ。
そのために俺なんかのことは忘れ、ポルノグラフィティに全てを尽くす義務がある」
「だが!」
アキヒトはゆっくりと瞬きした。
「ごめんタマ、3人にも言っておくべきことがあるんだ」
見れば、アキヒトの口の端に赤い泡が溜まっていた。時間が、もう、無いのだ。
タマは頷くと体を少し引いた。
アキヒトがkenへ視線を移そうとしているのに気付き、ハルイチはアキヒトの顔をkenへと向けた。
「ありがとう。いいですか、タマを、恨まないで。
タマは、俺が、kenさん達を、騙し討ちに、したと思ったからこそ、憎い、俺を、撃ったんです。
俺を撃てば、あいつに、撃たれると、解っていたのに。kenさん達の、ために、撃ったんです。
これからは、kenさんもハルイチも音楽活動を続けてください」
アキヒトは、もう相当呼吸が苦しくなっているようだった。少し、間を置く。
リアルキターーー!!
656 :
生還:2005/08/14(日) 20:00:02 ID:o14ZAMQw
「これは、遺言だ。守ってくれ」
ハルイチは、また察してアキヒトの顔をタマへ向けた。
「タマ、もう一度、言っておく、俺の、ことは、hydeさんか、何かに、殺された、と、思って、気にしない、ことだ。
お前は、これから、ポルノグラフィティを、背負って、立つんだ、そんな、細かい、ことを、気にして、いては、いけないんだ」
タマの顔は涙でもうグシャグシャだった。アキヒトはそれを見て笑おう……としたのだろうか。
「しかし、しかし俺は、俺はお前の家族にどんな顔で会えばいいんだ!」
「だから、俺は、hydeさんに、殺され、たんだ。
いや、対、外、的に、は、テロ、か、何かの、被、害者か、な?
とにかくだ、人の遺言くらい素直に聞いてくれよ、タマ」
タマは息を飲んだ。遺言。その言葉のなんと重いことか。
「……解った」
タマは深く頷いた。
初リアルだ…
658 :
生還:2005/08/14(日) 20:08:16 ID:o14ZAMQw
「あああああああ、あ、ありが、とう」
アキヒトの身体は痙攣を始めていた。
「いいいいいいいいいですか、いい、一番、う上のの階に、ああああいつ、はいる。
そそそそそう、だよな? タママママ?」
タマは無言で頷いた。
「だだだだ大、部分はしし、始末しただろうとは、思うが、さささ最後、まで、ゆ油断しないで?
kenさん達が、こここここここで、やられちゃ俺も、うううう、浮かばれない」
「ああ!」
kenは正面から目を合わせて、松岡は悔しげに目を閉じたまま、ハルイチは目に涙を浮かべ、同時に返事をした。
アキヒトの顎が下がったように見えた。頷いたつもりだったのだろうか。
「いいいいいいいいい返事です。じぇじぇじぇじぇ、これからの、J-POPを……たたた頼み、ます」
言うべきことを言ったという安心感からだろうか、不思議にアキヒトの痙攣は止まった。
もう一度、アキヒトは口を開いた。
「本間さん、俺は、やったよ……」
そう言うと、アキヒトの体から力が抜けた。
ハルイチは、それでアキヒトがアキヒトでなくなってしまったと知った。
659 :
生還:2005/08/14(日) 20:16:16 ID:o14ZAMQw
ふと思いついて、kenはアキヒトのポケットを探った。
指に何かが触った。それを引っぱり出してみると、財布だった。……これだ。
「……kenさん…?」
怪訝そうな声で問いかける松岡をよそに、kenは財布の中を探った。現金…カード…そして、それは入っていた。
「写真…か」
松岡が呟いた通り、2枚の写真が入っていた。1枚はメジャーデビュー当時の写真。
そして、もう一枚はインディーズ時代のアキヒトと他のバンドマン達の集合写真だった。
もっとも、kenには見覚えのあるミュージシャンは殆どいなかったが−。
ともかくも。どちらも写真の中のアキヒトは幸せそうに笑っていた。
「そうか、前身プログラムの時の…… HARU(摩天楼.G)とKANAMEか…」
タマの震える声を聞きながら、その写真をアキヒトの手に握らせてその上から自分の手で包
み、そして− kenは泣いた。
ア、アキヒトおおおおおお!!!
661 :
生還:2005/08/14(日) 20:19:01 ID:o14ZAMQw
…アキヒト…
orz
o,,rz
アキヒト・・・・
バトロワ見た後に(リ,,・д・)←この顔文字見て正直・・・な俺 orz
665 :
名無しのエリー:2005/08/14(日) 20:35:23 ID:m82kQ4hH
すっげーどーでもいい事だがポルノのリーダーって昭仁? 晴一じゃね?
アキヒト・・・
一番可哀想な役だな
そういや、このプログラムには全員復活させる機能ってないの?
前みたいに
667 :
名無しのエリー:2005/08/14(日) 20:45:02 ID:ebuivFfF
やばい…目からオイル的な何かが…
け…決して泣いてなんかないぞ!!
668 :
何回もスマソ:2005/08/14(日) 20:48:31 ID:hCUOhcY6
川■-■‖ (リ,,・д・) (υ ̄ω ̄)
誰か夢だと言ってくれ〜。バトロワではかっこいいんだぞ〜(泣‖orz
669 :
名無しのエリー:2005/08/14(日) 20:55:02 ID:sAXs1APy
・°°・(⊃Д`)・°°・°°・
泣けてきたよ
やべぇ泣いてしまった・゚・(ノД`)・゚・。
これから何かでポルノ見たら泣きそうで怖い
うわぁ……泣きそうだよ……
のびてるから話すすんでるのかなと思って開いたら……………
。・゚・(ノД`)・゚・。
今日は終わり?
アキヒトのおかげでken達は助かったんだよな…。ありがとう、おつかれアキヒト…(泣
アキヒト・・・
675 :
名無しのエリー:2005/08/14(日) 21:38:48 ID:O+S9TYKM
ア キ ヒ ト Good-bye
676 :
名無しのエリー:2005/08/14(日) 22:19:35 ID:x26Tgsp9
前に携帯からまとめ見れないとか言ってた者だけどさっき見たら見れますた。
新生ポルノのボーカルって誰がやるんだろ?
正直昭仁と晴一の配役が逆だとしたら感情移入できなかったな多分
アキヒトー!!
679 :
名無しのエリー:2005/08/14(日) 23:47:11 ID:m82kQ4hH
>676
松岡がSOPHIAと掛け持ち。もしくは
あゆ
死に方、喋り方まで原作と一緒だよ・・・もう少し工夫してくれ;;
ポルノだけ全員生還じゃんwと思ってたら…
アキヒト━━━!!!
