★なぜ★田口ランディ嫌われてるの?★教えて★

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NHK すくすくネットワーク 2月号 日本出版協会

田口ランディ の すくすく日記
       第四回
お母さんと子どもの目に見えない絆

 仕事がら家を留守にすることも多いので、子どもは2歳のときから
保育園に預けていました。どうしても帰りが遅くなるときは、お迎え
保育をしてくれる託児所を利用して二重保育を続けてきました。
 乳児のころも子どもべったり……という感じではなく、展覧会や
映画などがあると、子どもを託児所に預けて出かけていきました。
どちらかといえば子どもにとっては冷たい母親だったかもしれないなあ、
なんて思っています。
 ですが、そんな私でも、子どもとは見えない何かで繋がっているの
では? と感じることがあるのです。
 子どもがアトピー性皮膚炎であることを理解してから、子どもの
体調の変化を見逃さないように気をつけてきました。というのも、
ちょっとした下痢とか、かぜでも、アトピーが悪化することがあるから
です。もちろん、それまでも子どもの体調には気を遣ってきたつもり
ですが、それは「具合が悪くなったら一生懸命にあわてる」という、
その場しのぎのものでした。
689遅れてきた13 2:03/01/21 23:04 ID:bLdQuscb
 そうではなくて「継続的に子どもの体調を観察する」という視点に
なったのです。
 それで、気がついたことなのですが、どうも子どものからだの変調は、
私の精神状態と共鳴しているようなのです。
 まさか、そんなこと……、と最初は私も半信半疑でした。
 初めて子どものアトピーが悪化したとき、私は脳出血で倒れて植物
状態になってしまった母の看護のことが気がかりで、とても精神的に
イライラしていました。
 次にアトピーがひどくなったとき、私は作家としてデビューした直後で、
いきなり殺到してくる仕事の依頼やインタビューでパニック状態に
なっており、自分も体調を崩していました。
 このときは、私に合わせて娘の体調が悪かった理由がわかります。
私は一日の半分をパソコンに向かって小説を書いていて、散歩したり
買い物したりすることがめっきり減りました。そのため、著しく新陳
代謝が低下してしまったのです。冷え性になりました。足は冷えるのに
頭はのぼせて熱く、舌が乾くので冷たいものばかりほしいのです。
さらに、汗をかかないのでからだの中の塩分濃度が上がっていきました。
そこにもってきて、出版社の方々とのおつきあいが始まり、みなさん
私が酒好きというのを知っていてどんどん飲ませてくれるのです。
毎晩、深夜の飲酒、辛いおつまみ。からだによいわけがありません。
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 私はすっかりむくんでしまい、そのころに子どものアトピーも
ものすごく悪くなっていました。
「いつもと同じ治療をしているのに、どうして具合が悪くなるんだろう?」
と、私は子どもの肌の悪化ぶりにショックを受けていました。
 そんなときに、整体氏のT先生と対談しました。そして先生に
「田口さん、からだがまいってますよ、しばらく治療に通えませんか?」
と、言われてしまったのです。
 先生に、娘のアトピーのことも相談したら、先生は「たぶん……」
と前置きしてから、アドバイスをくださいました。
「娘さんをみていないので僕の推測にすぎないけれど、田口さんが
こんなに塩分過多の食生活をおくっているのだから、娘さんも相当に
からだの塩分濃度が上がっていると思うよ。とにかく、娘さんの食事から
塩分を減らして、代謝を上げてあげること。からだを冷やさないこと。
お風呂にゆっくり入って汗をたくさん流してください」
 実は、思い返せばその当時のわが家の食生活はすごかったのです。
塩分の摂りすぎもいいところ。私は知人からいただいた塩昆布が
大好物で、それを毎日お茶に入れて飲んでいました。娘も私をまねて、
塩昆布をパクパク食べていました。それから梅干のおにぎり。しかも
塩をたっぷりつけて握ったものをおやつ代わりに食べていました。
 そういう食生活って、だんだんとエスカレートしていくものなので
案外自分では気づくことができないのです。母親の私の食生活は、
子どもに多大な影響を与えているのだな……と思い知りました。
691遅れてきた13 4:03/01/21 23:05 ID:bLdQuscb
 その後、子どもが成長していき、かぜをひいたり、おなかを
こわしたり、中耳炎になったりといろいろありましたが、なんとなく
私の調子が悪いとき、私が疲れているとき、仕事で悩んでいるときに、
子どもの不調が起こるような気がしてなりません。もちろんかぜは、
私のかぜがうつるのかもしれないし、同じものを食べているのだから
体調が似てくるのも当然かもしれないですが、どうにも理屈では
割り切れない場合があるのです。出張先で私が体調をこわすと、
家で子どもも寝込んでいる……みたいな。
 最近、あるお医者さまからこんなことを聞きました。
「漢方薬を子どもにのませるときは、子どもと同じ薬を母親ものむと
いいんだよ。そうするとよく効くんだよ」
「え? ほんとですか? なぜですか?」
「科学では証明できないけれどね、昔からそう言われているんだ。
子どもと母親はどこか目に見えない絆で繋がっているんだろうね」
 うーむ。そういうわけで、私は娘に薬をのませるときは同じ薬を
自分もちょこっとなめてみます。なんとなくそうすると安心します。
もともと私は、お菓子でもジュースでも、子どもが口に入れるものは、
いったいどんな味なのかちょこっとつまんで食べたり飲んだりしてみます。
でも、さすがに薬まではのんでみることはありませんでした。
 アトピーの治療のためにのんでいる漢方の煎じ薬も、子どもと
いっしょにのむようになりました。もちろん、それで薬が本当によく
効くのかどうかわからないのですが、いっしょにのんであげると
子どもはとても安心して喜びます。
692遅れてきた13 最後:03/01/21 23:06 ID:bLdQuscb
 私と子どもの体調が同調していることは夫も薄々感じているようで、
このごろよく
「お母さんが元気だと、モモも元気だね」
と言います。
 子どもは安定した存在だな、とつくづく思います。泣いたり怒ったりと
めまぐるしいですが、基本的に笑っています。ごきげんです。どんなに
感情的になってもすぐにまた笑います。起き上がりこぼしみたいです。
あっというまに笑顔に戻ってこれる。
 それに比べると母親の私のほうは、かなり情緒不安定です。仕事のことで
トラブルがあると丸一日気分が晴れなかったりします。生理の前になると
なんだかイライラしてきます。からだの中に分泌されるホルモンに左右
されている自分が情けない。子どもはすばらしく幸福な心で毎日生きて
いるというのに。
 子どもは母親を頼って生きていくしかないのだから、子どものからだが
母親に共鳴してしまうのも、なんだかうなづけます。
 親のほうが子どもの笑顔にたくさん共鳴できたら、いいんですけどね。