評論って名乗ってなきゃ……8

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913キネ旬9月下旬号にて
川本三郎 曰く その1

最近の試写室内のマナーの悪さはもう電車のなか並み。
 平気で遅れて入ってくる。人の前を「すみません」の
ひとこともいわずに通る。夏になると短パンにゴムぞう
りで現われる。脚を前の椅子に投げ出す。
 業務試写は、評論家にとって神聖な仕事の場所だとい
う意識がないのだろうか。あまりに目にあまるときは注
意するが、後味が悪いので最近はもうあきらめている。
 受付にいる宣伝部の人たちは立場上「見に来て下さっ
て有難う」という。その丁寧な応対が若い女性たち(遅
れて入っているのはたいてい彼女たち)に「見に来てや
っている」という傲慢な意識を植え付けてしまうのだろ
う。本来、われわれのほうが「見せていただいて有難う」
というべきなのだ。
 そんなこんなで近年、若い人の多いメジャー系の試写
室からは足が遠のいている。