>>677 なんかお前みたいなの見てると晴一の方がいいや
昨日の昼からとり憑かれたようにずっとみてて(ラルクアルバム聞きながら…)
やっと追いついた………
ラルク・ポルノヲタ&原作知らん自分には人生最高の作品と言っても過言ではないよ……。
ほんとに泣ける。
作者さんありがとうとしか良いようがないです。
hydeの役柄最高。マッチしすぎ。
アキヒト………ゥワァン。。。
夏休み入ってからこのスレも厨房増えたな。
やっべ
三時から読み始めて読破してもーたわ
ラストわかってたけどポルヲタの俺からしたら
アキヒトが優勝してヲタ的にうれしい反面、
モヤモヤが残るあそこらへんで半端に終わってほしかったなー
しかし作者乙!!
禿しくGJ
さっき某ラジオでポルノが流れた
この話を思い出しヲタじゃないのに号泣した・゚・(ノД`)・゚・。
昨日寝る前にこれ読んで、泣いた・゚・(ノД`)・゚・
優勝したと思って安心してたのに・・・
今もう一回最初から読んだ
漏れ最初はバトロワはグロそうだから敬遠してたが
色々と考えさせられるなと思った
最後アキヒトがかわいそうでならない
また泣いてしまった・゚・(ノД`)・゚・。
6時間掛けてやっと此処まで…おおお昭仁おおおお
晴一片手片足でよくけんちゃん支えられたな…がんばってポルノ!!
690 :
名無しのエリー:2005/08/15(月) 16:23:29 ID:7z2E7Mcn
私も半日かけて読みました
原作好きのB'zヲタなので初めは稲葉さぁぁーんその役かよ(⊃Д`)☆
と思ったけど予想外の再登場でなんか救われた。が廃人には…w
作者タン応援してます。
頑張ってくらさい♪♪♪
691 :
新たな敵:2005/08/15(月) 16:44:25 ID:F2v2ZMJM
アキヒトを凝視したまま動かないタマの腕を、kenが引く。
感傷にひたっている場合ではないのだ。
一刻も早くこの船全体を制圧しなければならない。
松岡が先行した。ken、タマ、ハルイチと続く。
松岡は前を向いたまま言う。
「けりを付ける。上にトラップなどは?」
松岡の問いに、タマは「無い」と短く答えた。
松岡はカンカンと、階段から甲高い音を立てる足を休めない。
VIPルームのそれに比べると、このあたりの作りはかなり安っぽい。
「必要ないだろうからね」
松岡はまた振り返らずに返事をした。
「だが、まだ」
「ああ、そのようだね」松岡は階段を上りきると、
すぐに身体を通路から階段へ戻し、半身になって右手のベレッタM92Fを構えた。
やっとこっちのスレまできた。急いで追いつく
693 :
新たな敵:2005/08/15(月) 16:50:10 ID:F2v2ZMJM
kenはそれに気付くと、松岡を追い越し通路へと飛び出した。
そのまま素早く同じ方向に銃を構えたが、それを半ば下ろしながら
「稲葉さん……」
と、声を絞り出した。
それを聞いて、タマも即座に駆け上がった。
kenには、稲葉の足元に転がっている、紅白のまだら模様の何か(いや、大体何かは判断がついたけれど)も気に掛かったが、
それよりも気になることがあった。
「何故、ここに稲葉さんが?」
kenの問いに、タマが小声で答える。
「あいつに気に入られたんだ。一回は瀕死の重傷を負ったが、特別な治療を受け、今は次期FFタイアップとして遇されている」
ハルイチが後方に注意を配りながらもゆっくりと階段を上ってくる。
「……これか?」
俯いたまま、こちらを見ようともせずに、稲葉浩志は彼の足元に転がった血染めのコートを爪先で軽く蹴った。
リアルキタ━━(゚∀゚)━━!!
今日も泣いちゃうのかな?
695 :
新たな敵:2005/08/15(月) 16:56:14 ID:F2v2ZMJM
「……誰なんだ?」
顔も身体もタマの立ち位置からでは確認できなかったので、訊いた。
「ミスチルの桜井さん」
ハルイチが叫んだ。
「何で! 何故なんです稲葉さん!」
稲葉はそこで初めてkenらの方に向き直った。
しかし、相変わらず顔は伏せられたままだ。右手にコルトガバメントを持っていたが、その銃口も下を向いている。
「俺はな、西川が逃げるまでの時間稼ぎをしろと命令された」
松岡がベレッタM92Fの撃鉄を起こした。
「酷い話だ。倒せ、ならまだ分かる。勝って俺が生き残ればいい。
だが、下された命令は、時間稼ぎをしろ、だ。俺は死ぬことが前提か? 俺は捨て駒だよ」
稲葉は顔を上げようとせずに、俯いたまま喋り続ける。
696 :
新たな敵:2005/08/15(月) 17:06:14 ID:F2v2ZMJM
「それはともかくとして、こいつは」
稲葉はまたつま先の先で桜井、だったモノ、だろうものを軽く蹴った。
「海岸に打ち上げられていてね。その時はまだ息があったんだ。
だが、結局本部の命令でとどめを刺されたってわけだ」
ハルイチとkenも銃を構えたが、タマがそれを制した。
しかし、松岡は銃口を下げようとはしない。
「まあ、この人も、命令どうこうじゃなくてね、死ぬべきなんだよ。
ミスターチルドレンとして十分稼いだでしょ」
タマは稲葉が顔を上げてくれないことに苛立った。
何を考えているのか読めないのだ。今の稲葉には違和感がある。稲葉はこんなことを言う人間だっただろうか。
いや言ったかも知れない、言うかも知れないが、人を殺すなど、あの稲葉にできるのか?
