イラク人質事件70

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23道新−7/23掲載分
●3・そこにある死 −−自爆を覚悟で戦う犯人・命ごいをする私は…複雑−−

 高藤菜穂子さんたちは拘束初日、犯人側に脅されたところをビデオに撮られ、
中東のテレビ局がその映像を「自衛隊撤退」要求とともに全世界に流した。
日本では犯人側と示し合わせた「自作自演」だと中傷された。
だが、高藤さんが味わったのは紛れもなく「死の恐怖」だったという。


 部屋に入ってきた男たちは脚の付いた大きな銃を持ち、たすきがけにした銃弾を
じゃらじゃら言わせていました。すごくいら立って、殺気だっている。すぐに目隠しをされました。
 右隣に座らされた今井(紀明)君がけられる音、「いてっ」っと叫ぶ声が聞こえてきます。
「ノー・コイズミ」「ノー・コイズミ」。犯人たちがそう言え、と今井君に怒声を浴びせます。
「早く言っちゃえ。言っちゃえば終わる」と心の中で祈りました。
でも、今井君は恐ろしくて声が出なかったようです。
 「ああ殺される」。頭にあったのはそれだけです。なぜビデオが回っているのか、
考える余裕などありませんでした。