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可愛い奥様:
日本経済新聞 2009.8.22 私の履歴書 芦田 淳 「高島屋離れ銀座に出店」
私は皇太子妃、美智子さまの衣装デザイナーとして仕事をしている間も、高島屋から給料をもらっている状態だった。
(略)独立までの経緯
さて、銀座に直営店を出したころの年商は20億円弱。今が120億円だから6倍に拡大したことになる。
「皇室デザイナー」としての実績が協力な後押しになったし、美智子さまの母上にあたる正田富美子さんからも、
特別な力添えをいただいたことが支えになったのは間違いない。
「世界に大きく羽ばたいてくださいね」。皇室デザイナーをやめた76年、美智子さまはこうおっしゃった。そして
正田夫人からは「10年間、妃殿下がお世話になりました。これからは私が全面的に応援します」と激励された。
お二人から温かい支援をいただけた私は、本当に幸せ者である。
駐日大使夫妻を招いて作品を披露する現在の私のショーの形式は、実は正田夫人のアイデアである。最初の
ショーのメーンゲストに正田夫人とホジソン駐日大使夫人になっていただき、18カ国の大使夫妻を招待した。
大使館には花文字と呼ばれる書体の招待状を送らないといけないなど外交マナーの基本もすべて正田夫人から教わった。
こうして「皇室デザイナー」をやめた私は、日本の社交界にも人脈とビジネスの根をなんとか下ろすことができた。
我が社の基盤はまさにこの時期に固まったのだ。(了)