この稲葉は俺が知っている稲葉ではないのじゃないだろうか。そう、洗脳とか。
稲葉がふっと息を吐き出した。それは、あるいは笑いだったのだろうか。
697 :
新たな敵:2005/08/15(月) 17:14:08 ID:F2v2ZMJM
「あいつも酷いね。俺は時間稼ぎだけど、上戸彩は連れて行くってさ。
結局女が可愛いんだよね。俺のことなんかどうでも良いのさ」
そこで、稲葉は口を噤んだ。kenらも、口にするべき言葉を見つけることはできなかった。
松岡一人がベレッタM92Fを構えたまま、しばしの静謐な時が流れた。
「命令は、死んでも守らなきゃならないんだが」
おもむろに口を開き、沈黙を破ったのは稲葉だった。
「ここでこうしてお前達に話を聞かせることによって時間稼ぎの任務は果たした」
果たした。その言葉に、何故かタマは不吉なものを感じた。
「もう俺がすべきことは何も無い。ミュージシャンを殺してしまった俺も、この人のようにね」
くっ、と、稲葉の頭が桜井の方を向いた。
そこで、タマはさっき感じた不吉な感覚が何であったのか気付いた。
その時にはもう、タマの身体は稲葉へ向けて飛び出していた。
それは、タマが学生時代試みた50メートル走のどれよりも良いスタートであっただろう。
698 :
新たな敵:2005/08/15(月) 17:20:33 ID:F2v2ZMJM
しかし、稲葉はそれを全く意に介さずに言葉を続けた。
「生きているべきじゃないんだ。じゃあな。お前ら、後を頼むよ」
そう言い、稲葉は右手の銃を自分のこめかみに当てると、引き金を、引いた。
のと、どちらが早かっただろうか。タマの背後で銃声が響いたのは。
いや、どちらが早かったのかは結果を見れば自明だった。
銃弾はタマの脇を通り過ぎると、稲葉のコルトガバメントに命中したのだ。
稲葉の手に握られたコルトガバメントの弾は、その持ち主の意思に反して稲葉のこめかみではなく、
天井に命中して跳ね返り、数度、甲高い音を立てた。
稲葉はその予期せぬ銃撃に尻餅をついたが、その次の瞬間には取り落としたコルトガバメントに手を伸ばしていた。
しかし、もう一度銃声は響き、コルトガバメントをさらに吹き飛ばした。
なおもコルトガバメントに取りすがろうとする稲葉にタマが飛びつく。
ハルイチが何が起きたか理解しようと周囲を見渡すと、松岡のベレッタM92Fがかすかに煙を吐いていた。
699 :
新たな敵:2005/08/15(月) 17:24:28 ID:F2v2ZMJM
「死なせてくれ! もう生きていたくない! 俺には生きる資格なんてないんだ!」
「ふざけるな!」
タマは馬乗りになって稲葉を押さえつけると、思い切り顔を殴った。
「死んでどうなる! あんたが死んでどうなる! 誰かが助かるのか! 死人が増えるだけだ!」
「だからって、人を殺した人間がのうのうと生きていていいはずがない!」
そう言う稲葉は、タマの目を見ていない。
タマはもう一発拳を稲葉の顔面にお見舞いした。
700 :
新たな敵:2005/08/15(月) 17:31:55 ID:F2v2ZMJM
「俺は知っているぞ! あんたがこのゲームの参加者の誰よりも悩んで、苦しんでいたことを!
悩みも苦しみもせずにミュージシャンを平然と殺した奴も居るってのにどうしてあんたに生きる資格が無いんだ!」
「しかし!」
「しかしも何もあるか! あんたはな、自分が死ねば気が済むのかも知れないが、
あんたが死んだら松本さんはどうなる! 松本さんのために生き残るんだろ!
その松本さんを捨てて逃げるのか! そうだ!
これからこの音楽界は大変だって時に、あんたは逃げるのか! この卑怯者!」
そう、タマがあらん限りの大声で怒鳴りつけると、そのタマの下から嗚咽が聞こえ始めた。
タマは三人を振り返ると、大声で言う。
「稲葉さんは俺に任せてくれ。時間を取られてしまったが、仕上げをしなきゃならん。頼むよ」
松岡は大きく頷くと、二人を促した。
あいつを倒すまで、この悪夢に終わりはこないのだ。
701 :
新たな敵:2005/08/15(月) 17:34:07 ID:F2v2ZMJM
ゲーム開始時からの生き残り3人
乙!ますます目が離せない展開に
703 :
名無しのエリー:2005/08/15(月) 17:48:42 ID:liAlzrt2
稲葉さん。。
乙!つかどーなるんだいったい。
705 :
名無しのエリー:2005/08/15(月) 18:54:57 ID:7z2E7Mcn
作者さま、乙です。
まさかまた稲葉さんが現れてくれるとは…
( ><。)。。
706 :
名無しのエリー:2005/08/15(月) 18:55:06 ID:h2NJHZbZ
松岡(´・д・`)スゲー!!
さすが最多生き残り…
うぉー!!
稲葉が・・・
稲葉さんキター―――(゚∀゚)――――!!
こんな形で復活とは・・・どうなるんだろ。ワクワク。
そしてアキヒト・・・・。よくやったよ(つД`)・゚・。
>>661 ありがとうございます。
勝手にやったから怒られたらどうしようかと思ってたので安心しましたw
作者さんも頑張ってください。
おぉ〜!ここら辺はオリジナルって感じでイイ!
桜井さん・・・存在だけってカワイソ
GLAYが出てEXILEは出ないんだ?
顔と名前が一致しない人が多いと思われ……
アキヒト...惚れてしまった...
714 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 00:09:12 ID:Ep+cHLik
アキヒトさァァァァん(つД`)・゚・。
わかってるよ
涙でぐらしゃぼらすでつ・・・・・・・・
作者さん乙!!
718 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 01:57:57 ID:y6pQXplS
松岡とkenは結構ハマり役だな
作者さん乙です
もうアキヒトをまともに見られん・・・泣けた・・・
アキヒト…よくやったよ立派だよ
アキヒトーーー!!!!といいつつも
Tamaの活躍を嬉しく思う漏れは負け組?
へたれハルイチもガンガレ!
でも、原作知ってるとあんまし泣けないな
自分もtama大好きだよ。
活躍してくれてうれしい
やっと追いついたのにあきひとが・・・
ありがとうそしてさようならあきひと
続きたのしみ
アキヒト、かなり男前だったなw
これからどう続くのだろうか。
メインで闘うのは松岡だろうが、Kenはそんなに武闘派じゃなさそうだし
個人的には、ハルイチにもうひとがんばりしてほしい。
725 :
たち:2005/08/16(火) 16:13:54 ID:xE4R6LZ0
まとめはいつか更新されますか?
726 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 16:22:23 ID:RoaQq2qN
作者さんどうしたんだろう……
頑張って追い付いたらアキヒトがぁあ_| ̄|○
大号泣してしまったよ…
ポルノと西川の兼ヲタな自分としてはかなり今後の展開が気になるところだが
Tamaの活躍は本当に嬉しい
アキヒト死なずにボス戦に挑んで欲しかった…
でも本間タソまで名前だけでも出演したのかなりワロタw
頑張って下さい!
作者タソ!!
>>725 まとめサイトはとりあえず一日10章以上を目標に更新中です。
時間は不定期なんで、ちまちま覗いてみて下さい。
ケータイ用の方更新は少し遅くなると思います。
とりあえず細かいとことかちまちま直しながらやってます。
方言の間違いやまとめサイトへの要望はどんどんサイトの掲示板にお願いします。
731 :
新ボーカル:2005/08/16(火) 18:50:01 ID:SbTqWMcr
松岡が、kenが、そしてハルイチが駆け抜けた後、再びこの場に静寂が訪れた。
稲葉は目を合わせようとはしなかったが、タマも稲葉の目から、視線を離そうとはしなかった。
そのタマの眼力に耐えられなくなったのか。
稲葉が沈黙を破った。
「確かに松本さんには申し訳ないと思う。だが……」
そこで初めて稲葉はタマの目を見た。
「アーティストの血で汚れたこの俺に、生き残る資格があるのか!
そんな俺なら引退した方が、死んでしまった方があいつのためじゃないのか!」
タマの形相が変わる。
「資格資格資格と!」
もう一発拳が飛んだ。
リアルきたっ。
733 :
新ボーカル:2005/08/16(火) 18:58:06 ID:SbTqWMcr
「生きるのに資格なんて要るもんか!
