カロリーメイト忘れてねーか?
だいジョブか?
あとチェックメイトもな
いちいちageんなボケ!
だまってsageていればいいんだよ!
なんか言いたければ、アゲんじゃねーよ!さげてから言えっつーの!
マジで!
940 :
名無SEA:2006/05/24(水) 20:48:52
ウン、ウン、そりからどした?!少年はコンちゃん持ったのか?
941 :
名無SEA:2006/05/24(水) 21:59:14
wktk
みなさん、はじめまして。今書いている新作野郎です。
実は何も考えずに書き出してしまって、まだオチも漠然としか決めてません。
ただ、このスレで描かれてる特殊なサーフシーンではなく
日常の淡々としたことをゆっくり描写できたらなあ、なんて思って書いてます。
そういう意味では進行が遅いんではないかと思いつつも、その辺はご了承ください。
次回より
<第二章> 「トリップ編」になります。乞うご期待。
>>942 焦ることは無いでしょ。
完結するまで頑張って貰いたいね。
ゆっくり待ってるよ。
新作君頑張り給え。
944 :
麻:2006/05/25(木) 16:14:41
続きが〜〜〜見たい!
945 :
名無SEA:2006/05/25(木) 16:32:26
いゃいゃぃゃだからぁ〜性チャンに乗ってみたらぁ!何人にもマヂックなんでしゅよ!
あげんなゴラァー
エロスはいらねーな
947 :
麻:2006/05/26(金) 15:31:33
下記の事実を知れば、今日GOOD WAVEと出逢ったあなたがいかに幸せな人か、よく解るはずです。
もし、現在の人類統計比率をきちんと盛り込んで、全世界を100人の村に縮小すとどうなるでしょう。その村には・・・
948 :
麻:2006/05/26(金) 15:44:09
・57人のアジア人。
・21人のヨーロッパ人。
・14人の南北アメリカ人。
・8人のアフリカ人がいます。・52人が女性です。
・48人が男性です。
・70人が有色人種。
・30人が白人。
・70人がキリスト教以外の人。・30人がキリスト教。
疲れたからまた書くわ。
949 :
名無SEA:2006/05/26(金) 21:34:04
しねや
950 :
名無SEA:2006/05/27(土) 22:06:16
まだー
<第二章> 「トリップ編」
気づかないうちに眠っていたらしい。意識が覚醒するにつれワーゲンバスのエンジン音が次第に大きく聞こえてきた。
華子はうっすらと目を開けると辺りに視線を巡らせた。どこを走っているのか全く見当もつかなかった。
ふとサイドミラーを見ると背後の空が濃い藍色からわずかにオレンジ色を帯びたグラデーションに染まっていた。
「そろそろ夜が明ける」
華子が起きたことに気づいた少年が声をかけた。
「ごめん、眠っちゃった」
「ああ、別にいいよ。どうせ寝てなかったんだろ?」
「うん。いろいろ想像してたら頭冴えちゃって眠れなかった」
軽く伸びをしながら自分たちがどこにいるのか少年に聞くと、じきに海岸線に出て10km程走れば最初の目的地の
ポイントに到着すると教えられた。
しばらくすると少年の言うとおりワーゲンバスは夜明け間近の海岸線に出た。海はまだ暗く、よく見えなかったが
細く開けた窓から入ってくる風には潮の匂いが混じっていた。
「とりあえず朝飯を食べよう」
少年はウィンカーを出して海岸沿いに立つドライブインにワーゲンバスを乗り入れた。
サイドミラーだけを見ながら器用にワーゲンバスを駐車スペースに止めると少年はサイドドアを開けた。
弾けるように太郎が飛び出し辺りを注意深く窺っている。少年は華子に行くぞ、と言うとネオン管の灯った
ハンバーガーショップに歩き出した。
店に入るとカウンターの中で本を読んでいた男が顔上げ、少年を見ると笑顔になり手を差し出した。
「やあ来たな。今年は少し遅かったね」
「うん、新しいボードが上がるのを待ってたんだ」
少年は男と握手を交わしながら「お久しぶりです」と挨拶をしている。
華子は物珍しげに店内をきょろきょろと見回していると知らない間に太郎が店の一番奥にあるテーブルの下に
もぐり込み伏せっていた。
「ゴローさん、軽く食事がしたいんだけど何かある?」
「ああ、何か作ってやるよ。あとあいつには水だな?」
少年にゴローと呼ばれた男はカウンターに戻るとブリキの皿に水を入れて太郎の前に置いた。
太郎はそれを見るとむっくりと起きあがりペチャペチャと美味しそうに水を飲み始めた。
ゴローは軽く太郎の頭を撫でるとカウンターに戻り食事の準備を始めた。
華子と少年の前にハンバーガーとサラダのプレートが並ぶと、少年が思い出したようにゴローに言った。
「そうだゴローさん、こいつ華子っていうんです」
「はじめまして、こんにちわ。あ、ハンバーガーとっても美味しいです」
華子は食事に夢中になっていたので慌てて口の中のハンバーガーを飲み込んでゴローに挨拶をした。
「そう、それはよかった」
