(あいつだ。間違いない。)
俺は新社会人の木田(KIDA)。今日から会社勤めが始まった。
そして、俺は只今激しめに驚いている。中学の頃淡い憧憬を抱いていたTタンがまさにそこにはいた。
細く鋭いながらも黒目がちな眼。そして可愛らしいすきっ歯。確信した。Tタンだ。
-----その夜。新歓コンパを脱腸を理由に断った俺は、一人職場に残っていた。
なんとはなしにTタンの机に近づく。もちろん新入なので机の上は閑散としている。
椅子には真新しい座布団がおいてあった。手でなでるとまるで彼女のお、お、お尻を触ってるような
錯覚が起こり、俺の口の中はヨダレで満たされた。飲んだ。喉が、潤った・・・
大量のヨダレを飲み込んだ瞬間、俺はハッと我に帰った。
「・・・俺は何をしているんだろう」
独り言を言ってみる。誰もいないので、恥ずかしくもなかった。
俺は愉快になった。独り言を繰り返した。
「やった。やった。Tさんと同じ職場。Tさんと同じ空気。」大声で叫んだ。
それはもはや独り言と呼べるものではなかった。躁。
ひゃっひゃと止まらない笑いを止めようともせず、勢いで机の引き出しを開けた。
何もないだろうと思っていたその中に、1つのリップスティックが入っていた。
「・・・・・・・」俺は急に冷静になった。周りをぐるりと見回した。
隣の部署の部屋、会議室。同じフロアの部屋、全部を確認した。
誰も、いない。喜びが心の底からこみあがった。俺は狂ったようにTタンの机のところに戻った。
途中、何かに引っかかって大きく転んだ。痛みは無かった。
肩で息をしながら、机の前に立つ。開かれた引き出しにはもちろんリップスティックが入っている。
俺は震える手でそれをつまみ上げた。キャップを開けた。「ほ・・ぉ・・・お・・」
鼻の前に近づける。メントールの香りがした。勃起した。
(舐めてみようか)
という考えは自然と浮かんだ。------背徳。だけど、これはある種の快感だった。
ちろ。
舐めてしまったその瞬間。俺のいきり立った愚息はズボンのチャックを突き破り
推定50ccのカウパー汁を勢い良くはじき飛ばした。
「エクスタシーじゃないのにこの量は・・・・・」
少し、興奮が冷めてしまった。凄まじい虚無を感じつつ夜の職場を後にした・・・・・
FIN