スレ立てるまでもないが言いたい 六十一言目

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476可愛い奥様
父が亡くなってから、気にはなっているものの雑事に追われ
母親一人暮らしの実家に行く機会があまりなかった。

先日、買い物帰りにふと思いついて寄ってみたが留守だった。
外出するときはいつも持ち歩いていたポーチが置いてあり、どうしたのかと
手にとって見ると、ファスナーの持ち手部分が壊れていて開閉できなくなっていた。
待ってる間にペンチを探してなんとなく直していたら時間切れ。
旦那が帰る時刻になったので、ポーチの修理だけしてそのまま会わずに帰ってきた。

夜になってから「あれ、直してくれてありがとう」って電話がきた。
ああ、そんなこと別にいいよと言うと何だか今にも泣き出さんばかりに感激してて
一体どうしたのかと聞いたら、亡父がいつもこうやって黙って直しておいてくれたのだと教えられた。
もう直してくれる人もいないと思って放っておいたら、帰宅するとまた直っていて
それを見ていたら父を思い出してしまったのだと言って柄にもなく声を詰まらせていた。
たかだかポーチの修理くらいで大げさなと言ったあとで、私もつい思い出してしまって
そういえば、パパはそういうとこがあったよねと言ってこっそり涙を拭きながら笑った。
受話器の向こうからも、母の笑い声が聞こえた。