「でもまさかお前がトリップに彼女を連れて来るとは思わなかったよ」
ゴローが二人を交互に見ながら微笑んだ。
「違います!」「違うよ!」
一瞬の間があったが、ほぼ二人同時に否定するとゴローは「あれ、違うの?」と意外な顔をして聞いた。
「こいつが勝手についてきただけだよ」
「そうなんだ?」
「あら、おじさまの許可はちゃんと取ってるんですよ」
華子は少年の父親との約束を守ることを条件にトリップを許された経緯を話し、
だから勝手についてきたわけではないとゴローに説明した。
少年は不服そうだったが、これから入るポイントのことに話題を変え、華子にはよくわからない地形やカレントなど
最近の状況をいろいろ質問していた。
「そろそろ行こう」
華子と太郎に声をかけ、ゴローに挨拶すると少年は立ち上がった。
ゴローとは後で海で落ち合うらしい。
その様子を見ていた太郎がワンとひとつ吠え早く行こうとばかりに尻尾を振っていた。
海岸の前にある小さな駐車場にワーゲンバスを止めて着替えると浜に出た。
その海岸は全長300mにも満たない小さな浜だった。まず華子が目を奪われたのは海の青さだった。いつも入っている
あの海岸とはあきらかに水の透明度が違うのが一目でわかった。そして浜の砂はまるで漂白したように白く、海の青さと
そのコントラストがよりいっそうその海岸を美しく見せていた。
華子は初めての場所に興奮しながら目の前に広がる海を見渡しストレッチを終わらすと海へ入ろうとした。
「待て!」
「なによ?」
「ここに座れ」
まだ海を眺めていた少年が自分の隣りを指して言った。
「早く入ろうよ」
「焦るなよ。お前ここ初めてだろ?いいから来いよ」
華子は素直に少年の横に座ると波質や潮の流れなどの注意点を聞いた。
「ここの波、見た目より速いしパワーがあるからあんまりなめるなよ」
「うん、わかった。じゃあ行こう!」
少年と一緒に沖を目指しパドルアウトしていく。
時折、浜をふり返ると太郎がじっとこちらを見つめていた。
つづく
やっと来たか。新作野郎待ってたぞ。と俺は思って、すかさずマウスをスクロールした。
ここのポイントは伊豆白浜か?と頭の中に初めて行った時の景色と海の色の感動が蘇った。
太陽が昇り真夏を思わせるような陽射しがじりじりと照りつけていた。華子は不機嫌な顔で
波待ちをしている。何に対して腹がたっているのだろう。自分に問いかけてみたがそれは華子自身にも
よくわからなかった。
最初のラウンドでは一度も乗ることができなかった。
一本目の波で酷いパーリングをして嫌というほど巻かれたことが華子に恐怖心をもたらし、
その後の波に対してどうしても突っ込むことができなかったのだ。
少年に一度上がるぞ、と言われ少年がセットをつかまえて岸まで戻るのを恨めしそうに見ながら
華子はボードに俯せになりスープに運ばれた。
二人が上がってくるのをどこかで見つけた太郎が嬉しそうに駆け寄ってきた。
駐車場で太郎に水とドックフードあげて、華子はチーズ味のカロリーメイトを少年と食べながら
海を眺めていた。
「パーリングしたら恐くなって乗れなかったよ」
「そうか」
「うん」
「あのな華子」
少年が華子の顔を見て呼びかけた。
「サーフィンって技術が無ければ波に乗れないけど、技術だけでも波に乗れないんだと思うんだ」
「どういうこと?」
「お前はそれほどサーフィンが上手いわけじゃないけど、初めて会った頃よりもどんどん上達してるし
女にしては根性もある。技術的には乗れない波じゃない」
「うん」
「だけど乗れないんだろ?」
「うん」
「何でだと思う?」
「わかんない。でもいつも乗ってる波と違うからかなあ?」
「考えてみろよ。もともと同じ波なんてひとつもないはずだぜ」
少年に言われて、そうかと納得した。
「いいか?これは別れ道だ。波に乗って前へ進むのか、波に置いていかれてそこに残るのか、のな」
「華子はどっちの道へ行きたいんだ?」
「前へ進みたいよ」
「そうだろうな。でも進んだ先に何があるのか行ってみなければわからないよな。最高のフェイスが
あるのかもしれないし、最悪のワイプアウトが待ってるかもしれない。でもな華子、それは行った者に
しかわからないことなんだ」
少年が何を言いたいのかすべてわかったわけではなかったが、それが知りたければ乗るしかないのだと
いうことだけは華子にも伝わった。
お前はしばらくここで俺たちが乗るのを見ていろと言われ、ゴローたちと合流した少年は華子を
残して再び沖を目指してパドルアウトしていった。
木陰で太郎と並んで海を見ながら、少年がテイクオフするタイミングを何度も自分に置き換えてイメージした。
「太郎見ててね。じゃあ行ってくるよ」
華子は太郎の頭を撫でて、海にダイブすると沖を目指してパドリングを始めた。
最初のパーリングの恐怖心は消えてる。大丈夫乗れる。わたしは前へ進むんだ。心でつぶやきながら、
華子は比較的人の少ない場所にポジションを決めるとセットを待った。
