久々にイエモン聴いてみたら面白かったので
怒濤の連続レビュー3rd〜8th
需要はないんだろうな、このレビュー
THE YELLOW MONKEY「jaguar hard pain」
1.SECOND CRY ★★★★★ ゆったりとしたエレキのアルペジオに始まる、サビで盛り上がる典型的なロック。
コンセプトアルバムの冒頭曲の為、説明臭い歌詞が気になるがよし。
2.FINE FINE FINE ★ 軽いノリのロック。
正直つまらん。次の曲と合わせて聴くとだれてくる。ひたすらtr.4を待つべし。
3.A HENな飴玉 ☆ 無理矢理オリエンタルな雰囲気に纏めようとして、失敗したと思われる曲。
歌詞も良いとは思わない。
4.ROCK STAR ★★★☆ ロック・スターへの願望を描いた曲。Aメロの転調に無理があるような気がする。
コンセプトとはかけ離れているが、どうやらメンバー達の願望らしい。
5.薔薇娼婦麗奈 ★★★ タンゴなノリの曲。情熱的な曲想。
間奏のアコギが結構良い。
6.街の灯 ★★★ おフランスなノリの曲。ほのぼのとした三拍子に、のほほんとした歌詞がついてマターリ。
この後激暗が続くので、このくらいの曲想が丁度いいかも。
7.RED LIGHT ★★★☆ 曲は二部に分けられる。前半はアコギのリズムに乗って歌謡曲調の歌が、
後半は重いロックが、それぞれ展開する。何故二曲に分けなかったのか疑問。歌詞はかなりヤバい。
8.セルリアの丘 ★★★★ バラード…なのか?曲調は重いが、ピアノの地中海風の雰囲気が良い。
この辺カナーリ鬱な曲調が続いて疲れる。
9.悲しきASIAN BOY ★★★☆ シングル曲。ライブでは定番らしい。この頃のシングルでは秀逸な方。
前曲までの重さはどこへやら、楽しそうな演奏。歌詞はコンセプトに沿って書かれている。
10.赤裸々GO! GO! GO! ★☆ ここに持ってこない方が良かったと思われるノリノリのロック。
曲調もダメポ。tr.2〜3よりは勢いがあるためましだと思うが。
11.遙かな世界 ★★★★ 一転してシリアスムードに。やはり鬱なロックだが、次の曲への布石と思われる。
このアルバム鬱曲多し。ちなみにリズムはシャッフルが入って多少軽快な感じに。
12.MERRY X'MAS ★★★ レトロなイタリア歌謡曲風。歌詞はクサい。
ストリングスが歌謡風味を倍増させている。アウトロはエレキのアルペジオで、tr.1と関連づけられている。
総評:★★★☆
戦死した兵士の魂がどうこうというコンセプトもの。曲順通りに聴かれることをお勧めする。
ただ、メリケンの兵士やらASIAN BOYやら言ってる割には、欧州風の曲が多くて自分はハァ?となった。
だめな曲は徹底してだめ、良い曲はカナーリ良いというイエモンらしさが端的に現れている。
この後イエモンは売れ線狙いポップに路線変更するので、初期イエモンの最後を飾る良作と位置づけられている。
THE YELLOW MONKEY「Smile」
1.Smile ★★ 電波が入り気味のロシア語語りに続き、賛美歌風のコーラスに乗ってVo.が現れる。
いかにもオープニング向けな曲。歓声が入った後attacca:
2.マリーにくちづけ ★★★ 似非フランス的なモノが入っているポップロック。
正直サビは狙いすぎでダメポだがAメロが良い。尚この曲で前作が完結すると考えるヤシもいる。
3.Love Communication ★★★☆ シングル曲。この曲から知名度が上がった。
ロックはしているが、歌詞やメロが明らかに売れ線へ転向したことを物語る一曲。
4.サイケデリック・ブルー ★ なんとなく前作を引きずっているような感じがするが、サビでコンセプトの違いが分かる。
感想はダメポの一言に尽きる。サビが演歌的で壊滅的。
5.See-Saw Girl ★☆ 最初はハァ?で☆だったが意外と耳に残った。
メロだけならダメポだが、Gt.とBs.のユニゾンのリフがカナーリ主旋律に合っているような気がする。
6.争いの街 ★★★★★ 前作のコンセプトがまんま入っていて、違和感はあるが、良い曲。
鬱曲だがアウトロのギターソロ&F.O.がいい感じ。シャッフルのリズムで流れるように進むので、多少長いが気にならない。
7.エデンの夜に ★★★★ これも鬱曲?だが前作のそれとは違う感じの鬱曲。
