【不法入国】カルデロンのり子一家8【アーアーアー】

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268名無しさん@自治スレにてローカルルール議論中

まぁとにかくご一読を。どのように感じるかはともかく、東京新聞やTBSよりも奥深〜い記事内容になっていますので…。

原文はこちらから。誤訳があったらご指摘ください。

http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/fl20090210zg.html

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2009年2月10日付け ジャパン・タイムズ THE ZEIT GIST

法律上「不安定な状態(Legal Limbo)」におかれた少女の生活
入管の審理が日本で生まれた13歳のフィリピン人少女の運命を決する
デイビッド・マクニール記者
269名無しさん@自治スレにてローカルルール議論中:2009/02/11(水) 11:53:24 ID:Kh43X9eR0
(その1)
何年もの間、アラン・カルデロン及びサラ・カルデロンは、自分たちの娘であるのりこに対して彼女が外国人であることをいつ告げるべきか、思い悩んでいた。
黒っぽい髪、オリーブ色の皮膚。彼女は蕨市内の学校に毎日一緒に通う友人たちと見分けられるような際立った点はなく、埼玉県近郊都市に住む普通の人である。
しかし、本人は知らなかったことであるが、のりこの両親はフィリピン人不法滞在者であった。
2006年7月に彼女の母親が不法残留の容疑で逮捕されたことで、当時11歳の彼女は、最悪の方法によって家族の秘密を知ることになった。
ショックによる沈黙の中、両親から、彼女としてはこれまで一度も訪問したことがないフィリピンという国に家族が送り返されることになることを聞かされた。
「私はそこでの生活について何も知らない…」のりこは唯一話すことができる日本語でこう語る。
今日、家族が日本に引き続き滞在するため(裁判で)争うこととなり、アランはそれまでの間すべてを洗いざらい告白してこなかったことを後悔する。
「私たちはいずれ彼女に話すつもりであったが、彼女があまりにも幼かったので、状況を正しく理解しないだろうと思いこんでいた。
絶好のタイミングを見いだすことができなかった。」
270名無しさん@自治スレにてローカルルール議論中:2009/02/11(水) 11:53:33 ID:Kh43X9eR0
(その2)
サラは1992年に短期滞在の査証で日本に上陸した。そして彼女の将来の夫はその1年後に彼女に合流した。
バブル絶頂期あるいはその後に来日した何千もの外国人と同様、日本が彼らの不法滞在を見て見ぬ振りしていると思えるようになった。
「私が最初に日本に来たとき、生活することはそれほど難しくなかった」と建設労働者であるアランが述べる。
「他の同僚たちも誰もビザについて尋ねることはなかった。」
けれども5年ほど前から状況が変化し始めたと彼は言う。
2003年に出された、東京都、法務省、東京入国管理局及び警視庁による共同声明では、不法滞在者が「増大している問題」を警告した。
「多くの不法滞在者が不法就労活動に従事している、さらに、その中で少なくない者たちが金銭を容易に得るために犯罪に従事している」と述べた。
「国の安全にとって、不法滞在者問題は喫緊の課題である。」
「共同宣言」という名の声明は、25万人と推定される不法残留者に対処するため、国を挙げて摘発を進めること表明した。
271名無しさん@自治スレにてローカルルール議論中:2009/02/11(水) 11:53:42 ID:Kh43X9eR0
(その3)
この頃からカルデロン一家にとって生活が急激に厳しくなったとして、摘発が不公平であったと考える渡辺彰悟弁護士は次のように述べる。
「1990年代においては、ある程度、当局は(不法滞在事案に)目をつぶっていた。
日本では、自国民が嫌がっていたきつくて汚い仕事をする外国人たちを必要としていた。
数多くの外国人の家族と同じく、彼らは何年もの間平和にそして生産性をもって今まで日本に住んでいた。
彼らは政策の変更によって被害者に陥ってしまった。私としてはそれを受け入れることが難しい。」
声明の衝撃は瞬時であった。雇用主はいっそう慎重かつ綿密にビザを確認するように指導され、警察官の数は激しい外国人居住地域の周辺で増強された、そして何千という不法残留者が成田空港に連行された。
サラ・カルデロンは蕨駅近くで警察の職務質問を受けて逮捕された。
彼女の逮捕によって、法律上不安定な状態のまま立ち往生している2年の法廷闘争が始まった。
272名無しさん@自治スレにてローカルルール議論中:2009/02/11(水) 11:53:53 ID:Kh43X9eR0
(その4)
ただ法務省から暫定的な許可により日本で滞在することを許されて、家族は不可能な選択に直面する。一緒にフィリピンに戻るか、のりこだけを日本に残しておくか…。
「両親は滞在資格を与えられそうもない。しかし、彼らの娘については若干の同情がある」と、匿名を条件に法務省関係者が述べた。
2月13日の次回の審理においては、家族の運命についての判断が下されるものと見込まれている。
この事案は、日本で生まれた2人の子供たちと一緒に日本に滞在する権利を求めて何年も争ったミャンマー人亡命者キン・マウン・ラと彼のフィリピン人妻Maria Hope Jamiliの窮状と若干の類似性を有する。
家族はやがて勝訴した、と彼らの弁護にあたった渡辺弁護士が述べる。
