お薦めのロングフィン

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42もう潜っていない。No. 24
ロングフィンはどれも高いので、どうせ高くなるなら...と買ってしまったC4。
ボートダイブに持っていくとやはり周りの視線を感じる。「あ、あれC4じゃん」
なんて小声で話しているヤシもいるし。こりゃ実際気分がいい。
比較的海も穏やかで、ニューフィンのデビューにはまさに理想的な日だった。
43もう潜っていない。No. 24:02/10/04 01:40
ガツガツしているように見えないよう、落ち着いておもむろにソックスを履いて
いよいよフィンを装着。何だか周りは遠慮がちなので、自分が一番にエントリー
することに。すらっと背筋を伸ばし、タンクの重みと皆の視線を感じながら
ふぅっと体重を前に移して沈んでいく安定感抜群のジャイアントストライドエン
トリー。水面をヒットすると同時に右足に感じる心地良いブレードのたわみ。
これぞ極上のカーボンファイバー。
44もう潜っていない。No. 24:02/10/04 01:41
そのまま無駄なく沈んでいき、アゴの先端が水に触れる辺りで「パキッッ」という
感触が右足に伝わる。何が起こったか分かった気もしたが、あぁ見たくない。
認めたくない。それだけはお許しを。
45もう潜っていない。No. 24:02/10/04 01:41
水面に頭を出すと皆はまだ見ている。次の人のために場所を空けようとボートから
離れてみると、右足の方が明らかに、これはもうあからさまに軽い。ていうかスカ
スカ。が、左足はしなる。素晴らしい弾力。これがカーボンファイバーか。
46もう潜っていない。No. 24:02/10/04 01:42
何人かが俺の右足元を凝視している。俺は気付かないふりをして、そのままヘッド
ファーストダイブで水中に。この間一切自分の足元は見てないし、当然その必要も
ない。バディなしで潜るのもたまにはよかろう。ちょっとバランスも悪いし。
47もう潜っていない。No. 24:02/10/04 01:42
結局俺は一回も自分の足元(特に右足)を見る事なくダイブを終えた。水平線を見
ながら器材を自分のバッグに無理やりつめて、誰とも話さずに家に帰った。その後
一週間ほどほっぽっといたのだが、部屋が臭くなってきたのでついに意を決して異
臭を放つギアバッグを開封。その時モワっとした匂いと共に出てきた、それはきれい
にブレードが折れたC4を見て、ついに「アァ〜ァア ウゥワァァアァ」という声が出
てしまった。怒りとも悲しみとも、恥ずかしさともつかない感情が込み上げてきて
思わず激しいうつぶせオナニー、30秒もせずに逝った。ちょっと落ち着いたところ
でもう一度割れフィンをまじまじと見る。こんな脱力感を感じたのは初めてだ。
片割れの左フィンは跳ね返りが恐いから布団にくるんで四つ折にし、右足と共に処分
した。

俺はそれ以来もう潜っていない。