皇太子と雅子は愛しあっているのか?

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384『殿下の料理番』渡辺誠(2002/1/1小学館文庫)
ttp://www.books-ruhe.co.jp/recommends/2001/12/dennkanoryouribann.htm
この本が出るころには、皇太子ご夫妻に新宮さまご誕生の喜ばしいニュー
スで大いに沸いていることでしょう。
かつて、記者会見の席で殿下が、「あまり周囲で波風が立ちますと、コウ
ノトリのご機嫌を損ねるのではないか……」と、ユーモアまじりにお答え
になられたころが懐かしく思い出されます。
当時、私はおふたりにお仕えして毎日のお食事を作る「料理番」でした。

私がお仕えすることになったのは、ちょうど殿下が独立されるときでした。
仮住まいの御所で、少ない職員でいろいろこなさなければならないという
特殊な状況もあって、より身近に接し、お心に触れる機会が多かったこと
も、いま思えば幸いでした。
そして在職中に妃殿下をお迎えしておふたりの仲睦まじいお姿を拝見し、
お暮らしが「家庭」という体裁を成していくのに触れることができたのも
幸運だったと思います。

宮内庁大膳課に勤務していた二十六年間のあいだ、私は昭和天皇、今上陛
下、そして皇太子殿下の三代にわたってお食事を作りつづけてきました。
昭和天皇にお仕えしたのは、私がまだ宮中のことを何も知らない駆け出し
の時代から始まって、料理人になるために修業を積み、なんとかひとかど
のものになるまでの十八年に及ぶ年月でした。

私は陛下のことが大好きでたいへんお慕いしていましたが、歳若い料理人
の立場では、直接お言葉をかけていただくような機会もそう多くはありま
せん。たまにそんな光栄に浴しても、ただただ緊張して、畏まっていたこ
とばかりが思い出されます。
その後、今上陛下(当時はまだ皇太子殿下でいらっしゃいました)のもとに
お仕えするようになりましたが、それはわずか二年足らずの期間でした。
その環境の変化にようやく慣れたころ、昭和天皇が崩御されます。心の灯
火が消えてしまったような大きな悲しみが宮内庁全体にも溢れ、私自身も
料理人としての意欲を失い、辞めてしまおうかと考えたほどです。
そんなときに、現皇太子殿下のもとへの異動話が降って湧いたのです。