http://diamond.jp/series/noguchi/10039/ 野口悠紀雄(早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)
【第39回】 2008年09月01日 ウェブ隆盛時代に新聞の株式欄が生き残っている本当の理由
> 「電子時代に紙メディアは生き残れるか?」という問いに対する答えは、すでに出ているというべきだろう。つまり、現在もなお紙の新聞が
>残っている理由は、「かつて新聞を読んでいた世代がまだ生きているから」だ。
>本稿の最初に、「約13年たったが、……新聞は依然として存在している」と書いた。普通なら、こうした場合には、「依然として健在だ」と
>書くものである。私も一度はそう書いたのだが、その表現はいかにもおかしいと思って書き直した。「健在」ではなく「存在しているだけ」と
>いうのが正確な表現だろう。
>これだけの大変化が生じれば、その産業にいる人々は誰も浮き足立つ。普通の企業なら、社をあげての大騒ぎになる。大学でさえ、仮に
>学部間の入学希望者でこのような差が生じたら、重い腰をあげて対応するだろう。
>ところが、誠に不思議なことに、「ジャーナリスト」と呼ばれる人には、一向にその気配がうかがわれない。とくに、大新聞に籍をおく
>「新聞人」がそうだ。テレビの報道関係にいる人たちも同じである。
>私がとくに驚くのは、巨大マスメディアの内部にいる人たちには、上で述べたような危機意識がほとんどないことだ。インターネットのウェブに
>関しては、ほとんど無関心である。彼らにこのテーマについての意見を求めると、「インターネットの情報は信頼できないものばかりだから」
>という感想しか戻ってこない。
>しかし、インターネットで得られる情報の質は、その後大きく変わったのである。現在の状況は、「玉石混淆」だ。つまり、依然としてジャンク
>情報が多いのは事実だが、「玉」も得られるようになったのだ。そして、それらの多くは新聞を超える。