沖から強い陽射しを反射させながらゆっくりとうねりが入ってくるのが見えた。華子はピーク寄りに
移動しながらタイミングを計った。しだいにうねりはどんどん盛り上がりパドルのスピードを全開にする。
一気にテールが捲り上げられ、まるで逆立ちをしている錯覚にとらわれると水面は垂直に感じられるくらい
急激な斜面に見えた。そのときだった。最初の恐怖心が甦り華子は再び波に置いていかれてしまった。
「これじゃあ繰り返しだよ」華子はどうしても拭い去れない恐怖心と戦いながら不機嫌に呟いた。
「どっちの道へ行きたいんだ?」少年の言葉を思い出した。
「絶対乗ってやる。もう置いていかれるのはたくさんだよ」
華子は再び強く思うと岸をふり返った。さっきまで座っていた木陰に太郎が小さな点になって見えた。
試しに大きく手を振ってみると太郎はむっくりと起きだしてワンと吠えたように見えたが声は聞こえなかった。
「太郎にはわたしが見えるんだ」
華子は見ててね、とつぶやくと再びやってきたセット追いかけてパドリングを始めた。
うねりに合わせてパドルのスピードを徐々に加速させていく。しだいにテールに波の力を感じて、
そしてそこから一気にテールが捲り上げられる。「ここだ!」華子は思った。
これが少年の言う分かれ道なのだ。ここで引き返すのか、前へ進むのか。
目の前のフェイスが完全に見えなくなると華子はさらに体勢を低くしてパドルを続けた。
次の瞬間、ボードが推進力を得て走り出すのがわかった。素早く立ち上がると真っ逆さまに落ちるように
ボードはフェイスを滑降し始めた。
まだー
お〜。新連載が。
新作さん頑張って下さい。
オレはゆっくり読みますんで、じっくり行きましょー。
華子はそのスピード感に戸惑ったが、あっという間にボトムまで降りてしまうと反射的にレールを
入れて深いターンをきった。
背後に迫っていたスープから逃れると目の前には数十メートルは続くフェイスが広がっていた。
まるで夢を見ているようだった。なんてキレイなフェイスなんだろう。
そう思った瞬間時間が止まったように波の細部まで体に感じ取ることができた。
華子は無我夢中でフェイスを走り抜けた。インサイドまで来るとようやく余裕ができ弱いスープに
コースターをかけると脱力したように海面に倒れ込んだ。
再びエントリーしようと沖を振り替えると、少年やゴローたちが大きく手を上げて「やったな」という
ジェスチャーを送っていた。
誰も自分のことなど気にしてないと思っていたのに、ちゃんと見ていてくれたことが華子には嬉しかった。
浜から太郎の声が聞こえた。気がつくと波打ち際で嬉しそうに尻尾を振って吠えている。
華子は沖へは戻らず太郎のもとへ駆け寄った。
「乗れたよ!太郎」
太郎を抱きしめるとハフハフと顔を舐められたが、海水が塩辛かったのかゴホゴホと咳き込んで逆に顔を
背けられてしまった。
「行った者にしかわからない」
少年の言葉が甦った。
華子は経験したことのない掘れた波に恐怖心を覚え、ようやく乗ることができ、
その過程を経て少年の言いたかったことが何だったのかようやくわかった気がした。
太陽が傾くまでサーフィンを楽しんだ華子と少年はまだ僅かな明るさが残る夕暮れどきの海を見ながら、
ゴローが店の前に設えてくれたテーブルでビールを飲んでいた。
時折、涼しい海風が二人の間を通り抜けていく。アルコールが入ると全身に心地よい疲れが広がり、
華子はなんとも言えない幸福感に包まれていた。
「ねえ、今日はありがとう」
「なんだよ」
「うん、なんとなくね」
「なんだそれ?」
「別にいいでしょう。そんな気分なの」
華子は足元で伏せっている太郎の頭を撫でながら言った。
どこまで行けるのだろう。まだ先は見えなかったが今日のサーフィンでほんの少しだけ前へ進めたと思った。
しばらくするとゴローがパスタやピザなど普段店にはないメニューを運んでくれた。
三人で食事をしながら会話をしていると、少年とゴローが華子の知らないポイントの話をはじめた。
「あそこは最近ちょっと雰囲気悪いんだ」
「そうなんだ?」
「うん、最近人が増えてきてローカルがピリピリしてるんだよね」
「じゃあ、やめとこうかな。こいつも一緒だし」
少年は華子を見るとゴローに問いかけた。
「よっぽどのルール違反をしなければ平気だと思うけど。人が増えると摩擦も生じるからね。
なんとなく余所者をよく思わないって人間どこにでもいるだろ?」
微妙な海岸の向きで、うねりが入りやすくボトムも完全なリーフなので風が合えば最高のブレイクを
堪能できるだけに、最近では人も増えてトラブルが多くなっていると、ゴローは隣町にあるポイントのことを
説明してくれた。
最高のブレイクということだけがインプットされた華子は少年にそのポイントに行きたいと頼んだ。
「そうだな、まあ波次第だろうな。明日様子を見てから決めよう」
今晩はゴローの家に泊めてもらい明日も同じポイントに入ってから、次の場所に移動すると少年は言った。
「次はどこに行くの?」