今生きていることが生きていていい資格だ!
自分の相棒のために生きるのにどうして資格が要るんだ!
あんたは本当は怖がっているだけだ! 人殺しをした自分はみんなに、松本さんに受け入れてもらえないんじゃないかと!
大丈夫だよ、あんたは誰よりも悩んでいた! 誰があんたを責めることなんてできるんだ!」
口を噤んで、再び目を逸らした稲葉に、今度は穏やかな口調でタマは語りかけた。
「俺も、撃たないでよかったアキヒトを撃ったんだ、殺したんだ。
この手で。あいつがkenさんや松岡さんやハルイチを踏み台にしたと勘違いして」
「アキヒト……?」
また、稲葉はタマの目を見た。タマの口調が再び熱を持ち始める。
「だがアキヒトは俺を許してくれた! 到底許されないような事をしたこの俺をだ! 何故だか分かるか!」
稲葉は黙したまま首を振った。
734 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 19:05:31 ID:5S3HbmPj
リアルキタ──!!
735 :
新ボーカル:2005/08/16(火) 19:05:45 ID:SbTqWMcr
「アキヒトは俺にポルノグラフィティを任せると言ってくれたんだ! だから、俺はアキヒトのためにも生きる! そして」
タマはそこで稲葉の目を凝視した。
この男はここで死んでいっていい男ではない。何が何でも説得しなければならないのだ。
「俺にはあんたの力が必要だ。俺のため、ひいてはアキヒトのためにも死ぬなんていわないでくれ、な?」
「だが、だけど俺は」
なお言い募る稲葉に、タマは血が逆流するような感覚を覚えた。
「まだ言うのかっ!」
タマは腰に下げていたコルトガバメントに手を伸ばし、撃っていた。
装弾数7+1発。8回の銃声が響き、スライドがホールドオープンした。
そして、稲葉浩志から見て左、頭のすぐ側に8つの穴が口を開けていた。
「これで、人殺しの稲葉浩志は死んだ。俺が殺した」
タマは、まだかすかに煙を吐いているコルトガバメントを持ち上げながら、言った。
「これからは、仲間思いの優秀なボーカリスト、稲葉浩志としてポルノグラフィティのために活動してもらう。いいな」
その言葉に、稲葉は、涙を流して頷いた。
736 :
新ボーカル:2005/08/16(火) 19:08:36 ID:SbTqWMcr
今日は少なめで終わります
ガ━━━(゚Д゚;;)━━━ン!!!!でもお疲れさまです
738 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 19:13:02 ID:te9BxgYl
作者サソもつかれ!
稲葉は廃人から復活したのか?
そして松本はもう死んだ…んだよね?
乙です
でももう少し長かったらな(´・ω・`)ショボーン
毎日更新
乙です
タマタマかっけー
なんかときめいたよ
741 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 19:17:47 ID:2rWzydZ5
やっと追い付いた。でも…昭仁さん…↓↓(泣)惚れた。
kenくん晴一さん充君Tamaちゃんに期待♪稲葉さん頑張って…
作者さん乙↓
初リアル!!
作者さん乙!!!!!
・・・教えてチャソで悪いんだが
まとめサイトってどういけばいいんでつか?
743 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 19:22:00 ID:5S3HbmPj
作者サン、乙デス。
Tamaちゃんスゴイナ-。
アキヒトさんの復活ってアリ?
白玉すげーかっこいい
745 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 19:23:13 ID:76+7+W2w
ここまでやっと追い付きました。
作者さん乙です。
彼等を想像して思わず泣いちゃいました…
746 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 19:25:13 ID:QfRPUXIA
Tamaおいしすぎる役だな
ふと思ったんだがこれ本人総出演で映画化キボン
747 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 19:29:10 ID:5S3HbmPj
でも、ひどい殺され役のアーティストは絶対出演したくないだろうなw
稲葉さんボーカルのポルノかぁ...。想像できねぇw
だいたい、ハルイチもうギターを弾けn(ry
自分で提案して言うのも何だが制作発表記者会見凄く豪華そう(´ー`)
752 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 19:36:48 ID:5S3HbmPj
稲葉サンがvo.のポルノはイヤダ・・・
753 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 19:37:47 ID:RoaQq2qN
>>746今世紀最高の豪華キャストの映画になるぞこりゃ
でもなれば小説見ながらしょっちゅうアーの写真みて
想像力フル活用してた私の努力も報われるなw
755 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 19:39:21 ID:RoaQq2qN
タマはポルノ抜けたくせにしてこのスレでは随分といい役やらせてもらってるな。
757 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 19:44:22 ID:ejUuhWXj
マジで映画化どうにかならないかな
758 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 19:46:38 ID:RoaQq2qN
そういえば、hydeも死体確認はされてないよな
761 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 19:53:51 ID:RoaQq2qN
>>757 でも公に出しちゃまずい裏事情(長瀬×浜崎とかポルノとレンジ不仲話etc...)
やらほかにもいろいろと原作から抜かなきゃいけないもんがあるよな。
それ抜いちゃうとオモロさが減っちゃうよな多分…。
そこでオモタのが………長く出てる何人かのアーはそのまま本人使って他のちょい役は俳優に頼むという…。
あと会社名も変えて。
凄くツマラナクなるか…。無駄発言ごめん
762 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 20:25:51 ID:ejUuhWXj
主題歌はTama+ハルイチ+稲葉でどうですか?
763 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 20:35:35 ID:RoaQq2qN
スクリーン公開は駄目でもweb公開だけでもいいから
やって欲しいものですな
実際、万が一どころか億が一にでも公開されるとしたら、
問題はアレだよ、各アーティストの演技に自分が耐えられるかどうかだ。
少なくとも私は想像しているだけの方が幸せだ、そんな私はグレオタorz
ハイドとか絶対ムリだろ。吐くシーンもなかったっけ??
ポルノとkenの3人は出てくれそう
webだとライブドアだな。
堀江でてるし、堀江はこういうの好きそうだ
そりゃあれだけのキャスト揃えてweb公開のみじゃ割に合わんだろw
だれかラジオドラマでもやってくれないかなー。
ラジオドラマなら本人じゃなくても多少は平気そうw
まとめサイトのアキヒトとハルイチが二人で会話してるところを
広島弁(因島弁)にしてみました。
詳しい人、訂正すべきとこなど見つけたらズビズビ言ってください。
あと、ラルクは何弁をしゃべるんでしょうか?
