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可愛い奥様:
ここで、なぜ人は「共同体」を必要とするかについて語りたい。
マイケル・サンデルによれば、自我は完全に独立した主体によって形成されるものではなく、
アイデンティティの構成要素となっている構成的共同体が共有する「善」の観念に依存している。
構成的共同体が重要なのはそれが愛着を提供するからである。
愛着は選びうるものではなく、発見されるものであり、他者の善に対する接近を可能にし、
それを通じて自己の善き生き方を再構成する契機を得ることによって、自我を基礎づけ、
同時に、自己の道徳的判断が恣意に陥らないことを保証してくれる。
私にとって、この共同体は、日本国の法律家共同体であり、彼らの情報にのみ情報を
依存していることから、彼らの提示する「善」への愛着の発見が行われ、ひたすら
国家統治の研究を行ったのだ。
皇室のメンバーを分析するうえで「どのような共同体の善に愛着をもっているか」
という分析はまさに最重要テーマであり、その共同体が彼らの道徳的判断の客観性
を基礎づけるものでなければならない。
私はたまたま東大法学部をその「保証」としているわけだ。
それが皇室コミュニティーにどこまで通じるかという問題になるが、
日本の統治機構で東大が占める力は絶大なものがあり、もはや天皇の判断では動かない確かさがある。