8 :
可愛い奥様:
「天国からのラブレター」102ページより
弥生は就職するまで、コンビニでバイトをしてました。そしてその
頃の弥生は、とにかく、よくモテたようでした。なんと常に4〜5
人の男性に交際を申し込まれていたそうです。私は少し心配でした
が、心から弥生を信用していたし、それに自分の恋人がモテるのも
悪い気はしませんでしたから、その件では特に何も言いませんでし
た。しかし弥生はそんな私が不満だったようで、「全然ヤキモチ焼
いてくれないのは、私を愛していないからでしょう?」なんて、カラ
んでくるのでした。オンナって、ホント難しい生き物ですよね。
9 :
可愛い奥様:2007/06/01(金) 19:02:39 ID:RPQNIxL20
「天国からのラブレター」141〜142ページより
前に他の男性からデートを申し込まれた話を書いていましたが、本
気で心配させられたことがありました。ある夜、弥生がバイトを終
える時間を計って家に電話を入れたのですが、出ませんでした。翌
日、どうしたのかと思って再度、電話を入れたら、「交際してくれ
っていう男の人が、車で家に送ってくれるって言うから送ってもら
ったの。そのついでにドライブに付き合わされたので、帰宅が遅く
なってしまったの。ごめんね」
と、気軽に言うのです。さすがの私も本気で怒った記憶があります。
「俺の気持ちを知りながら、知らない男の車に乗るとはどういうこ
となんだ!」という筋の通った怒りでした。が、しつこく怒ってい
るうちに、今度は弥生のほうが逆ギレしてしまいました。で、「そ
んなに言うなら自分で迎えに来い。だいいち、洋の存在が薄いから、
私がいろんな男の人に声を掛けられるんじゃないのよ!」と言うの
ですからね。呆れて物が言えませんでした。が、結局はこの喧嘩も
私が負けて、いつもの降伏の印でもある「ア・イ・シ・テ・ル」サ
インを送ったのは私のほうでした。
10 :
可愛い奥様:2007/06/01(金) 19:03:34 ID:RPQNIxL20
「天国からのラブレター」69〜70ページより
弥生の手紙16 平成7年3月26日
<封筒の表にあったメッセージ>
洋へ テレカと手紙が入っているぞ。いいか洋、弥生サマ
からのありがたいプレゼントだ。大切にしないとバチが当たるゼ!
<以下は手紙の内容>
Dear 洋
洋がこれを読むのはいつごろのコトなんだろう??
これからたった1週間と少しの間、会えないっていうだけなのに、
とっても淋しく思う。やっぱりそれは、洋のこと大好きってコト
かな???洋は旅行中私のコトなんて忘れちゃう??1日に1度
は必ず私の写真を見て、私のコトを思うコト!!
お願い、できるだけTelして。だから私は洋から旅行のこと聞
かされたとき、テレカ渡そ、ってすぐ思った。我ながらナイスで
プリティーな作戦だって思った。意外とかわいい奴だったんだね、
私も。
ところで私は、洋と会えない間ぐらいは、ダイエット、してみよ
うと思う。まず、次の2つを実行してみることにする。
@ジュース類及び菓子類はいっさい口にしない。
A1日1万歩以上は歩くー。
Aはけっこうイケると思うが、問題は@。でも洋に今度会うまで
に頑張る!そして、もし痩せていたら、「そごう」の1Fの
「アフタヌーン・ティールーム」で、一緒にケーキ食べてくれ
る?
なんだか、いろいろ考えていたら、何を書いていいのかわかんな
くなっちゃった。
11 :
可愛い奥様:2007/06/01(金) 19:04:25 ID:RPQNIxL20
前に、洋が「成績が1番やった」って言った日、よかったーって
思う半面、洋が遠くに行っちゃうって思いがあった。洋とはずっ
とずっと一緒にいたい。でも、キョリが離れても大丈夫な
のだろうか???って思う。もし、お互いに忙しくって、会えな
くて、電話もできなくて……、そんな時、側にいる側の誰かにやさし
くされたら……どうなるんだろう?