華子が聞くと少年はにっこり笑いながら言った
「南さ」
「南さ」 って、、、ハズくね?リアルでは言えんなw
おっ?一休みか?最近レスねーな。
華子が聞くと少年はにっこり笑いながら言った
「南さおり」
華子は少年が「南さ」と言うのを聞いて、うわっハズイと思ったか、南さ?おり?と聞こえたかは定かではないが、
まだ知らない波との出会いに心が躍った。
夜になりゴローの家に行くと華子のために一部屋空けてくれたので、そんな気遣いは必要ないと固辞したが
一応、女の子なんだからとゴローに押し切られてしまった。
華子は好意に甘えることにしておやすみなさいと挨拶して部屋に引きあげた。
客間にひいてある布団にごろんと寝転んで目を閉じると自然と昼間の波がフラッシュバックした。
それは半分夢を見ているような心地よい気分で、やがてそれが完全に夢と同化すると華子はゆっくり深い眠りに
落ちていった。
翌朝、華子は胸のあたりに重みを感じて目を覚ました。外はすでに明るく家の中は静まりかえっている。
「ウ〜ワンッ」
太郎が華子の胸のあたりに前足を置いて見下ろしていた。
「太郎、重いよー」と言いながら寝返りをうつと今度は頭をつつかれ、たまらず華子はむっくりと起きあがり
窓を開け放ち深呼吸しながら大きく伸びをした。全身には気怠い疲労感があったが爽快な朝だった。
まだぼんやりした頭で見慣れない風景を眺めていると不意に何かひっかかるものを感じた。
「あー!ワーゲンバスがない!」
華子はダイニングルームに駆け込むと無人のテーブルの上に少年の書き置きが残されているのを見つけた。
「8時には戻る。ドックフードあげといて」
「いやーっ」
「なんでもっと早く起こしてくれないのよ」
太郎をキッとにらむと、太郎はきょとんとした顔をしてワンとひとつ吠え、早くメシにしてくれと催促している
ようだった。
「わかったわよ。お腹がすいたからわたしを起こしたのね」
太郎にドックフードと水を与えると、華子は洗顔を済ませTシャツとジーパンに着替えた。
時計を見ると7時を少し回ったところだった。今頃少年とゴローはサーフィンを楽しんでいるのだろう。
置いていかれたことに腹が立ったが、時間が経つにつれ何度も揺り起こされた記憶が甦ってきた。
少年は何度か華子を起こしたのだが、最後は諦めてゴローと二人で出かけたのだった。
キッチンにコーヒーメーカーと挽いた豆を見つけたのでコーヒーを入れるとダイニングに香ばしい匂いが広がった。
コーヒーを飲みながらだんだんと目が覚めてくると、このままぼんやり二人を待っていても仕方がないと思い
太郎に向かって華子は言った。
「よし、散歩に行こう!」
太郎にリードを付けると、ゴローの店の裏手にある家から出て海沿いの国道をぶらぶらと歩きだした。
陽射しはすでに真夏のような強さだったが、まだ時間も早かったので朝の凛とした空気が残っている。
すでに近くの海岸にはたくさんのサーファーが出ていた。
華子と太郎が日陰を探して砂浜に座り海を眺めていると、ちょうどセットを乗り継いで
インサイドまできたサーファーが上がってくるところだった。
おそらく地元のサーファーと思われる男と目が合ったので、華子が「おはよう」と言うと見慣れない女と犬が
珍しかったのかそのサーファーも挨拶を返して話しかけてきた。
「どっから来たの?」
「今はあそこから」
華子はゴローの店がある方向をさして言った。
「あのハンバーガーショップ?」
「うん、わたしの友だちが知り合いでお世話になってるの」
「そうなんだ。あそこのマスターもサーファーだけど、君もサーフィンするの?」
「うん、今友だちとトリップに来てるんだ。ゴローさんのこと知ってるの?」
人の良さそうなその男に華子が聞くと、それほど親しいわけではないがこの辺りの人間はだいたい顔見知り
だと言った。
寝坊して置き去りにされて太郎と散歩に出た経緯を話すと男は大きな声で笑い、いつまで滞在してるのかと聞いた。
「今日はまだこの辺でサーフィンして明日には移動するの」
「そう。楽しいトリップになるといいね」
「ありがとう」
男が去ると華子と太郎は再び国道に出て散歩を続けた。しばらく歩いてると背後からクラクションが聞こえ
振り返ると少年とゴローが乗ったワーゲンバスが華子を追い抜いて止まった。
「なんだ散歩してたの?」
少年が運転席から顔を出すと言った。
「もうひどいよ。二人で行っちゃうなんて」
「これでも粘り強く起こしたんだぜ」
「まあ起きないわたしも悪いんだけどさ・・・」
文句は言ったものの太郎との散歩もまんざら悪くなかったので、まあいいやと思いながらワーゲンバスの
後部スペースに乗り込むとそのままゴローの家まで戻った。
支援
969 :
名無SEA:2006/06/12(月) 19:53:41
あげ
残り30〜。
今、次回作必筆中。
だけど仕事しながらだから、全然進まない。
ん〜少年の名が気になるこの後の展開。
新作君次スレまで引っ張ってちょ。
つかさげ。
まだかい?
