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「金利(金融)緩和」しながら「量的金融」を引締め景気回復させない日銀
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森永卓郎著「誰がウソをついているのか」(P.170-)
■苦肉の策だった量的金融緩和
...量的金融緩和政策は、金利でなく、<日銀当座預金> という資金量を
金融調節の操作目標とする。これは、銀行などの金融機関が日銀に持っている
<当座預金> の口座に、日銀が資金を大量に提供するというものだ。...
日銀が豊富な資金を供給することはゼロ金利政策と同じだから、当初の効果は同じになる。
ところが、どれだけ市場に資金を供給するかについては、二つの政策は全く違うのだ。
■国民を騙し続けていた巧妙な仕掛け
デフレ期に短期金利をゼロにするのは容易で、日銀が <当座預金 >に
六兆円を超える資金を供給すれば、短期金利はすぐゼロになる。
...<日銀当座預金> に供給する資金を、景気の悪化に伴って、
ゼロ金利が実現する水準を超えて、どんどん大きくしていくのが量的金融緩和だ。
...
実は日銀が自由にコントロールできる資金量は、『マネタリーベース』と呼ばれる。
【現金プラス <日銀当座預金> の合計】だ。これが【一番基礎的なマネーの量】
になるのだから、日銀は当然この『マネタリーベース』をコントロールしなければならない。
ところが、日銀は『マネタリーベース』の中で2〜3割にすぎない <日銀当座預金>
に目標を設定し、それを本来よりも五,六倍に増やすことによって、
ジャブジャブに資金を供給しているというイメージを国民に植えつけたのだ。
しかし、現金の方をほとんど増やしていなかった
...
2006年3月9日に量的金融緩和政策が解除されたのを受けて、
日銀は <当座預金>量 を急速に絞り込んでいった
...問題なのは、その過程で現金の供給を増やさなかった事だ。『マネタリーベース』
を維持しようと思えば、<日銀当座預金> の減少ぶんを補う分だけ現金を増やさな
ければならない。ところがそれをしないまま急激に <当座預金> を絞ったから、
『マネタリーベース』の伸びは 2月の1.9%から,3月▲1.0%,4月▲7.2%,5月▲15.3%,
6月▲16.2%,7月▲17.8%と、過去に経験のない急激な金融引締めと...