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ヨーロッパでは中世から、都市が自治権を持ち、国家の枠組から独立している地域も数多くありました。
自分たちの町は自分たちで守り、後世に伝えていく。そんな強い意志が町のデザインへのこだわりに繋がり残されてきたのです。
▽優れた景観を作るには
一方、日本はどうでしょうか。日本の場合、例えば家一軒を見ても、和風建築や輸入住宅など、色とりどりの家屋が乱立して
います。住まいに個性や好みを反映させることは悪いことではありませんが、ヨーロッパの人々は住まいの外観で自分を表現する
のではなく、伝統的なスタイルの街並みをできるだけ保持してきました。それが現在では素晴らしい観光資源となり、街の価値と
なっているわけです。先頃、日本でもようやく景観に関する法律ができました。しかし、法律の規制によってではなく、21世紀の
日本の景観や地域の街並みを美しくするための感性を国民の意識や生活の文化として養っていきたいものです。ヨーロッパのような
歴史のある町を作るのは時間がかかります。しかし、今を生きる私たちが一つひとつ創っていけば、100年後には形あるものになる
はずです。自分が育った故郷を自分の手で創っていく、そういう気持ちを持ちましょう。