◇姿消し40年以上−−妹ら「会いたい」
北海道に住む小住さんの妹らは、姿を消して40年以上たつ兄への思いを募らせている。
小住さんは1933年に旧樺太(サハリン)で生まれた。長男で4人の妹がいる。両親は既に死亡。48年に函館に引き揚げた後、叔母の家に預けられ、水産加工場で働いた。61年に東京の会社に就職した後、行方が分からなくなった。
警視庁の捜査で戸籍が移されたころは、東京・山谷にいたとみられる。「朴」は、小住さんの前に別の男性になりすまして活動していたが、発覚を免れるため男性を北朝鮮に拉致しようとする直前、この男性が病死したことが分かっている。
一番下の妹(54)=函館市=は「東京に仕事に行く兄を、小雪が降る中、青函連絡船の桟橋から見送ったのを思い出す。人がいいので、簡単にだまされたのではないか」と話す。
事件の摘発があったころ、警視庁の捜査員に「兄さんか?」と「朴」の写真を見せられたという年長の妹(66)=釧路市=は「工作員に名前を使われたというので、死んでいるか殺されているかと思っていた。もし、生きていれば会いたい」と北朝鮮からの生存情報を待つ。