972 :
名無SEA:2006/06/20(火) 22:53:16
早くー。少年は華子とやったのか?
真夏のような陽射しが降りそそいでいた。華子と少年を乗せたワーゲンバスは海沿いの国道を
南下している。
空に所狭しと沸きあがる真っ白な積乱雲を見ながら、華子は数日中には梅雨明け宣言が
出るだろうという少年とゴローの会話を思い出した。
朝の散歩からゴローの家に戻った華子たちは、朝食を済ませると昼までゆっくりと過ごした。
午後から次のポイントに移動するために荷造りを終えゴローと再会の約束を交わすとワーゲンバスに
乗り込んだ。
「今日はどこか良さそうなところでもう1ラウンドやろう」
少年が言うと、華子は昨夜聞いたリーフポイントに行ってみたいと頼んだ。
「そうだな。それほど遠くないし行くだけ行ってみるか」
午後から風が変わり弱いサイドオンが吹いていたがフェイスにはそれほど影響がなさそうだ。
ゴローのところを出てから約40分程走ると目的のリーフポイントに到着した。
「太郎おいで」
ポイントに着いてサイドドアを開けると華子に呼ばれた太郎がワーゲンバスから飛び降りた。
太陽は少し西に傾きかけていたが陽射しはまだ衰えず、チリチリと肌に射すような痛みを感じながら
華子は眩しさに目を細めた。
また夏がすぐそこまで来ている。訪れたと思うとあっという間に過ぎ去ったいくつもの夏たちを
華子はぼんやりと思い出していた。
太郎を連れて少年と波のチェックに海岸に出た。サイズのほうはあまりなかったが腰から胸サイズの
形の良い波が割れている。少年は何かを考えているようだったがしばらくすると「入るぞ」と言い
ワーゲンバスに戻り着替えを始めた。
「いいか?あたりまえだけど、ここじゃルール違反は厳禁だからな」
海岸に出てストレッチをしていると少年が言った。
「うんわかった。人も少ないし大丈夫だよ」
「そうだな、ただピークが決まってるから無理すんなよ」
海を見渡しながら少年の説明を聞くと華子は頷いた。メインのピークが海岸の正面に一つあり
7、8人のサーファーが疎らに入っていた。うねりの角度でメインがずれるとその両サイドのミドルが
ブレイクするというサイクルを見て、少年はメインを外してサイドで入ろうと言った。
ミドルポジションで波待ちをして浜を振り返ると太郎が日陰にうずくまりこちらを見ていた。
華子はメインから外れたうねりを見つけるとピークを追いかけてテイクオフした。形のいい三角波を
アップスでインサイドまで乗り継ぐとプルアウトした。
なんて気持ちの良い波なんだろう。華子は顔がほころぶのを我慢して再びミドルのピークに戻った。
少年も小ぶりの波ながらリッピングを繰り返しスプレーを飛ばしている。華子は少年のライディングを
見てやっぱり上手いなと改めて思った。
しばらくするとセットが入らなくなり波待ちする時間が増えてきた。やはりメインを外しているので
波数は少ないのだ。華子は少年と並んで波待ちをしているとメインにいるサーファーから時折鋭い
視線で見られていることに気がついた。
「ねえ、なんか睨まれてるよ」
「そうか?目が合ったらにっこり微笑んでやれよ」
「わかった。そうする」
「馬鹿、冗談だよ。一応さっき軽く挨拶はしたんだけどな」
華子はなぜ睨まれてるかよく理解できずにいると、メインにいたサーファーがミドルまで乗り継いで
プルアウトすると華子たちの方にパドルで近づいてきた。
一瞬、少年が身構えたのがわかったが近づいてきた男がにこにこ笑っているのを見るとすぐに
緊張を解いた。
「やっぱり君かあ。ここで入ってたんだ」
華子は話しかけてきた男が今朝散歩の途中で会ったサーファーだということに気がついた。
「あ、こんにちわ。すごい偶然!」
「ほら浜にいる犬が見えてさ。もしかしたらって思ってね」
男がいうには太郎は印象に残る犬だったらしい。少年に男と会った経緯を話すと互いに挨拶を交わした。
男はシローと名乗ると地元はどちらかというとこのポイントの方が近いのだと言った。
「でも君、上手いね。アウトから見ててもわかるよ」
シローが言うと、少年はまだまだそんなことはないと謙遜した。
「駄目だよ。そんなに誉めると調子に乗るから」
「ったく。おまえが言うなよ」
「そうねえ。確かにサーフィンは上手いけど、男としてまだまだって感じ?」
「そういうおまえはサーフィンも女としてもまだまだジャマイカ?」
二人の様子を見ていたシローは、君たちはいいコンビだねと大笑いをした。
先に上がるというシローと別れ二人になるとまたしばらく波待ちが続いた。そろそろ上がるか?という
