評論したいときに評論するスレ

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250でんぷん
>>170,>>235

Bjork

この人はシュガー・キューブスの時からニュー・ウェーブで、
ソロも常に先端のテクノ・アーティストと組んで仕事をしている
んで、おまけに独自なボーカル・スタイルなんで、ロックの文脈
では計れない、と簡単に言ってしまうんだけど、実の所、ロック
の文脈ではないですね(笑)。ジョニー・B・グッドから始まる流
れの中に居ない。どこに居るかと言うと、ブロードウェー・ミュ
ージカルですね。クラッシックから発展した近代音楽の中にいる。

P-modelの平沢進がよく好んでボーカルを多重録音して1人合唱で
ミュージカルっぽい曲を作るんですけど、あれに近い。本来なら
主旋律があって対旋律があって、コーラスのハーモニーがあって、
というオケや合唱が担当する部分を打ちこみによるアレンジに任
せる。なぜなら、彼女の歌は個性的過ぎて、普通のオケや合唱か
らは逸脱してしまう。それゆえに、彼女は自分の為の楽隊を最新
鋭のデジタル機材で作らなくてはいけないわけです。

そんな彼女の歌は感情表現が豊かだけれど、ポップで大衆に受け
入れられているけれど、ついでに言えば評論家からも絶賛だけれ
ども、逆説的に密室の音楽ですね。古き良き時代の音楽を志向し
ながらも決してそこには向かわない。そういう場所から彼女のフ
ァンタジックな楽曲が生まれてくるのだとすると、映画「ダンサ
ー・イン・ザ・ダーク」のヒロイン、視覚的にも社会的にも光を
奪われていく中で歌い続けるセルマの姿に彼女が重なるのは偶然
ではないのだと思います。
251名盤さん:01/10/20 10:48 ID:CeC16V1C
LOWをお願いします
252名盤さん:01/10/21 04:20 ID:geEZ6CAh
age
253名盤さん:01/10/21 05:22 ID:rAtNGdH/
>250
いやいや感動しました。
なにかとカリスマだの天才だの歌姫だのと
簡単なキーワードで片づけようとする評論家が多いですが
あなたの解説が色んなアフォ評論家の糞評論よりも
一番、的確にBJORKを捉えた評論だと思います。

彼女が小さい頃に近代音楽や、さらには現代音楽も
好んで聴いていたことは周知の事実ですし、
もうひとつ言わせていただくと、
あの荒々しいアイスランドの自然も
彼女の音楽の根底にある強い意志のようなものを
少なからず形成しているのだと思います。