the brilliant green part9

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143名無しのエリー
吉幾三 「とも子」
とも子と暮らしてた頃、ハッピーでナウな日々だった。
”買物に行って来まーす”ってとも子。
”いってらっしゃい、気いつけてね”ってわたし。
それっきり…かれこれ一年にもなるべか。
買物に行ったきり一年も帰ってこないオナゴって、どこにいるもんだべか?
さみしくて、恋しくて、とも子のはいてたパンティーいつも頬づりしてるの。
たまにかぶって歩いたりしてるの。
”とも子歯のキレイな人キライ、髪の毛キチンとわけてる人もキライ。
男のくせにオーデコロンつけてる人大キライ!とも子どんな汚いかっこう
でもいいの、心のキレイな人なら”
って云うから、わたし一年ぐらいだべか、歯も磨かないで、頭の毛ぼさぼさで、
風呂なんか入ったこともネェ。
したらとも子”汚すぎる!”って…
とも子捜して旅に出た。
盛岡、仙台、福島、山形、グルっと回った。
とも子の田舎秋田だって聞いて、
秋田たずねて行った。そしたらアパートの管理人が出て来て”ああその人なら
たった今引越しましたヨ”って。
青森たずねてみれば、別人でスンゴクきれいだったりして…
秋の函館とも子の居る所わかった。
アパートの下から、とも子俺だヨーったらとも子窓から顔ベローと出して、
いきなりワーッと泣いて。どうしたのとも子
大きなお腹して、食べすぎたのったら”子供できたの”って。
アレー誰の子供なのってたずねれば
”知らない”って、涙コひとつポロとながして、…かわいそうなとも子、
あれから三回目の秋だ、とも子が死んでから三回目の…三回目の秋だ・・…