少年にあと少しだけと華子は頼んだ。最初に乗った波の気持ち良さが忘れられずどうしてももう一本
乗りたかったのだ。
そんな華子の願いが通じたのかアウトからセットが入ってくるのが見えた。メインにいるサーファーたちも
一斉に動きだした。ワイド気味のセットでピークがはっきりしなかったがサイドでもブレイクしそうな
サイズで華子も波を追いかけるとテイクオフした。
スピードに乗り一気にフェイスを走り抜けた。パワーゾーンを外した華子は、カットバックして
戻りきれずにもたついているところに「おいどけ!」という怒鳴り声を浴びせられた。
背後からの声に驚いてバランスを崩しワイプアウトすると何かが当たった衝撃を感じた。ボードが体を掠めた
ようだったが痛みはなかった。海面に上がると男のサーファーが自分のボードを引き寄せてるのが見え、
華子はようやく他のサーファーとぶつかったことに気がついた。
「テメー何やってんだ?」
「すいません」
「すいませんじゃねえよ。邪魔なんだよ。ルールも守れねえなら上がれ!」
華子は男に怒鳴られてもただ謝るしかなかった。
「なあ、あんた今わざと突っ込んだろ?」
気づくと少年がすぐ近くまで来ていた。
「なんだお前は?」
「こいつの連れだけど。確かにもたついてたこいつも悪いけど、そこに突っ込むのはやりすぎだぜ」
「もたついてる女を避けるほど暇じゃねえよ。ケガしなかっただけありがたいと思え」
「ふざけるな!」
今まで口喧嘩を何度もしてきたが少年がこれほど感情を露わにするのを初めて見た。
「なんだやるのか小僧?いいから上がれ」
喧嘩はやめてと少年に言ったが、どうせ上がろうと思っていたところだからちょうどいいじゃんと言うと
ケガはないかと華子に聞いた。
「うん、だいじょうぶ。それより喧嘩はしないで」
「心配するな。喧嘩なんてしないから」
976 :
名無SEA:2006/06/21(水) 15:53:23
あげ
華子と少年が浜に上がると男はすでに仁王立ちになり二人を睨みつけていた。
華子の不安な表情に気づいたのか、浜に上がった二人を見つけた太郎が嬉しそうに尻尾を振っていたが
少年の視線の先にいる男を見ると小さく唸り声をあげた。
少年は男に向かって歩き出したが、男との距離がなくなりそのまま素通りすると駐車場へ向かった。
「おい!待て」
怒りで歪んだ男の顔を振り返ると少年が言った。
「俺たち上がるからさ、文句あるなら駐車場来いよ」
「ざけんじゃねえぞ小僧!」
男が太郎に掴みかかろうとした瞬間、華子の視界の隅をもの凄いスピードで走り抜ける太郎が見えた。
太郎の吠える声に驚いた男の動きが止まった。太郎は男に牙を剥きだし低い声で唸り威嚇している。
少年は太郎と華子を交互に見ると、行くぞと言い再び歩き出した。華子は小走りで前を歩く少年に
追いつくと少年の手を握った。少年はにっこり笑うと心配するなといい軽く華子の手を握り返した。
華子は恐る恐る後ろを振り返ると太郎がまだ男を威嚇しておりその迫力で男は動けずにいた。
「太郎おいで」
声をかけると太郎は男を警戒しながら威嚇を解いて華子の足元に駆け寄った。
駐車場に戻りワーゲンバスにボードを積み込んでいると先程の男が華子たちを見つけ近づいてきた。
男に気づいた太郎がまた小さく唸り声を上げると、少年はストップ、ステイと太郎をなだめた。
太郎が大人しくしているのを見た男は、自分の板を差し出しながら言った。
「おい、板壊れちまったよ。どうしてくれる?」
「その程度なら自分で直せばいいだろ」
男のボードのレールに僅かなクラックが入っているのを見た少年は何事もなかったように言った。
「それにあの状況なら充分避けられたはずだ。それをしなかったあんたにも問題がある。たまたま
こいつがケガをしなかったからよかったが、"どうしてくれる?"じゃ済まないのはこっちの方だぜ」
少年は華子見ながら男に言った。華子は少年の怒りがまたぶり返しているのがわかり不安を感じて
少年と男に割って入った。
「板壊しちゃってごめんなさい。わたしまだ下手だから気がつかなくて・・・」
「なあ華子、こいつの板が壊れてるってことはおまえの板もたぶんいってるぞ」
少年は割って入った華子にもう謝る必要はないとばかりに言うと逆に男を睨みつけた。
「まったくいちいちムカツク小僧だな。まあいいや、修理代置いてけ。それでチャラにしてやる」
にやついた顔で金を要求する男を見た少年は、こいつは常習犯だと確信した。
