神秘主義的映画のスレ

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なんかしばらく見ないうちに話進んでますな。
たぶん、悪魔がさんはアントニオーニとは違うといわれますが、自分はかなり象徴主義的な印象を持ちました。
もちろん癒されるための「風景」ではなく、盛者必衰を感じさせる荒涼としたローマ遺跡が
崩壊した夫婦関係を投影している、という意味です。お互いに旅のなかでなんとか関係を取り戻そうとしながらも結局できずにいる。
短い旅の中で修復されるにはあまりにながく放置されてきたから。しかし最後の最後にお祭りに巻き込まれて引き離されそうになった時に、
何かがふたりの間に起こって、かつての愛にあふれていた頃の生き生きとした情動をまさに発掘する。
この映画のロケーションは夫婦の心理描写と絶妙にリンクしているとおもいますが、一番やりたかったのは
遺跡の中で抱き合ったままの男女を発掘するシーンでしょうね。ポイントは発掘です。もし関係の修復が理性や論理によってなされるならば
たんたんとそれを描写していけばよいとおもうが、実際にはそういうもんではない。
発掘しようと思って発掘することはできないように、失われた(そしてどこかにまだ残っている)情動を取り戻すには、いくつもの外的な要因、偶然が重なって
奇跡的なチャンスみたいなものが必要だとおもうんですよ。それを考えると自分にとっては充分神秘性を感じとれるわけなんだけど。