韓国から日本にパチンコを打ちにくる人たちがいる。ギャンブル依存症が社会問題化し、7年前に禁止されたためだ。
客離れが進む日本の業界は、外国人客の取り込みに力を入れる。依存症の根は深い。
福岡市のJR博多駅近くの大型パチンコ店。大音量に包まれる満席の店内で、韓国語が聞こえてきた。
自営業のチョ・ソンクンさん(37)とその妻(36)。スロットコーナーで、人気の台が空くのを待っているという。
日本のパチンコ店を紹介する韓国のインターネットサイトを調べ、3泊4日で来日した。「買い物や食事もするけど、パチンコが一番の目的」と言う。パチンコ歴は10年ほど。
禁じられる以前は、毎週通った時期もある。日本まで打ちに来たのは半月前に続いて2度目だ。
1日目は6時間、夫婦で10万円の負け。この日は2日目。4時間で1万円を失った。「日本は液晶が華やか。明日もやりますよ」と夫婦は笑った。
店の前で2時間ほど出入りする客に声をかけると、10組以上が韓国人だった。
福岡県を訪れる韓国からの観光客は年間30万〜50万人。旅行会社によると、航空券とホテルだけの予約で来日し、大半をパチンコ店で過ごす客も多いという。
韓国で「成人娯楽室」と呼ばれるパチンコ店が禁じられたのは2006年。最盛期には1万5千店に上ったが、
1時間に300万〜400万ウォン(約25万〜約34万円)勝てる機種の登場後、依存症が社会問題化した。
1億ウォン(約860万円)の借金をつくった30代の男性が自殺。150万ウォン(約13万円)を失った男が店に放火。
親のクレジットカードで数千万ウォンを使い込んだ大学生もいた。政治家と業界の癒着も問題になった。
■業界、外国人に期待
「パチンコを観光資源に」「外国人観光客に『日本文化』アピール」。日本の業界紙には、こんな見出しが躍る。
都内の広告会社は2年前、掲載料を得てパチンコ店を紹介する外国人向けのホームページを立ち上げた。現在300店が登録。14年には1千店を目指す。
海外からのアクセスは中国、韓国の順で、両国で全体の7割。社長は「業界の底上げのため、本気で外国人観光客に目を向ける時期が来ている」と言う
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201303020446.html (3/3 朝刊39P)