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可愛い奥様:
△慢性ヒソ中毒
経気道曝露が長期に及ぶと、慢性気管支炎が起こり、また急性中毒にみられる皮膚炎とは
違った部位に皮膚症状が現れます。すなわち、足の裏、手のひらを中心に角化症が認め
られるようになり、顔面、四肢、体幹部のとくに衣類などでの摩擦部位を中心に角化、
色素異常(黒皮症と白斑)が認められ、このあとの経過で角化いぼ、ボーエン病、
皮膚がんになります。
呼吸器症状および皮膚症状が現れる前後から疲労、倦怠感(けんたいかん)、めまいなどの
全身症状を訴え、高度のものでは神経痛に似た疼痛やしびれ感など、末梢神経炎の症状も
加わってきます。また砒素化合物、とくに三酸化砒素の高濃度曝露では、鼻中隔穿孔を
起こします。金属精錬作業者には肺がんの増加が認められています。
経口的曝露による慢性砒素中毒症では、台湾における砒素を含む井戸水の常用により
起こった烏脚病(うきゃくびょう)(下肢の壊疽(えそ)および皮膚がん)が報告されています。
この場合、経気道曝露と違い、疲労、倦怠感、めまい、体重の減少などの全身症状が
最初にみられ、同時に皮膚の角化症、顔面、四肢、体幹部の色素異常が認められます。
▽慢性ヒソ中毒