被爆「旧広島陸軍被服支廠」、県が解体方針
広島市南区に残る最大級の被爆建物「旧広島陸軍被服支廠(ししょう)」を管理する
広島県が「財政的に保存は困難」として、解体する方針を固めた。
爆風でゆがんだ窓の鉄扉が残るなど、原爆の惨禍を伝える数少ない建物の一つ。
修学旅行生らの平和学習の場にも使われ、被爆者らからは惜しむ声が上がっている。
被服支廠は戦前、軍服や軍靴などを生産・貯蔵した施設。現存する建物は
倉庫だった4棟で、1913年築の鉄筋コンクリート・レンガ壁の3階建て。
原爆投下直後から救護所となって、多くの負傷者が収容された。
戦後は高校の校舎などに利用され、95年から県が管理。レンガ壁を残して博物館に
する構想もあったが、財政難で頓挫した。その後、壁の補強が必要とわかり、
立ち入り禁止に。維持には年40万〜400万円かかり、改修には1棟で約30億円が
必要という。県は解体時期や一部の保存などについて検討する。
64年前、勤労動員された被服支廠で被爆した広島県呉市の中西巌さん(79)は
「爆風から守ってくれた命の恩人。修学旅行生を案内して体験を語ってきた。建物も重要な
『被爆の証言者』で、1棟だけでも保存できないだろうか」と話す。
(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20090711-OYT9I00018.htm http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20090711-OYT9I00155.htm