こっちではhydeが途中から関西弁になってたけど・・・・。
できるかぎりそういうところも訂正していきたいです。
自分はこのバトロワで邦楽界に興味を持ったので
ぜんぜんアーティストなんかの情報に疎いんですorz
実はここ読むまでhydeとHIDEがごっちゃになってた始末OTL
「稲葉さんがカッコいいバトロワ小説があるよ」と教えてもらってここにきて、
邦楽界のことをいろいろなことを学ばせていただきました。
こんな自分を邦楽界に導いてくれた作者さんに少しでも恩返しがしたいと思って
まとめサイトをやらせていただいています。
チラシの裏でスマソ
769 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 21:08:52 ID:y6pQXplS
どうでもイイやつだけど氣志團の二人もでてくれそうwww
770 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 21:09:24 ID:hYclIYpj
それ以前に世間のアーへのイメージが随分変えられてしまうかもなw
ギャラ高そーw
771 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 21:11:21 ID:hYclIYpj
カッチャンは病気さえ治せば楽しんで撮影参加しそうw
それ以外のレンジ麺は…
772 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 21:16:35 ID:RoaQq2qN
>>767まあね……w
hydeの吐くシーンは切り取るんじゃない?苦しむだけとか。
>>764確かに苦しむシーンなんかはみてらんないかもな……。他もだが。
でも1つ言えるのは
ほんとにとんでもない観客(?)動員数になるだろうなってこと。
ジブリなんか目じゃないよ。
まあアーのギャラも総額ははかりしれないだろうけどね。
HISASHIの自爆シーンとかマジグロそう
あとhydeの最後も
灯台での殺し合いとか
でも切実に見てみたい漏れ
hydeの吐くシーンはみたいけど、演技はお薦めできない
775 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 21:36:04 ID:2rWzydZ5
ポルヲタな私は
晴一さんの痛々しい姿見たくないから見たくない。けど見たい…OTZ
777 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 21:44:22 ID:9rdlU9gY
稲松も絶対でないだろ。主題歌ならやるかもしれんが出演は拒否すると思う。稲葉は俳優やるつもりないって言ってたし。稲葉でないなら松本出る意味薄いし
>>768 まとめサイト乙です!
自分ポルヲタなんで、2人が広島弁喋ってるとこがすごく好きだw
779 :
764:2005/08/16(火) 21:50:24 ID:dNTIPmNZ
ああ、なんか違う意味に取られている。書き方がヘタでゴメソ。
自分が764で言いたかったのは
「自分の好きなアーティストが苦しんだり、傷つく姿等に、たとえ演技でも耐えられるのか」ではなく、
「自分がそのアーティストを好きでも嫌いでも、とにかく
演技として水準をかなり下回る演技(と言えるかわからん代物)に耐えられるかどうか」
ということだったのね。
グレイは一度PVでヘンに演技してたのを見て、 orz になったからさ…グレイに演技はお薦めしない。
贔屓目とかそういうのがあっても、耐えられんレベルってもんはあるから。
781 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 22:07:15 ID:9rdlU9gY
>779
わかるよ、それ。いくら好きなアーティストでもアーティストはアーティストなんだよね。ほとんど素人ばっかの映画に2時間も耐えられるかって言われたら無理だと思う
782 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 22:12:14 ID:RoaQq2qN
hydeの演技も結構………な点あるよ。
でも表情演技は上手い。
hydeあんま内容的に喋らないからなんとかモノにはなるはず。。。
ダメだ・・・
オリコンとか見るとニヤニヤ笑いが止まらない自分がいる・・・
>>768 ラルクはyukihiro以外は関西弁、yukihiroは標準語です。ちなみにメンバー間の呼び方は
hyde→kenちゃん、teっちゃん、ユッキー
tetsu→hyde、kenちゃん、ユッキー
ken→hyde、tetsu、ユッキー
yukihiro→hydeくん、tetsuくん、kenちゃん
です。ここも統一してくれるとありがたいです。
めんどくさいこと言ってスマソ…orz
なにこれおもすれー!
桜井もプロモとか見てると結構演技出来そうな気がする。
元ネタからのコピペの訂正や、それぞれの方言とか、
ほんとちょっとずつでいいんでいじっていってもらえると、
ものすごく完成度があがると思う。
>>768には負担をかけてしまうので大変申し訳ないが。
せっかく作者タンががんばって更新してくれてるし。
すごくおもしろいから、ただのオリバトコピペに終わらせたくないなぁ。
>>784 dクスです。とりあえずメンバー対決の章だけ直しときました。
あとはこれから全部ちまちまと直していこうかと思います。
>>786 自分は元ネタを知らないんでコピペ部分なんかは教えてくれると助かります。
誰に置き換えたらいいかわからなかったりするのでorz
すばらしい作品を広めるべく頑張っていきたいです。
えと、ここでみなさんに質問なんですが、まとめサイトのほうは
「誤字脱字・方言呼び名修正」と「とりあえず全部そろえて本スレに追いつくこと」
どちらを優先したほうがいいでしょうか?
最終的にはどちらも完璧にしようとは思いますが。
788 :
名無しのエリー:2005/08/16(火) 23:51:43 ID:RoaQq2qN
本スレ追いつく
を最優先したほうがいいと思うよ。
大変だろうけどガンガってください
「まずは全部そろえて本スレに追いつく」に一票。
その上で保管庫の掲示板で
「保管庫○○の何行目」と具体的に誤字脱字・方言呼び名修正を指摘するのが
わかりやすいやり方なのではないかと思います。
>>787 う〜ん、悩みどころだけどこれから読む人のことを考えれば修正から入るべきかな?
でも続きを待ってる人がいるだろうし…どちらにしろ
>>787タソは大変なんだけど。
あ、ポルノの一人称は三人ともわしもしくはわい、だよ。そんなポルヲタの呟きですが。
影ながら応援してるよ!!ガンガレ!!
大事なこと書き忘れた
大変でしょうけどがんばってください! 楽しみにしてます。
作者様もいつも楽しみにしてます。がんばってください。
は〜やっと追いついた!
なんだか喉の奥が熱いぜ…チクショウ
ポルヲタな自分は大満足な内容だったけど、稲葉がアゲハとかサウダとか歌ってるの想像するとなんか無理だw
ラックとかネオメロ、愛呼ぶあたりなら悪くもなさげだけど。
とにかく作者タン乙!
ありがとう、ありがとう。作者タソ。
795 :
名無しのエリー:2005/08/17(水) 01:32:13 ID:iiebQmMW
このままじゃ話終わる前に3スレ目が立つな
すげぇ遅レスだけど
とりあえずGLAYは喜んで出演するだろうが演技が下手なので更に叩かれるなw
レンジはカチャーン以外は出演拒否な予感。
至る所で「痛い恰好」ていう描写あるもんなw
やと追い付いたー!
ポルオタな自分としては三人ともクライマックスまで残ってることがウレシス。
昭仁がTamaに撃たれてから死ぬまでの場面は涙で画面が霞みました。
原作読んでない自分は大満足。作者さんほんとにGJです。
サイト作ってくれた方、昭仁と晴一の会話が広島弁だとリアリティがあっていい感じです。がんがってください!
>>796 カッチャンはカッチャンで死ぬまで不気味だったよなw
ヘラヘラ笑ってるのとかリアルすぎて怖い
ハイドも怖かったが
盆休みの暇つぶし、で読んだのが大誤算だった…。
アキヒト…!