サビの歌謡曲調は好き嫌いが分かれると思われる。
8.イエ・イエ・コスメティック・ラヴ ★★☆ こりゃエンタテイメント曲ですな。
売れ線を狙ったんだろうが、何を間違えたのか笑える曲になってまつ。
9.ヴィーナスの花 ★★★ 上に同じ。前曲よりは多少ロック調に。
どことなく歌謡曲のかほりが漂って独特な感じに。
10."I" ★★★ 攻撃的な曲なんだろうがあっさりしすぎの感が。アレンジに泣いた曲。
アルバム全体の特徴としてなんとなく楽しい音になっているような気がする…
11.Hard Rain ★★ クサいロックバラードを創ろうとして…演歌になってしまったと思われる曲。
彼らは盛り上げているつもりなんだろうがあまり面白くない。
12.嘆くなり我が夜のFantasy ★★☆ シングル曲。なんとなくしつこい印象を受けるロック。
このアルバムに入っているシングル3曲には全部似通った印象を受ける。
13.熱帯夜 ★★★☆ シングル曲。初めて売れ線を狙って書かれたと思われる曲。曲は普通のロック。
アルバムの雰囲気にはあまり合っていないのでここに隔離されたような感もある。
総評:★★
前作から一転、売れ線を狙って創られたアルバム。
結果はまずまずの成功を収め、本格的に売れ出した。
しかし内容はあまりない。コンセプトは強いて言えば「売れ線」。音も前作に比べ楽しい雰囲気に仕上がっている。
全体のレベルの低さはイエモンのアルバム随一かも知れない。
THE YELLOW MONKEY「FOUR SEASONS」
1.Four Seasons ★★★★☆ 落ち着いた雰囲気だが力強さを秘めた曲。メロ自体は大したことないがコード進行が秀逸。
歌詞も真面目っぽく感じられる。
2.Overtune〜太陽が燃えている ★★★☆ Overtuneは、文字通り前奏曲のようなもの。「太陽が燃えている」連呼でつまらん。
シングル曲である本体の方は無難な出来。Love Communicationの路線を昇華させたような曲。
3.I Love You Baby ★★☆ アルバム未収録のSparkの前身と思われる曲(リフの感じが)。
Sparkの勢いには及ばず。またAメロは秀逸だと思うがサビが弱い。
4.Tactics ★★★☆ シングル曲。微かにエキゾチックな妖しさが漂うロック。
イエモンの場合、変に格好つけようとして歌詞に意味があまりなくなってしまう場合があるが、この曲もその一例かも。
5.ピリオドの雨 ★★★ マターリする曲。冒頭のGt.旋律からしてマターリ。
しかし実は歌詞は鬱で、聞き込むと鬱曲になる可能性が。
6.Love Sauce ★☆ つ ま ら ん 。このアルバム、歌謡路線に難あり。
サビはそこそこかも知れないが、その他が壊滅的にダメポ。
7.Sweet & Sweet ★★ つ ま ら ん 。
ロック曲だが、音が悪いのか軽い感じがする。
8.月の歌 ★★☆ 歌謡曲或いは演歌路線のマターリ暗い曲。
これはこれでいいのかも知れないが長すぎる感がある。
9.追憶のマーメイド(Album Version) ★★★☆ シングルとの違いはさほどない。
サビまでは歌謡路線ながらも秀逸だが、無理矢理明るくしたサビは失敗かも知れない。
10.Father ★★★★★ シンプルで爽やかなロック。tr.1とは別の意味で元気になれそうな曲。
tr.1よりかしこまっていないので気軽に聴ける名曲。歌詞もまた清々しい。
11.空の青と本当の気持ち ★★★☆ これまたアルバム未収録のJAMの前身と思われる曲(作曲者は違うが)。
意図的にそうなったのだろうがVo.が聞き取りにくいと感じた。
総評:★★★
どうやら爽やかさを狙って創られたと思われるアルバム。
イエモンのアルバムの中では一番爽やかで、気軽に聴けるものと思われる。
ただ、そのコンセプトで演歌・歌謡路線の曲をやられると退屈なものになる傾向がある。
THE YELLOW MONKEY「SICKS」
1.RAINBOW MAN ★★★ シタール風のエレキに始まる序曲。いつしか曲は盛り上がりノリノリロックに。
初っ端から気合いが入っておりまつ。おそらく新境地での抱負を語った曲かと。
2.I CAN BE SHIT, MAMA ★★★ 激重ロック。曲自体は悪くないが歌い方&Vo.にかかるエフェクトが…
