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もう「先週号」となりましたので
皇后陛下から眞子様へのお手紙
(以下適宜改行:原文のふりがななし)
眞子ちゃんへ
眞子ちゃんは、ばあばがお蚕さんの仕事をする時、
よくいっしょに紅葉山のご養蚕所にいきましたね。
今はばあばが養蚕のお仕事をしていますが、
このお仕事は、眞子ちゃんのおじじ様のひいおばば様の
昭憲皇太后様、おばば様の貞明皇后様、そしてお母様で
いらっしゃる香淳皇后様と、明治、大正、昭和という三つの
時代をとおってばあばにつたえられたお仕事です。
眞子ちゃんは紅葉山で見たいろいろの道具を覚えているかしら。
蚕棚の中の竹であんだ平たい飼育かごをひとつずつ取り出して、
その中にいるたくさんの蚕に桑の葉をやりましたね。蚕が大きくなって、
桑をたくさん食べるようになって桑をたくさん食べるようになってからは、
二かいにあるもっと深い、大きな木の枠のようなものの中に移して、
こんどは葉のいっぱいついた太い桑のえだを、そのまま蚕の上において
やしないましたね。しばらくすると、見えない下のほうから蚕が葉を食べる
よい音が聞こえてきたのをおぼえているでしょう。耳をすませないと聞こえないくらいの
小さい音ですが、ばあばは蚕が桑の葉を食べる音がとてもすきです。