私的録音に関する著作権者への補償金支払いをiPodなどのデジタルオーディオ
プレーヤーにも義務づけようとする、いわゆる「iPod課金問題」に対し、アップルジャパンが
内閣官房に提出した意見書の全文が首相官邸のサイトに公開された。アップルはこの
制度には科学的根拠がないとして、即時撤廃すべきと強く主張している。
著作権法では、個人が楽曲、映像などを個人的に楽しむために私的録音・録画をする
ことに対して、著作権者に補償金を支払うよう定めている。これは私的録音・録画補償金
制度と呼ばれ、対象製品はこの保証金が含まれた価格で販売されている。現在対象と
なっているのは、デジタルオーディオテープレコーダー(DAT)、デジタルコンパクトカセット
(DCC)、ミニディスク(MD)、オーディオ用CD-R、・オーディオ用CD-RWの5つだ。
しかし近年、iPodなどのデジタルオーディオプレーヤーが普及してきていることから、
こういった製品も私的録音・録画補償金制度の対象にすべきという議論が著作権者団体
を中心に巻き起こった。現在では、文化審議会著作権分科会の私的録音録画小委員会
で議論がなされている。もしデジタルオーディオプレーヤーが対象になると、保証金の分
だけ製品が値上がりする可能性があり、消費者やデジタルオーディオプレーヤーの
メーカーが反対している。
アップルの5つの根拠とは… この問題に対し、アップルは「科学的かつ客観的証拠に
基づかない理由による私的録音録画補償金制度は即時撤廃すべきである」と強く主張する。
その根拠は5つ。まず、1つの家庭で同じCDなどの著作物を2枚、3枚と買う可能性は
極めて低い。これはそもそも音楽レーベルも理解していることで、そこには「黙示の承認が
ある」という。承認しているのであれば、CDの販売料金に加えてさらに料金を徴収するのは
二重課金にあたるというのだ。米国では著作物は販売した時点で「売り切り」のものである
という考え方が定着しているという。
http://japan.cnet.com/apple/story/0,2000076557,20350151,00.htm