今日見た映画の感想　その64

デリカテッセン
なんだかよく分からないまま始まりなんだかよく分からないまま終わる。
けれど観ている間は非常に楽しい気分で、
凄惨でグロテスクなお話なのに心がウキウキしてくる。
世界観の面白さや演出の妙だけでなく、
一瞬しか語られないのに登場人物の造詣が観ている側に伝わり
なおかつ人物像も非常に立っているのが大きいのだろう。
アパートの住人のほとんどが狂気と紙一重にもかかわらずどうにも憎めない。
寓話的作品を説教臭くせずに、さらにはこれだけ艶やかに撮れるのは
さすがジュネの仕事だとうならされる。小物の使い方も抜群。
個人的には、ヒロインのおでこメガネちゃんよりも
お色気ムンムンの愛人のほうが好みだった。