博物館の批評・感想を!

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173名無しさん@お宝いっぱい。
■山種美術館
■没後70年 竹内栖鳳 ―京都画壇の画家たち、2012.9.29−2012.11.25
ttp://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html
■近代京都画壇の中で、もっとも有名な栖鳳の展覧会です。個人的にある意味一番
驚いた作品は、雪舟筆『山水長巻』の模写です。春にサントリー美術館で展示され、
その時模写も幾つか並べられてましたが、それらと比べて格段に上手いと思います。
さすがに原本と比べると、模写の宿命である写し崩れが僅かに見られますが、
墨の階調表現は、付立て技法を知った栖鳳の方が上手いかもしれません。
栖鳳の絵というと、コローなど西洋の影響を受けた清新な画風が浮かびますが、
雪舟のような古典も深く学習していたからこそ、西洋画法に流されず、自己の
画風を確立できたのでしょう。

栖鳳の代表作「班猫」が、何時もは会期中の限られた期間しか見られないことが
多いのに、今回は全期間展示されていて有難いです。ただ、文化財保護の関係で
次に見られるのは、最低2年後でしょう。暫く会えない猫をじっくり鑑賞するのを
オススメします。

栖鳳と時代が前後する画家の作品も全体の3分の1程出ています。自分が目に
付いたのは、弟子の西村五雲の作品です。動物画では栖鳳以上と評されたそう
ですが、確かに栖鳳より動物の細部まで描写が行き届いています。
最後に、村上華岳の『裸婦像』が展示されているのも嬉しい誤算でした。


京都市美術館や京近美などから作品を借りてこれたおかげで、充分な質の作品が
揃っているとは思いますが、栖鳳の多様な作品を伝えるには不足気味だと思います。
その辺りは、東近美や新美術館などもっと会場が広い美術館で取り上げられるのを
期待するしかないでしょう。しかし、関東でこれだけ近世から近代京都画壇の作品を
まとまって見られる機会はなかなかなく、日本画ファンなら見たほうがいいでしょう。