800 :
名無しのエリー:2005/08/17(水) 02:46:25 ID:xzZDnlmK
799に同意w
明日(イヤ、今日か?)の更新が楽シミ。
作者サン、ガンバヘ。
つかポルヲタ多すぎ
自分もだけどさ。
作者タソ乙!!
原作知ってても号泣した
まとめサイトの人も乙!!
二人ともGJ!!
802 :
名無しのエリー:2005/08/17(水) 05:41:39 ID:g9A7SnsA
今日丸一日かけて、やっと偽代々木体育館〜今まで追い付いた……(´Д`;
つか…ア…アキヒト…orz
かっこよすぎるぜ…お前。
あー、続きが楽しみー
ハアハアやっと追いついた
アキヒトのシーンはグレヲタの漏れも号泣してしまった・゚・(つД`)・゚・。
微妙に亀だが映画化禿しく大賛成(・∀・)!
交渉難航しそうだけど_| ̄|○
>>801 そりゃ自分がヲタしてるアーが変な役だったら、いつまでもここに残ってないかもw
ポルノ、ラルク、B'z、あとグレイ以外のヲタってどのくらいここに残ってるんだ?ノシ
>>804 あとTMヲタも居るんじゃないか?心境複雑そうだけど。
ちなみに自分はラルヲタ…
作者タンは勿論、まとめサイト管理人タンもすっげー乙です!!読み返す気は無かったけど、気が変わりました。絶対サイト遊びに行きます。
806 :
名無しのエリー:2005/08/17(水) 09:47:38 ID:N0FkCbB/
807 :
名無しのエリー:2005/08/17(水) 14:09:36 ID:JM9X+4to
>>804俺はチルヲタ
案外いないんだよなここには
808 :
名無しのエリー:2005/08/17(水) 14:12:35 ID:5nz8lefh
初カキコ、大分前からROMってた・・・
ちなみにポルオタです
タマちゃんがかなり格好良いんですが・・・!!
昭仁の最後は泣きたかったけど家族が傍に居たから泣けなかった・・・orz
作者頑張れ!!
今日はまとめサイトの更新はなしです。できたとしても深夜にケータイ用のみかも。
Uターンの道中でパソ使えんのです。楽しみにしてくれてる人には申し訳ないorz
お盆休みにまで毎日書いてくれる作者さんありがとう!頑張って!
ポルノ、FLOWの兼ヲタ。
映画化なんかしたらポルノ、ラルク株上がりまくりだな。
GLAYも。
811 :
最終決戦:2005/08/17(水) 15:34:27 ID:30L1bxge
階段を駆け上がると、甲板へと出た。
轟音が耳を苛む。甲板に作られたヘリポートから、今まさにヘリが飛び立ったところだった。
窓から「あいつ」の顔がチラリと覗いた。
kenがそれを確認するより早く、松岡は発砲していた。
しかし、その銃弾はその顔の手前、窓ガラスに阻まれた。
「防弾ガラスか!」
松岡は二人への注意のためにそう口にすると、さらに燃料タンクがあるであろう場所を狙い再び発砲した。
kenとハルイチも慌ててローターへと発砲したが、機体に穴が空くどころか、バランスを崩す気配さえない。
勿論、全弾外れというわけでもない。通じていないのだ。
松岡は舌打ちした。
このままこいつを取り逃がせば、メディアで悪者にされるのは自分たちだ。
あいつの言葉はマスコミに無条件で信用される(なんて、あのPJの司会者だから)。
そして、今の日本にはマスコミを無条件で信用するやつらばかりなのだ。
そうでなかったならば、今のソニーの隆盛もまた無かった。
812 :
最終決戦:2005/08/17(水) 15:39:17 ID:30L1bxge
自分がソニーに身を置いているから、それは良くわかる。
「一箇所を狙え! 軍用ヘリ並みの装甲だって、同じところを集中的に狙われればもたないはずだ!」
そう叫び、その叫びにkenとハルイチは頷いたけれども。
殺しのプロじゃあるまいし、こんな離れた、しかも動き回る物体の一箇所に銃弾を何発も当てることなどできるわけがない。
できるわけがなかったが、それしか策が思いつかなかった。
こんなことならばヘッケラー&コッホやイングラム(hydeの遺品だ。オエッ)や、
kenが持っていたウージーを、荷物になるからとか、潜入の邪魔になるとか言って捨てないで、何がなんでも持って来るべきだった。
軍用ヘリ並みの装甲ならばマシンガン程度の銃弾など軽く防ぐとは思うが、
ベレッタや何かでちまちま撃っているよりは余程効果があるはずだ。
そんな絶望的な射撃の中、不意にヘリの窓が開き、三木谷(楽天社長)の顔が覗いた。彼がヘリを操縦しているのだろう。
初リアルきたっ(☆∀☆)
作者タソがんがって
814 :
最終決戦:2005/08/17(水) 15:46:18 ID:30L1bxge
kenとハルイチは射撃の手を止めたが、丁度リロード中だった松岡は装弾が済むと、三木谷を撃とうとした。
それをkenは制した。
松岡が「何でや!」と叫ぶ前に、三木谷が叫んでいた。
「そこに居るのは、kenくんに、松岡くんに、ハルイチくんか!」
三木谷の叫びに「あいつ」の忌まわしい声が被った。
「おい三木谷さん? 無駄弾は撃つなよ」
三木谷はその言葉を無視し、言葉を継いだ。
「良く生き延びてくれた! もう、こんなことは終わりにしなきゃならない!
俺が終わらせる! ……すまなかった。
許してくれとは言えた義理じゃないが、せめてもの罪滅ぼしをさせてくれ……」
ヘリコプターは機首を下げ、その軌道を変えつつあった。
「三木谷さん、何を……?」
kenのつぶやきは、「あいつ」の声に遮られ、三木谷に届いたかどうか。
815 :
最終決戦:2005/08/17(水) 15:55:04 ID:30L1bxge
松岡が、ヘリコプターの窓から顔を出した三木谷に照準をつけた。
「おい三木谷さん! MSとは違うのだよ、MSとは」
「あいつ」の声色は明らかに変化を見せていた。
それに、三木谷は落ち着いて対応した。ヘリコプターは、急速にその高度を下げつつある。
「今更、こんな命なんぞ惜しくはないさ。 歌手がたくさん死んでいったんだ。
俺一人が命を惜しもうとは思いませんね。それに俺を殺したら誰がヘリを操縦するって言うんです?」
「舐めるなよ三木谷ィ! そんな脅しで俺がブルったりすると思うのか!」
その声には「ガンダムファン」たる、紳士的な雰囲気など微塵もなかった。
もっとも、この場にいる全員が、芸能界一のガンダムファンという称号は、欺瞞であると知ってはいたが。
そして、それを証明するように、三木谷のこめかみに銃口が当てられているようだった。
トリガーに掛かった指が黒いところを見ると、押し付けているのは外人のボディーガードか。
初リアルキタ━━(゚∀゚)━━!!