「あんた馬鹿か?この状況で金なんか出すわけないだろ。こんなセコイ小遣い稼ぎはやめて
地道にバイトでもしたほうがいいぜ。サーファーがあんたみたいなクズばかりだと思われるのも
困りもんだからな」
男の表情が凍りつき見る見る怒りで赤くなると少年に殴りかかってきた。男の拳が少年の顔を殴打した。
殴られた少年は尻餅をついて切れた口元を手で拭いながら、男に飛びかかろうとしている太郎にステイ!と
強い口調でなだめた。
烈火のごとく吠える太郎に怯み男はそれ以上手が出せないでいる。華子は少年を庇うようにしゃがみこむと
男を見上げて睨みつけた。
「おい、何をしてる!」
華子たちの後ろから違う男の声がした。振り返ると先程別れたシローが立っていた。
シローは少年に近づくと傷の具合を見て大丈夫か?と言い、相手の男に向かい合うと事の成り行きを聞いた。
「何を揉めてるんだ?この二人は俺の知り合いだ。
この前、ビジターとの暴力沙汰は御法度だと言わなかったか?」
「先輩、俺だってこんな小僧殴りたかないですよ。ルールを守らない奴は口で言っても通じないんですよね」
シローと男は顔見知りらしいが、好意的な関係ではないと華子はすぐに感じた。
「シローさん、わたしがその人の邪魔をしてぶつかっちゃったんです」
華子はとにかくこの場を早く収めなければならないと思った。
「そうなの?それでなぜ彼が殴られているんだい?」
「あの・・・その人がボードの修理代出せって。そしたら逆に彼が怒って・・・」
シローは全て合点がいったという顔になり、ここは任せて君たちはもう行きなさいと言った。
「先輩、勝手に仕切るのカンベンしてよ。実際被害被ってるの俺なんだからさ」
男はシローの後輩らしいが、そのぞんざいな口振りにはあきらかに敵意が込められている。
気がつくと騒ぎを聞きつけたのかローカルらしいサーファーたちが集まり始めていた。
華子は集まり始めたサーファーたちの刺すような視線を受けながら、みんな男側の人間だとわかり
絶望的な気分になった。
頼みのシローと男の睨み合いが続くなか、ふいに空気が変わるのがわかった。
「うぉい、何やってんだおめーら」
「あ、サブローさん、ちわっす」
二人を取り巻いていた男たちが口々に挨拶をしている。シローもおずおずと挨拶すると、
サブローと呼ばれた男は華子から少年へと鋭い視線を巡らせた。
するとシローと睨み合っていた男の顔がぱっと明るくなり、子供が親の庇護を求めるかのように
揉め事の経緯を自分の都合のいいように嘘も織り交ぜてサブローに説明して聞かせた。
華子はその勝手な言い分を聞いて反論しようとすると、そっとシローに手を添えられ止められた。
サブローはあまり興味なさそうに話を聞きながらワーゲンバスに目を止めると車の周りを歩き始めた。
「サブローさん、そういうわけなんっすよ。サブローさんも普段から余所者はきっちり教育しろって
言ってるじゃないですか?」
「うぉい」
変な唸り声を出しワーゲンバスを一周したサブローは華子と少年の前に来ると、伏せっている太郎を
見つけ頭を撫でながらぶつぶつと小さな声で呟いた。
「久しぶりだなワン公」
驚いたことに尻尾を振っている。太郎はこの男を知っているのだろうか?
そんな疑問を抱いているとサブローは少年の顎を掴み殴られた傷痕を見つけると男を振り返り
お前がやったのかと聞いた。
「いや、その小僧が生意気でいうこと聞かなかったもんでつい・・・」
サブローに睨まれた男の語尾は消え入るように小さくなった。
「俺も暴力沙汰は起こすなと言ったはずだ。まあいい。おめーの板はハチローのショップにでも
放り込んどけ。それでいいな?」
男が不満そうにまだ何か言おうとしていたが、後ろにいた仲間らしい男がいきなりその男の頭を
殴りつけるとすいませんでした、と謝り男を連れて消えてしまった。
華子は何が起こったのかよくわからず、太郎の頭を撫でているサブローを見た。
サブローは太郎から離れると凄みのある顔で笑い少年に向かって言った。
「おい坊主、親父さん・・・イチローさんは元気かい?」
980 :
名無SEA:2006/06/22(木) 16:49:51
一郎
次郎
三郎
四郎
太郎
・
・
・
981 :
嶋田騙:2006/06/22(木) 17:10:54
かってに人のスレ使うなyo
おまえら全員殺すぞwwwwwwwwwwwwwwwww
982 :
麻:2006/06/22(木) 17:44:52
サーファーとして生きるという事...それは......
毎日オナニー三昧!これ決まり。理由....?
