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諸君7月号:
宮中祭祀
・陛下の一年は祭祀で始まる。
宮中祭祀は年間30回以上。
最も重いものが新嘗祭。午後六時から八時までの「夕の儀」と十一時から翌日午前一時までの
「暁の儀」の二回があり、基本的には同じ内容を繰り返す。
陛下が神嘉殿でお祭りをされ、御告文を読み、その後、皇太子殿下の拝礼、皇族以下総理大臣
宮内庁関係者が順に拝礼する。
その間、侍従長と東宮侍従長は、外廊下で二時間、製剤して待っている。
儀式が終わると掌典長が先導、剣を持った侍従、陛下、璽を持った侍従が続くが、私(渡邉前侍
従長)は平伏したままこの列を見送り、スッと立ち上がって後に続く。その時は、それこそ必死の
思いで立ち上がる。
陛下もこの儀式の間はずっと正座なのだが「自分は、二時間の間、お供えをしたり、御告文を読
んだりして多少の動きがあるからまだいい。侍従長はただじっと座っていなければならないから
大変だろうね」とねぎらいの言葉を掛けてもらったこともある。
私は夏を過ぎた頃から、正座に足を慣らすようにしているが、陛下も同じで「テレビを見ながら座
るといい。何々の番組はちょうど四十五分だから、そのぐらいから始めるのが適当」と助言を下さ
ったことも。
--以下補足
最も重要な祭祀である新嘗祭に皇后陛下は参加できない。
これに関して、この後の対談で佐野眞一氏が
「(この祭祀の間)美智子様は全国から五穀豊穣への感謝の意味で寄進された米や酒の銘柄を、
すべて短冊に書き写すのだそうです。常に天皇と共に祈る、という姿勢なのです。」と述べている。