817 :
名無しのエリー:2005/08/17(水) 16:00:06 ID:JM9X+4to
初リアル
作者タンガンガレ
818 :
最終決戦:2005/08/17(水) 16:01:12 ID:30L1bxge
しかし、三木谷はそれに気圧されることもなく、逆に「あいつ」を威圧せんばかりに大声を張り上げた。
「それはこっちのセリフだ! 殺るなら殺れ! お前らも死ぬがな!」
「……いい度胸だ!」
ほとんど狂人のような「あいつ」の叫びが聞こえ、ヘリコプターは海に突入した。
水柱が吹き上がる、その轟音に掻き消されたか、
非常にかすかではあったのだが、確かに、kenの耳には銃声が聞こえた。
松岡は悄然と銃口を下ろしただけだったが、kenとハルイチは甲板の端へと駆けた。
大量の気泡で状況は良く掴めなかったが、海面が落ち着くにつれ、
kenは油とは別に、海面が黒っぽく汚れていることに気が付いた。
「鮫やな」
ゆっくりと近づいてきた松岡が言った。
「最近はここら辺の海でも鮫がしょっちゅう出るんや」
kenは松岡を振り返ったが、松岡が浮かべている笑みが不快だったので、目を海面へと戻した。
819 :
最終決戦:2005/08/17(水) 16:06:13 ID:30L1bxge
しかし、なにやらバチャバチャと音を立て、黒い染みを広げていく海面はもっと不快だった。
ハルイチがつぶやいた。
「終わり……ですか?」
「やろうな」
松岡が答える。
「この手で止めを刺してやりたいところやったが、鮫のエサとはね。拍子抜けやな」
kenにはその言葉も不快だったので、聞かなかったことにした。
ただ、海面に広がりつづける黒い染みを見ながら、三木谷の冥福を祈ることにした。
隣では、ハルイチが必死に言うべき言葉を探しているようだった。
「さて、下に転がっている上戸彩たちもあいつらにくれてやるか。余程腹を減らせているみたいやしな」
ジョークにしてはやり過ぎだ。kenはそう思ったが、どうやら冗談でもないようだった。
【2005年2月18日(月)16時24分 管理責任者死亡のため、プログラム終了】
820 :
最終決戦:2005/08/17(水) 16:09:20 ID:30L1bxge
一応、まだちょっと続きがあります
821 :
名無しのエリー:2005/08/17(水) 16:15:19 ID:xzZDnlmK
HISASHIのウィルスはどーなったんだ?
ヒサシのウイルス話なし?
821
822
同じく!
ホサヲタな自分としては
かなり気になる…
>>823 何こんなとこでホサとか言ってんの( ´,_ゝ`)?
825 :
名無しのエリー:2005/08/17(水) 16:56:59 ID:60Df6XLy
YUKIヲタでつ
・・・感動シタッ(つд`)゜。泣
826 :
名無しのエリー:2005/08/17(水) 17:44:19 ID:rHre0shG
そんなことわざわざ言わなくても…。
そんなサイト貼るなんて恥さらしだ。
同じく疑問
ホサのウイルスは?
だからこんな所でホサなんて言うな(゚Д゚)ゴルァ
意外な展開・・・
漏れはFLOWヲタ、もっと活躍の場を〜
ちょっとオレンジレンジの扱いが酷い気がする・・おれはファンって訳じゃない
けどあからさまにDQNとか言っちゃってるしこれは良くないと思った、レンジファンは
ショック受けちゃうと思うな
久しぶりに来たけどポルノヲタ騒ぎすぎでウザスwww
ポルノヲタってこんなに痛かったのか
申し訳ない。代表して謝る。
私も謝る。すまない。許してくれ。
俺も謝る。すまなかった
オレがあそこであのボールを止めていれば
お前ら無駄レスでスレ消費しすぎ
感想とかいらないんだけど
>>839 作者たそから見たら感想は嬉しい物だと思うんだけどな。
まああんまり無駄レス多いのは駄目だが
ヲタとリアル報告がいなくなるだけですっきりするな
リアル報告はいらんな
843 :
名無しのエリー:2005/08/18(木) 01:29:11 ID:GoI7cTpS
結局今日(もう昨日だ)の更新はできなかったですorz
明日(もうky(ry)はなるべくたくさん更新しますね。人名誤字は他の誤字・訂正より優先して直したいと思います。
リアル報告は確かにないほうがまとめる時にも楽ですね。
かく言う自分も以前リアル更新に騒いでたんで言えた身じゃないのですがorz
作者さんいよいよクライマックスですね。乙です。
次スレは立つのかな?
何故そんなにポルヲタを晒し上げる?というか知ってる時点でお前もそこの住人ってことだろw
っていうチルヲタのたわごと
アジカンファンでサンボ好きなレンジヲタとして
西川のあの散り様は微妙に納得行かない。もうちっと敵討ち感が欲しかった…
847 :
名無しのエリー:2005/08/18(木) 12:59:26 ID:GoI7cTpS
845すでにここに晒されてるやつを拾ってきただけだから、こんな糞サイトあることなんて知らねーよw
えと、誰か2スレ目をファイルに保存して
[email protected]に送ってもらえませんか?
外部から更新しようとしたらフィルターが…orz
ケータイサイトの方をPC用と同じところまで更新しました。
映画は不可能だけど、誰かサウンドノベル作ってくれないかのう
著作権侵害しまくりだから、表には出せないけど
立ち絵は武器とかポーズが大変だろうから、顔アップばかりになりそうだけど
文章はコピーで済むし、今はノベルツールもたくさんあるから、画像を用意できる人がいれば…
勿論、作者様の許可あっての話でしょうが
三木谷操縦ってすげぇな
西川もっと嬲り殺して欲しかったな
でもすげぇ面白かった
作者様もつかれ!
まとめサイトの人乙です!
作者タソ今日は来ないかな?
852 :
名無しのエリー:2005/08/18(木) 17:35:18 ID:9IQJS+MK
まちどおしいに
ワキワキ
853 :
帰還:2005/08/18(木) 19:02:58 ID:IwMmbJBG
「くそっ、こんなことになるなんて!」
平井堅は焦っていた。
「ちくしょう、こうなったらギャンブルサイトくらいは削除しとかないと。」
平井が管制室のパソコンを起動させた瞬間だった。
『こんにちは、僕ジョーカー。
僕、ついさっき死んじゃったんだ。殺した奴?
