ドキュメント「もののけ姫はこうして生まれた」を見返してみたけど、
いや宣伝・興行関係の苦闘部分だけ見てもこりゃ凄いわ。
電通・日テレ・宣伝担当の人間たちを怒鳴りつけ、電通の人間が
「入社以来こんな辛い思いをしたのは初めて」というくらい絞りあげ
「作品がヒットすれば、関わっていた大勢の人たちがみんな幸せになる」
というゴールに向けて多くの人をみんな他人事じゃなく作品の「陣営」に
してしまって応援体制を作る。
関係者が「実は部署の人間はみんな一国一城の主で、こっちの言うこと
なんか誰も聞いちゃくれない。彼らをファンにするしかなかった」という
組織の複雑さ、もともと「20億ラインしか稼げない」はずの興行配置に
割り当てられながら50億興行のはずのライバルをひっくり返した興行。
オカルトみたいに「電通」を謎の組織としてしか受け止められない人間の
たわごとなど話にならない現実がわずかな映像からもピンピン伝わってくる。
むかし「宣伝担当者も必見」と言われていたドキュメントだけど、これを
見ちゃうとエヴァのやってることなんて、ただこの時代以前の昔に戻した
だけの話、それも小泉改革・トヨタ奥田方式の「儲けを人にやらないために
関係する人間を切り捨てて自分たちだけで利益を独占する」っていう
古くて歪んだ発想でしかないって今さらながら実感する。