昔からホントに淋しくてしょうがない子だから、私にとってキョ
リは切実な問題。卒業後は必ず遠距離恋愛なんだね。今からしば
らくは、その遠恋の練習の第1回目なのかな???(思わず暗いコ
ト書いてしまった)帰ってきたら私のところにすぐ来てね。そして、
息も出来なくなるくらい強く抱きしめてね。それからキスもして
ね。
今度、洋に会ったら泣いちゃうかも……そしたら、そしたら、
優しく頭撫でてね。お願い。帰ってきたら、いっぱい、いっぱ
い、ツーリングの話してね。ずっと大好きよ、洋。だから私、ず
っとずっと洋から好かれる女の子でいられるように努力するから
ね。だからずっとずっと、洋も私のコト好きでいてね
この手紙は洋が読んでも、しばらく会えないからすごくダイタン
かも……気をつけて帰ってきてね。 From弥生
<封筒の裏にあったメッセージ>
なんて、弥生ちゃんて可愛いんでしょう。洋、アンタ幸せ者
だ。えー、わかってんのかい?まったく……
12 :
可愛い奥様:2007/06/01(金) 19:05:19 ID:RPQNIxL20
「天国からのラブレター」92〜93ページより
来年3月の短大卒業を前に、弥生の就職が(株)クボタにほぼ内定
したのは、この年の10月のことでした。2人とも一歩一歩、オトナ
の世界に足を踏み入れていった頃だった。
ところで、ここに登場する″ボビー≠ニは、弥生がお気に入りの熊
のぬいぐるみのことで、この熊のぬいぐるみを買った時のことは今も
でも忘れられません。
その店では、ちょうど歳末セールが終わった後でしたが、人形売場
にポツンと売れ残っていたのが成猫ぐらいの大きさの、その熊のぬ
いぐるみだったのです。
そして、私達がその前まで来た時、弥生は急に足を止めて、「あの
子が私を呼んでる」と言うのです。目は熊のぬいぐるみに注いだま
までした。まるで神がかりです。「俺には何も聞こえないけどな」
と当然のことを言っても、「私には聞こえるの。独りで可哀相」と
言う。……そんなこと、とても信じる気にもなりませんから、私は
笑って「行くよ」と弥生を促したのですが、「イヤ!」と彼女は強
く言い張ります。しかもその顔を見ると、本当に泣いているのです
からビックリしました。それで、「じゃ、買えば……」と私も同意
しました。
13 :
可愛い奥様:2007/06/01(金) 19:06:34 ID:RPQNIxL20
すると、「ぬいぐるみ買うと、口紅が買えなくなる」というのが弥
生の答えです。そして、泣きベソをかきながら、「どっちも欲しい」
とダダをこねるのです。これでは「じゃ、俺が買ってやるよ」と言
うしかありません。で、そう言った途端に、弥生は「洋、大好き」
と私に抱きついてきて、大勢の買い物客の前でキスを振る舞ってく
れました。よほど嬉しかったのでしょうね。
そのぬいぐるみに″ボビー≠ニいう名前を付けました。弥生に言わ
せると、それはオス熊だからということです。その日からずっと、
弥生は「寂しい時はボビーを抱いて寝るの」と大切にし、かわいが
っていましたから、買ってやった私も満足しました(この手紙をみ
ると私がゲームセンターのUFOキャッチャーで獲得したバルタン
星人に少し浮気していた時期もあったようですが)。
でもあの時、どうしてあんなに熊のぬいぐるみを欲しがったのか、
本当の理由はわからないままでした。私も気になったので、後で、
改めて聞いてみたのですが、弥生は「洋に似てたからかなー」なん
て言うばかりだったのです。
今の私はちょうど、人形売場でポツンと独り座っていた時の、あの
ボビーに似ている気がします。ただ、弥生は永遠に私を買いに来て
はしませんが……。
14 :
可愛い奥様:2007/06/01(金) 19:07:16 ID:RPQNIxL20
「天国からのラブレター」199ページより
2人だけとはいえ、すでに将来を誓い合った私達でしたが、
その力関係からいけば、断然、弥生の方が上でした。例えば、
たまに会って買い物などに行けば、その時の私は荷物持ちと
イエスマンに徹することになっています。「この服、似合うかな?」
「この靴、可愛くないね?」などと売り場で質問されると、
私はただ、「そうだね」と条件反射的に答えるしかないイエスマン
でした。でも、最初からそうだったのではないんですよ、
この私だって…。一緒に買い物に行くようになった当初は、
弥生に質問されたり、意見を求められれば、私だって真剣に考えて
自分なりの答えを出し、アドバイスめいたことも言っていたのですが
……その意見が一度も通ったことがありません。やがて
イヤでもその理由を分からせられて、私は口を閉ざすしかなくなって
しまったのです。
要するに「洋はセンスが無い」というわけです。例えば2着の服が
あって「どっちがいいかなあ?」って弥生に問われた私が「どっちでも
いいじゃない」と答えたりすると、「ふーん、どうでもいいんだ、洋は」
と、こう突っ込まれます。で、「じゃこっちにしたら」と言いなおすと、
今度は「私はそれじゃなくて、こっちが気に入っているのよ」と
ピシャリと撥ねつけられてしまうのでした。そんな事が重なって、私は
とうとう弥生のイエスマンになってしまったのです。
当時の私は、「どうせ俺の意見を取らないんだから、最初から聞かなきゃ
いいのに」と、いつも思っていました。しかし、弥生にとっては、
側にいる私に聞くだけでも楽しかったようでした。そのとど、やり込め
られる男にとっては、決して理解できない楽しみでしたけどね。