このアルバムの狂気が垣間見える曲。アウトロのキーボード音が曲にあってないので減点。
3.楽園 ★☆ 売れたシングル曲も豪華ラインナップの前では霞んで見える。
歌詞はともかく、この曲調はこのアルバムにそぐわない。
4.TVのシンガー ★★★★ 3rdのROCK STARに対する答え。汚い業界を辛辣に批判している。
メロディーのレベルは低いが、ムード的には良好。
5.紫の空 ★★★☆ 狂気が満載の歌詞にジャジーな曲調が気分を鬱にさせまつ。
イエモンの曲でリズムがシャッフルなのは外れがない。この曲も例外ではなく…
6.薬局へ行こうよ ☆ インストだが、不気味な鼻歌や犬の鳴き真似が入る。流れをぶち壊しているような気も多少する。
カナーリふざけた曲調で多くの人はナメンジャネェゴルァ!とお思いになるでせふ…
7.天国旅行 ★★★★★ おそらく自殺の曲。歌詞はトリップ気味で鬱の連続。
曲調もおよそ楽しいとは言えないが、イエモンのバンドサウンドの真骨頂だと思う。
8.創生児 ★★★☆ 題は双生児に由来するが、多重人格の曲。左右チャンネルにVo.を振り分け対立させている。
サビは長調でそのままF.O.するが狂気がその分強調されている。
9.HOTEL宇宙船 ★★★★ セクースソング。底抜けに明るいので楽しめる。
サビは何故か主旋律がペンタトニックで和風なメロに。しかしアウトロで音楽は崩壊しattacca:
10.花吹雪 ★★★★☆ 怪しげなエレキのアルペジオから一転、簡潔なサウンドの本体へ。
爽やかだが狂気が漂う別れの曲。チェンバロ風のキーボードが心地よい。
11.淡い心だって言ってたよ ★★★ フォーク歌謡でマターリ。歌詞もほのぼのマターリ。
かと思いきや、やはり最後は壊れまつ。
12.見てないようで見てる ★★☆ こんなDQNソングもこのアルバムに入ってみると意外と…
ただここに持ってこられると雰囲気がぶち壊しのような気も…
13.人生の終わり(For Grandmother) ★★★★ 非常に爽やか。エレキのリフさえも爽やか。ただサビが弱い。
歌詞は、結局最後まで狂気が入ったままでつ。歌詞カードだけを読むと不気味な気分になりまつ。
8'00"〜位からおまけのような曲がある。ピアノが葬式の鐘を暗示し、続いて浄化されたようなレクイエムが流れる。
高音でキモイVo.もなんのその、死を以て狂気は終わったようでつ。13'00"以降はF.O.。
総評:★★★★
SICKSの名に違わず狂気に満ちたアルバム。
しかし内容はと言えば、前二作を遙かに上回る出来。
惜しむらくはシングル曲「楽園」とそのカップリング「見てないようで見てる」がダメポな事。
駄曲と言うよりは、アルバムの構想にそぐわないと言った感じだが。
THE YELLOW MONKEY「PUNCH DRUNKARD」
1.パンチドランカー ★★☆ 表題曲。イントロの勢いがAメロにそのまま繋がるが、伴奏だけ良くてメロがダメポ。
サビのメロは良質だが、サビ自体が一過性のものになってしまっているので減点。リフは格好良いが。
2.球根 ★★★★☆ シングル曲。東洋的な寂しさが漂う激重バラード。
かなり高水準に出来上がった曲だが重すぎてお腹イパーイ。
3.間違いねえな ★★☆ この曲も演奏・歌詞共によいのだが肝心のメロが弱い。
超重量級のアンサンブルを聞き流しませふ。quasi attacca:
4.ゴージャス ★★★ どことなく厭世的で、和風な感じのするロック。
力が入りすぎているのか、はたまた重い曲が連続しているからか、聴いてて疲れる。
5.見して 見して ☆ ただただセクースの描写がだらだらと続く曲。しかもカナーリ下世話。
別にセクース描写が悪いとは言わないが、HOTEL宇宙船やGIRLIEなど他のセクースソングに比べて音楽の程度が違いすぎる。
6.クズ社会の赤いバラ ★★☆ 厭世観・諦観に溢れる怠惰なロック。この曲順で聴くとここら辺ですっかり疲れまつ。
ちなみにメロディはR.シュトラウスのメタモルフォーゼンですな。
7.セックスレスデス ★★ とてもそうは聞こえないが歌詞だけはクリスマスソング。
この曲もAメロが弱い。tr.3〜tr.7がとても長く感じられまつ。曲順に問題ありか?
