このところ尖閣問題や竹島問題をめぐって対外強硬論が、世間に受ける風潮があるように感じ、危惧しています。
昔から「愛国心はならず者の最後の逃げ場」と言うし、中国の反日暴動への「愛国無罪」という評価を見ても、その通りかも
しれないと改めて思います。
健全な愛国心と排他的で偏狭なナショナリズムは異なり、似て非なるものなので、決して混同してはいけません。
自国を愛することと、他国を誹謗中傷することは、異なることで、セットにすべきではありません。
今ここで中国や韓国に対して強い態度に出ることは、もしかすると選挙対策として良いかもしれませんが、長期的には
日本の国益を損なうことになります。
また、反中と反米のセットが、最近の流行のようですが、理解に苦しみます。世界の孤児になりたいのでしょうか。
中国と対立することになってしまうのであれば、ことさら米国との関係は強化すべきです。中略
最近の雑誌(「新潮45」2012年11月号)では、中曽根元総理はこんなことをおっしゃっています。
太平洋戦争を経験した世代として、戦争を知らない世代に伝えておかねばならぬことがある。
それは、二十世紀前半の我が国の帝国主義的膨張や侵略によって被害を受けたアジアの国々の怨恨は、容易には
消え去らないであろうということだ。
日本独特の「水に流す」は日本以外では通用しない。韓国や中国における現在の反日教育、ナショナリズムを高揚する
教育をみれば、心のわだかまりが溶解するには長い時間と期間を要すると考えなければならない。
こうした考えに立って、我々の歴史の過失と悲劇に対して、率直な反省を胸に刻みつつ、この失敗を乗り越えるための
外交を粘り強く進めて行く必要があることを我々は今一度、銘記しなければならない。
そうした意味で、日本の歩むべき道は、失敗に対する深い思慮とともに、アジアと国際社会の一員として、平和を守り、
互いの利益と協力を尊重しながら国際社会に貢献して行くことである。
戦争を知らない世代は、中曽根元総理の言葉を噛みしめ、威勢がいいだけの非現実的で偏狭な意見には組せず、冷静で
現実的な外交・安保政策を粛々と進めるべきです。
http://blogos.com/article/50752/