波がなかったら、やる事ないからシコるだけ。
>>981 なんだかんだいって良スレになってよかったじゃん。
スレ主関係なくここまで来て、感謝感激だなwww
>>981 次スレバッチリたのむよ。
新作さんなかなかじゃん。
thanks
you
「ねえ大丈夫?痛くない?」
華子は心配そうに少年の顔を覗き込んだ。少年は大したことはないと言ったが殴られた口元に
触ると顔を歪めた。
サブローやシローたちローカルも帰り駐車場には華子と少年が乗るワーゲンバスが一台停まって
いるだけだった。
昼間の灼けるような太陽は消えかけ辺りは真っ赤に染まりながら、夜の訪れを告げる藍色の
グラデーションが徐々に押し寄せていた。
昼間の揉め事で、サブローに父親のことを聞かれた少年は一瞬何を言われているのかわからず
ただ頷くことしかできなかったが、その意味を理解すると親父のことを知っているのかと尋ねた。
「このバス、まだ生きてたんだな」
サブローは少年の質問には答えず、ワーゲンバスのボディにペイントされた「ICHIRO'S FACTORY」
という消えかけたローマ字を懐かしそうに眺めた。
「これを見たときもしやと思ってな。おまけにあのワン公だ。それにお前はイチローさんによく似ている」
サブローはお前の親父には恩がある、とだけ言った。そしてまたここで乗るときは俺に連絡をよこせと。
「次は俺と一緒に波乗りをしよう」
サブローはイチローにどんな恩があるのだろうか。華子は帰ったら少年の父に聞いてみようと思ったが、
イチローもまたその理由は話してはくれないような気がした。
しだいに暮れていく海を見ながら今夜はどこに泊まるのか少年に聞いた。ここからそれほど遠くない
場所にモーターキャンプ場があり、今夜はそこでキャンプを張ると少年は言った。
オートキャンプ場に着くとまだシーズン前のためか数組のキャンパーがいるだけだった。
華子と少年はキャンプ場の簡易シャワーを浴びると夕食のメニューで喧嘩することになった。
少年がクーラーボックスからパックのライスとレトルトカレーを取り出すのを見た華子は、
キャンプ場と聞いてすっかりバーベキューでもするものだと思い込んでいたからだった。
「あのな、いいか?俺たちはサーフトリップに来てるんだ。キャンプに来たわけじゃないんだぜ」
「でもせっかくキャンプ場にいるのに。お肉食べたいお」
「っていうか肉なんて積んでないし。肉食いたいなら明日どっかのファミレスでも行けばいいだろ?」
「そうじゃなくて。キャンプ場で食べたいんだもん」
華子たちのやり取りを聞いていたのか隣りにいたグループの女が笑いを堪えながら二人に近づいてきた。
「ねえ、よかったらこっちで一緒にどう?それからそのワンちゃんも」
「えーいいんですか?」
華子は少年が何かをいう前に腕を引っぱり隣のグループに合流した。少年もすいませんと言いながら
バーベキューの輪に加わった。
食事を終えるとキャンプ場の中心にある焚き火のスペースにそれぞれのグループが集まっていた。
華子と少年もそのスペースに座り、バーベキューをご馳走になったグループの人たちと酒を飲み始めた。
「ふうん、二人でサーフィン旅行か。なんか素敵じゃない」
華子たちに声をかけた女が言った。
「ところであなた、その顔どうしたの?」
すっかり紫色の痣に変わっている少年の顔を見て女が聞くと少年はちょっとサーフィンでやっちゃって、
と誤魔化した。
時間が経つにつれ焚き火の周りには思い思いの時間が流れていた。どこかのグループの男がギターを
持ち出しレゲエの旋律を奏でている。
酔っているのか少年は気持ち良さそうにリズムを取っていたかと思うとふいに華子を抱き寄せた。
華子はどきっとして少年を見ると、少年はおかまいなしに華子の背中にまわした指でリズムを取り
続けていた。華子は少年に体を預けると横で眠っている太郎の頭をそっと撫でた。
焚き火がしだいに小さくなり、今夜の宴が終わりを告げるとそれぞれのグループが火の後片付けを始めた。
華子も片付けに参加していると、少年は太郎を連れて先に行ってると言うとワーゲンバスに引きあげた。
すべて片付けが終わるとキャンプ場はさっきまでいた場所とは思えないほど違う世界に変わった
ように思えた。
華子はしんっと暗く静まり帰ったグランドを歩きワーゲンバスに戻ると少年はすでにバスの
後部スペースで寝袋にくるまっている。太郎もキャンピングシートに寝そべり眠っていた。
開け放されたドアからバスに乗り込み、少年の横に寝袋をひいてもよほど疲れているのかまったく
起きる気配がなかった。
華子は横から少年の寝顔を覗き込むと口の横にできた紫色の痣に触れてみた。
まだ少し熱を持っているようだ。
華子はその傷跡にそっと唇を当てた。少年の熱が華子の唇にも伝わってくる。
そして顔を少し逸らすと熱を帯びた口元とは対照的にひんやりとした少年の唇に触れた。
ほんの数秒の間少年とキスを交わすと顔を離した。華子は少年を見つめ、おやすみと小さくつぶやくと
寝袋にくるまった。
目を閉じると漆黒の闇が頭の中に流れ込んできた。華子はすぐに眠りの淵へとたどり着き
やがて深くゆっくりと落ちていくのがわかった。