8.エヴリデイ ★★★★★ 雨を描写するキーボードに始まり、いつしか音楽は嵐に。
その分、サビの明るさが際だって聞こえる。ちなみにこれもシャッフル。attacca:
9.SEA ★☆ さざ波をイメージしたピアノをバックに、吉井が朗々と語りを…マターリ。
しかし一歩間違えれば悪趣味ですな。BURNへの前奏曲なのでquasi attacca:
10.BURN(Album Version) ★★★☆ お得意の歌謡ロックも、このシングルを最後に影を潜める。
ちなみにシングルとの違いはほとんどない。
11.甘い経験 ★★★☆ シングルSUGAR FIXの日本語バージョン(こっちが先)。
楽しげな雰囲気のおかげでアルバム中唯一気軽に聴けるロック。
12.離れるな ★★★★ シングル曲。鬱が多分に入ったミドルテンポのロックバラード。
サビは長調で書かれているものの、明るい感じは全くしない。
13.LOVE LOVE SHOW(Album Version) ★★★☆ テンポが速くなり、シングルの時に比べ勢いがついた。
ただその分荒削りになったという感もある。
曲はあっという間に終わるが、その後ボロボロにMIXされた「球根」の冒頭部分が聞こえる。正直意図が分からん。
総評:★★★
tr.11・tr.12をシングルカットしたためにtr.10〜13がシングル曲というとんでもない構成に。
全体の感想としては力が入りすぎて音楽がそれについていっていないような気がする。
楽曲自体は良いかも知れないが、多少重過ぎにアレンジされてしまった曲が多数存在する。
ヒットシングルが多数入っているが、前半だけだったら失敗作と評価していたかも知れない(駄作ではない)。
THE YELLOW MONKEY「8」
1.ジュディ ★★★☆ 打ち込みの静かな音をうち破って重低音でバンドが入ってくる曲。
結構真摯な事を言っているが、所謂セクースソングに分類される。quasi attacca:
2.サイキックNo.9 ★★ ノリで押し切るだけのロック。
演奏は重いのだが、雰囲気的には非常に軽いイメージが。冒頭のベースリフは前曲のリフに由来する。
3.GIRLIE ★★★★ 映画「弟切草」主題歌であったせいか、和風な感じが漂うミディアムテンポのロック。
特に演奏・メロ共に盛り上がる3'00"以降の出来が良い。ちなみに歌詞はSM…
4.DEER FEELING ★★★☆ この曲も打ち込みを使用したイントロを持つ、ゆったりロック。
演奏は非常に重いが、曲自体の良さが聞き手を疲れさせない…と思ふ。
5.HEART BREAK ★★★★ マターリと、雪をイメージした曲。キーボードの軽い音が昭和歌謡を思い起こさせる。
しかしこういう曲に限ってテーマは重く聞き手はマターリとなれないかも。
6.人類最後の日 ★☆ 「薬局へ行こうよ」よりもフザけているが、ここまで度が過ぎるとオモロイ。ワラタ。
インスト曲扱いだが、誰のものとも知れない不可解な声が聞こえる。quasi attacca:
7.SHOCK HEARTS ★★ シングル曲。楽しい雰囲気のロック曲。
演奏はパクリっぽいが充実しているし、アルバム中唯一純粋に楽しめる曲だが個人的にはダメポ。
8.聖なる海とサンシャイン(Album Version) ★★★☆ シングル時よりロック味が薄れ、より歌謡的に。
シングルでは荒涼とした感があった曲だが、こちらのバージョンはよりしっとりとした演奏になっている。
9.カナリヤ ★★★★☆ ひなびた感じの爽やかロック。実際は鬱曲なんだろうがそれを感じさせない爽やかさ。
シンプルな演奏だった「Father」に対し、こちらは打ち込み・コーラス多用。「夢オチ」ならぬ「妄想オチ」を使用。
10.パール ★★★ シングル曲。ハイテンポなロック。
構成・演奏共にシンプルだが細部で凝っている部分がある。
11.STONE BUTTERFLY ★★ メロより演奏重視の重い曲。Aメロはただの早口でまくし立てるだけのもの(ラップではない)。
個人的にサビのリフが格好良く思える。
12.メロメ ★★★★ もはや吉井のソロ。ピアノとストリングス、打ち込み音を背景にマターリと、しかし力強く歌われる曲。
Vo.がサビを歌っている時にストリングスが対位法的にAメロを演奏しているので統一感がある。
13.バラ色の日々(Album Version) ★★★ シングル曲。この曲も日本的な響きが。
シングルに比べ多少ハイテンポに聞こえる(特に序奏部分)。
14.峠 ★★★★★ 最初はエレキのリフが延々と続き、それにVo.が乗るという構成だが、途中から急に重くなる。
個人的には満点だがこんな曲出して置いて活動休止するのもどうかとは思う。
6th以降恒例のおまけはtr.6の再現。オチまでしっかりとついてまつ。
総評:★★★★
前作での失敗が生かされ、今回は楽曲が演奏の重さについて行っている。
全体のコンセプトで推した「SICKS」に対し、この「8」は個々の曲の良さで勝負していて、結果的に評価は同じくらい。
活動休止前の最後のアルバムであり、イエモンの集大成とも言える出来となっている。
全体的に洋楽っぽい感じが。
で、主観的に言うと
8=SICKS>jaguar〜>Punch〜=4Seasons>Smile