「彼らはそれぞれ異なる国の出身者であったため、強制退去によって結果的に家族が別れ別れになってしまうということが(有利な判決を受ける)決め手になった。
273名無しさん@自治スレにてローカルルール議論中:2009/02/11(水) 11:54:01 ID:Kh43X9eR0
(その5)
今回の場合、カルデロン一家は両親の出身国籍はいずれもフィリピンである。
しかしながら、のりこをこのまま帰国させることで彼女に多大なる心理的損傷を与える可能性がある。
何よりもまず、彼女は小学校から入学し直さなければならない。」
カルデロン一家に対し世論の同情を得ることはこれまでよりも難しかったと彼は述べる。
昨年12月に、フジテレビは、家族に衝撃を与えたとして1か月間にわたる取材ボイコットに至った、敵対的な報道を主導した。
「彼らがした質問の1つが、私がのりことまだ一緒にお風呂に入っているかどうかということだった」、とアランが思い出す。
「それが一体なんの関係があるというのか?」
274名無しさん@自治スレにてローカルルール議論中:2009/02/11(水) 11:54:09 ID:Kh43X9eR0
(その6)
多くのブログにおける論評も同じく否定的な内容であった。
「私達は不法に入国した外国人が日本に滞在することを許すことはできない」と、無料の匿名掲示板「2ちゃんねる」である一人の批評家が書き込んだ。
「もし我々がこの一家の滞在を認めたら、さらに多くの不法滞在者が日本で子供を産み、そして国籍を求めるようになるであろう。」
渡辺はそのようなコメントを「冗談」と呼ぶ。
「そんなことをいう人たちは、日本のような国に来て、当局の目から逃れて何年もの間日本に住み続けることがどれだけ難しいのか分かっているのだろうか?
彼らは不法な状態のままで子供を育てることがどのようなものであるか知っているのか?」
彼は、不法滞在者の家族の間に生まれ育った子供たちの事案として、日本国内に100〜200の類似事例があると推測している。
アムネスティ(恩赦措置)は望むべくも無く、これから数年間にわたって一層多くの法廷闘争が起きそうである。
子供たちの大半は、のりこのように、日本語しか話せず、そして一度も彼らが送還されることになる「母国」に行ったことがない。
275名無しさん@自治スレにてローカルルール議論中:2009/02/11(水) 11:54:18 ID:Kh43X9eR0
(その7)
日本は、外国人受け入れ政策を厳格な方向に転換したただ一つの国というわけではない。
1990年代初期から東ヨーロッパとアフリカの一部から相当数に及ぶ移民流入を経験したアイルランドは、2004年に外国の両親から生まれた乳児に対して自動的に国籍を付与する措置を終わらせた。
同国では、それ以来、いくつかの外国の家族を強制退去しようとした。
英国内務省によれば、2007年に60,000以上の不法滞在者、すなわち8分ごとに1人を強制退去した。
また、英国では、ケニアから逃げた母親から出生した英国生まれの子供たちを退去強制しようとした。
この母親は政治的保護を拒否された。
276名無しさん@自治スレにてローカルルール議論中:2009/02/11(水) 11:54:25 ID:Kh43X9eR0
(その8)
観測筋によると、日本を異常にさせているのが、外国人労働者の受入れに関する矛盾したアプローチであるという。
その一方で、世界第二位の経済大国の政府がそれまでずっと避けてきた「大量移民政策」に向かっての変化の兆しがあった。
昨年に、与党自由民主党の中川秀直・前幹事長によって主導された80名の議員連盟は、ある一つの論点に関する最も明確な提言において、
2050年までに外国人居住者の数を日本の総人口の10パーセントにまで増やすことを許容することを提案した。
「日本を人口危機から救うために有効な治療法がない」と述べた。
「日本が生き残るために、それは世界に国でその扉を国際社会に向けて開放し、外国人を受け入れ日本を活性化させることにより、「移民国家」の創設に移行しなくてはならない。」
277名無しさん@自治スレにてローカルルール議論中:2009/02/11(水) 11:54:34 ID:Kh43X9eR0
(その9)
しかしながら渡辺は、このような最近注目を浴び始めた(外国人移民受入れに関する)開放方針と、外国人労働者が現に受けている処遇との間に著しい対照形をなしていると言う。
「私は中川氏と自民党に尋ねたい:
日本が何年もの間日本に住んでいたカルデロン一家のような家族を受け入れることができないなら、我々はどうしてさらに多くの外国人を受け入れることができるだろうか?」
278名無しさん@自治スレにてローカルルール議論中:2009/02/11(水) 11:54:42 ID:Kh43X9eR0
(その10)
政府による明確なガイドラインがないため、裁判所は、子供の権利条約の存在や退去強制がのりこのような子供たちに与える影響を無視して、堅苦しく法を解釈しようとしている、と彼は述べる。
大学に通うことができるよう家族とともに(…記事のママ…)日本に留まることを許されたイランの女性のケースを引き合いに出されるが、特別な優遇措置を求めるような判例はまれである。
13歳となったのりこは、フィリピンでの生活を想像することができないと言う。
外国人のような名前であるにもかかわらず、テレビで流されたニュースを見るまで埼玉県内の友人たちは彼女の背景事情を知ることはなかった、と彼女が思い出す。
「私は不安であったが、彼らは「なぜあなたは、もっと早く私たちに言わなかったの。もっとあなたを助けられたであろうに」と言った。
「そうした支援によって、私は勇気付けられている。」