昔、あるビジュアルバンドの話
インディーシーンから突如話題沸騰した某バンドはある深夜音楽番組から出演依頼を受ける。
出演した彼らは出演料も予想以上の額で、番組スタッフの対応も用意されたセットも
満足がいくもので、トントン拍子で交渉中であったメジャーに移籍した。
契約したレーベルにとっても所属事務所にとっても勢いのまま勝負となったデビューシングルが
発売し予約でオリコン上位にランキングが確実となったところで、ゴールデンの歌番組への出演が決定。
ところがこの手の歌番組は出演料が出ないどころか生演奏すらもできないとの返答。
彼らは当然の如くこれが通常であることすら知る由もない。
本番の日、マネージャと一緒にサブにいるプロデューサへ挨拶に行ったところで
ひとつの事件が起こる。
リーダーが何で演奏でけんのや?ギャラなんで出さんのや?とたたみかけるように
つっかかった。プロデューサはギャラはメーカーさんから出してもらってください。
それでは本番よろしくと追い返す。
メーカーの担当は憤慨するリーダーをなだめ、宣伝費も払って出演が決定しているのでなんとかと
なだめるしかなかったそうだ。
本番は問題なく終了したが、終了挨拶時にプロデューサに悪態をつき(内容は不明)
そのバンドは出入り禁止、その後再ブレイクすることもなく忘れ去られることとなった。