55 :
可愛い奥様:
「清美さん、生徒に教わったんですけど、こういうこと出来ます?」
そう言うと、まず僕がテーブルの上に人差し指を二本並べておいてみせました。
「なにそれ、なにかのおまじない。」
「いいからやってみて、」
佐藤さんは何かおもしろいことが始まるのかと期待しているような表情で、僕と同じように人差し指を二本並べてテーブルの上に置きました。
「指をそのままにして、下に正座してみて、こういうふうに。」
「はいはい、なんのおまじないかしら。」
彼女は一人用のソファーから腰をはずし、下の絨毯にひざまづきました。僕は彼女の並んだ両方の人差し指の上に今飲んでいた水割りのグラスを置き。驚いている彼女に向かって笑顔で
「はい、これで貴方は動けません。」
と言いました。
「こらっ、なにくだらないことやってんの。」
初めのうち彼女はまだ笑っていました。
「動こうとすると、グラスの水割りがこぼれて、テーブルの上の資料もブ
ラウスも水びだしになっちゃうでしょ。」
「あーっ、ひどーい。それで、どうするの。」彼女はまだ余裕で笑いながら質問してきました。
「清美さんの身体を、あちこち色々触っちゃうの、」
僕は笑って、冗談めかして、両手で清美さんの躯をまさぐるしぐさをしました。そう、冗談のつもりだったんです、この時までは。