857 :
可愛い奥様:
トメより電話入る。外は大雨。
「今、駅の駐輪場にいるんだけど、自転車の鍵失くしちゃって帰れない。自転車を自転車屋さんまで運んでちょうだい」だと。
最近、ちょっとボケてんのかやたらに鍵を失くす。合鍵も既になし。
我が家はトメ家とは少し離れた場所にある。トメ家の最寄駅はちょっと遠い。
雨の中、私はレインコート着込んでチャリで片道30分近くかけて駅へ。
そっから一番近くの自転車屋まで、傘もささずに自転車を持ち上げて運んだ。
レインコートなんて意味ないくらいの雨で、あっという間に私はずぶぬれ。
その横を傘をさしたトメが涼しい顔で歩いていた。
自転車屋に着くと「このことはみんなに内緒にしてね。じゃあね」だと。
ろくに礼も言わず、いたわりの言葉もなく自転車屋の店内に消えていった。
ボケてると思われたくなくて、自分の失敗を知られるのを極端に嫌う。
私が雨の中やらされたことを主人は知らない。