★★ 最強! 山下達郎に萌えるスレ ★★

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山下達郎 jaccs card Sunday songbook 17,feburary 2002

読者質問
「Loveland, Island」の音圧が低いのは何故でしょうか?いつも番組で最近の
ヒット曲に負けないように古い曲をリマスターしているとおっしゃってますが
、今回のこのシングルは他の同日発売されたシングルに比べて音が小さいです
。達郎さんにとってこれはベストな状態なのでしょうか?私はCD店に勤めて
いて、新譜入荷日にはシングルを店頭演奏用に一枚のMDにまとめて流していま
す。達郎さんのだけ音圧が低いので迫力がなく目立ちません。非常に勿体無い
と思われます。アルバムも同様な音圧なのでしょうか。クレームの様に聞こえ
ますが、達郎さんの曲の良さを一人でも多くのお客様に知ってもらいたい]
一心からです。
82川´3`)達郎です。:02/02/18 19:15 ID:wxx2v6Ag
「大変いい質問です。これについて話し始めると一時間でも講演ができますので
ほんの掻い摘んだことのみ。デジタルすなわちCDが生まれた80年代当初、デジタ
ルはアナログに比べてノイズは無いし、何十回何百回聞いても音が劣化しないな
どの利点がありますが、その反面、それまでのアナログは歪みという音がつぶれ
るのがあったのでそれがロックンロールの根性や突進感をすごく生んでいたが、
それがデジタルではすごく薄れた分、ロックの生命である音の根性や、我々が普
段音圧とかガッツと呼んでいる突進感がなかなか出難くなってしまった。欧米で
はまだほとんどがアナログレコーディングという現状ですけど、それは経済的な
理由もあるが、ロックとしての音のガッツを容易に得るのにアナログの方が有利
だという要素も大いにある。一般的にCDに入れる音の大きさというのは、上げれ
ば上げるほどどんどんロックっぽくグーっとなっていくんですけど、デジタルの
場合はクリッピングという現象が起こりまして、音の波形が切り捨てられまして
、非常に聞き苦しい濁った音になります。ところがここ数年間のうちにクリッピ
ングを防ぐ技術が非常に発達しまして、その結果いくらでも大きい音でCDに焼き
こむことができるようになってしまいました。ラジオやTV、CMや音楽のオンエア
というところで他の物より迫力を出そうという競争に勝つために、少しでも大き
なレベルでCDを作る、大きな音でCDに入れる。それをレベル競争といいましたが
今やそれを通り越してレベル戦争。音楽の質に関係なくて大きければ正義だとい
う馬鹿みたいな時代が延々と続いています。CDに焼きこむ音の大きさを上げれば
上げるほど音はどんどん前に出てきまして、仕舞いには全て顔の前に張り付いて
いるような音像になります。私はこういうような風潮に凄く疑問を持っておりま
して、自分の作品は少なくとも音楽としてちゃんと成立するように、ちゃんと奥
行きと繊細さがあるマスタリングをする方式でずーっとやっております。
83川´3`)達郎です。:02/02/18 19:16 ID:wxx2v6Ag
しかし
ながら昨今のJ-Popと呼ばれる音楽は音楽的必然性とは関係なくただ音がでかけ
ればいい。これは120倍激辛カレーと同じで、音楽じゃなくて刺激物と化していく
。そういうものとは根本的に考え方が違うので。特に今回は旧譜の再発なので、
一番デジタルマスタリングで留意したところは、アナログの音像をそのまま、奥
行きとか抜けとかをそのままCDでクオリティアップでやりたいという思想で特に
作っております。それを一般的にオーディオを好きな人から「なんだこれ、音ち
っちゃいじゃないか」といわれたらゴメンなさいとしか言えません。これは思想
信条の問題でして、技術的問題とは全然違います。心あるマスタリングエンジニ
アの方々は皆J-Popの現状を嘆かわしく思っております。本当に舌足らずで御免
なさい。でも本当にいいお便りをいただきました。いただかなればこういうメン
ションをすることもなかったので。」