hydeっていう暗そうな奴さ。本当にムカつくよなー。
だから、これからそいつを殺りに行くんだ。
大丈夫さ。僕もう死んじゃってるから、あいつは僕を殺せない・・・・
フフフ、あひゃひゃひゃひゃぁぁぁーーーーー』
『こんにちは、僕ジョーカー・・・・・・・・』
突然、ディスプレイが青く光った。
「う、うわぁぁぁぁぁぁ―――――――。」
叫び声と共に平井は、精神、身体とも崩壊した。
翌朝・・・警備員が誰もいない管制室から、GLAYの「Winter again」のメロディーが
聞こえたと証言している。
854 :
帰還:2005/08/18(木) 19:11:55 ID:IwMmbJBG
代々木に帰りついたkenらを待ち受けていたのは、
大量の武器を所持した松浦社長ら、エーベックスの歌手たちの乗る装甲船だった。
その中には井上陽水などの姿もあった。
どうやら、このゲームの賭けに参加していたということで、陽水はkenらの乗った船の情報を入手し、
独自に追跡を行っていたようだった。
松浦は、陽水や浜田省吾氏と語らい、今回のプログラムには介入できなかったが、
二度とこのような悪夢が繰り返されないように、陽水から情報の提供を受け、
浜田氏からは武器もろもろの提供を受けて、水際で腐った主催者ども(主に、「西川」)を叩くつもりだったようだ。
それならば、kenらは全くそのような計画があるとは知らなかったのだから(おそらく、「西川」が乗っていたとしてもそうだっただろう)、
問答無用で船を沈めてしまった方が方法としては確実である(当然、奇襲でないのなら、反撃もあるだろうし)のだが、
松浦は目的達成のためにプログラム優勝者(アキヒト、ということになっていた)を巻き添えにすることはできなかったらしい。
ウィルス
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
856 :
帰還:2005/08/18(木) 19:17:12 ID:IwMmbJBG
だから、松浦は居並ぶ歌手たちに武器を構えさせてから、
「J-POP、いや、日本の音楽全てが自分の思い通りになると思いなさってる西川さんよ!
これだけ好き勝手やれば思い残すことなんてないやろ? そろそろ地獄からのお迎えや」
と、大声で口上を述べた(いや、ひょっとしたら松浦が一言言いたかっただけかも知れないが)。
そこでkenが飛び出したので、装甲船の面々は目を丸くしたのだ。
松浦はkenから一切の事情を聞くと、
「そうか……アキヒトくんは死んだんか……。
いや、しかし、君達が助かって何よりや。ほら、見てみい」
と言って、親指で横を指し示した。
そこには、浜崎あゆみを慰めている、松岡充の姿があった。
857 :
帰還:2005/08/18(木) 19:24:18 ID:IwMmbJBG
「アキヒトくんのカラクリでな、君達一度死んだことになってたやろ?」
kenは頷いた。
「あの姉ちゃんは本当に恋人思いでなあ、恋人が死んだと漏れてしまって、もう復讐の鬼や。
そんなんなったのをこの場に連れて来たくはなかったんやけど、
それを言ったらなあ、俺が殺されてしまいそうで」
松浦は笑いながら言ったが、あの悲しみようを見るとそれは冗談などではなく、本当のことなのだろう。
kenは松岡のことが少し嫌いになっていたが、
あの親切な対応を見ると、やっぱり悪い人ではないと思えた。
装甲船を降りるまでに、kenはタマとともに、松浦から事情の説明を聞いた。
ソニーの歌手はライブでテロに遭遇したということになっていたこと。
諸悪の根源の平井堅は、表向きには心臓麻痺となっているが、何者かに殺されていたこと。
858 :
名無しのエリー:2005/08/18(木) 19:29:59 ID:9IQJS+MK
どきどき
859 :
帰還:2005/08/18(木) 19:35:11 ID:IwMmbJBG
黒幕が居なくなり、本部を押さえたので、ソニー幹部どもの悪事を暴き立てて混乱を招く必要もないだろう、ということ。
ソニー社長は松浦らの言うことをなんでも聞くので、アキヒトの遺言通り、
新生ポルノグラフィティがデビューすれば良いだろう、ということ。
奥田民夫氏が西川らの手によって殺害されていたということ。
「まあ、大体こういうとこや。何か質問ありますか?」
その松浦の言葉に、kenは首を振ったが、タマは一つ尋ねた。
「このプログラムに賛同した連中、つまり、ミュージシャンを賭けの対象にしたような奴ら。
そいつらをどうするつもりなんです?」
松浦はその問いににやっと笑うと、
「既に処理済みや」
と言った。
860 :
帰還:2005/08/18(木) 19:40:38 ID:IwMmbJBG
「話して分かる方には納得していただいたし。話しても分からない方にはこちらの口でお話して」
松浦は腰掛けた椅子の隣にあるテーブルの上に置かれた拳銃を指先で二度叩いた。
「それでも分かっていただけない方には、まあ、そんな方ほとんど居なかったがね、
さる『伊東会』の人とか、ま、そういうお話の出来ない方には、ずーっと黙っていて頂くことにしたわ」
「そうですか……」
タマは俯いた。その様子を見て、松浦は付け加えた。
「そうでないと、我々も危ないからね」
タマは俯いたまま両手を開いて松浦の前に突き出した。
「いや、分かってます。ありがとう」
「いやいや。音楽界を一部の人のほしいままにしておくのは音楽界の人間としてやはり腹立たしいからなあ」
松浦が芝居っけたっぷりにそう言った時、船室に軽い振動が響き、船が動きを止めた。
「着いたね」
松浦が言った。
「おかえり。代々木へ」
861 :
帰還:2005/08/18(木) 19:42:55 ID:IwMmbJBG
次回で最終回です。
ついに…
863 :
名無しのエリー:2005/08/18(木) 19:54:22 ID:9IQJS+MK
やっと帰ってきた…
864 :
名無しのエリー:2005/08/18(木) 20:19:25 ID:sSAHbs4U
ついに最終回か・・・作者サン乙デス!
865 :
名無しのエリー:2005/08/18(木) 20:20:05 ID:sSAHbs4U
ついに最終回か・・・作者サン乙デス!
思ったんだけど、kenはこれからどうするの?
他の3人は新生ポルノになるけど
867 :
名無しのエリー:2005/08/18(木) 20:50:34 ID:GeJ2CrPf
作者さん乙です。最終回楽しみだなぁ。
…自分長い間読んでたら書きたくなってきたな歌手ロワイアル。
次書いていいかな?
次回って明日だよね?
こんなに一日が待ち遠しい事ないわ(´Д`;)
869 :
奈々し:2005/08/18(木) 21:08:05 ID:Jhu8D7sP
はははははっ
今夜は前夜祭だ〜!(謎
まとめサイトもできるかぎり大量更新いたします。
上のほうの人へのレス忘れててごめんなさい。
「追いつくのが先」って意見が結構多かったんで、そっちを優先しますね。
>>867見たいでつ
頑張って書いてほしいな(´・ω・`)
ヒサシのウイルス最高だったぜ!
ヒサシ、成仏しろよ
872 :
名無しのエリー:2005/08/18(木) 21:45:41 ID:cpmxyJtD
最終回で丁度このスレ使いきりそうだな
作者さん乙ー。
このスレのせいで夏の課題が終わらん
>>867 ぜひぜひ!
これ終わっちゃったら、楽しみ減っちゃうよ...。
877 :
名無しのエリー:2005/08/18(木) 22:19:38 ID:uPevmE+r
これが終わったら上の方に貼ってあった、
まだ完結してない奴でも読むか。
>>867 期待期待
881 :
名無しのエリー:
作者さん乙