文藝春秋 2006年10月号 平成皇室の危機は去ったのか
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungeishunju/bungeishunju0610.htm 高橋 繰り返しますが、皇室の伝統でいちばん大切なのは、「私」を捨てて、
「公」のために尽くすということですね。昭和天皇の御製にもあるように天皇は
、毎朝宮中三殿に侍従を遣わし、世の中が平らかであれと祈っているわけです。
どうも雅子様は、「私」のことで精一杯で、本当に国民のことを思ってくださっ
ているのか、という疑いが国民の間にあるのは否定できません。オランダご静養
は治療の一環だと思いますよ。宮内庁が承認したのは、「治療の一環」と言われ
れば、反対できないからでしょう。日本に帰国して雅子妃が公務に復帰していた
だければいいですが、万一、来年も静養、再来年も静養で外国に行きますという
ことになると、これは「国民と共にある皇室の姿」とは違うんじゃないか。
松崎 そうですね。
高橋 中でも私が雅子様に関して残念に思うのは、宮中祭祀の問題と、勤労奉仕
の人々への御会釈がないことですね。
宮中三殿へのお参りは、天皇皇后両陛下、皇太子殿下ご夫妻の大切なお勤めで
す。以前の賢所でしたら、お参りする際には髪の毛を王朝風に整えたり、沐浴し
たりしなければいけないから、ご病気の雅子様には大変かもしれませんが、現在
は耐震補強の工事中で近くの仮殿に移っています。平服で拝礼するだけでいいの
です。それなのになされないのはたいへん残念。
全国から集まって皇居と赤坂御所の清掃をしてくれる奉仕団に、ねぎらいの御
会釈もされていません。昭和天皇に始まり、いまの両陛下もとても大切にされて
います。一般の国民と最も手軽に接することができるんです。どちらも特別に出
かけなくてもできることなのですが。
松崎 奉仕団の人々は一般国民の中でも皇室に愛着を持っている人々、御会釈が
あれば喜ぶのに。