小住健蔵さんになりすました工作員、在日韓国人らが活動支援
◇10人以上、脅され?
政府認定の10件15人以外に拉致された可能性が高いとして、日本政府が北朝鮮に確認を求めた北海道出身の小住健蔵さんになりすました
工作員の周辺に、在日韓国人ら10人以上の活動支援者がいることが分かった。警視庁が85年に摘発したスパイ事件「西新井事件」の捜査で判明。
北朝鮮に親族を残した在日韓国人らが取り込まれ、大がかりな組織になったとみられる。警視庁は組織の実態や小住さん失跡時の状況の解明を進めている。
西新井事件では、「朴」を名乗る工作員が、79年に小住さんの本籍を東京に移し、小住さんになりすまして旅券などを取ったことなどが分かり、
この男が旅券法違反などの容疑で国際手配されている。また、男に脅され、北朝鮮でスパイ訓練を受けるなどした在日韓国人の男が、ただ一人逮捕(外国人登録法違反容疑)、有罪判決を受けた。
スパイ活動を支援したのは、有罪となった男を頂点とする在日韓国人らが中心の組織で、「朴」のために資金面での援助をしたり、国の軍事情報の記載のある出版物を提供するなどしたとされる。
このうち、「朴」の部屋の保証人になった在日韓国人は、87年の大韓機事件の実行犯の男が所持していた偽造旅券のベースになる旅券を知人に取らせたり、
金賢姫(キムヒョンヒ)元死刑囚の教育係とされる田口八重子さん(行方不明時22歳)が勤めていた飲食店に客として出入りしていた可能性が高いという。
公安当局によると、北朝鮮のスパイ事件では、日本に密入国した工作員が、北朝鮮に親族らを残した在日朝鮮人や韓国人らに親族の身の安全をちらつかせて協力を迫り、
スパイ活動の基礎づくりをするのが特徴。西新井事件でも、有罪となった男は「(北朝鮮にいる)両親や兄弟を知っている。言うことを聞いた方がいい」と「朴」に脅されていた。
同様の方法で、次々に支援の組織づくりを進めるが、協力者の活動は、ほとんどが合法の範囲内にとどまるため、立件されるのはごく一部だけにとどまっているのが実態という。