どういう形であれ「右翼」の看板を掲げることが困難になりつつあるいま、彼らの転身先としての「トレンド」と目されている
代表格が「ネットのアジテーター」だ。
■「尖閣」「竹島」で1400人を摘発
昨年、日本国内では領土問題が大きなテーマとなり、特に竹島、尖閣列島をめぐり、韓国、中国に対するさまざまな抗議活動
が繰り広げられた。
また、原発再稼働に反対するデモ活動も盛り上がりを見せ、一時は毎週数千人が官邸を取り囲むというムーブメントに発展した。
警察庁のまとめによれば、昨年こうしたデモや街宣で摘発された右翼団体構成員は全国で約1400人。なかでも目立ったのは
ネットを利用し一般市民からなる、いわゆる「ネット右翼」を扇動。企業や放送局をターゲットに、デモを仕掛けていたケースだ。
少数の「本職右翼」が、領土と愛国という「大義名分」をフル活用し、大衆を扇動するという新たなスタイルに、警察庁は強い
警戒心を隠そうとしない。
「韓国人や中国人を叩き、あるいは政治や電力会社をターゲットにすることで社会のなかで不満を募らせる人々を組織化する。
しかしそこに本来の思想信条はなく、あくまでも目標はシノギ。企業を脅すのではなく、活動そのものに共感する善意の寄付金が
彼らの資金源になっている。それでも大っぴらな取締りは難しい」(捜査関係者)
時代とともに素早くその姿を変えるしたたかな右翼団体――彼らの生命力を決して侮ることはできない。
http://tkj.jp/takarajima/201305/ http://tkj.jp/magazine/data/takarajima/201305/img/cover_011_201305_ll.jpg